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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 梅見月の頃 夢のごと君に逢はむかも 〜


〜 後編 〜


沖田総司が土方歳三に、山南敬助の介錯の承諾の返事をしてから、少しだけ日付が過ぎた。



山南敬助に切腹の沙汰が下った。

介錯は、山南敬助の願い通り、沖田総司が勤める事になった。



山南敬助の切腹から少しの間は、屯所内も落ち着かなかった。

しかし、時を重ねていくうちに、屯所内は落ち着いてきた。



そんなある日の事。

沖田総司は少女の家を訪れた。

少女は微笑んで沖田総司を出迎えた。

沖田総司と少女は、一緒に出掛けて行った。



沖田総司と少女は、いつも出掛ける寺の中に居る。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。梅の花がまだ咲いているね。良かったね。」

少女は沖田総司を見ると微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は、一緒に立ち上がった。

少女がほんの少しだけ、ふらついた。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。大丈夫?」

少女は沖田総司を見ると微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。もしかして、体調が悪いんじゃないのか?」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。」

沖田総司は心配そうに少女に手を伸ばした。

少女は沖田総司から離れると微笑んで話し掛ける。

「総司さん。一緒に梅の花が見たいです。近くで見たいです。」

沖田総司は心配そうに近づくと、少女の額を優しく触った。

少女は不安そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。熱があるじゃないか。」

少女は困った様子で下を向いてしまった。

沖田総司は少女をゆっくりと座らせた。

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は少女を優しく抱き寄せると、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。帰ろう。」

少女は沖田総司の腕の中で、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を優しく抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。無理しちゃ駄目だよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「無理していません。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。辛いだろ。早く帰ろう。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「辛くないです。」

沖田総司は少女を優しく抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「熱があるのに辛くない訳ないだろ。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「私は大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「総司さんの笑顔が見られます。総司さんとお話し出来て楽しいです。嬉しいです。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「私の心配より自分の心配をしないと駄目だろ。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「総司さんはお仕事が忙しいのに、私の心配をしてくださいます。」

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「私は大丈夫です。総司さん。心配しないでください。」

沖田総司は少女を優しく抱いている。

少女は黙って沖田総司の腕の中に居る。

沖田総司は縁の方を見た。

この時期には珍しい雪の降っている様子が見えた。

沖田総司は腕の中に居る少女の様子を確認した。

少女は沖田総司の腕の中で寒そうにしている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。やっぱり帰ろう。ゆっくりと休んで早く元気になってくれ。」

少女は沖田総司の腕の中で、心配そうに話し掛ける。

「総司さん。私は大丈夫です。まだ来たばかりです。総司さんがお休みできていません。総司さんとお話ししたいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんはいつも私の事を気遣ってくれているよ。自分の事も気遣わないと駄目だよ。」

少女は沖田総司の腕の中で黙っている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんの笑顔は見ている人を元気にさせるよ。だから、早く元気な笑顔を見せてくれ。そして、たくさん話しをしよう。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。



季節はずれの雪は、直ぐに止んでしまった。

沖田総司と少女は、ゆっくりと歩きながら寺を後にした。



少女は熱を出していたために、寝込んでしまった。

沖田総司は時間を作っては、少女の家に出掛けている。

家族の人に少女の容態の確認をしても、良い返事が返ってこない。

沖田総司は、少女の熱が思うように下がらないために、逢う事が出来ずに帰って行く。



少女が熱を出してから何日か経った。

少女の体調がどうしても良くならない。

沖田総司は少女の容態を確認する度に、心配そうに帰っていく。



そんなある日の事。

沖田総司は屯所に戻ると、そのまま斉藤一のもとを訪れた。

斉藤一は沖田総司を黙って見た。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんの体調がなかなか良くなりません。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「体調の悪い私が鈴ちゃんに会う訳には行きません。鈴ちゃんにもしもの事があったら困ります。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「斉藤さん。申し訳ありませんが、私の代わりに鈴ちゃんの様子を確認してくれませんか?」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「礼を言う相手は俺じゃないだろ。相手を間違えるな。」

沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで頷いた。



その翌日の事。

斉藤一は少女の家を訪れた。

家の人から少女の容態を聞いているが、あまり良くなっていないとの事。

斉藤一は少女を見舞うために部屋を訪れた。

少女は斉藤一の姿を見ると、一瞬だけ寂しそうな表情をしたが、直ぐに微笑んだ。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「総司じゃなくて悪かったな。」

少女は辛そうな様子だが、起き上がろうとした。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「無理するな。寝ていて良いぞ。」

少女は床に着いたまま、小さく首を縦に振った。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「なかなか良くならないな。」

少女は床に着いたまま、斉藤一に申し訳なさそうに話し掛ける。

「すいません。ご迷惑をお掛けしています。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「俺に謝る必要は無いだろ。」

少女は床に着いたまま、斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「総司さんは何か悩んでいます。辛そうにしています。総司さんが元気になるまで傍に居たいと思って、無理をしてしまいました。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は床に着いたまま、斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「総司さんは少しずつ笑顔になってきました。でも、私が体調を悪くしたから、また悲しいお顔に戻ってしまいました。私は総司さんにも斉藤さんにも迷惑を掛けていまいました。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「俺の事は気にするな。」

少女は床に着いたまま、寂しそうに斉藤一に話し掛ける。

「私は迷惑だけ掛けています。何も出来ていません。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「何度も言っているが、美鈴さんは駄目じゃない。しっかりしろ。」

少女は床に着いたまま、斉藤一に心配そうに話し出す。

「総司さんが心配です。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「総司は相変わらずだ。あまり心配するな。」

少女は庭を見ると、寂しそうに呟いた。

「夢のごと 君を相見て 天霧し 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は床に着いたまま、斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「総司さんのお顔はずっと寂しいままです。私は傍に居られません。何も出来ません。迷惑も掛けてしまいました。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「美鈴さん。落ち込むな。」

少女は床に着いたまま、悲しそうに話し掛ける。

「総司さんは私に逢いにきてくれません。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「美鈴さん。あまり悩むな。」

少女は床に着いたまま、斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「総司はさんは私の事を呆れていますよね。だから、総司さんは私に逢ってくれないのですよね。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「総司は美鈴さんが自分と会って、無理をしないかと心配している。だから、会わないだけだ。呆れている訳じゃない。心配するな。」

少女は床に着いたまま、寂しそうに微笑みながら斉藤一に話し掛ける。

「気を遣って頂いてありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「そろそろ帰る。」

少女は床に着いたまま、斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は床に着いたまま、斉藤一を微笑んで見ている。

斉藤一は立ち上がると、部屋から出て行った。



斉藤一は屯所に戻ってくると、そのまま沖田総司のもとを訪れた。

沖田総司は心配そうに斉藤一に話し掛ける。

「鈴ちゃんの様子はどうでしたか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんは言葉には出さないが、総司に会いたがっている。」

沖田総司は斉藤一を心配そうに見た。

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんがこんな歌を詠んでいた。夢のごと 君を相見て 天霧し 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは、そんなに体調が悪いのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんは元気になっても、総司が会ってくれないのではないかと、不安になっている。」

沖田総司は斉藤一を見ながら悲しそうに呟いた。

「鈴ちゃんと会わないなんて、そんな事をする訳ないのに。無理したのだって、私のせいなのに。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司が落ち込んでどうする。」

沖田総司は斉藤一を見ると微笑んで頷いた。



その日の夜の事。

土方歳三と斉藤一は、酒を飲みながら話しをしている。

土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「あの子の体調がなかなか良くならないんだって?」

斉藤一は土方歳三を見ながら黙って頷いた。

土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「総司はあの子の話しを屯所ではほとんどしないからな。詳しい事を確認するのが面倒で困る。」

斉藤一は土方歳三を見ながら、黙って酒を飲んでいる。

土方歳三は外を見ると、白い梅が月夜に咲いている姿が見えた。

斉藤一も外を見た。

土方歳三は月夜に咲く白い梅を見ながら呟いた。

「夢のごと 君を相見て 天霧し 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ。」

斉藤一は土方歳三を黙って見た。

土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「どうかしたのか?」

斉藤一は土方歳三に普通に話し掛ける。

「あの子もその歌を呟いていました。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「あの子と同じなんだ。嬉しいな。」

斉藤一は土方歳三を見ながら酒を飲んでいる。

土方歳三は微笑んで酒を飲んだ。

斉藤一は土方歳三を一瞥すると、白い梅を見ながら酒を飲んだ。

土方歳三は斉藤一を見ると普通に話し掛ける。

「総司はあの子の事が心配だろうな。」

斉藤一は土方歳三を見ると黙って頷いた。

土方歳三と斉藤一は、月夜に咲く白い梅を見ながら、酒を飲み続けている。



その翌日の事。

沖田総司は少女の家を訪れた。

少女の容態はあまり変わらないらしい。

沖田総司は家の人に梅の花と文を預けると、そのまま帰っていった。



少女は沖田総司から預かった梅の花と文を、家の人から受取った。

家の人は静かに出て行った。

少女は辛そうな様子だが、梅の花と文を見ると微笑んだ。



少女は床の上で文を読み始めた。

文を読み終わると、梅の花を微笑んで見た。

梅の花は綺麗に咲いている。

少女は、沖田総司が見舞いに持ってきた梅の花を見ながら、微笑んで呟いた。

梅の花 しだり柳に 折り交へ 花に手向けば 君に逢はむかも」

梅の花は少女を励ますように咲いている。

少女は微笑んで梅の花を見ながら呟いた。

「総司さん。梅の花があるのに柳がないですね。梅の花が綺麗に咲いているうちに、柳の用意をしないといけないですね。」

梅の花は少女に見守られながら、綺麗に咲いている。

少女は梅の花を見ながら、微笑んで呟いた。

「総司さんに早く逢いたいな。」

梅の花は少女を励ますように綺麗に咲いている。

少女は梅の花を微笑んで見ている。



それから暫く後の事。

沖田総司は少女の家へと、急いで向かっている。

京の町の梅は少しずつ散り始めている。



沖田総司は少女の家に到着した。

少女は沖田総司を微笑んで出迎えた。

沖田総司は心配そうに少女を見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「いろいろとご心配をお掛けいたしました。もう大丈夫です。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんとお話しがしたいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「少しだけ出掛けようか。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は、一緒に出掛けて行った。



沖田総司と少女は遅咲きの梅の花を見ている。

少女が沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんと逢えました。嬉しいです。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんには、迷惑をたくさん掛けてしまった。何から謝れば良いのかな?」

少女は不安そうな表情で沖田総司に話し出す。

「総司さんは謝る事はしていません。悪いのは私です。私はお仕事の事はわかりません。だから、総司さんに迷惑を掛けてしまいました。私が体の調子を悪くしたから、総司さんに心配を掛けてしまいました。」

沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。

「鈴ちゃんは悪くないよ。悪いのは私の方だよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんは私と逢ってくれました。嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「お歌と花ありがとうございました。とても嬉しかったです。」

沖田総司は顔を赤くして少女を見ている。

少女は沖田総司を不思議そうに見ている。

沖田総司は顔を赤くしながら少女に話し掛ける。


「鈴ちゃんに喜んでもらいたくて、梅の花をもらえる場所を見つけたんだ。歌の方は土方さんや斉藤さんに聞いたんだ。鈴ちゃんが喜んでくれてとても嬉しいよ。」

少女は沖田総司の手を取ると微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。嬉しいです。」

沖田総司は顔を赤くしたまま少女を見ている。

少女は沖田総司の手を取ったまま、微笑んで話し掛ける。

「総司さんと一緒に、梅の花が見たいです。」

沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。

「あまり無理しない方が良いよ。次に逢った時に、ゆっくりと見ようよ。」

少女は沖田総司からゆっくりと手を離した。

沖田総司は少女を心配そうに見ている。

少女は残念そうに沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「そういえば、そろそろ梅の花も季節も終わるよね。少しだけ一緒に見ようか。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。

「辛くなったら無理せずに直ぐに言ってね。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司と少女は楽しそうに梅の花を見た。



もう少しすると、梅の花の季節が終わります。

次は、桜の花の季節になります。



〜 完 〜





はじめに       前編       後書き

目次


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