このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 梅見月の頃 夢のごと君に逢はむかも 〜


〜 後書き 〜


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

ここからは、後書きになります。

山南敬助さんが亡くなった前後の物語は既に発表していたり、これから発表予定だったりします。

今回は、山南さんの切腹の前後の物語です。

沖田総司さんと斉藤一さんと鈴ちゃんの物語です。

この物語は、歌の内容から想像しながら書きました。

山南敬助さんが切腹をして亡くなったのは、元治二年二月二十三日と言われています。

介錯をしたのは、沖田総司さんです。

新撰組を脱走した山南敬助さんは、追ってきた沖田総司に見つかり、一緒に新撰組に戻ってきます。

そして、一室に幽閉されました。

幽閉中の山南敬助さんを密かに訪ねた人物がいます。

その人物は、伊東甲子太郎さんと永倉新八さんだと言われています。

この物語のなかでは、幽閉中の山南敬助を訪れた人物を、特定しないで書きました。

沖田総司さんは、山南敬助さんからの願いで、切腹の時に介錯をしています。

実際に、いつ、どういう形で、山南敬助さんが沖田総司さんに介錯をして欲しいという願いを伝えたのかは、良くわかりませんでした。

この物語では、誰かが幽閉中の山南敬助さんを訪ねて、事前に沖田総司さんに話しをした。

返事をするまでに、日付もほんの少しだけあるという設定で書きました。

時間設定の話しになりますが、この物語の中で、雪が降る場面が登場します。

山南さんの切腹は、現在の暦にすると三月下旬から四月の上旬と思います。

そのため、雪が降っていてもおかしくない最後の時期だと思います。

この物語のなかに登場する歌は、二首あります。

どちらも万葉集の歌です。

一首目です。

「万葉集 第十巻 二三四二番」の歌です。

「夢のごと 君を相見て 天霧し 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ」

ひらがなの読み方は、「いめのごと きみをあひみて あまぎらし ふりくるゆきの けぬべくおもほゆ」となります。

作者は、「詠み人知らず」です。

意味は、「夢みたいにあなたに逢ってから、天を曇らせてくる雪のように、消え入りそうになる私です。」となるそうです。

原文ですが、「如夢 君乎相見而 天霧之 落来雪之 可消所念」です。

後は、もう一首、物語のなかに登場しています。

二首目です。

「万葉集 第十巻 一九〇四番」からの歌です。

「梅の花 しだり柳に 折り交へ 花に手向けば 君に逢はむかも」です。

ひらがなの読み方は、「うめのはな しだりやなぎに をりまじへ はなにたむけば きみにあはむかも。」となります。

作者は、「詠み人知らず」です。

意味は、「梅の花をしだり柳におりまぜて、神仏に花としてお供えしたら、あなたに会えるでしょうか。」となるそうです。

原文は、「梅花 四垂柳尓 折雜 花尓供養者 君尓相可毛」です。

ちなみに、この二つの歌には、直接の関係ありません。

歌の意味と歌の文字などから選んで物語の中で使いました。

「梅見月」ですが、「うめみづき」と読みます。

陰暦二月の異名です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





はじめに       前編       後編  

目次


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