このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 桜月 花よりほかに知る人もなし 〜


〜 後編 〜


沖田総司は少女の家に向かっている。

少女は沖田総司の予定外の訪問を少し驚いた表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「仕事が早く終わったから、鈴ちゃんに会いに来たんだ。」

少女は沖田総司を安心した表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「もし良かったら一緒に出掛けないか?」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は、一緒に出掛けて行った。



沖田総司と少女は、いつも訪れる寺の境内に居る。

少女は満開の桜の木を微笑んで見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し掛ける。

「総司さん。桜が綺麗ですね。」

沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。

少女は微笑んで沖田総司の腕を掴んだ。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで桜を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。お守りを持っているんだって?」

少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんのお守り?」

少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで話し掛ける。

「違います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「誰のためのお守りなの?」

少女は沖田総司の腕を掴みながら、下を向いて話し出す。

「いつもお世話になっている方のために買ったお守りです。」

沖田総司は少女を不機嫌そうに見ながら話し出す。

「誰のためのお守りなんだ?」

少女の沖田総司の腕を掴む力が、少し強まった。

沖田総司は不機嫌そうに少女に話し掛ける。

「どうして黙っているんだ?」

少女は沖田総司からゆっくりと腕を離すと、悲しそうに話し出す。

「その方は以前にお守りを身に付けるのは、気になるからとお話ししていたから。」

沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。

「斉藤さんは鈴ちゃんが持っているお守りの事を、知っているんだろ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ながら小さく頷いた。

沖田総司は少女を不機嫌そうに見ている。

少女は沖田総司に不安そうに話し掛ける。

「私が勝手にやっている事です。ごめんなさい。」

沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃん。お守りを見せてくれ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。

「斉藤さんには見せたのに、私には見せられないんだ。」

少女は懐からお守りを取り出すと、沖田総司に不安そうに差し出した。

沖田総司は不機嫌そうな表情で、少女からお守りを受け取った。

少女は不安そうに沖田総司を見ている。

沖田総司はお守りを睨んで見ている。

少女は不安そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は不機嫌そうな表情のまま、お守りを握り締めると、振りかぶり思い切り投げた。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女を不機嫌そうに見た。

少女は悲しそうに下を向いてしまった。

沖田総司は少女に不機嫌そうに話し掛ける。

「帰ろう。」

少女は悲しそうに下を向いたまま、小さく頷いた。

沖田総司と少女は、寺を後にした。



少女は沖田総司に家に送ってもらった。

沖田総司は少女を一瞥すると、屯所へと帰っていった。

少女は沖田総司の姿が見えなくなると、直ぐに家を出た。



少女は再び寺を訪れると、お守りを探し始めた。

風が吹く度に桜の花が少女のもとに舞い落ちてくる。

辺りが桜の花びらで覆われていく。

少女は陽が落ちるまでお守りを探し続けたが、見つからなかった。

寂しそうに家へと帰っていった。



少女は次の日も早いうちから家を出ると、寺へと向かった。

寺の境内でお守りを探し続けている。

桜の花びらが次々に舞い落ちてきて、地面を桜の花びらで覆っていく。

少女は真剣な表情でお守りを探している。

時間の許す限り探しているが見つからない。

少女は寂しそうに家へと帰っていった。



その次の日も少女は寺にやってきた。

沖田総司と良く一緒に遊んでいる子供達が、境内で遊んでいる。

少女は子供達の様子を一瞥だけすると、お守りを探し始めた。

子供達は少女の姿を見つけると、心配そうに走ってきた。

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「こんにちは。お姉ちゃん。何をやっているの?」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「境内にお守りを落としてしまったから、探しているの。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「手伝うよ。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「大切なお守りなんだよね。みんなで探した方が早く見つかるよ。手伝うよ。」

少女は子供達に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

少女と子供達は、一緒にお守りを探し始めた。

何人かの子供達は、お守りを捜さずにどこかへと居なくなった。



子供達は斉藤一を探しながら、京の町を歩いている。

子供達は斉藤一を見つけた。

斉藤一が子供達に気が付いて近寄ってきた。

子供達は心配そうに斉藤一に話し掛ける。

「お姉ちゃんが可哀想。助けてあげて。」

斉藤一は子供達を黙って見ている。

子供達は口々に斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「お姉ちゃんがお守りを無くしたって、ずっと探しているんだ。」

「きっと前から探しているんだよ。」

「総司お兄ちゃんには言えないと思うんだ。」

斉藤一は子供達に普通に話し掛ける。

「時間が出来たら、総司か俺がそっちに行く。戻って待っていろ。」

子供達は斉藤一を見ながら頷くと、走って居なくなった。



斉藤一は沖田総司を見つけた。

沖田総司は不思議そうに斉藤一を見ている。

斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、黙って歩き出した。



沖田総司と斉藤一は、桜の木の下にいる。

桜の花びらが二人のもとに少しずつ舞い落ちてくる。

沖田総司は斉藤一に怪訝そうな表情で話し出す。

「斉藤さん。任務中なのに何をしているのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんがお守りをずっと探しているそうだ。」

沖田総司は少しだけ驚いた表情になると、斉藤一から視線を外した。

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一から視線を外したまま、不機嫌そうに話し出す。

「任務中に何を話すかと思ったらそんな事ですか。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は武士だろ。」

沖田総司は斉藤一を怪訝そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんに対してした事は、武士のする事なのか?」

沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。

「誰のためのお守りかわからないのに、一緒に探せって言うんですか?」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんが大切にしているお守りが、誰のためのお守りなのかを、知るのが怖いんです。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんに誰のためのお守りなのかを、訊ねるのが怖いんです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「誰のためのお守りかなんて、そんな事はどうでもいいんじゃないのか?」

沖田総司は斉藤一を寂しそうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんが大切にしているお守りだろ。」

沖田総司は斉藤一を寂しそうに見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんが以前に、お守りを見ながら、桜の木の下でこんな歌を詠っていた。」

沖田総司は斉藤一を寂しそうに見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」

沖田総司は斉藤一から視線を外して、桜の木を見上げながら呟いた。

「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんは大切な友達なんだろ。美鈴さんが困っている時に助けなくて、いつ助けるんだ?」

沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんがお守りを探す原因を作ったのは、総司なんだろ。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見ながら頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「子供達も寺の人も心配している。美鈴さんは時間が空けば寺に来ているらしい。たぶんお守りを探しているんだと思う。総司には黙って欲しいと言っていたそうだ。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「私には任務があります。放り投げて行く訳にはいきません。そんな事をしたら鈴ちゃんが心配します。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「後は俺が何とかする。総司は美鈴さんの所に早く行け。」

沖田総司は斉藤一を見ると黙って頷いた。

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に空色の羽織などを預けると、急いで居なくなった。



少女と子供達はずっとお守りを探している。

出掛けていた子供達が戻ってきた。

子供達は心配そうに少女に話し掛ける。

「お守りが見つからないね。境内の中は全部探したよね。寺の中は住職さんが探してくれたんだよね。」

少女は子供達を見ながら寂しそうに頷いた。

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「本当に寺の中で無くしたの? 外ではないの?」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「お守りを無くしたのはお寺の中なの。」

子供達は考え込んでしまった。

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「みんな。ありがとう。もう少し探してみる。」

子供達は少女に心配そうに話し掛ける。

「お姉ちゃんが探せない所ってたくさんあるよ。僕達も手伝うよ。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。


「みんな。ありがとう。」

子供達は少女に微笑んで話し掛ける。

「お姉ちゃん。ずっと探していて疲れたよね。僕達が続きを探すから、少し休んだ方が良いよ。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。もう少しだけ探してから休む事にする。」

子供達は少女に微笑んで話し掛ける。

「お姉ちゃん。きっと見つかるよ。元気出して。」

少女は子供達に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。」

少女と子供達は、お守りを探し始めた。



沖田総司が寺にやってきた。

少女と子供達はお守りを捜している。

沖田総司が少女と子供達を、悲しそうに見ている。

少女と子供達は、沖田総司に気が付かずにお守りを探している。

沖田総司は少女と子供達のもとに静かに歩き出した。



沖田総司は少女に後ろから静かに声を掛ける。

「鈴ちゃん。」

少女は驚いた様子で後ろを振り向いた。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「何をやっているの?」

少女はゆっくりと立ち上がると、沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「探し物をしています。」

沖田総司は少女に言いにくそうに話し出す。

「探し物は見つかった?」

少女は沖田総司を見ながら、微笑んでゆっくりと首を横に振った。

子供達は、沖田総司と少女の様子を見ると、静かに居なくなった。

沖田総司は少女に悲しそうな表情で静かに話し出す。

「鈴ちゃんが探しているのは、これだろ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は少女にお守りをゆっくりと差し出した。

少女は沖田総司が差し出したお守りを見ると笑顔になった。

沖田総司はお守りを持ったまま少女を悲しそうに見ている。

少女は沖田総司からお守りを受取ると、笑顔で話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を悲しそうに見ている。

少女は笑顔でお守りを胸に抱きながら、沖田総司に話し出す。

「お守りを見つけていただいて、ありがとうございます。総司さんは凄い方です。」

沖田総司は少女を悲しそうに見ている。

少女はお守りを大切に懐に仕舞った。

沖田総司は少女を悲しそうに見ている。

少女は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。迷惑を掛けてしまってごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんはお守りを見つけてくださいました。迷惑なんて掛けていません。」

沖田総司は少女に言いにくそうに話し出す。

「お守りを見つけた訳ではないんだ。」

少女は沖田総司を不思議そうに見ている。

沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。

「あの時、本当はお守りを投げてはいなかったんだ。」

少女は沖田総司を不思議そうに見ている。

沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。

「お守りは私がずっと持っていたんだ。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。

「鈴ちゃんがずっとお守りを探しているなんて、思わなかったんだ。本当にごめん。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見ている。

沖田総司は少女に深く頭を下げた。

少女は沖田総司を見ながら崩れ落ちそうになった。

沖田総司は少女を慌てて受け止めた。

少女は沖田総司の腕の中で小さい声で話し出す。

「すいません。体の力が急に抜けてしまいました。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。寺の中で少し休もう。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。

沖田総司は少女を支えながら、寺の中に入っていった。



少女は寺の中に入ると、直ぐに座り込んでしまった。

沖田総司は少女の横で心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。辛い?」

少女は辛そうな様子で小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「もう少しだけ中に入ろう。その方が落ち着けるし楽だよ。」

少女は辛そうなまま小さく頷いた。

沖田総司は少女を支えながら、ゆっくりと少しだけ中へと動いた。



少女は辛そうに座り込んでしまった。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。横になる?」

少女は辛そうなまま小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんに酷い事をしてしまった。本当にごめんね。」

少女は辛そうなまま小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を心配そうに抱きしめた。

少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し出す。

「鈴ちゃんに意地悪をするつもりなんてなかったんだ。鈴ちゃんがお守りを物凄く大事にしているから、相手の人が羨ましくなったんだ。」

少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。

沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話し出す。

「鈴ちゃんが大切に想っている人のお守りだから、投げる事が出来なかった。鈴ちゃんの想いが込められているお守りだから、投げられなかった。」

少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんが一日中一人でお守りを探しているなんて、気が付かなかったんだ。」

少女は沖田総司の腕の中で涙を流し始めた。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。疲れたよね。辛かったよね。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で涙を流している。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。本当にごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で涙を流している。

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。



沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見た。

少女は沖田総司の腕の中で、辛そうな様子のままだが目を閉じている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。



それから少し後の事。

少女は沖田総司の腕の中でゆっくりと目を開けた。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。

少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうな表情をしている。

沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。もし、私と、話しがしたくないとか、逢いたくないとか、思ったのなら、はっきりと言ってくれ。私は鈴ちゃんの言う通りにする。」

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し出す。

「私がお守りを渡そうとした方は、普段お守りを身に着けていませんでした。」

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話しを聞いている。

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「お仕事の時にお守りがあると気になるから、普段は身に着けていないとお話ししていました。」

沖田総司は少女を抱きながら、辛そうな表情になった。

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「だから、その方にお守りを渡せずに、ずっと持っていました。」

沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話しを聞いている。

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「私がお守りを持っているだけでも、その方にとっては迷惑なのでしょうか?」

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「迷惑ではないと思う。」

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「お守りを返しにいった方が良いのでしょうか?」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんがずっと持っていて良いと思う。」

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「その方の代わりに、私がお守りを持っていても良いのでしょうか?」

沖田総司は少女を抱きながら微笑んで頷いた。

少女は沖田総司の腕の中で微笑んだ。



少女は沖田総司からゆっくりと離れると、不思議そうに話し掛ける。

「総司さん。今日はお仕事の日ですよね?」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「少しだけ時間が空いたから、鈴ちゃんに会いたくてここに来たんだ。」

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「総司さん。ここに長い時間居るような気がします。大丈夫ですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「そろそろ戻る時間かな。」

少女は沖田総司を心配そうに見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんを送っていく時間くらいはあるよ。」

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「一人で帰れます。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。さっきまで調子が悪かったじゃないか。心配だから送っていくよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「お願いします。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。行こう。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は、寺を後にした。



沖田総司は少女を家に送ると、走って屯所に戻ってきた。

沖田総司は屯所の中の様子を心配そうに見回した。

斉藤一が沖田総司のもとにやってきた。

沖田総司は斉藤一を心配そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。土方さんが呼んでいる。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで返事をする。

「わかりました。」

斉藤一は沖田総司の返事を確認すると、そのまま居なくなった。

沖田総司は土方歳三の部屋へと向かって歩き出した。



沖田総司は土方歳三の部屋に入ってきた。

土方歳三は沖田総司を普通に見た。

沖田総司は土方歳三を黙って見ている。

土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。斉藤に礼を言っとけよ。」

沖田総司は少し驚いた表情で土方歳三を見ている。

土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。

「困った人を助けるのも、大事な任務の一つだからな。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで返事をする。

「はい。後で斉藤さんにお礼を言います。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「戻っていいぞ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「失礼します。」

土方歳三は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は部屋から出て行った。

土方歳三は沖田総司が部屋から出て行ったのを確認すると、再び仕事を始めた。



その日の夜の事。

沖田総司は斉藤一のもとを訪れた。

斉藤一は沖田総司を普通に見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。土方さんにうまく話しをして頂いて、ありがとうございました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「俺は土方さんには何も言っていない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さんが気を遣ってくれた事は事実です。ありがとうございました。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。私も鈴ちゃんの大事にしているお守りの相手は、誰でも良いと思うようになりました。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんがもしお守りを相手に渡す事があったら、その相手が私なら良いなと思っています。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんはやっぱり良い子です。」

斉藤一は沖田総司を見ると黙って頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「今日はいろいろとありがとうございました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「いつも言っているが、礼を言う相手を間違えるな。」

沖田総司は微笑んで斉藤一を見ながら頷いた。

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一のもとを静かに後にした。




斉藤一は外の様子を見ている。

月夜の下で桜が淡く光っている。

斉藤一は月夜の桜を見ながら呟いた。

「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」

月夜の光を受けた桜の花びらが、斉藤一のもとに舞い落ちてきた。

斉藤一は桜の花びらを受け止めた。

桜の花びらが斉藤一の掌の上に一枚だけ舞い落ちてきた。

斉藤一は掌に乗った桜の花びらを見ながら呟いた。

「これが歌の返事なんだ。」

月夜の桜は淡い光のなかで咲いている。

斉藤一は桜の花びらを握り締めると、部屋へと戻っていった。



土方歳三の想いを知っている桜。

子供達の想いを知っている桜。

少女の想いを知っている桜。

斉藤一の想いを知っている桜。

沖田総司の想いを知っている桜。

いろいろな人達の想いをのせて、桜の花は咲いている。




〜 完 〜





はじめに        前編        後書き

目次


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください