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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 桜月 花よりほかに知る人もなし 〜
〜 後編 〜
沖田総司は少女の家に向かっている。
少女は沖田総司の予定外の訪問を少し驚いた表情で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「仕事が早く終わったから、鈴ちゃんに会いに来たんだ。」
少女は沖田総司を安心した表情で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「もし良かったら一緒に出掛けないか?」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
沖田総司と少女は、一緒に出掛けて行った。
沖田総司と少女は、いつも訪れる寺の境内に居る。
少女は満開の桜の木を微笑んで見ている。
沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し掛ける。
「総司さん。桜が綺麗ですね。」
沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。
少女は微笑んで沖田総司の腕を掴んだ。
沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。
少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで桜を見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。お守りを持っているんだって?」
少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんのお守り?」
少女は沖田総司の腕を掴みながら、微笑んで話し掛ける。
「違います。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「誰のためのお守りなの?」
少女は沖田総司の腕を掴みながら、下を向いて話し出す。
「いつもお世話になっている方のために買ったお守りです。」
沖田総司は少女を不機嫌そうに見ながら話し出す。
「誰のためのお守りなんだ?」
少女の沖田総司の腕を掴む力が、少し強まった。
沖田総司は不機嫌そうに少女に話し掛ける。
「どうして黙っているんだ?」
少女は沖田総司からゆっくりと腕を離すと、悲しそうに話し出す。
「その方は以前にお守りを身に付けるのは、気になるからとお話ししていたから。」
沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。
「斉藤さんは鈴ちゃんが持っているお守りの事を、知っているんだろ。」
少女は沖田総司を不安そうに見ながら小さく頷いた。
沖田総司は少女を不機嫌そうに見ている。
少女は沖田総司に不安そうに話し掛ける。
「私が勝手にやっている事です。ごめんなさい。」
沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃん。お守りを見せてくれ。」
少女は沖田総司を不安そうに見ている。
沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。
「斉藤さんには見せたのに、私には見せられないんだ。」
少女は懐からお守りを取り出すと、沖田総司に不安そうに差し出した。
沖田総司は不機嫌そうな表情で、少女からお守りを受け取った。
少女は不安そうに沖田総司を見ている。
沖田総司はお守りを睨んで見ている。
少女は不安そうに沖田総司を見ている。
沖田総司は不機嫌そうな表情のまま、お守りを握り締めると、振りかぶり思い切り投げた。
少女は沖田総司を驚いた表情で見た。
沖田総司は少女を不機嫌そうに見た。
少女は悲しそうに下を向いてしまった。
沖田総司は少女に不機嫌そうに話し掛ける。
「帰ろう。」
少女は悲しそうに下を向いたまま、小さく頷いた。
沖田総司と少女は、寺を後にした。
少女は沖田総司に家に送ってもらった。
沖田総司は少女を一瞥すると、屯所へと帰っていった。
少女は沖田総司の姿が見えなくなると、直ぐに家を出た。
少女は再び寺を訪れると、お守りを探し始めた。
風が吹く度に桜の花が少女のもとに舞い落ちてくる。
辺りが桜の花びらで覆われていく。
少女は陽が落ちるまでお守りを探し続けたが、見つからなかった。
寂しそうに家へと帰っていった。
少女は次の日も早いうちから家を出ると、寺へと向かった。
寺の境内でお守りを探し続けている。
桜の花びらが次々に舞い落ちてきて、地面を桜の花びらで覆っていく。
少女は真剣な表情でお守りを探している。
時間の許す限り探しているが見つからない。
少女は寂しそうに家へと帰っていった。
その次の日も少女は寺にやってきた。
沖田総司と良く一緒に遊んでいる子供達が、境内で遊んでいる。
少女は子供達の様子を一瞥だけすると、お守りを探し始めた。
子供達は少女の姿を見つけると、心配そうに走ってきた。
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「こんにちは。」
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「こんにちは。お姉ちゃん。何をやっているの?」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「境内にお守りを落としてしまったから、探しているの。」
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「手伝うよ。」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「大丈夫。」
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「大切なお守りなんだよね。みんなで探した方が早く見つかるよ。手伝うよ。」
少女は子供達に微笑んで話し出す。
「ありがとう。」
少女と子供達は、一緒にお守りを探し始めた。
何人かの子供達は、お守りを捜さずにどこかへと居なくなった。
子供達は斉藤一を探しながら、京の町を歩いている。
子供達は斉藤一を見つけた。
斉藤一が子供達に気が付いて近寄ってきた。
子供達は心配そうに斉藤一に話し掛ける。
「お姉ちゃんが可哀想。助けてあげて。」
斉藤一は子供達を黙って見ている。
子供達は口々に斉藤一に心配そうに話し掛ける。
「お姉ちゃんがお守りを無くしたって、ずっと探しているんだ。」
「きっと前から探しているんだよ。」
「総司お兄ちゃんには言えないと思うんだ。」
斉藤一は子供達に普通に話し掛ける。
「時間が出来たら、総司か俺がそっちに行く。戻って待っていろ。」
子供達は斉藤一を見ながら頷くと、走って居なくなった。
斉藤一は沖田総司を見つけた。
沖田総司は不思議そうに斉藤一を見ている。
斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、黙って歩き出した。
沖田総司と斉藤一は、桜の木の下にいる。
桜の花びらが二人のもとに少しずつ舞い落ちてくる。
沖田総司は斉藤一に怪訝そうな表情で話し出す。
「斉藤さん。任務中なのに何をしているのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんがお守りをずっと探しているそうだ。」
沖田総司は少しだけ驚いた表情になると、斉藤一から視線を外した。
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一から視線を外したまま、不機嫌そうに話し出す。
「任務中に何を話すかと思ったらそんな事ですか。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は武士だろ。」
沖田総司は斉藤一を怪訝そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんに対してした事は、武士のする事なのか?」
沖田総司は斉藤一に不機嫌そうに話し出す。
「誰のためのお守りかわからないのに、一緒に探せって言うんですか?」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんが大切にしているお守りが、誰のためのお守りなのかを、知るのが怖いんです。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんに誰のためのお守りなのかを、訊ねるのが怖いんです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「誰のためのお守りかなんて、そんな事はどうでもいいんじゃないのか?」
沖田総司は斉藤一を寂しそうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「美鈴さんが大切にしているお守りだろ。」
沖田総司は斉藤一を寂しそうに見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「美鈴さんが以前に、お守りを見ながら、桜の木の下でこんな歌を詠っていた。」
沖田総司は斉藤一を寂しそうに見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
沖田総司は斉藤一から視線を外して、桜の木を見上げながら呟いた。
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「美鈴さんは大切な友達なんだろ。美鈴さんが困っている時に助けなくて、いつ助けるんだ?」
沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「美鈴さんがお守りを探す原因を作ったのは、総司なんだろ。」
沖田総司は斉藤一を不安そうに見ながら頷いた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「子供達も寺の人も心配している。美鈴さんは時間が空けば寺に来ているらしい。たぶんお守りを探しているんだと思う。総司には黙って欲しいと言っていたそうだ。」
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し掛ける。
「私には任務があります。放り投げて行く訳にはいきません。そんな事をしたら鈴ちゃんが心配します。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「後は俺が何とかする。総司は美鈴さんの所に早く行け。」
沖田総司は斉藤一を見ると黙って頷いた。
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に空色の羽織などを預けると、急いで居なくなった。
少女と子供達はずっとお守りを探している。
出掛けていた子供達が戻ってきた。
子供達は心配そうに少女に話し掛ける。
「お守りが見つからないね。境内の中は全部探したよね。寺の中は住職さんが探してくれたんだよね。」
少女は子供達を見ながら寂しそうに頷いた。
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「本当に寺の中で無くしたの? 外ではないの?」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「お守りを無くしたのはお寺の中なの。」
子供達は考え込んでしまった。
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「みんな。ありがとう。もう少し探してみる。」
子供達は少女に心配そうに話し掛ける。
「お姉ちゃんが探せない所ってたくさんあるよ。僕達も手伝うよ。」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「みんな。ありがとう。」
子供達は少女に微笑んで話し掛ける。
「お姉ちゃん。ずっと探していて疲れたよね。僕達が続きを探すから、少し休んだ方が良いよ。」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「ありがとう。もう少しだけ探してから休む事にする。」
子供達は少女に微笑んで話し掛ける。
「お姉ちゃん。きっと見つかるよ。元気出して。」
少女は子供達に微笑んで話し掛ける。
「ありがとう。」
少女と子供達は、お守りを探し始めた。
沖田総司が寺にやってきた。
少女と子供達はお守りを捜している。
沖田総司が少女と子供達を、悲しそうに見ている。
少女と子供達は、沖田総司に気が付かずにお守りを探している。
沖田総司は少女と子供達のもとに静かに歩き出した。
沖田総司は少女に後ろから静かに声を掛ける。
「鈴ちゃん。」
少女は驚いた様子で後ろを振り向いた。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「何をやっているの?」
少女はゆっくりと立ち上がると、沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「探し物をしています。」
沖田総司は少女に言いにくそうに話し出す。
「探し物は見つかった?」
少女は沖田総司を見ながら、微笑んでゆっくりと首を横に振った。
子供達は、沖田総司と少女の様子を見ると、静かに居なくなった。
沖田総司は少女に悲しそうな表情で静かに話し出す。
「鈴ちゃんが探しているのは、これだろ。」
少女は沖田総司を不安そうに見ている。
沖田総司は少女にお守りをゆっくりと差し出した。
少女は沖田総司が差し出したお守りを見ると笑顔になった。
沖田総司はお守りを持ったまま少女を悲しそうに見ている。
少女は沖田総司からお守りを受取ると、笑顔で話し出す。
「ありがとうございます。」
沖田総司は少女を悲しそうに見ている。
少女は笑顔でお守りを胸に抱きながら、沖田総司に話し出す。
「お守りを見つけていただいて、ありがとうございます。総司さんは凄い方です。」
沖田総司は少女を悲しそうに見ている。
少女はお守りを大切に懐に仕舞った。
沖田総司は少女を悲しそうに見ている。
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。迷惑を掛けてしまってごめんね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんはお守りを見つけてくださいました。迷惑なんて掛けていません。」
沖田総司は少女に言いにくそうに話し出す。
「お守りを見つけた訳ではないんだ。」
少女は沖田総司を不思議そうに見ている。
沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。
「あの時、本当はお守りを投げてはいなかったんだ。」
少女は沖田総司を不思議そうに見ている。
沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。
「お守りは私がずっと持っていたんだ。」
少女は沖田総司を驚いた表情で見た。
沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんがずっとお守りを探しているなんて、思わなかったんだ。本当にごめん。」
少女は沖田総司を驚いた表情で見ている。
沖田総司は少女に深く頭を下げた。
少女は沖田総司を見ながら崩れ落ちそうになった。
沖田総司は少女を慌てて受け止めた。
少女は沖田総司の腕の中で小さい声で話し出す。
「すいません。体の力が急に抜けてしまいました。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。寺の中で少し休もう。」
少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。
沖田総司は少女を支えながら、寺の中に入っていった。
少女は寺の中に入ると、直ぐに座り込んでしまった。
沖田総司は少女の横で心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。辛い?」
少女は辛そうな様子で小さく首を横に振った。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「もう少しだけ中に入ろう。その方が落ち着けるし楽だよ。」
少女は辛そうなまま小さく頷いた。
沖田総司は少女を支えながら、ゆっくりと少しだけ中へと動いた。
少女は辛そうに座り込んでしまった。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。横になる?」
少女は辛そうなまま小さく首を横に振った。
沖田総司は少女に悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃんに酷い事をしてしまった。本当にごめんね。」
少女は辛そうなまま小さく首を横に振った。
沖田総司は少女を心配そうに抱きしめた。
少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。
沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんに意地悪をするつもりなんてなかったんだ。鈴ちゃんがお守りを物凄く大事にしているから、相手の人が羨ましくなったんだ。」
少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。
沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話し出す。
「鈴ちゃんが大切に想っている人のお守りだから、投げる事が出来なかった。鈴ちゃんの想いが込められているお守りだから、投げられなかった。」
少女は沖田総司の腕の中で辛そうにしている。
沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃんが一日中一人でお守りを探しているなんて、気が付かなかったんだ。」
少女は沖田総司の腕の中で涙を流し始めた。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。疲れたよね。辛かったよね。ごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で涙を流している。
沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。本当にごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で涙を流している。
沖田総司は少女を心配そうに抱いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見た。
少女は沖田総司の腕の中で、辛そうな様子のままだが目を閉じている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。
それから少し後の事。
少女は沖田総司の腕の中でゆっくりと目を開けた。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。
少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうな表情をしている。
沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。もし、私と、話しがしたくないとか、逢いたくないとか、思ったのなら、はっきりと言ってくれ。私は鈴ちゃんの言う通りにする。」
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し出す。
「私がお守りを渡そうとした方は、普段お守りを身に着けていませんでした。」
沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話しを聞いている。
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。
「お仕事の時にお守りがあると気になるから、普段は身に着けていないとお話ししていました。」
沖田総司は少女を抱きながら、辛そうな表情になった。
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。
「だから、その方にお守りを渡せずに、ずっと持っていました。」
沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話しを聞いている。
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。
「私がお守りを持っているだけでも、その方にとっては迷惑なのでしょうか?」
沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。
「迷惑ではないと思う。」
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。
「お守りを返しにいった方が良いのでしょうか?」
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんがずっと持っていて良いと思う。」
少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。
「その方の代わりに、私がお守りを持っていても良いのでしょうか?」
沖田総司は少女を抱きながら微笑んで頷いた。
少女は沖田総司の腕の中で微笑んだ。
少女は沖田総司からゆっくりと離れると、不思議そうに話し掛ける。
「総司さん。今日はお仕事の日ですよね?」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「少しだけ時間が空いたから、鈴ちゃんに会いたくてここに来たんだ。」
少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。
「総司さん。ここに長い時間居るような気がします。大丈夫ですか?」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「そろそろ戻る時間かな。」
少女は沖田総司を心配そうに見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんを送っていく時間くらいはあるよ。」
少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。
「一人で帰れます。」
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。さっきまで調子が悪かったじゃないか。心配だから送っていくよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「お願いします。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。行こう。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
沖田総司と少女は、寺を後にした。
沖田総司は少女を家に送ると、走って屯所に戻ってきた。
沖田総司は屯所の中の様子を心配そうに見回した。
斉藤一が沖田総司のもとにやってきた。
沖田総司は斉藤一を心配そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「総司。土方さんが呼んでいる。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで返事をする。
「わかりました。」
斉藤一は沖田総司の返事を確認すると、そのまま居なくなった。
沖田総司は土方歳三の部屋へと向かって歩き出した。
沖田総司は土方歳三の部屋に入ってきた。
土方歳三は沖田総司を普通に見た。
沖田総司は土方歳三を黙って見ている。
土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。
「総司。斉藤に礼を言っとけよ。」
沖田総司は少し驚いた表情で土方歳三を見ている。
土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。
「困った人を助けるのも、大事な任務の一つだからな。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで返事をする。
「はい。後で斉藤さんにお礼を言います。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「戻っていいぞ。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「失礼します。」
土方歳三は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
沖田総司は部屋から出て行った。
土方歳三は沖田総司が部屋から出て行ったのを確認すると、再び仕事を始めた。
その日の夜の事。
沖田総司は斉藤一のもとを訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通に見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「斉藤さん。土方さんにうまく話しをして頂いて、ありがとうございました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「俺は土方さんには何も言っていない。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「斉藤さんが気を遣ってくれた事は事実です。ありがとうございました。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「斉藤さん。私も鈴ちゃんの大事にしているお守りの相手は、誰でも良いと思うようになりました。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんがもしお守りを相手に渡す事があったら、その相手が私なら良いなと思っています。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんはやっぱり良い子です。」
斉藤一は沖田総司を見ると黙って頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「今日はいろいろとありがとうございました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「いつも言っているが、礼を言う相手を間違えるな。」
沖田総司は微笑んで斉藤一を見ながら頷いた。
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一のもとを静かに後にした。
斉藤一は外の様子を見ている。
月夜の下で桜が淡く光っている。
斉藤一は月夜の桜を見ながら呟いた。
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
月夜の光を受けた桜の花びらが、斉藤一のもとに舞い落ちてきた。
斉藤一は桜の花びらを受け止めた。
桜の花びらが斉藤一の掌の上に一枚だけ舞い落ちてきた。
斉藤一は掌に乗った桜の花びらを見ながら呟いた。
「これが歌の返事なんだ。」
月夜の桜は淡い光のなかで咲いている。
斉藤一は桜の花びらを握り締めると、部屋へと戻っていった。
土方歳三の想いを知っている桜。
子供達の想いを知っている桜。
少女の想いを知っている桜。
斉藤一の想いを知っている桜。
沖田総司の想いを知っている桜。
いろいろな人達の想いをのせて、桜の花は咲いている。
〜 完 〜
はじめに
前編
後書き
目次
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