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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 鳴神月 蓮葉に溜まれる水の玉 〜


〜 前編 〜


「久かたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む」

「万葉集 第十六巻 三八三七番」より

作者:詠み人知らず



夏の季節が始まっから少し後の事。

京の町は過ごしやすい日も多いが、夏の暑さを感じる日が増えてきた。



沖田総司と少女は、木の下で話しをしている。

少女が沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。蓮のお花が咲いたら一緒に見に行きたいです。」

沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。ありがとうございます。蓮のお花が咲く日が楽しみです。」

沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。



それから時は過ぎて、過ごしやすい日が減り、夏の暑さを感じる日が増えてきた。

蓮の花が咲く季節にはまだ少し早いが、早く咲き始めた蓮の花が所々に見え始めた。



沖田総司と少女は、早く咲き始めた蓮の花の見られる場所にやってきた。

少女は微笑んで蓮を見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し掛ける。

「総司さん。もう直ぐ咲きそうな蓮のお花があります。」

沖田総司は蓮を一瞥すると、少女を微笑んで見ながら頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。雨の日の蓮か、雨の降った後の蓮を一緒に見たいです。」

沖田総司は少女を不思議そうに見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「蓮の葉に残った雨の雫が、丸い玉のようになっている様子が、綺麗だと思いました。総司さんと花が咲いている時に、一緒に見たいと思いました。」

沖田総司は蓮を見た。

少女は沖田総司の様子を微笑んで見ている。

沖田総司は蓮を不思議そうに見ている。

少女は下を向くと、沖田総司に寂しそうに話し掛ける。

「すいません。はしゃぎすぎました。」

沖田総司は少女を見ると、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは、はしゃいでないよ。大丈夫だよ。」

少女は下を向いたまま、沖田総司に小さい声で話し出す。

「雨の日の蓮の話しは忘れてください。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは雨の日の後の蓮を見たいんだよね。だったら、その日に見に来よう。」

少女は下を向いたまま、沖田総司に小さい声で話し掛ける。

「総司さんにはお仕事があります。総司さんは忙しい方です。だから・・・」

沖田総司は、下を向いたまま話の途中で黙ってしまった少女に、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。気を遣ってくれてありがとう。」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は微笑んで少女の手を取った。

少女は心配そうな表情のまま、ゆっくりと顔を上げた。

沖田総司は少女の手を取ったまま、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが顔を上げてくれた。良かった。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は少女の手を取ったまま、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。蓮の花が咲く時期に蓮の葉にのった水の玉を見に来ようね。私も見たいな。」

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「でも、蓮のお花は早い時間が一番綺麗です。その後は少しずつ閉じていきます。しかも、雨の日やその後と限定したらお出掛けする日が決まってしまいます。」

沖田総司は少女の手を取ったまま、不思議そうに話し掛ける。

「蓮の花は夕方まで咲いていないの?」

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「蓮のお花は朝方のうちは綺麗に咲いていますが、後は少しずつ閉じていきます。夕方にはほとんど閉じてしまいます。」

沖田総司は少女の手を取ったまま、考え込んでしまった。

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「総司さん。私は蓮のお花より、別なお花が見たいです。」

沖田総司は少女の手を取ったまま、微笑んで話し掛ける。

「私も蓮の花と葉の上の水の玉が見たいな。見る時間を作る事が出来るかもしれない。その時は一緒に見に行こうね。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。



そんなあの日の事。

沖田総司と子供達が遊んでいる。

斉藤一と少女は、少し離れた木の下に座って、沖田総司と子供達の様子を見ている。

少女が斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「総司さんと蓮のお花が咲いたら見に行く話しをしました。楽しみです。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「雨が降った日かその後に、葉の上にのった雫が丸くなりますよね。水の玉が綺麗なので、水の玉も見に行きます。楽しみです。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に少し心配そうに話し出す。

「でも、総司さんは、他にお出掛けしたい場所があると思います。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「どうしてそう思う?」

少女は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「総司さんは優しい方です。私が見たいと言ったから、一緒にお出掛けしてくださるのだと思います。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に心配そうに話し出す。

「私が楽しそうに話しをしたから、総司さんは行きたい場所が言えなくなったのだと思います。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司だって無理な事や出掛けたくなければ、美鈴さんに話をすると思う。何も言わないという事は、総司も出掛けたいと思っているはずだ。美鈴さんが心配する必要はないと思う。」

少女は斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「美鈴さん。そんな顔をしていると総司が心配するぞ。出掛ける時は楽しめよ。そうしないと総司も楽しめないぞ。」

少女は斉藤一を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司と子供達は遊ぶ時間が、終わりに近くなってきたらしい。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「雨と蓮の花といえば、万葉集にお歌がありますよね。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。



沖田総司は子供達に笑顔で話し掛ける。

「みんな〜! 今日はこれで終わります〜!」

子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。

「今日はありがとうございました!」

沖田総司は子供達に笑顔で話し掛ける。

「みんな! またね!」

子供達は沖田総司に笑顔で話し掛ける。

「また一緒に遊んでください! よろしくお願いします!」

沖田総司は子供達に笑顔で話し掛ける。

「みんな。気を付けて帰ってね。」

子供達は沖田総司に笑顔で返事をする。

「はい!」

沖田総司は子供達が去っていく様子を、笑顔で見送った。



子供達の姿は見えなくなった。

沖田総司が斉藤一と少女の方を笑顔で見た。

斉藤一と少女が話しをしている姿が見えた。

少女は斉藤一に笑顔で話し掛けている。

斉藤一は少女の話しをいつもと同じ表情で聞きながら、黙って相槌を打っている。

沖田総司は急に寂しそうな表情になって、斉藤一と少女を見た。

なぜか途中から不機嫌な表情に変わった。

不機嫌な表情のまま、斉藤一と少女のもとに歩き出した。



沖田総司は少女と斉藤一の前に来ると、立ったまま不機嫌そうに話し出す。

「二人共。とても楽しそうだね。」

少女は微笑んだ表情で顔を上げたが、沖田総司の様子を見ると、申し訳なさそうに話し出す。

「すいません。」

沖田総司は立ったまま、少女に僅かに不機嫌そうに話し掛ける。

「どうして謝るんだ?」

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「私が総司さんの事を考えずに楽しんでしまったから。」

沖田総司は立ったまま、少女に僅かに不機嫌そうに話し掛ける。

「わかった。鈴ちゃんは斉藤さんの事が好きなんだ。だから、斉藤さんとたくさん話しをするんだろ。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は立ったまま、少女に僅かに不機嫌そうに話し掛ける。

「私の話しは当たっていたんだ。鈴ちゃんは斉藤さんの事が好きだったんだ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は立ったまま、少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「斉藤さんは鈴ちゃんと年が近いし、頼りになるし、良く話しをしているよね。だから、鈴ちゃんは斉藤さんの事が好きなんだ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

斉藤一は顔を上げて沖田総司を見ると、普通に話し掛ける。

「総司。訳のわからない事を言うのは止めろ。美鈴さんが困っているだろ。」

沖田総司は立ったまま、斉藤一に不機嫌そうに話し掛ける。

「なぜ斉藤さんは鈴ちゃんの事をかばうのですか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は立ったまま、斉藤一に不機嫌そうに話し掛ける。

「わかった。斉藤さんも鈴ちゃんの事が好きなんですね。それって、両想いじゃないですか。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「だから、訳のわからない事を言うな。少し落ち着け。」

沖田総司は立ったまま、斉藤一に不機嫌そうに話し掛ける。

「訳がわからなくは、ありません! だって、二人で私の事を忘れて楽しんでいたではないですか! 私が居なくても気にしていないではないですか!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「俺も美鈴さんも総司の事は忘れてない。例え、傍に居なくても、俺も美鈴さんも、総司の事は忘れない。」

沖田総司は立ったまま、少女に不機嫌そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは、歳も近くて優しい斉藤さんの事が好きなんだ! 何よりも元気な斉藤さんの事が好きなんだ!」

少女は立ち上がると、沖田総司に心配そうに手を差し出した。

沖田総司は少女の手を払った。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女の顔を驚いた表情で見たが、直ぐに申し訳なさそうに下を向いてしまった。

少女は沖田総司に心配そうな表情で再び手を差し出した。

沖田総司は顔を上げると、少女を不機嫌そうに見た。

少女は沖田総司を見ると悲しそうな表情になり、手を差し出すのを止めてしまった。

沖田総司は斉藤一と少女に不機嫌そうに話し出す。

「今まで二人で私を騙していたんだ! 鈴ちゃんは元気で優しい斉藤さんの事が好きなんだ! 鈴ちゃんは私の気持ちなんてどうだって良いんだ! 鈴ちゃんとはずっと友達で居られると思ったのに!」

少女は沖田総司を悲しそうに見ている。

沖田総司は斉藤一と少女を悲しそうに見ていたが、走ってどこかへと居なくなった。



少女は沖田総司を追い掛けようとした。

斉藤一は少女を止めると、普通に話し出す。

「総司の今の勢いだと、美鈴さんには追いつけない。」

少女は沖田総司の走っていく姿を悲しそうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「後で総司にはきちんと話しをする。美鈴さんに謝らせるようにする。今日の事は余り気にするな。」

少女は斉藤一に悲しそうに話し出す。

「私はやっぱり駄目ですね。総司さんのご機嫌を損ねてばかりいます。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「今回の事は、総司が勘違いをしただけだ。誤解が解ければ直ぐに謝る。今までどおり会うはずだ。だから、美鈴さん、そんな顔をするな。」

少女は斉藤一を悲しそうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「家へ送る。」

少女は斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「総司さんは戻ってくると思います。待っています。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「わかった。ここで待とう。」

少女は斉藤一を悲しそうに見ながら頷いた。



沖田総司は屯所に戻ってくると、土方歳三の部屋を訪れた。

土方歳三は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し出す。

「斉藤さんと彼女は、二人で私の事を騙していたんです。」

土方歳三は沖田総司を怪訝そうに見ている。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し出す。

「土方さん。斉藤さんは元気で優しいからですよね。私より年が近いからでしょうか?」

土方歳三は沖田総司を怪訝そうに見ている。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し掛ける。

「二人は私を騙していたんです。私は二人を信じていたのに。酷いです。」

土方歳三は沖田総司の言いたい事がわかった様子だが、怪訝そうな表情は変わらない。



それから暫くの間、沖田総司は土方歳三の部屋で訳がわからない話しをしていた。

土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。早く戻って斉藤と彼女に謝れ。」

沖田総司は土方歳三を不思議そうに見た。

土方歳三は沖田総司に普通に話し掛ける。

「理由はどうあれ、総司から彼女を誘ったのに、何も言わずに戻ってきたんだろ。それは男のする事じゃないな。彼女はきっと寂しい思いをしているぞ。」

沖田総司は黙って立ち上がると、急いで部屋から出て行った。



沖田総司が部屋の近くに居る気配はない。

土方歳三は呆れた表情になると、ため息を付いた。



外が少しずつ暗くなってきた。

斉藤一と少女は、沖田総司が戻ってくるのをずっと待っている。

少女は沖田総司が戻って来るのを、不安そうに待っている。

斉藤一はいつもと同じ表情で少女の横に居る。



沖田総司が凄い勢いで二人のもとに戻ってきた。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に顔を赤くしながら大きな声で話し出す。

「斉藤さん! 暗くなりはじめています! いくら斉藤さんが強くても、鈴ちゃんを暗い中にずっと居させては駄目です! 鈴ちゃんの事が好きなら、早く送っていかないと駄目ではないですか!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情のまま黙って見ている。

沖田総司は少女に顔を赤くして大きな声で話し出す。

「鈴ちゃん! 早く帰らないと駄目だろ! 斉藤さんの事が好きなんだろ! 斉藤さんに迷惑を掛けては駄目だろ!」

少女は悲しそうに下を向いしまった。

沖田総司は顔を赤くしたまま、斉藤一と少女に大きな声で話し出す。

「二人で待っていないで、さっさと一緒に帰ればいいじゃないですか! 私は先に戻ります! 斉藤さん! 鈴ちゃんの事を送っていなかいと駄目ですよ! もし何か起こったら、ただでは済みませんよ!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は物凄い勢いで走っていなくなった。



斉藤一は少女の様子を見た。

少女は下を向いたまま、声を出さずに泣いている。

斉藤一は少女を優しく抱き寄せると、普通に話し掛ける。

「総司の代わりに謝る。悪かったな。」

少女は斉藤一の腕の中で、泣きながら小さく首を横に振った。

斉藤一は少女を抱きながら、普通に話し掛ける。

「総司も疲れていて機嫌が悪くなっていたのかもしれない。今日の事は許してやれ。」

少女は斉藤一の腕の中で、泣きながら小さく頷いた。

斉藤一は少女を抱きながら、普通に話し掛ける。

「明日になれば総司も落ち着くと思う。仕事で直ぐに美鈴さんのもとに行けないかもしれないが、必ず謝りに行かせる。待っていろ。」

少女は斉藤一の腕の中で、泣きながら小さく頷いた。

斉藤一は少女を抱きながら、普通に話し掛ける。

「送っていく。」

少女は斉藤一の腕の中で泣きながら小さく頷いた。



沖田総司は屯所に戻ってくると、再び土方歳三の部屋を訪れた。

土方歳三は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し出す。

「彼女は斉藤さんと一緒だから待っていたんですよね。やっぱり優しくて元気な斉藤さんが良いんですよね。きっとそうですよね。」

土方歳三は沖田総司を呆れた様子で見ている。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し出す。

「彼女と友達ではなくなってしまいました。斉藤さんとも友達ではなくなってしまいました。私は二人ともっと友達でいたいです。」

土方歳三は沖田総司を呆れた様子で見ている。

沖田総司は土方歳三に悲しそうに話し掛ける。

「土方さん。二人はこれからずっと一緒に帰えるんですよね。私の事なんてどうでもいいんですよね。」

土方歳三は沖田総司を呆れた様子で見ている。

沖田総司の訳のわからない話しは続いていく。



その日の夜の事。

土方歳三は斉藤一を部屋に呼んだ。

斉藤一は土方歳三の部屋を訪れた。



土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「今日は何があったんだ?」

斉藤一は土方歳三を黙って見ている。

土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「今日、総司が俺の所に来て、訳のわからない事をたくさん話していた。何でも、あの子と斉藤は両思いで、付き合うそうだな。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し掛ける。

「総司が勝手に騒いでいるだけの話しです。」

土方歳三は斉藤一に普通に話し掛ける。

「あの子はどんな様子なんだ? 泣いていたんじゃないのか?」

斉藤一は土方歳三を見ながら黙って頷いた。

土方歳三は斉藤一に困った様子で話し出す。

「あの子を泣かせるなんて困った奴だな。」

斉藤一は土方歳三を見ながら黙って頷いた。

土方歳三は斉藤一に困った様子で話し出す。

「総司が一人で盛り上がっている事で、他にも困る事がある。部屋に閉じこもってしまって出てこない。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し掛ける。

「放っておいたらどうですか?」

土方歳三は斉藤一に困った様子で話し掛ける。

「総司の部屋の周りがとても暗い。しかも、殺気を感じる。組の奴らが、部屋から出てこない総司が怖くて、部屋の前が通れないと言っている。」

斉藤一は土方歳三を黙って見ている。

土方歳三は斉藤一に呆れた様子で話し掛ける。

「いつもの事で悪いが、総司とあのこの事を頼むな。」

斉藤一は土方歳三に黙って軽く礼をした。





はじめに        後編       後書き

目次


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