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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 鳴神月 蓮葉に溜まれる水の玉 〜


〜 後編 〜


その翌日の事。

朝から雨が降っている。

沖田総司は空から降ってくる雨を、ため息を付きながら見ている。

斉藤一は沖田総司の傍にやってきた。

沖田総司は斉藤一を一瞥すると、ため息を付いて雨を見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。真面目にやっているか?」

沖田総司は雨を見ながら、斉藤一に詰まらなそうに話し出す。

「真面目にやっています。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は雨を見ながら、斉藤一に寂しそうに話し掛ける。

「斉藤さん。蓮の葉に雨の雫が乗ると、玉のようになって綺麗ですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「泣いていたぞ。」

沖田総司は斉藤一を驚いた様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は考え込むように雨の降る様子を見た。

斉藤一は沖田総司の様子を普通の表情で見ていたが、続きを話す事もなく、その場から去っていった。

沖田総司は斉藤一が去る様子を気にせずに、雨が降っている様子を見ていた。



斉藤一は近藤勇に呼ばれたため、部屋を訪れた。

近藤勇は斉藤一に普通に話し掛ける。

「斉藤。この文をお雪に届けてくれ。」

斉藤一は近藤勇から文を黙って受取った。

近藤勇は斉藤一に普通に話し掛ける。

「もう一つ頼みたい事がある。」

斉藤一は近藤勇を普通の表情で黙って見ている。



更にその翌日の事。

昨日の夜まで降り続いた雨は朝には止んだ。

今の空は晴れている。

沖田総司は近藤勇に呼ばれため、部屋を訪れた。

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「この文をお雪に渡して欲しい。」

沖田総司は近藤勇から文を受取った。

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「文を渡した後は、急いで戻ってこなくても良いぞ。隊服も着ないで出掛けろ。」

沖田総司は近藤勇を不思議そうに見ながら頷いた。



沖田総司はお雪の家を訪れた。

お雪は沖田総司を微笑んで出迎えた。

沖田総司はお雪に普通に話し掛ける。

「近藤さんからの文を預かってきました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

沖田総司はお雪に文を手渡した。

お雪は沖田総司から文を受取ると、微笑んで話し掛ける。

「少し出掛けたい場所があります。もしお時間があれば、ご一緒にお出掛けしていただけないでしょうか?」

沖田総司はお雪に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「準備をしてまいります。少しお待ちください。」

沖田総司はお雪を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司とお雪は、京の町を一緒に歩いている。

お雪が沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「お菓子を買いたいと思います。付き合って頂いても良いですか?」

沖田総司はお雪を見ると、微笑んで頷いた。



沖田総司とお雪は、お菓子を売っているお店に来た。

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「どれが良いと思いますか?」

沖田総司はお雪に微笑んで話し掛ける。

「私には雅な菓子は選べません。お雪さんが選んだ方が良いと思います。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「今日の沖田さんはお客様です。お好きなお菓子を選んでください。私の分も一緒に選んで頂けると嬉しいです。」

沖田総司はお雪を不思議そうに見た。

お雪は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司はお雪に微笑んで話し掛ける。

「お雪さんのような話し方をする子を知っています。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「少し前にお会いした可愛い女の子ですね。」

沖田総司はお雪に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんは、私が選んだ物は何でも喜んでくれます。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「沖田さん。彼女が喜びそうなお菓子は、どんなお菓子ですか?」

沖田総司は和菓子を指すと、お雪に微笑んで話し掛ける。

「この菓子は鈴ちゃんが喜ぶと思います。」

お雪はお菓子を一瞥すると、沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「透明で涼しげなお菓子ですね。」

沖田総司はお雪を見ながら微笑んで頷いた。

お雪は沖田総司が選んだ和菓子を買った。

沖田総司はお雪を不思議そうに見た。

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「綺麗なお菓子だと思ったので買いました。」

沖田総司はお雪を微笑んで見た。

沖田総司とお雪は、店を出ていった。



沖田総司とお雪は、蓮の花が咲いている場所にやってきた。

来る時間が少し遅いせいか、蓮の花は閉じ始めている。

お雪は微笑んで蓮の花を見ている。

沖田総司はお雪を複雑な表情で見ている。

お雪は蓮の花を微笑んで見ながら、沖田総司に話し掛ける。

「蓮の葉にのっている雫が綺麗ですね。」

沖田総司は蓮の葉にのっている雫を見ながら、寂しそうに頷いた。

お雪は沖田総司に不思議そうに話し掛ける。

「何かありましたか?」

沖田総司はお雪に寂しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんはお雪さんの様に、いつも嬉しそうに花を見ていました。蓮の葉にのっている雫を、私と一緒に見たいと話しをしていました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「美鈴さんと喧嘩でもされたのですか?」

沖田総司はお雪に寂しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは何も悪くないのですが、いろいろとあって私の機嫌が悪くなってしまいました。斉藤さんと鈴ちゃんにいろいろと言ってしまいました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「既に謝られたのではないのですか?」

沖田総司はお雪に寂しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは悪くないのに怒ってしまいました。しかも、鈴ちゃんを置いて帰ってしまいました。きっと怒っていると思います。」

お雪は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司はお雪に寂しそうに話し掛ける。

「謝っても謝らなくても、今までのようには、逢えないと思います。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「謝ったら許してくれるかも知れません。」

沖田総司は寂しそうに下を向いてしまった。

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「雨と蓮といえば、こんなお歌があります。久かたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む。」

沖田総司は顔を上げて、お雪を見た。

お雪は少し離れた場所を指すと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「美鈴さんがいらっしゃいますね。」

沖田総司はお雪が指す方向を、不思議そうに見た。

少女が一人で寂しそうに蓮の花を見ている姿があった。

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「先程買った和菓子を差し上げます。お二人で召し上がってください。」

沖田総司は少女を見ながら、お雪に寂しそうに話し掛ける。

「良いです。お雪さんを一人で帰らす訳にはいきません。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「一人ではありません。ですから、安心して美鈴さんの所に行ってください。」

沖田総司はお雪を不思議そうに見た。

お雪は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は後ろから、いつも聞きなれた声で話し掛けられた。

「お雪さんは俺が送っていく。だから安心して美鈴さんの所に行け。」

沖田総司は驚いて後ろを振り向いた。

後ろに居たのは、想像通りではあるが、斉藤一だった。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に驚いた様子で話し出す。

「斉藤さん! なぜここに居るのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司の代わりに、お雪さんを送っていくように頼まれた。」

沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「だから、総司は美鈴さんの所に、安心して行けるな。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「刀を持った時の勢いはどうした。全く世話の焼ける奴だな。」

沖田総司は後ろから勢い良く押されたため、前へ出た。

斉藤一は沖田総司の背中を再び押すと、普通に話し出す。

「お雪さんは俺が送っていく。総司は美鈴さんを送るんだ。」

沖田総司は再び背中を強く押されて、更に前に出た。

慌てて後ろを振り向いた。

斉藤一とお雪は、話しをしながら帰っていく姿が見えた。

沖田総司は斉藤一とお雪の様子を、寂しそうに見た。



少女は近くに不思議な気配を感じた。

辺りを見回すと、沖田総司の姿が見えた。

少女は沖田総司を驚いた様子で見た。

沖田総司は一人でおろおろとしている様子に見える。

少女が沖田総司を見ている事に、気が付いていないらしい。



沖田総司は複雑な表情で少女の居る方向を見た。

少女は離れた場所から、沖田総司を寂しそうに見ている。

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は沖田総司を寂しそうに見ていたが、軽く礼をした。

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は寂しそうに沖田総司に背を向けると、ゆっくりと歩き出した。

沖田総司は少女を慌てて追い掛けた。



沖田総司は直ぐに少女に追いついた。

少女は振り向くと、沖田総司を不安そうに見た。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。こんにちは。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで軽く礼をした。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「この前は手を払ってしまってごめんね。痛かったよね。」

少女は沖田総司を見ながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「怪我をしていない?」

少女は沖田総司を見ながら小さく頷いた。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「この前は悪くもないのに怒ってごめんね。」

少女は沖田総司を見ながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんを置いて帰ってしまってごめんね。」

少女は沖田総司を見ながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。怒っているよね。」

少女は沖田総司を見ながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「やっぱり怒っているよね。鈴ちゃん。何か言ってくれ。」

少女は沖田総司に不安そうに小さい声で話し出す。

「怒っていません。」

沖田総司は少女に不安そうに話し掛ける。

「やっぱり怒っているよね。お雪さんが私と二人で食べる予定という事で、菓子を買ったんだ。私に選んで良いと言ってくれたんだ。鈴ちゃんと一緒に食べられないけれど、鈴ちゃんが喜んでくれそうな菓子を選んだんだ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ている。

沖田総司は少女に包みを差し出すと、不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんにあげる。もし嫌じゃなかったら受取ってくれ。」

少女は沖田総司から包みを受取った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「ありがとう。」

少女は沖田総司に不安そうに話し掛ける。

「総司さん。もし良かったら、蓮の花を一緒に見ませんか?」

沖田総司は少女に不安そうに話し掛ける。

「一緒に見てもいいの?」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔が見られた! 良かった!」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を笑顔で抱き寄せた。

少女は驚いて沖田総司の腕の中に居る。

沖田総司は少女を抱きながら、笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔は、見ていると直ぐに元気になるよ!」

少女は沖田総司の腕の中で微笑んで話し出す。

「総司さん。お菓子が潰れてしまいます。」

沖田総司は少女を慌てて離した。

少女は包みを一瞥すると、沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「お菓子は無事のようです。安心してください。」

沖田総司は少女に安心した様子で話し掛ける。

「良かった。」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。



斉藤一とお雪は、お雪の家へと向かって京の町を歩いている。

お雪は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「今日の沖田さんは、笑顔を見せていましたが、いつもの笑顔とは違いました。」

斉藤一はお雪を一瞥しながら黙って話を聞いている。

お雪は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「ただ、お菓子を選ぶ時に、美鈴さんはどんなお菓子を喜ぶのかと、沖田さんに尋ねました。お菓子を選んでいる時の沖田さんは、とても素敵な笑顔になっていました。」

斉藤一はお雪に普通に話し掛ける。

「関係のないお雪さんにまで迷惑を掛けてしまいました。総司の代わりに謝ります。」

お雪は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「関係がない訳ではありません。近藤さんが気に掛けている大切な方達です。それに、美鈴さんは可愛くて何かしてあげたくなります。私と近藤さんは無理ですが、沖田さんと美鈴さんには幸せになって欲しいです。」

斉藤一はお雪に普通に話し掛ける。

「近藤さんも土方さんも目立たずに気遣うのも大変そうです。総司が僅かでも気の利く性格なら良いのですが。」

お雪は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「でも、そこが沖田さんらしいと思います。斉藤さんもいろいろと気を遣って大変ですね。美鈴さんはもっと大変かもしれないですね。」

斉藤一はお雪を見ながら黙って頷いた。

お雪は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「美鈴さんを尊敬します。」

斉藤一はお雪を見ながら黙って頷いた。



沖田総司と少女は、蓮の花を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「蓮の葉の上の雫が水の玉になっているね。綺麗だね。」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。雨と蓮といえば、こんな歌があるんだ。久かたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「お歌の通りになりましたね。」

沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「蓮の花を見ながら、菓子を食べよう。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司と少女は、和菓子の入った包みを開けた。

少女は微笑んでお菓子を見ている。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。どうかな?」

少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し掛ける。

「総司さん。とても綺麗なお菓子です。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「良かった!」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に笑顔で話し掛ける。

「鈴ちゃん! これからもよろしくお願いします!」

少女は沖田総司に微笑んで返事をする。

「こちらこそよろしくお願いします。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。



蓮の上にのった水の玉。

少しずつ蓮の花が閉じていきます。

また明日も綺麗な蓮の花を見せてくださいね。




〜 完 〜





はじめに       前編       後書き

目次


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