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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜早緑月 天より雪の流れくるかも 〜
〜 改訂版 〜
登場人物
土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[鈴・美鈴]
「我が園に 梅の花散る 久かたの 天より雪の 流れ来るかも」
「万葉集 第五巻 八二二番」より
作者:大伴旅人(おおとものたびと)
ここは、京の町。
梅の花が咲き始めた。
ここは、沖田総司と少女が何度か訪れた寺。
境内。
少女が居る。
少女の傍には、梅の木が在る。
少女は梅の木を寂しそうに見た。
梅の木は、花が咲くまでには少し日数が必要な様子となっている。
少女は山門を潜ると、京の町へと寂しそうに出て行った。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
沖田総司と一番組の隊士達が、町の警備のために真剣な表情で歩いている。
沖田総司の視線の先に少女の姿が見えた。
少女の姿は寂しそうに見える。
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は沖田総司の居る方向を寂しそうに見た。
沖田総司は真剣な表情に戻ると、警備のために辺りに気を配った。
少女は沖田総司と一番組の隊士達を普通の表情で見た。
沖田総司は真剣な表情で辺りに気を配りながら去って行った。
一番組の隊士達も真剣な表情で辺りに気を配りながら去って行った。
それから数日後の事。
ここは、京の町。
少女の家。
玄関。
沖田総司は急いだ様子で訪ねてきた。
少女は沖田総司の前に寂しそうに現れた。
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「総司さんは私にお雪さんの体調などを秘密にしていました。私はお雪さんとたくさんお話しがしたかったのに、気付いたら逢えなくなっていました。」
沖田総司は少女に辛そうに話し出す。
「お雪さんが鈴ちゃんに病気に関して秘密にして欲しいと望んだから、私は鈴ちゃんに何も言えなかったんだ。」
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「総司さんはお雪さんの望みだけを叶えたのですね。」
沖田総司は少女に辛そうに話し出す。
「私がお雪さんとの約束を優先したために、鈴ちゃんに寂しい思いをさせてしまった。ごめんね。」
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「総司さんは私に何もお話しをしてくださらないから、芹沢さんも山南さんもお雪さんも突然に逢えなくなりました。」
沖田総司は少女を辛そうに見た。
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「総司さんとお逢いするのは、今日を最期にします。」
沖田総司は少女を驚いた表情で見た。
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「総司さん。さようなら。」
沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。
「鈴ちゃん! 待って!」
少女は家の中に寂しそうに入って行った。
沖田総司は驚いた表情で目を開けた。
ここは、京の町。
屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は床の中で寝ている。
部屋の中も外も暗闇と静けさに包まれている。
沖田総司は床の上にゆっくりと体を起すと、辛そうに呟いた。
「夢の中の鈴ちゃんが話したように、隠し事が増えてしまって伝えられない出来事が増えているな。それなのに、鈴ちゃんはたくさんの隠し事を抱える私を心配してくれる。お雪さんの頼みだったとしても、鈴ちゃんの気持ちを優先していたら、鈴ちゃんの辛さや寂しさが早く和らいでいたよね。」
沖田総司は床から起き上がると、静かに障子を開けた。
月が静かに輝いている。
沖田総司は月を見ながら、寂しそうに呟いた。
「今夜の夢は、現実にならないよね。鈴ちゃんは傍に居てくれるよね。」
月は静かに輝き続けている。
沖田総司は静かに障子を閉めると、床に寂しそうに横になった。
その翌日の事。
ここは、沖田総司と少女が何度か訪れた寺。
境内。
沖田総司と少女が居る。
もう少しで花が咲きそうな梅の木が在る。
少女は梅の木を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。境内に長く居るけれど寒くない?」
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「大丈夫だとしても寒いよね。寺の中に入ろう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は寺の中へと微笑んで入っていった。
沖田総司は少女を心配そうに見ながら、寺の中へと入っていった。
それから僅かに後の事。
ここは、寺の中。
沖田総司と少女が居る。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。境内の梅の木が気になるの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「梅の花が早く咲くと良いなと思いながら見ていました。」
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんが梅の花を見ていた理由は他にもあるよね。」
少女は沖田総司を困惑した様子で見た。
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃん。なぜ黙るんだ?」
少女は沖田総司を困惑した様子で見ている。
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「私にたくさんの隠し事があるから、鈴ちゃんも隠し事をするの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんはきちんとお話しをしています。」
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃん。梅の木を見ていた他の理由も教えてくれるかな?」
少女は沖田総司に寂しそうに話し出す。
「ある方から、こちらのお寺の梅の花が綺麗だと教えて頂きました。その方と梅の花が咲いたら一緒に見たいとお話しをしました。」
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんが話した相手は誰なの?」
少女は沖田総司を困惑した様子で見た。
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「私には言えない人なんだ。」
少女は沖田総司を不安そうに見た。
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃんは私の質問に答えたくないんだ。私も鈴ちゃんも隠し事がある。私と鈴ちゃんは同じ立場になったね。」
少女は沖田総司に悲しそうに話し出す。
「総司さん。ごめんなさい。」
沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。
「鈴ちゃんは私に謝るような発言や行動をしているのか?」
少女は沖田総司を悲しそうに見た。
沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
縁。
沖田総司は僅かに不機嫌そうに歩いている。
土方歳三は沖田総司の前に微笑んで来た。
沖田総司は土方歳三を僅かに不機嫌そうに見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。機嫌が悪く見えるぞ。」
沖田総司は土方歳三を僅かに不機嫌そうに見ている。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。梅を詠んだ良い内容の歌を見付けた。少し休んだら、俺の部屋に来い。」
沖田総司は土方歳三に不機嫌そうに話し出す。
「嫌です!」
土方歳三は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は僅かに不機嫌そうに去って行った。
それから暫く後の事。
ここは、京の町。
月が静かに輝いている。
土方歳三の部屋。
縁の傍。
障子が少しだけ開いている。
夜空は少し見えて楽しめるが、部屋の中の寒さは少し強まっている。
土方歳三と斉藤一が居る。
土方歳三と斉藤一の傍には、酒と肴が置いている。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に苦笑しながら話し出す。
「日中の出来事になるが、梅を詠んだ良い内容の歌を見付けたから、総司に声を掛けた。総司が不機嫌にしていたから、少し休んでから俺の部屋に来るように言った。総司は嫌だと言うと、不機嫌なまま去って行った。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「大体の見当は付くが、斉藤も総司が不機嫌な理由を知らないのか。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「お雪さんが亡くなってから、たくさんの日数は経っていない。あの子はお雪さんが亡くなってから、更にたくさんの思いを抱えてしまったな。あの子は総司が悩みを抱えていると気付いているから、総司には相談や悩みを言えないよな。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤も気付いていたんだ。さすがだな。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。総司の様子が落ち着いたら、俺が教えようとした歌を伝えてくれないか?」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、夜空を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「“我が園に 梅の花散る 久かたの 天より雪の 流れ来るかも”。“万葉集 第五巻 八二二番”の歌だ。作者は“大伴旅人”だ。」
斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に表情で軽く礼をした。
土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。
それから暫く後の事。
ここは、沖田総司の部屋。
沖田総司は不安そうにしている。
斉藤一は普通に訪ねてきた。
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。暗いぞ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「先日の夜に夢を見ました。鈴ちゃんはお雪さんの体調について隠していたと寂しそうに言いました。更に、私が隠し事ばかりするから、逢わないとも言いました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の見た夢の中の出来事だろ。悩むな。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「今日の鈴ちゃんは、花が咲くには早い梅の木を見ていました。鈴ちゃんは誰かと梅の花を見る約束をしていたと言いました。私は、鈴ちゃんが約束をした相手を、知りたい気持ちと知りたくない気持ちの両方を抱きました。鈴ちゃんに約束をした相手の名前を教えて欲しいと言いましたが、鈴ちゃんは教えてくれませんでした。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが総司以外の人と出掛けるのは不思議な行動ではないだろ。不安がるな。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんが約束をした相手の名前を教えてくれた時に、私の想像する人と同じだったら、どのような発言や行動をすれば良いのか分からなくなりました。不安な気持ちと不機嫌な気持ちの両方を抱いてしまいました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。先程から総司だけの気持ちで悩んでいるが、美鈴さんの気持ちを考える余裕はないのか?」
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは総司に逢わないと言ってないのだろ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは、お雪さんの病について知らされないまま、お雪さんは亡くなった。美鈴さんはお雪さんと楽しく過ごせる日々を想像していたはずだ。美鈴さんは、寂しくて悲しくて辛いはずだ。それなのに、総司と笑顔で逢い続けている。美鈴さんが約束をした相手の名前を言わないのは、総司が知った時の様子が分かるからだろ。総司が自分の気持ちだけを美鈴さんに押し付けていては駄目だろ。」
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんに早く謝れよ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
その翌日の事。
ここは、少女の家。
玄関。
沖田総司は微笑んで訪れた。
少女は沖田総司の前に不安そうに現れた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。一緒に出掛けよう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、沖田総司と少女が何度か訪れた寺。
境内。
早咲きの梅が綺麗に咲いている。
沖田総司と少女が居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「早咲きの梅の花が綺麗だね。」
少女は沖田総司に心配そうに頷いた。
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃん。この前は酷い言葉をたくさん言ってしまってごめんね。怒っているよね。」
少女は沖田総司を見ながら、心配そうに小さく首を横に振った。
沖田総司は少女に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃん。梅の花を一緒に見たい人がいるよね。私に遠慮しないで出掛けて良いんだよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「先日のお話しした方とお出掛けする予定はありません。総司さん。お気遣いありがとうございます。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは、私と良く出掛けてくれるし、いつも私を気遣ってくれる。鈴ちゃんには感謝しているんだ。鈴ちゃんが私のために無理や我慢をして欲しくないんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は、総司さんや斉藤さんとお出掛けする日が楽しみです。無理や我慢はしていません。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんが梅の花を見る約束をした人と出掛けられなくなったのは、私が原因だよね。鈴ちゃん。ごめんね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんは関係ありません。安心してください。」
沖田総司は少女を不安そうに見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は総司さんと梅の花を見ながら、たくさんお話しをして過ごしたいです。」
沖田総司は少女を不安そうに見ている。
梅の花が沖田総司と少女の元にゆっくりと落ちてきた。
沖田総司は梅の花を寂しそうに掌で受け止めた。
少女は梅の花を微笑んで見た。
沖田総司は掌に梅の花を載せながら、少女に微笑んで話し出す。
「梅の花が雪のように見えるね。」
少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に梅の花を微笑んで差し出した。
少女は梅の花を微笑んで取った。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。土方さんと斉藤さんが、梅の花を詠んだ素敵な歌を教えてくれたんだ。」
少女は掌の梅の花を載せながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「どのようなお歌ですか? ぜひ教えてください。」
沖田総司は微笑んで沖田総司に話し出す。
「“我が園に 梅の花散る 久かたの 天より雪の 流れ来るかも”」
少女は掌に載せた梅の花を見ると、寂しそうに呟いた。
「梅の花散る。天より雪の。」
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は掌に載せた梅の花を寂しそうに見た。
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は掌に載せた梅の花を見ながら、悲しそうに呟いた。
「ごめんなさい。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫?」
少女は掌に載せた梅の花を見ながら、静かに泣き出した。
沖田総司は少女を心配そうに抱いた。
少女の掌から、梅の花がゆっくりと地面に落ちた。
少女は沖田総司に静かに泣いて話し出す。
「ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんは悪くないよ。みんなも鈴ちゃんが悪くないと分かっているよ。鈴ちゃん。悲しまないで。泣かないで。」
少女は沖田総司に抱きつくと、静かに泣いた。
それから少し後の事。
ここは、境内。
沖田総司は少女を心配そうに抱いている。
少女は静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見た。
少女は静かに泣き止んだ。
沖田総司は少女を抱きながら、僅かに安心した表情になった。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を抱きながら、安心した表情になった。
梅の花が地面へとゆっくりと落ちた。
沖田総司は微笑みながら、少女をゆっくりと放した。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は梅の花を微笑んで拾った。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女の掌に梅の花を載せると、微笑んで話し出す。
「この寺の早咲きの梅の花は、なぜか良く散るね。」
少女は掌に梅の花を載せながら、沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。私は、鈴ちゃんが梅の花を見る約束をした人の替わりになるかな?」
少女は掌に梅の花を載せながら、沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「良かった。」
少女は掌に梅の花を載せながら、沖田総司を微笑んで見た。
「我が園に 梅の花散る 久かたの 天より雪の 流れ来るかも」
梅の花の見頃には少しだけ早い頃。
梅の花の咲く話題を聞く機会が少しずつ増えてきた。
梅の花の見頃の話題を聞く日は、もう少しだけ先になる。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いて行きます。
この物語に登場する歌は、「万葉集 第五巻 八二二番」です。
「我が園に 梅の花散る 久かたの 天より雪の 流れ来るかも」
ひらがなの読み方は、「わがそのに うめのはなちる ひさかたの てんよりゆきの ながれくるかも。」です。
意味は「私の庭の梅の花が散っています。天から雪が降ってくるのでしょうか。」となるそうです。
作者は「大伴旅人(おおとものたびと)」です。
天平二年一月十三日に大伴のたびとの邸宅で催された宴会の時に詠まれた歌の一つです。
原文は「和何則能尓 宇米能波奈知流 比佐可多能 阿米欲里由吉能 那何列久流母」
今回の物語の設定時期は、お雪さんが亡くなってから最初の一月を想定して書きました。
お雪さんの家には、幹部級の隊士などが良く出入りしていたそうです。
そのような状況ではありますが、沖田総司さんとお雪さんが、史実ではどの程度を会っていたかについては分かりません。
今回の物語の沖田総司さんは、機嫌が悪くなっていたために、土方歳三さんに不機嫌な話し方をします。
しかし、斉藤一さんと話しをして落ち着いた後は、土方歳三さんに歌を教えてもらったと想像してください。
「早緑月(さみどりづき)」は、「陰暦二月の異称」です。
実は、調べ方を間違えていたらしく、物語を掲載した当初は、「早緑月」を「陰暦一月の異称」と説明しました。
掲載直後に「陰暦二月の異称」だと分かりました。
「早緑月」が気に入って題名に付けた事や物語の雰囲気に合っていると考えて、後書きに補足として説明を追加して題名は変更しませんでした。
今回の物語の設定月の一月は、現在の暦で二月頃になると思われます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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