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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 早緑月の贈り物 梅の花今咲けるごと散り過ぎず 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず 我が家の園に ありこせぬかも」

「万葉集 第五巻 八一六番」より

作者:小野老(おののおゆ)



今は、春。



ここは、京の町。



春になるが、寒い日が続いている。



沖田総司の参加する浪士組が、新撰組に名前を変えてから最初に迎える春の季節になる。



ここは、屯所。



一室。



沖田総司は笑顔で居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 鈴ちゃんに逢いましたよね! 物凄く良い子ですよね! 印象を教えてください!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。もしかして、鈴ちゃんが嫌いですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「幾度も同じ内容を確認するな。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さんは、鈴ちゃんの印象を、何も答えません。心配になります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「だって〜 斉藤さんは〜 私に黙って〜 鈴ちゃんに〜 逢いました〜 それなのに〜 鈴ちゃんについて質問しても〜 答えません〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今の話し方は止めろ。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「だって〜 鈴ちゃんは〜 本当に〜 本当に〜 良い子ですよ〜 斉藤さんには〜 普通に見えるのですね〜 あんなに〜 良い子の〜 鈴ちゃんを〜 普通にしか〜 見えない〜 斉藤さんは〜 変です〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。再び話す。今の話し方は止めろ。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「でも〜 私には〜 鈴ちゃんも〜 斉藤さんも〜 大切な友達です〜 鈴ちゃんは〜 斉藤さんを〜 優しい人だと〜 言いました〜 それなのに〜 斉藤さんは〜 鈴ちゃんの印象を〜 話しません〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。屯所の外で話したい。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



少し後の事。



ここは、“思いのまま”の名前の梅の花の咲く場所。



沖田総司は不思議な様子で来た。

斉藤一は普通に来た。



沖田総司は思いのままを微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。あの子について話す。」

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さん! 鈴ちゃんは、私の大切な友達です! 斉藤さんにも仲良くなって欲しいです! あの子、その子、などと、言わないでください! 鈴ちゃんが可哀想です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が物凄く騒がしいから、少しだけ話す。美鈴さんは良い子だ。」

沖田総司は斉藤一を嬉しく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。しっかりしろ。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。本当に分かっているのか?」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい! 鈴ちゃんは大切な友達です! 鈴ちゃんをしっかりと守ります!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんも大切な友達です! 斉藤さんと鈴ちゃんも、友達です! 私が居ない時には、鈴ちゃんを守ってください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺と美鈴さんが友達?」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい! 斉藤さんも鈴ちゃんも、私の大切な友達です! 以上の状況から考えると、斉藤さんと鈴ちゃんは、友達です!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんは、優しくて強いです! 鈴ちゃんは、優しい女の子です! 斉藤さんならば、鈴ちゃんを安心して任せられます! 私も安心です!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! ありがとうございます! 斉藤さんは、優しくて頼りになる大切な友達です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「幾度も話しているが、再び話す。俺と総司は、友達に該当しない。」

沖田総司は斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司を見ていると面白い。美鈴さんを尊敬する。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、しっかりと面白い。総司と一緒に居ると、楽で良い。美鈴さんは、大変だ。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見ている。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



少し後の事。



ここは、屯所。



玄関。



沖田総司は微笑んで来た。

斉藤一は普通に来た。



土方歳三が微笑んで来た。



沖田総司は土方歳三を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に普通に話し出す。

「総司。斉藤。一緒に来てくれ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出する

「はい。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



土方歳三は屯所の中に微笑んで入って行った。

沖田総司は屯所の中に微笑んで入って行った。

斉藤一は屯所の中に普通に入って行った。



僅かに後の事。



ここは、屯所。



一室。



土方歳三は部屋の中に微笑んで入った。

沖田総司は部屋の中に微笑んで入った。

斉藤一は部屋の中に普通に入った。



土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。二月の十四日。何の日か知っているか?」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「仲の良い人物に、花や菓子を贈る日、になるそうだ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「近藤さん。土方さん。斉藤さん。贈っても良いのですね。」

土方歳三は沖田総司に苦笑して話し出す。

「近藤さん。俺。斉藤。花や菓子を贈っても喜ばない。」

沖田総司は土方歳三に苦笑して話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「花や菓子を受け取って喜ぶ人物に贈るんだ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「二月の十四日。子供達に逢います。子供達と一緒に菓子を食べます。」

土方歳三は沖田総司を苦笑して羽交い絞めにした。

沖田総司は土方歳三を驚いた表情で見た。

土方歳三は沖田総司を羽交い絞めにして、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。再び話す。近藤さん。俺。斉藤。花や菓子を受け取っても喜ばない。子供達。菓子を受け取ったら喜ぶが、花を受け取っても喜ばない。両方を受け取って喜ぶ人物に贈るんだ。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で考えながら見た。

土方歳三は沖田総司を羽交い絞めにして、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。次に該当しない名前を話したら、何かが起こる。俺の話す意味。分かるな。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で考えながら見ている。

土方歳三は沖田総司を羽交い絞めにして、斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。俺の今の話。聞いていただろ。分かるな。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「分かりました。」



沖田総司は土方歳三から必死で離れると、土方歳三と斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん! 土方さん! 何を企んでいるのですか?!」



土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。二月十四日。花、菓子、歌、を用意しろ。分かったな。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。話は終わった。戻って良いぞ。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「分かりました。失礼します。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。



沖田総司は部屋から不思議な様子で出て行った。



斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんは、異国を褒める人物が、嫌いだと思っていました。」

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「確かに、嫌いだ。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「だが、便利な物は使う。」

斉藤一が土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんが総司に話した二月十四日の内容は、俺の聞いた内容と少し違います。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司に正しく説明すると、動揺する。面白くない。総司もあの子も、何も知らないから、全てを教える必要が無いだろ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「歌の用意についての考えを教えてください。」

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「俺の話す二月十四日に合う歌は、たくさんある。あの子が俺の話す二月十四日について知った時に、総司が変な内容を話したら悲しくなるだろ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。適当な理由を考えて、総司の手伝いを頼む。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。



少し後の事。



ここは、屯所。



部屋の前に在る縁。



斉藤一は部屋から普通に出てきた。



沖田総司が微笑んで来た。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「何かありましたか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に安心した様子で話し出す。

「何かあったのかと思って心配していました。何も無かったのですね。安心しました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。花。菓子。歌。選ぶ時に手伝う。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「一人で選びます。大丈夫です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「と、話しましたが、斉藤さんから手伝ってくれる申し出があったので、安心しました! 手伝いをお願いします!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



暫く後の事。



ここは、屯所。



一室。



沖田総司は歌集を真剣な表情で読んでいる。

斉藤一は沖田総司を見ながら、歌集を普通の表情で読んでいる。

机にたくさんの歌集が置いてある。



沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。良いと思う歌を見付けました。」

斉藤一は歌集を見ると、沖田総司を見て、沖田総司に普通に話し出す。

「季節が少し合わない。」

沖田総司は歌集を真剣な表情で見た。

斉藤一は沖田総司を見ながら、歌集を普通の表情で読んだ。



幾日か後の事。



土方歳三が先日に話した、仲の良い人物に花やお菓子を贈る日になる。



ここは、屯所。



一室。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん! 今から、花を受け取るために、菓子を買うために、出掛けます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。行ってきます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は部屋から微笑んで出て行った。

斉藤一は部屋から普通に出て行った。



少し後の事。



ここは、菓子を販売する店。



店内。



沖田総司は菓子を真剣な表情で選んでいる。



少し後の事。



ここは、菓子を販売する店。



店の外。



沖田総司は包みを持ち、笑顔で出てきた。



沖田総司は包みを持ち、微笑んで歩き出した。



少し後の事。



ここは、綺麗な梅の花の咲く場所。



沖田総司は包みと梅の小枝を笑顔で持っている。



沖田総司は包みと梅の小枝を持ち、笑顔で歩き出した。



暫く後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



沖田総司は包みと梅の小枝を持ち、微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。



沖田総司は包みと梅の小枝を傍に置くと、少女に微笑んで話し出す。

「異国の話だけど、今日は、仲の良い人物に、花や菓子などを贈る日なんだって。土方さんが教えてくれたんだ。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「私は総司さんに何も用意していません。ご免なさい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私が知ったのは昨日なんだ。鈴ちゃんと近い状況なんだ。気にしないで。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。来年も再び用意するね。鈴ちゃんは、いつもいろいろと用意をしてくれるから、気を遣わないでね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「話す時間が楽しくて、鈴ちゃんへの贈り物を渡していないね。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。



沖田総司は梅の小枝を持つと、少女に梅の枝を渡して、少女に微笑んで話し出す。

「思いのまま。」

少女は沖田総司から梅の枝を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「思いのまま。綺麗です。ありがとうございます。」

沖田総司は少女の前に包みを置くと、少女に微笑んで話し出す。

「菓子だよ。」

少女は梅の小枝を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は梅の小枝を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。お菓子を一緒に食べませんか?」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は梅の小枝を持ち、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は懐から文を出すと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。歌を書いたんだ。菓子を食べる前に受け取って。」

少女は梅の小枝を持ち、沖田総司から文を受取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。贈り物のお歌。知る時が楽しみです。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「歌。花。菓子。斉藤さんが、選ぶ時にたくさん手伝ってくれたんだ。」

少女は文と梅の小枝を持ち、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、優しくて頼りになる人物なんだ。近い内に、三人で一緒に出掛けよう。」

少女は文と梅の小枝を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



直後の事。



ここは、屯所。



一室。



土方歳三は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。



土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司が、俺や近藤さんに、斉藤を優しくて頼りになる友達だと、笑顔で話した。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「斉藤を、優しい、頼りになる、友達、などと笑顔で話す人物。総司のみしか居ない。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。総司があの子に贈ると決めた歌。教えてくれ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「“梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず 我が家の園に ありこせぬかも”。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「普通の状況ならば、普通の解釈の歌になる。総司があの子に贈る歌ならば、いろいろと解釈の出来る歌になる。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「梅の花は、思いのまま、贈ります。総司はあの子に今の歌のようになって欲しいと話していました。」

土方歳三は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「斉藤。総司は、総司本人の話す意味を、理解しているのか?」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「分かっていません。」

土方歳三は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「斉藤。総司は、剣の才能は、天才的で右に出る者は居ないに等しいが、風流や細やかな内容は、鈍過ぎて右に出る者が居ないに等しい。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「総司とあの子が、今日の行事の本当の意味を知った時の言動。楽しみだな。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三が斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。何か起きた時、後の対応、頼む。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



沖田総司は菓子を笑顔で美味しく食べている。

少女は菓子を微笑んで食べている。

少女の傍には、文が置いてある。

沖田総司の傍と少女の傍には、包みと梅の小枝が置いてある。



少女は菓子を微笑んで食べ終わった。

沖田総司は菓子を笑顔で美味しく食べている。

少女は文を持つと、文を微笑んで読んだ。

沖田総司は菓子を食べながら、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。何か遇ったの?」

少女は文を持ち、沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「お歌の贈り物。ありがとうございます。大切にします。」

沖田総司は菓子を食べながら、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔は可愛いよ! 鈴ちゃんがずっと笑顔のままで過ごせれば良いと思ったんだ! 鈴ちゃんの笑顔を考えていたら、今回の歌が良いと思ったんだ!」

少女は文を持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は菓子を食べるのを止めると、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫? 私は変な内容を話したのかな?」

少女は文を持ち、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「良かった!」

少女は文を持ち、沖田総司を微笑んで見た。



「梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず 我が家の園に ありこせぬかも」



今日は、二月十四日。

二月十四日は、好きな相手に、花やお菓子を贈る日になる。

沖田総司と少女が、二月十四日の本当の意味を知る時は、少し先になる。

沖田総司も少女も、今の時点では、仲の良い相手に花や菓子を贈る日だと思っている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、「万葉集 第五巻 八一六番」

「梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず 我が家の園に ありこせぬかも」

ひらがなの読み方は「うめのはな いまさけるごと ちりすぎず わがへのそのに ありこせぬかも」

歌の意味は、「梅の花が今咲いているように散らないで、私の家の庭にも咲いていて欲しいなぁ。」となるそうです。

作者は「小野老(おののおゆ)」

原文は「烏梅能波奈 伊麻佐家留期等 知利須義受 和我覇能曽能尓 阿利己世奴加毛」

天平二年(730年)正月十三日に、大宰府の長官である「大伴旅人(おおとものたびと)」の邸宅で宴会をした時に、参加者がそれぞれ詠んだ梅の花の歌三十二首の一つです。

この物語の補足です。

現在の暦と物語の設定時の暦には、ずれがあります。

現在の暦に直すと、三月上旬から中旬の頃になります。

物語の設定上は、「新撰組異聞」関連では、斉藤一さんと鈴ちゃんは、新撰組と名乗ってから、年を越えた最初の年の梅の花の咲く時期に会った事になっています。

その物語は、「新撰組異聞 思いのまま」です。

この物語は、その直後の頃から少し先の時期を考えて書きました。

「バレンタイン」についてです。

西暦269年、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑されました。

それから、この日がバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加えられ、恋人達の愛の誓いの日になりました。

ヨーロッパでは、この日を「愛の日」として花やケーキ、カード等を贈る風習があります。

女性が男性にチョコレートを贈る習慣は日本独自のものです。

1958年にある会社が行ったチョコレートセールが始まりです。

最初の年は、3日間で3枚しか売れなかったそうです。

「早緑月(さみどりづき)」についてです。

「陰暦二月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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