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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 春宵の夢物語 桃の下に月夜さし 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人 夢、若い男性



「わが宿前の 毛桃の下に 月夜さし 下心良しう たてこの頃」

「万葉集 第十巻 一八八九番」より

作者:詠み人知らず



ここは、京の町。



桃の花の綺麗に咲く頃。



ここは、桃の花の綺麗に咲く場所。



沖田総司は微笑んで居る。

少女は桃の花を微笑んで見ている。



少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「桃の花が綺麗に咲いています。綺麗です。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は桃の花を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は下を向いて目を閉じた。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。調子が悪いの?」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に僅かに慌てて微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女の額に心配して手を当てた。

少女は沖田総司を不安な表情で見た。

沖田総司は少女の額から手を離すと、少女に安心して話し出す。

「熱は無いね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。心配性ですね。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「長時間を立つと疲れるよね。桃の花を座って見よう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を僅かに安心して見た。



少し後の事。



ここは、桃の花の綺麗に咲く場所。



先程まで沖田総司と少女の場所から、少しだけ離れている。



沖田総司は微笑んで居る。

少女は桃の花を微笑んで見ている。



沖田総司は少女を心配して見た。

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「最近、私のために、鈴ちゃんが体調を崩してしまったよね。治って直ぐだけど、出掛けたいと話したよね。心配になるんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私が体調を崩した出来事と総司さんは、関係ないです。無理はしていません。辛くなった時は、総司さんに話します。心配しないでください。桃の花は今しか見られません。総司さんと出掛けています。楽しいです。」

沖田総司は少女を心配して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私が心配していると、鈴ちゃんが楽しめないよね。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「私は一人だけで楽しんでしまいました。総司さんが気を遣われる出来事を増やしてしまいました。気を付けます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが楽しめないと、私も楽しめないよ。お互いに少しずつ気遣い合おう。一緒に楽しもう。桃の花を見ながら、たくさん話そう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女と桃の花を微笑んで見た。

少女も沖田総司と桃の花を微笑んで見た。



暫く後の事。



夜になっている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の上に落ち込んで座っている。



沖田総司は床の上に座り、落ち込んで呟いた。

「鈴ちゃんを再び落ち込ませてしまった。鈴ちゃんの体調は本当に大丈夫なのかな? 無理をさせている可能性がある。不安だな。心配だな。」

沖田総司は床の上に座り、肩を落として息をはいた。

沖田総司は床の中に横になると、落ち込んで息をはいた。

沖田総司は床の中で、目を閉じて、眠りに就いた。



少し後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の中でぐっすりと寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。



沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ姿の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢は沖田総司の顔を覆い、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は床の中で、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は床の上に体を起こすと、夢に微笑んで話し出す。

「今夜も夜の国に連れて行ってくれるんだね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は床の上に体を起こして、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して動きを止めた。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。

沖田総司は赤面して床の上に体を起こして、静かに居なくなった。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



夜空には、月と満天の星が輝いている。



ほのかな暖かさを感じる。



桃の花の綺麗に咲く場所。



桃の花は、月の光と星の光を受けて静かに輝いている。



沖田総司は赤面して、静かに現れた。

夢は沖田総司を抱いて、微笑んで静かに現れた。



夢は沖田総司から離れると、沖田総司に苦笑して話し出す。

「総司さん。照れ屋さんですね。」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「夢ちゃんが私に抱き付くから。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「抱き付く相手が、私ではなく、美鈴さんならば、照れないのですね?」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんだったら、鈴ちゃんなら、鈴ちゃんならば。」

夢は沖田総司に顔を近付けると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「美鈴さんならば?」

沖田総司は夢を赤面して困惑して見た。

夢は沖田総司に顔を近付けるのを止めると、沖田総司に呆れた表情で話し出す。

「総司さん。本当に照れ屋さんですね。」

沖田総司は夢を赤面して見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は戻ります。」

沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で話し出す。

「夢ちゃん。斉藤さんと鈴ちゃんは、夜の国に来ていないの?」

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は夢を慌てて見た。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。



沖田総司は辺りを心配してゆっくりと見た。



月夜の下で、たくさんの桃の花が綺麗に咲いている。



沖田総司は桃の花を見ると、微笑んで呟いた。

「鈴ちゃんが見たら喜ぶ光景だ。」



沖田総司の後ろから、何時も感じる優しい気配を感じた。



沖田総司は後ろを微笑んで見た。



少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。こんばんは。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今夜も夜の国の招待を受けました。嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。桃の花が綺麗だよ。近くで見よう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女の手を微笑んで握った。

少女も沖田総司の手を微笑んで握った。



沖田総司は少女の手を握り、微笑んで歩き出した。

少女も沖田総司の手を握り、微笑んで歩き出した。



直後の事。



ここは、夜の国。



一軒の家。



庭。



桃の花が咲いている。



斉藤一は桃の花を普通の表情で見ている。



斉藤一の後ろから、夢の穏やかな声が聞こえた。

「斉藤さん。こんばんは。」



斉藤一は後ろを普通の表情で見た。



夢は斉藤一の傍に微笑んで来た。



斉藤一は夢を普通の表情で見た。

夢は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お酒の用意が出来ました。」

斉藤一は夢に普通の表情で頷いた。



夢は家の中に微笑んで入って行った。

斉藤一は家の中に普通に入って行った。



僅かに後の事。



ここは、夜の国。



一軒の家。



一室。



心地好い空気に包まれている。



庭の見える場所に、食卓が置いてある。



食卓に、酒、肴、お茶、菓子、などが置いてある。



夢は部屋の中に微笑んで入った。

斉藤一は部屋の中に普通に入った。



若い男性が斉藤一と夢を微笑んで見た。



若い男性は、斉藤一にとって、何時も見慣れた男性と同じ容姿をしている。



斉藤一は若い男性を普通の表情で見た。

夢は若い男性を微笑んで見た。

若い男性は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。桃の花が綺麗に咲いています。桃の花を見ながら楽しみましよう。」

斉藤一は若い男性に普通の表情で頷いた。

若い男性は斉藤一と夢を微笑んで見た。

夢は斉藤一と若い男性を微笑んで見た。

斉藤一は夢と若い男性に普通の表情で頷いた。



僅かに後の事。



ここは、夜の国。



桃の花の綺麗に咲く場所。



桃の花は、月の光と星の光を受けて静かに輝いている。



沖田総司は少女の手を握り、桃の花と少女を微笑んで見ている。

少女は沖田総司の手を握り、桃の花と沖田総司を微笑んで見ている。



少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に微笑んで話し出す。

「夜の国の桃の花は、とても綺麗です。」

沖田総司は少女の手を握り、少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。たくさんの桃の花を見たいです。」

沖田総司は少女の手を握り、少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「はしゃぎ過ぎました。」

沖田総司は少女の手を握り、少女に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃんは、はしゃいでいないよ。大丈夫だよ。」

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に心配して話し出す。

「総司さん。私がほとんど一人で話しています。楽しいですか?」

沖田総司は少女の手を握り、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが楽しく話す姿を見ていると、私も楽しくなるよ。鈴ちゃんの話は、楽しく聞いているよ。鈴ちゃんと一緒に居ると嬉しいよ。」

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女の手を握り、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんも楽しんでいる。鈴ちゃんと長時間も一緒に居られる。鈴ちゃんの可愛い笑顔が長い時間も見られる。嬉しい出来事のみだよ。」

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女の手を握り、少女を赤面して見た。

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司を恥ずかしく見ている。

沖田総司は少女の手を握り、少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃん。突然だけど、話題を変えるね。斉藤さんは何処に居ると思う?」

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは近くに居るように感じます。」

沖田総司は少女の手を握り、少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんを一緒に探そう。」

少女は沖田総司の手を握り、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女の手を微笑んで離した。

少女も沖田総司の手を微笑んで離した。



直後の事。



ここは、夜の国。



一軒の家。



庭には、桃の花の咲く様子が見える。



一室。



心地好い空気に包まれている。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、桃の花を普通の表情で見ている。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一と桃の花を微笑んで見ている。

夢はお茶を飲みながら、桃の花を微笑んで見ている。

食卓に、酒、肴、お茶、菓子、丸い形の出汁を付けて食べる食べ物、などが置いてある。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、食卓の上を普通の表情で見た。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「明石焼き、と言います。出汁を付けて食べます。美味しいですよ。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、明石焼きに出汁を付けて、普通の表情で食べた。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「美味しいですか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、明石焼きを食べ終わると、若い男性に普通の表情で頷いた。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「明石焼き。気に入ったのですね。嬉しいです。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、若い男性に普通の表情で頷いた。

夢はお茶を飲むのを止めると、明石焼きを出汁に付けて、美味しく食べた。

若い男性は杯の酒を飲みながら、明石焼きを出汁に付けて、微笑んで食べた。

夢は明石焼きを食べ終わると、明石焼きを出汁に付けて、笑顔で食べた。

若い男性は杯の酒を飲みながら、夢に苦笑して話し出す。

「夢。明石焼きをたくさん食べているね。」

夢は明石焼きを食べ終わると、若い男性に微笑んで話し出す。

「何時もより美味しいの。」

若い男性は杯の酒を飲みながら、夢に苦笑して話し出す。

「明石焼きが直ぐに無くなる様子だね。」

夢は若い男性に微笑んで話し出す。

「明石焼きはたくさん用意したの。大丈夫よ。」

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。遠慮せずにたくさん食べてください。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、若い男性に普通の表情で頷いた。



少し後の事。



ここは、夜の国。



一軒の家。



庭には、桃の花の咲く様子が見える。



一室。



心地好い空気に包まれている。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、桃の花を普通の表情で見ている。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一と桃の花を微笑んで見ている。

夢はお茶を飲みながら、桃の花を微笑んで見ている。

食卓に、酒、肴、お茶、菓子、明石焼き、などが置いてある。



若い男性は杯の酒を飲み終わると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「夢と一緒に少しの時間になりますが出掛けます。少し経つと、或る人達が家に来ます。或る人達と再び楽しんで過ごしてください。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、若い男性に普通の表情で頷いた。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。

若い男性も微笑んで、静かに居なくなった。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、桃の花を普通の表情で見た。



沖田総司が微笑んで、静かに現れた。

少女も微笑んで、静かに現れた。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「こんばんは。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「こんばんは。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は明石焼きを不思議な様子で見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「明石焼き、と呼ぶ食べ物だ。明石焼きは、出汁を付けて食べる。」

沖田総司は明石焼きに出汁を付けて、不思議な様子で食べた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は明石焼きを食べ終わると、斉藤一に笑顔で話し出す。

「美味しいです!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 明石焼きは美味しいよ! 食べて!」

少女は明石焼きに出汁を付けて、微笑んで食べた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は明石焼きを食べ終わると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「美味しいです。」

沖田総司は少女を笑顔で見た。

少女は明石焼きに出汁を付けて、微笑んで美味しく食べた。

沖田総司は明石焼きに出汁を付けて、笑顔で美味しく食べた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、明石焼きに出汁を付けて、普通の表情で食べた。

沖田総司は食卓の上を笑顔で見た。



明石焼きが無くなっている。



沖田総司は少女を見ると、少女に心配して話し出す。

「明石焼きが無くなってしまった。鈴ちゃんは明石焼きをほとんど食べていないよね。私が一人でたくさん食べてしまった。ご免ね。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女に普通に話し出す。

「明石焼きはたくさん用意している。安心しろ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。良かったですね。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。


沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



少し後の事。



一軒の家。



庭には、桃の花の咲く様子が見える。



一室。



心地好い空気に包まれている。



斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

沖田総司は微笑んで居る。

少女は眠い様子で居る。

食卓に、酒、肴、お茶、菓子、明石焼き、などが置いてある。



沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。調子が悪い? 大丈夫?」

少女は沖田総司に眠い様子で話し出す。

「少しだけ眠いです。調子は悪くないです。大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。無理をしないで。少し休んで。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を抱いて、少女を微笑んで見た。

少女は微笑んでゆっくりと目を閉じた。

沖田総司は少女を抱いて、少女を微笑んで見ている。

少女は静かに眠っている。

沖田総司は少女を抱いて、微笑んでゆっくりと目を閉じた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女を抱いて、微笑んで寝ている。

少女は沖田総司の腕の中で、安心した表情で眠っている。

斉藤一は杯の中の酒を見ると、普通の表情で呟いた。

「“わが宿前の 毛桃の下に 月夜さし 下心良しう たてこの頃”」

斉藤一は杯の酒を飲むのを止めると、上着を普通の表情で静かに取った。

斉藤一は少女に上着を普通の表情で静かに掛けた。

斉藤一は沖田総司に上着を普通の表情で静かに掛けた。

沖田総司は少女を抱いて、上着に包まれて、微笑んで静かに寝ている。

少女は、沖田総司の腕の中で、上着に包まれて、安心した表情で静かに寝ている。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、明石焼きを食べながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。



「わが宿前の 毛桃の下に 月夜さし 下心良しう たてこの頃」

春の夜の国は、月夜の下に綺麗な桃の花が咲き、暖かくて心地良い空気に包まれている。

春の夜の国の時間が穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 一八八九番」

「わが宿前の 毛桃の下に 月夜さし 下心良しう たてこの頃」

ひらがなの読み方は「わがやどの けもものしたに つくよさし したごころよしう たてこのころ」

作者は「詠み人知らず」

歌の意味は、「庭の先の毛桃(けもも)に月の光りがさして、とても心地が良いこの頃です。」となるそうです。

原文は「吾屋前之 毛桃之下尓 月夜指 下心吉 ■楯項者」

「■」(“草冠”に“兔”)は文字変換ができない字でした。

万葉集の中に、「毛桃」と詠まれている時には、女性のことを意識していると思われているそうです。

この物語の補足です。

「明石焼き」が登場します。

幕末には既にあったようですが、現在のように出汁を付けて食べていなかったようです。

当時の呼び方は「明石焼き」ではない可能性がありそうです。

斉藤一さんが、幕末には既にあった明石焼きを知っているけれど、明石焼きを出汁に付けて食べているために、分からなかったと思ってください。

「春宵(しゅんしょう)」についてです。

「春の夜。春の宵。」という意味です。

「夢物語(ゆめものがたり)」についてです。

「見た夢の話し。夢語り。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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