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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 桜月 咲きををる桜の花 〜
登場人物。
土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[鈴、美鈴]、子供達
「い行き逢ひの 坂の麓に 咲きををる 桜の花を 見せむ子もがも」
「万葉集 第九巻 一七五二番」より
作者:高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)の歌集より
今は桜の季節。
桜の花が辺り一面に咲いている。
沖田総司が子供達は、桜の花の舞うなかで遊んでいる。
少女は近くの桜の木の下に座って、沖田総司と子供達の様子を微笑んで見ている。
沖田総司は少女の様子を確認しながら子供達と遊んでいる。
子供達は沖田総司に苦笑しながら話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。お姉ちゃんが気になるんだったら、みんなで座って話しをしようよ。その方が傍に居られるから安心でしょ。」
沖田総司は子供達を見ているうちに、顔が赤くなってしまった。
子供達は沖田総司に苦笑しながら話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。遊ぶのを止めても良いよ?」
沖田総司は顔を赤くしながら子供達に話し掛ける。
「今日は約束の日だよ。それに、遊び始めたばかりだよ。もう少し遊ぼうよ。」
子供達は沖田総司に笑顔で話し出す。
「僕達は総司お兄ちゃんに充分に遊んでもらったよ。だから、気にしないで良いよ。」
沖田総司は顔を赤くしながら子供達に話し掛ける。
「本当にいいの?」
子供達は笑顔で沖田総司を見ながら頷いた。
沖田総司は顔を赤くしながら子供達を見ている。
子供達は沖田総司に微笑んで話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。お姉ちゃんと一緒に遊べるものって何かある?」
沖田総司は少女を一瞥すると、顔を赤くしたまま子供達を見た。
子供達は沖田総司に笑顔で話し掛ける。
「総司お兄ちゃん! 鬼ごっこをやろうよ!」
沖田総司は不思議そうに子供達を見ている。
子供達は笑顔で沖田総司に話し掛ける。
「僕達だけで鬼ごっこをやるんだ。総司お兄ちゃんは見ているだけでいいよ。変な事をした時に僕達に声を掛けてよ。そうすれば、お姉ちゃんと一緒に居られるから、総司お兄ちゃんも安心だよね。」
沖田総司は顔を赤くして子供達を見ながら頷いた。
子供達は笑顔で沖田総司に話し掛ける。
「じゃあ、決まり!」
沖田総司は顔を赤くしたまま、少女のもとへと歩いていった。
沖田総司は少女のもとにやってきた。
少女は桜の木の下に座ったまま、微笑んで沖田総司を見ている。
沖田総司は少女の横に座ると、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。これから子供達だけで、鬼ごっこをするんだって。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「話しをしながら一緒に見ようね。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
子供達は沖田総司と少女の様子を見ると、嬉しそうに声を出した。
「みんな〜! これから鬼ごっこをします〜!」
子供達は笑顔で返事をする。
「は〜い!」
子供達は鬼ごっこを始めた。
沖田総司と少女は座りながら、子供達の様子を微笑んで見ている。
それから暫く後の事。
沖田総司が少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。少しだけここで待っていてね。」
少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。
沖田総司は立ち上がると、どこかへと去っていった。
少女は沖田総司の様子を不思議そうに見ている。
子供達が少女のもとにやってくると、微笑んで話し掛ける。
「総司お兄ちゃんは?」
少女は微笑んで子供達に話し掛ける。
「総司さんは、少しだけ待っていて欲しいと言って、姿が見えなくなったの。でも、直ぐに戻って来るから心配しないで。」
子供達は少女を見ながら、不思議そうに頷いた。
沖田総司の姿が見えなくなってから、ほんの少しだけ時間が過ぎた。
少女は不安そうに辺りを見回し始めた。
子供達も不思議そうに辺りを見回し始めた。
少女は心配そうに立ち上がった。
少女と子供達は、境内の中を探し始めた。
少女は心配そうに境内の中を探している。
子供達は少女に微笑んで話し掛ける。
「お姉ちゃん。総司お兄ちゃんは直ぐに戻ってくるよ。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。」
少女は子供達を見ながら微笑んで頷いた。
子供達は少女を微笑んで見ている。
少女は直ぐに心配そうな表情に戻ると、辺りを見回し始めた。
子供達は少女の様子を心配そうに見ながらも、声を掛けられずにいる。
時折優しい風が吹いてくる。
桜の花びらが少女と子供達のもとに舞い落ちてくる。
少女は桜の舞う様子を見る事もなく、心配そうに辺りを見回している。
少女と子供達の後ろから、突然大きな声が聞こえた。
「わっ!!!」
少女は驚いて目を閉じて体を小さくした。
子供達は驚いて動きが止まってしまった。
何人かの子供達は、心配そうに少女を見た。
残りの子供達は、ゆっくりと後ろを振り向いた。
沖田総司が少女と子供達の後ろに笑顔で立っている。
子供達は苦笑しながら沖田総司に話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。驚かさないでよ。誰か変な人でも来たかと思ったよ。」
沖田総司は子供達に笑顔で話し掛ける。
「驚いたんだ。嬉しいな。実は、みんなを驚かせてみようと思って、大きな声を出してみたんだ。」
子供達は呆れた表情で沖田総司を見ている。
沖田総司は少女の後ろから笑顔で話し掛ける。
「あのね。鈴ちゃんに見せたいものがあるんだ。」
少女は沖田総司を見る事もなく、両手で顔を覆ってしまった。
沖田総司は慌てて少女の前に来た。
少女は両手で顔を覆ったまま、静かに泣き始めた。
沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。
「鈴ちゃん。物凄く驚いたの? ごめんね。」
少女は両手で顔を覆ったまま静かに泣いている。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。後ろから突然大きな声がしたら怖いよね。気が付かなくてごめんね。」
子供達は沖田総司に心配そうに話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。お姉ちゃんはね、なかなか戻ってこない総司お兄ちゃんの事を、心配して探していたんだよ。」
沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。
「鈴ちゃん。ごめんね。」
少女は両手で顔を覆ったまま静かに泣いている。
沖田総司は子供達に微笑んで話し掛ける。
「みんな。今日は心配を掛けてしまってごめんね。もう帰って良いよ。」
子供達は沖田総司に普通に話し掛ける。
「総司お兄ちゃん。帰るね。」
沖田総司は子供達を微笑んで見ながら頷いた。
子供達は少女を心配そうに見ながらも、黙って去っていった。
沖田総司は泣いている少女を連れて寺の中に入ると、縁に座った。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。心配掛けてごめんね。」
少女は静かに泣き続けている。
沖田総司は少女を優しく抱き寄せた。
少女は沖田総司に抱き付きながら、静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃんを驚かせたり心配を掛けたりするつもりで、居なくなった訳じゃないんだ。悲しい思いをさせてしまった。本当にごめんね。」
少女は沖田総司に抱きついたまま、静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。心配を掛けてしまってごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で、静かな声で泣きながら話し出す。
「総司さんがなかなか戻られないので、心配になりました。お怪我をしたのかな? お体の調子が悪くなったのかな? 危険な事に巻き込まれていないかな? いろいろ考えてしまいました。」
沖田総司は少女を抱きながら、辛そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。心配を掛けてごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で、静かに泣きながら話し掛ける。
「もしかしたら、総司さんのご機嫌を損ねてしまって、先に帰られたのかとも考えてしまいした。」
沖田総司は少女を抱きながら、少し強い調子で話し出す。
「そんな事をする訳ないだろ。」
少女は沖田総司の腕の中で体を少し硬くすると、静かに泣きながら話し掛ける。
「私は総司さんに迷惑を掛けてばかりいます。申し訳ありません。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃんは何も悪くないよ。謝る必要も無いよ。」
少女は沖田総司の腕の中で静かに泣いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃんは何も悪くないよ。謝る必要も無いよ。だからそんなに心配しなくても良いよ。」
少女は沖田総司の腕の中で静かに泣いている。
沖田総司と少女のもとには、時折優しい風が吹いてくる。
桜の花びらが風に乗って、沖田総司と泣いている少女のもとに舞い落ちてくる。
それから暫く後の事。
少女は沖田総司の腕の中で泣き止んだ。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。いろいろとあって疲れたよね。そろそろ帰ろうか。」
少女は沖田総司に抱き付くと、不安そうに話し掛ける。
「総司さん。ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。
少女は沖田総司に抱き付きながら、不安そうに話し掛ける。
「総司さん。ごめんなさい。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。私は怒っていないよ。安心していいよ。」
少女は沖田総司に黙ったまま抱き付いている。
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃんに心配を掛けてしまった。本当に申し訳ないと思っているんだ。」
少女は沖田総司に抱きつきながら、不安そうに話し掛ける。
「心配なんです。」
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「私は大丈夫だよ。安心して良いよ。」
少女は沖田総司に抱き付きながら、心配そうに話し掛ける。
「総司さん。もう少しだけ一緒に居たいです。大丈夫ですか?」
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「少しだけなら大丈夫だよ。」
少女は微笑んで沖田総司に抱き付いている。
沖田総司は微笑んで少女を抱いている。
優しい風が微かに吹いた。
桜の花びらが沖田総司と少女のもとに舞い落ちてきた。
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。今日はもう帰ろう。」
少女は沖田総司に抱きついたまま離れない。
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。今日はもう帰ろう。明日もう一度会おう。」
少女は沖田総司から離れると、不安そうに沖田総司を見ている。
沖田総司はゆっくりと立ち上がると、少女に微笑んで手を差し出した。
少女は沖田総司を不安そうに見ている。
沖田総司はしゃがみ込むと、心配そうに少女に話し掛ける。
「鈴ちゃん。もしかして体の調子が悪くなった?」
少女は沖田総司を不安そうに見ながら、小さく首を横に振った。
沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。今日はもう帰ろう。」
少女は沖田総司を不安そうに見ながら、首を縦に振った。
沖田総司と少女は寺を後にした。
沖田総司と少女が去った後の事。
沖田総司と少女が先程まで居た縁に、桜の花びらが静かに舞い落ちた。
沖田総司は屯所に戻ってくると、そのまま斉藤一のもとを訪れた。
沖田総司が斉藤一に不安そうに話し掛ける。
「今日、鈴ちゃんと会いました。私は少しの時間のつもりで、鈴ちゃんの傍から離れました。でも、戻ってくるのが少し遅くなってしまいました。鈴ちゃんは私の事を心配して、ずっと探していたそうです。私はそんな事になっていると思わなくて、戻ってきた時にみんなを驚かせようと、大きな声を出しました。そうしたら鈴ちゃんが泣き出してしまいました。」
斉藤一は沖田総司を黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。
「今日の鈴ちゃんは、私が帰ろうと言っても、不安がって帰ろうとしませんでした。一人で居たのが余程不安だったんですね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「総司が美鈴の傍に居る時は、いつも傍に居るから安心していたんだと思う。総司が居なくても俺が居たから、余り気にならなかったと思う。でも、今回は子供達は居るが、一人だけになってしまったから、不安が増したんだと思う。」
沖田総司は心配そうに斉藤一を見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「美鈴さんには直ぐに会うんだろ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。
「鈴ちゃんとは、明日会います。鈴ちゃんの笑顔が戻ると良いのですが、大丈夫でしょうか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。
「総司。笑って美鈴さん会えよ。」
沖田総司は斉藤一を見ながら微笑んで頷いた。
その翌日の事。
沖田総司は少女の家へとやってきた。
少女は沖田総司を不安そうに見ながらも、一瞬だけ微笑んだ。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「出掛けよう。」
少女は沖田総司を見ると小さく頷いた。
沖田総司と少女は出掛けて行った。
沖田総司と少女は、人がほとんど居ない静かな場所にやってきた。
一本の大きな桜の木が、辺りを包み込むように、綺麗な花を咲かせている。
少女は桜の咲いている様子を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「綺麗な桜だよね。」
少女は沖田総司見ると微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「斉藤さんに教えてもらったんだ。」
少女は不思議そうに沖田総司を見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「私はこういう事が疎くてわからない事ばかりなんだ。だから、斉藤さんにここの桜の事を教えてもらったんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「やっぱり鈴ちゃんの笑顔は可愛いな。」
少女は恥ずかしそうに下を向いてしまった。
沖田総司は慌てて少女に話し掛ける。
「言い方が悪かったかな? ごめんね。」
少女は沖田総司を恥ずかしそうに見ると、小さく首を横に振った。
沖田総司は少女を安心した様子で見た。
少女は桜の木を微笑んで見上げている。
沖田総司は少女を微笑んで見ている。
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し掛ける。
「総司さん。桜の花がとても綺麗に咲いています。」
沖田総司は少女を見ながら微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見ていたが、再び桜の木を見上げた。
沖田総司は少女を黙って見ている。
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。昨日の事なんだけど。」
少女は不安そうに沖田総司を見た。
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し掛ける。
「鈴ちゃんを一人にしたのは、ここの桜の様子を確認するためだったんだ。桜は綺麗に咲いていたから、鈴ちゃんが見たら喜ぶだろうなと考えたら、嬉しくなったんだ。それでつい驚かせるような事をしてしまったんだ。」
少女は沖田総司を不安そうに見ている。
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し掛ける。
「鈴ちゃんも子供達も寺の境内に居たから危ない事もほとんどないし、周りに危険な様子も感じなかったから、良いかなと思ってしまって、一人にしてしまった。良く考えたら、鈴ちゃんと一緒に見に行っても良かったんだよね。私の考えが至らなかったせいで、鈴ちゃんに不安な思いをさせてしまった。本当にごめんね。」
少女は不安そうに沖田総司を見ている。
沖田総司は少女に不安そうに話し掛ける。
「私は鈴ちゃんの喜ぶ顔が見たかったんだ。私がもう少し気を配っていれば、鈴ちゃんはこの桜を昨日も今日も見る事が出来たんだよね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。ありがとうございます。ここの桜を見る事が出来てとても嬉しいです。斉藤さんにもお礼を言ってください。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。ありがとう。斉藤さんには私からお礼を伝えておくよ。」
少女は微笑んで沖田総司を見ている。
沖田総司は微笑んで少女を見ている。
優しい風が沖田総司と少女のもとに吹いてきた。
桜の花びらが風に乗って舞い踊る。
沖田総司は一瞬だけ桜の舞う様子を見た。
桜の花びらの舞う中で、微笑んで少女に笑顔で話し掛けた。
「鈴ちゃん、桜がとても綺麗・・・」
少女は沖田総司の横に居ない。
沖田総司は心配そうに辺りを見回したが、少女の姿は見えない。
心配そうに辺りを見ながら呟いた。
「鈴ちゃん。何があったんだ?」
桜の木から少女の明るい声が突然聞こえてきた。
「総司さん!」
沖田総司は不思議そうに桜の木に近づいた。
桜の木の幹に隠れていた少女が、笑顔で顔を出すと、沖田総司に話し掛ける。
「総司さん! ここです!」
沖田総司は少女の様子を安心した表情で見た。
少女は桜の木から少しだけ顔を見せながら、笑顔で沖田総司を見ている。
沖田総司は心配そうな表情で、少女に話し掛ける。
「鈴ちゃん。何をやっているんだ。急に見えなくなったから心配したんだぞ。」
少女は少し驚いた表情で沖田総司を見た。
沖田総司は心配そうに少女を見ている。
少女は悲しそうな表情になると、下を向いてしまった。
沖田総司は少女に近づくと、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。黙って居なくなったら駄目だよ。」
少女は下を向いたまま、沖田総司に小さい声で話し掛ける。
「総司さんは気が付いていると思ってしまって、黙ってここに来ました。申し訳ありませんでした。」
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は静かに泣き出した。
沖田総司は少女を抱き寄せると、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。泣かないで。鈴ちゃんが楽しんでいたのに、いろいろと言ってしまってごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で、静かに泣いている。
沖田総司は少女を優しく抱きながら、心配そうに話し掛ける。
「鈴ちゃん。ごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で、静かに泣いている。
沖田総司は少女を優しく抱きながら、悲しそうに話し掛ける。
「桜の木から見せた鈴ちゃんの笑顔は、可愛かったよ。鈴ちゃんの笑顔が見られて嬉しいよ。それなのに私は鈴ちゃんを泣かせてしまった。私は駄目だな。本当にごめんね。」
少女は沖田総司の腕の中で、静かに泣いている。
時折風が吹いて桜の花びらが舞い落ちてくる。
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。不思議だね。鈴ちゃんが笑顔で桜の木の下に居た時は、桜の花びらが落ちなかったんだよ。でも、今は桜の花びらがたくさん落ちてくるよ。不思議だね。」
少女は沖田総司の腕の中で泣き止んだ。
沖田総司は少女を微笑んで抱いている。
少女は沖田総司の腕の中で、桜の木を見ている。
沖田総司は少女を優しく抱きながら、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。桜の花びらが落ちてこないよ。」
少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで頷いた。
沖田総司は少女をゆっくりと離すと、微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃんの笑顔は桜も元気にするんだよ。」
少女は沖田総司を恥ずかしそうに見た。
沖田総司と少女は、微笑んで桜の木を見上げた。
ちょうど同じ頃。
土方歳三と斉藤一が、沖田総司と少女の二人が居る近くを通りかかった。
沖田総司と少女からは、土方歳三と斉藤一の姿は見えない。
土方歳三と斉藤一からも、沖田総司と少女の様子は見えない。
土方歳三が沖田総司と少女の居る方向を見ながら呟いた。
「い行き逢ひの 坂の麓に 咲きををる 桜の花を 見せむ子もがも」
斉藤一は黙って土方歳三を見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「今少しだけ総司が羨ましいと思った。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し掛ける。
「土方さんならそんなに努力しなくても、相手は見つかると思いますが。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「でも、見せたい人がたくさん居て困るんだよな。」
斉藤一は土方歳三をじっと見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「総司はまたあの子を泣かせている様な気がするな。でも、お互いの想いが通じて、総司とあの子は、楽しく桜を見ているんだろうな。」
斉藤一は土方歳三を見ながら黙って頷いた。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。
「そろそろ戻るか。」
斉藤一は土方歳三を見ると黙って頷いた。
土方歳三と斉藤一は、その場から静かに居なくなった。
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。今度は桜の木に隠れる前に話しをしてくれると、嬉しいなかな。」
少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。
沖田総司と少女は、微笑んで桜の木を見上げた。
桜の木は沖田総司と少女を優しく包み込むように咲いている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
桜の木の近くで遊んでいる沖田総司さんと子供達、桜の下での笑顔の鈴ちゃん、桜の花びらの舞う中で泣いている鈴ちゃん、をイメージしながら書きました。
物語の中で使われている歌は、「万葉集 第九巻 一七五二番」からの歌です。
「い行き逢ひの 坂の麓に 咲きををる 桜の花を 見せむ子もがも」
ひらがなの読み方は、「いゆきあいの さかのふもとに さきををる さくらのはなを みせむこもがも」となります。
作者は、「高橋虫麻呂(たかはしむしまろ)の歌集」からの歌です。
この歌ですが、ある歌の返歌のようです。
返歌だとすると元歌は長歌らしいです。
歌の意味は、「国境(くにざかい)の坂の麓に咲き乱れている桜の花を見せてあげられる娘がいたらなぁ。」となるそうです。
原文は、「射行相乃 坂之踏本尓 開乎為流 櫻花乎 令見兒毛欲得」です。
この歌の題詞によると、奈良から難波へ行って一泊して帰ってきた時に詠んだ歌とのことです。
「桜月」ですが、「さくらづき」と読みます。
「陰暦三月の異称」です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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