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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 暮春から初夏へ 春すぎて夏来にけらし 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

土方歳三、伊東甲子太郎、沖田総司、斉藤一、藤堂平助、少女[美鈴・鈴]




「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」

「小倉百人一首 二番」、及び、「新古今集」より

作者:持統天皇(じとうてんのう)




ここは、京の町。



一重の桜の花が満開の季節を迎えている。



山南敬助が亡くなってから直ぐに迎える桜の季節になる。



新撰組は、山南敬助が亡くなった当初は落ち着かなかったが、少しずつ落ち着いてきた。



桜の花は様々な人達の想いを受けて咲いている。



青空が広がり気持ちの好い暖かさになっている。



ここは、屯所。



縁。



斉藤一は土方歳三の部屋の方向に普通に歩いている。



斉藤一の目の前に、桜の花びらが舞い落ちてくる。



斉藤一は普通に止まった。



斉藤一は桜の花びらの舞い散る様子を普通の表情で見た。



桜の花びらは、斉藤一の足元に、ゆっくりと舞い落ちた。



斉藤一は足元に舞い落ちた桜の花びらを普通の表情で見た。



心地好い風が吹いた。



斉藤一は前を普通の表情で見た。



斉藤一は普通に歩き出した。



僅かに後の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。



斉藤一が部屋の中に普通に入った。



斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。近藤さんや伊東さんと話し合って、隊士を増やすと決めた。近い内に、隊士募集のために、江戸に行く。江戸に行く主な新撰組の幹部は、伊東さん、俺、斉藤、平助、になる。斉藤も一緒に江戸に行って欲しい。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「近藤さんは立場から考えて江戸に行かせられない。俺が江戸に行くしかない。伊東さんは参謀だから江戸に行くために外せない。江戸では、剣の技術の確認が必要だ。剣の技術の確認のために、斉藤と平助が江戸に行く状況を考えた。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。江戸に共に行って欲しい。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤の雰囲気は、京で最初に会った時と今では、かなり違う。俺と伊東さんも、江戸に行く。仮に、万が一の何かが起きたとしても、相手には、会津藩が付いている状況が分かる。斉藤が江戸に行っても問題無いと思う。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。江戸に一緒に行く返事と考えて良いのかな?」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「出立は、四月になったら直ぐになると思う。早めに準備をしてくれ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「気になる内容が有るならば、江戸に行く前に出来る範囲で調整してくれ。時間が必要な場合は調整する。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺からの話は終わりだ。戻って良いぞ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。



斉藤一は部屋に普通に出て行った。



幾日か後の事。



ここは、京の町。



一重桜の見頃が終わり、八重桜が咲き始めた。



斉藤一が江戸に行く日が一日ずつ近付いている。



今は、夜。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は普通に居る。



斉藤一が部屋を普通に訪れた。



沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤さん。直ぐに江戸に行きますよね。寂しいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「私も一緒に江戸に行きたいです。京の町から離れて江戸に行きたいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。江戸に行きたい気持ちは分かるが、俺と総司が共に江戸に行けば、美鈴さんが一人になる。」

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「鈴ちゃんを一人で京の町に残して江戸に行くのは心配です。永倉さんや原田さんなどが、京の町を守ってくれます。鈴ちゃんは、任務で江戸に行くと話せば、分かってくれると思います。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話は、江戸に行きたいのは任務が理由に聞こえない。総司の話は、昔のように俺や土方さんと一緒に出掛けたい、山南さんの居た京から少しだけで良いから離れたい、多摩に行って家族や仲の良い人物に逢いたい、などと、聞こえる。」

沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌に話し出す。

「私は斉藤さんの話す内容は思っていません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんにも、今の表情と今の口調で、総司の気持ちを話せ。」

沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺の話を聞いて黙った。美鈴さんに話しが出来ると判断する。」

沖田総司は斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は京の町に居ない日が暫く続く。総司が美鈴さんを守らなければ、誰が美鈴さんを守るんだ?」

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「江戸の町に行く気持ちだけが強く出てしまいました。私は未熟者ですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。先に落ち込んだ。美鈴さんも一緒に落ち込ませなかった。良かったな。」

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。少し早いですが、今の内に頼み事をしても良いですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私の代わりに鈴ちゃんに江戸のお土産を買ってください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は今の江戸について話しが出来ません。鈴ちゃんの喜ぶ物を見たら、鈴ちゃんに話してください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「大切な頼み事を、俺に早く話す。総司は相当に忘れやすい性格だったんだな。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「だって〜 最近の斉藤さんは〜 江戸に行くための準備で忙しいではないですか〜」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと話しが出来て嬉しいです。ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



数日後の事。



ここは、京の町。



早く咲いた八重桜の花が少しずつ散り始めている。

遅く咲き始めた八重桜の花が見頃を迎えている。



ここは、少女の家。



玄関。



斉藤一は普通に訪ねた。



少女は微笑んで来た。



斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんにちは。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「既に知っていると思うが、総司は後から来る。俺と美鈴さんで、先に行く。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一は普通に居なくなった。

少女は微笑んで居なくなった。



少し後の事。



ここは、満開の八重桜の花の咲く場所。



遅めに咲いた満開の八重桜が咲いている。



満開の八重桜の木の下。



斉藤一は普通に来た。

少女は微笑んで来た。



少女は八重桜を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。既に知っているかも知れないが、話したい内容がある。」

少女は斉藤一を見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「四月になったら、一ヶ月程度になると思うが、江戸に行く。」

少女は斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司は江戸に行かない。安心しろ。」

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤さんが居ないと、総司さんが寂しい表情になる時があります。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「私も斉藤さんが居ないと寂しいです。」

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤さん。無事に京の町に戻ってください。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「心配する気持ちには感謝するが、江戸には危険な任務で行かない。安心しろ。」

少女は斉藤一に心配して話し出す。

「旅の途中に何が起こるか分かりません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺への心配は無用だ。総司が寂しい表情になったら、一緒に落ち込むな。総司を笑顔で励ませ。」

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に言い難く話し出す。

「斉藤さん。一つお願いをしても良いですか?」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に言い難く話し出す。

「江戸の物が欲しいです。品物はお任せします。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「江戸の物を家の人に頼んで取り寄せた時があります。京の物とは違いました。」

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「総司さんが江戸の話をしてくださいます。私は江戸に行った時がありません。江戸の風習も知りません。斉藤さんは江戸に居た時がありますよね。今までの江戸の物とは違う物が見られると思いました。」

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。

「今の話は忘れてください。斉藤さんはお仕事で江戸に行きます。私のために時間を割いて頂くのは失礼になります。気付くのが遅くなりました。すいません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺への気遣いは無用だ。俺が物を選ぶと、品の良さや風流からは程遠くなる。美鈴さんの趣味に合わない物になる。良いのか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが私のために選ぶお土産です。斉藤さんから頂くお土産です。嬉しいです。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんからの頼み事だ。江戸で土産物を用意する。期待して待たないで欲しい。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。斉藤さんの負担にならないように、少しだけ期待して待っています。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一の後ろと少女の後ろから、沖田総司の拗ねた様子の小さな声が聞こえた。

「良いな〜 何を話していたのかな〜 楽しそうだな〜」



少女は後ろを微笑んで見た。

斉藤一は後ろを普通の表情で見た。



沖田総司は微笑んで居る。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は直ぐに江戸に行く。美鈴さんに挨拶をしていた。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「本当ですか〜? 旅に行く直前の挨拶にしては、楽しく話していましたよ〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は、騒がしくて迷惑を掛けるだけの人物から離れて、江戸でゆっくりと過ごせる。総司は俺と逢わない分、美鈴さんを想う時間が増える。楽しい内容のみだ。」

沖田総司は斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは、迷惑を掛けるだけの人物の面倒を一人で見る。美鈴さんは、愚痴も一人で聞く。美鈴さんは、大変だ。美鈴さんにとって、楽しい話に該当するか不明だ。」

沖田総司は斉藤一に赤面して大きな声で話し出す。

「斉藤さん!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「悪いが先に戻る。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「気を付けてお出掛けしてください。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を赤面して見ている。



斉藤一は普通に居なくなった。



幾日か後の事。



暦が変わり、夏を迎えた。



土方歳三、伊東甲子太郎、斉藤一、藤堂平助は、江戸へと向かった。



数日後の事。



土方歳三、伊東甲子太郎、斉藤一、藤堂平助が、江戸に行く途中の事になる。



土方歳三は普通に歩いている。

伊東甲子太郎も普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。

藤堂平助も普通に歩いている。



青く澄み渡った空の中に、富士山が見えた。



斉藤一は富士山を普通の表情で見た。

土方歳三は富士山を一瞥すると、斉藤一を見て、斉藤一に微笑んで呟いた。

「“春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山”。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「香具山ではないが、細かい内容は気にしないように。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は富士山を微笑んで見た。

斉藤一は富士山を普通の表情で見た。



数日後の事。



土方歳三、伊東甲子太郎、斉藤一、藤堂平助人は、江戸へ到着した。



ここは、江戸。



斉藤一は忙しい日々の中、暇を見付けては、沖田総司と少女から頼まれた土産物を探している。



宿。



一室。



伊東甲子太郎は微笑んで居る。

土方歳三も微笑んで居る。



伊東甲子太郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「斉藤君は、暇を見付けては、何かを探している様子だね。」

土方歳三は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「総司が江戸の土産物を頼んだそうです。土産物の品によっては、総司が騒ぐかも知れません。斉藤はいろいろと考えて土産物を選んでいます。時間が掛かっていると思います。」

伊東甲子太郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「沖田君のためにいろいろと気を配っているのか。斉藤君は不思議な人物だと幾度も思う。」

土方歳三は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「不思議な状況ではないです。」

伊東甲子太郎は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は伊東甲子太郎を微笑んで見た。



翌日の事。



ここは、江戸。



町中。



藤堂平助は、幾件もの店を訪れては、納得のいく物が見付からないのか、物を買わずに店を出る。



藤堂平助は考えながら歩いている。



一軒の店。



藤堂平助は店の中に普通に入った。



斉藤一が藤堂平助を普通の表情で見た。



藤堂平助は斉藤一に不思議な様子で軽く礼をした。



斉藤一は店を普通に出て行った。



翌日の事。



ここは、江戸。



江戸での隊士募集の最中に、少しだけになるが時間が空いた。



寺。



藤堂平助は普通に訪れた。



藤堂平助はお守りを手に入れた。



藤堂平助は懐にお守りを大事に仕舞った。



藤堂平助は普通に居なくなった。



町中。



伊東甲子太郎は普通に歩いている。

藤堂平助も普通に歩いている。



藤堂平助が懐のお守りを普通の表情で確認した。

伊東甲子太郎が藤堂平助に微笑んで話し出す。

「京に居る誰かに頼まれたのかな?」

藤堂平助は伊東甲子太郎を見ると、伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「違います。お土産を渡したい人物が居るのですが、渡す機会が無い様子なので、代わりに江戸のお守りを手に入れました。私は京よりも江戸に居た期間が長いです。江戸のお守りの方が、ご利益があると考えて、江戸のお守りを手に入れました。」

伊東甲子太郎は藤堂平助を微笑んで見た。

藤堂平助は伊東甲子太郎に微笑んで話し出す。

「機会が有れば、お守りを渡したいと思います。」

伊東甲子太郎は藤堂平助に微笑んで話し出す。

「御守りを渡す機会が訪れると良いね。」

藤堂平助は伊東甲子太郎に微笑んで軽く礼をした。

伊東甲子太郎は藤堂平助を微笑んで見た。



幾日か後の事。



江戸での忙しい日々は、瞬く間に過ぎていった。



今は、土方歳三、伊東甲子太郎、斉藤一、藤堂平助が、江戸から京へ戻る旅の途中になる。



土方歳三は普通に歩いている。

伊東甲子太郎も普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。

藤堂平助も普通に歩いている。



青空の中に、富士山が見えた。



斉藤一は青空と富士山を普通の表情で見た。

土方歳三は富士山を一瞥すると、斉藤一を見て、斉藤一に微笑んで呟いた。

「“春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山”。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「香具山では無いが、良いだろ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。行きの富士山。帰りの富士山。どちらが良いかな?」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は青空と富士山を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺は江戸から京へ向かう富士山が良い。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は青空と富士山を微笑んで見ている。

斉藤一は、土方歳三、青空、富士山、を普通の表情で見た。



「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」

季節は、春から夏へ動いた。

斉藤一は、隊士募集の任務のために、江戸へ行った。

今は、江戸の任務が終わり、沖田総司と少女が居る京へ、戻る途中になる。

京では、沖田総司と少女が、斉藤一の帰りを待っている。

京に戻ったら、沖田総司と少女に、土産物を早く渡す必要が有る。

京に戻ったら、再び厳しい生活が始まる。

斉藤一にとって、落ち着かないけれど、面白い生活が、再び始まる。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 二番」、及び、「新古今集」

「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」

ひらがなの読み方は「はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすてふ あまのかぐやま」

作者は「持統天皇(じとうてんのう)」

歌の意味は「春が過ぎてもう夏が来ているらしいですね。夏になると真っ白な衣を干すという天の香具山に、白い衣が干してありますよ。」となるそうです。

この歌の基は「万葉集 第一巻 二十八番」です。

「小倉百人一首」や「新古今集」と詠み方は違います。

この物語の補足です。

斉藤一さんが隊士募集のために江戸に行く前後の物語です。

斉藤一さんが江戸に行くのは、旧暦の四月になるそうです。

この物語は、旧暦では、三月から四月に掛けての時間設定です。

現在の暦では、四月から五月に掛けての時間設定です。

斉藤一さんが隊士募集のために江戸に行く前後の物語は、既に数作か掲載しています。

全部の作品を合わせると、つじつまの合わない部分が出てきます。

基本的には独立している物語のため、ご了承ください。

土方歳三さんと斉藤一さんが、江戸に行くための話の中の内容についてです。

基になるのが、斉藤一さんが山口一さんと名乗って江戸に居る時に、旗本を斬ったため、江戸に居られなくなり京に来た、という出来事です。

江戸で旗本を斬って数年で江戸に戻って大丈夫なのかと思いましたが、当時の捜査方法などから考えると、問題はないように思いました。

史実では、山南さんが亡くなった年の夏の初めの頃に、土方歳三さん、伊東甲子太郎さん、斉藤一さん、藤堂平助さん、の幹部級の四人が、隊士募集のために江戸に行きました。

土方歳三さんが斉藤一さんの江戸での事件を知っていたかは別にして、斉藤一さんは危ないと思ったら江戸に行かないと思います。

斉藤一さんは江戸に行っているので安心なのだと思いました。

事件の詳細は分かりませんが、当事者達に会う可能性や捕まる可能性が、低かったのかも知れません。

「暮春(ぼしゅん)」についてです。

「春の終わり」、「陰暦三月の異称」、などの意味です。

「初夏(しょか)」についてです。

「夏の初め」、「陰暦四月の異称」、などの意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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