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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 女郎花月 をみなへし咲きたる野辺 〜
〜 改訂版 〜
登場人物
近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、藤堂平助、原田左之助、少女[美鈴・鈴]
「をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ」
「万葉集 第十七巻 三九四四番」より
作者:大伴宿祢池主(おおとものすくねいけぬし)
暦は、秋になる。
ここは、京の町。
夏のような日が続いていたが、少しずつ涼しさを感じるようになった。
ここは、町中。
沖田総司は微笑んで歩いている。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「予定より早く終わりました。嬉しいですね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで止まった。
斉藤一は普通に止まった。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は離れた場所を微笑んで見ている。
斉藤一は沖田総司と沖田総司の視線の先を普通の表情で見た。
女郎花のたくさん咲く場所が在る。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。女郎花がたくさん咲いています。鈴ちゃんの喜ぶ光景ですよね。」
斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃんと一緒に、見付けた場所でたくさんの女郎花を見ましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。屯所に戻って着替えが終わったら、鈴ちゃんの家に直ぐに行きましょう。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は微笑んで早く歩き出した。
斉藤一はたくさんの女郎花の咲く場所を見ると、普通の表情で呟いた。
「“をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ”。」
沖田総司は微笑んで止まった。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。屯所に早く戻りますよ。鈴ちゃんに逢う時間が短くなりますよ。」
斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで早く歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
直後の事。
ここは、町中。
藤堂平助は普通に歩いている。
原田左之助は微笑んで歩いている。
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「用事は予定通りに終わった。後は、屯所に戻るだけだな。」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「はい。」
原田左之助は藤堂平助に苦笑して話し出す。
「夜は涼しくなったが、昼間は少し暑いな。」
藤堂平助は原田左之助に苦笑して話し出す。
「はい。」
原田左之助は微笑んで止まった。
藤堂平助は不思議な様子で止まった。
原田左之助は少し離れた場所を微笑んで見た。
藤堂平助は原田左之助と原田左之助の視線の先を不思議な様子で見た。
女郎花のたくさん咲く場所が在る。
原田左之助は藤堂平助を見ると、藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助。女郎花がたくさん咲いている。」
藤堂平助は原田左之助を見ると、原田左之助に微笑んで話し出す。
「はい。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「おまさちゃんに女郎花を贈ると喜ぶかな?」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「女郎花は、綺麗の色の花ですが、花の香りは余り良くありません。他の贈り物と一緒に女郎花を贈る方法が良いと思います。」
原田左之助は藤堂平助に不思議な様子で話し出す。
「女郎花と菓子を一緒に贈れば良いのかな?」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「菓子。秋に咲く他の花。歌。一緒に贈る物はいろいろ有ります。」
原田左之助は藤堂平助を見ながら、微笑んで考えた。
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「相手の好きな物に女郎花を添えて贈る方法も良いと思います。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助の話の内容は、土方さんが話しているように感じる。」
藤堂平助は原田左之助に苦笑して話し出す。
「私と土方さんは、比較になりません。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「おまさちゃんが俺を感心する贈り物。何だと思う?」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「女郎花と歌を一緒に贈る方法が良いと思います。」
原田左之助は藤堂平助に不思議な様子で話し出す。
「平助。良い歌を知っているのか?」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「女郎花が歌の中に登場して、今の状況に少し似る歌があります。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助。早く教えてくれ。」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「“をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ”。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「確かに似ている。おまさちゃんに今の歌を贈るよ。」
藤堂平助は原田左之助を微笑んで見た。
原田左之助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助。今から、歌のとおりに、おまさちゃんに逢いに行く。後は頼む。」
藤堂平助は原田左之助に僅かに慌てて話し出す。
「原田さん。逢いに行く前に歌を書かないと困ると思います。」
原田左之助は藤堂平助に恥ずかしく話し出す。
「平助の話すとおりだな。」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「女郎花を少しだけ持って帰りましょう。」
原田左之助は藤堂平助に微笑んで頷いた。
少し後の事。
ここは、女郎花のたくさん咲く場所。
原田左之助は微笑んで来た。
藤堂平助も微笑んで来た。
原田左之助は数本の女郎花を微笑んで手折った。
藤堂平助は原田左之助を微笑んで見た。
原田左之助は数本の女郎花を大事に持ち、藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助。屯所に早く戻るぞ。」
藤堂平助は原田左之助に微笑んで話し出す。
「はい。」
原田左之助は数本の女郎花を大事に持ち、微笑んで早く歩き出した。
藤堂平助は微笑んで歩き出した。
少し後の事。
ここは、少女の家。
玄関。
沖田総司は微笑んで訪ねた。
少女は不思議な様子で来た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「任務が早く終わったんだ。帰る途中にたくさんの女郎花が綺麗に咲く場所を見付けたんだ。鈴ちゃんと一緒にたくさんの女郎花を見たいと思ったんだ。予定外だけど訪問したんだ。鈴ちゃんが差し支えなければ、たくさんの女郎花を一緒に見に行こう。斉藤さんも一緒にたくさんの女郎花を見るんだ。斉藤さんも楽しみに待っているよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「楽しみです。一緒にお出掛けしたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「一緒に出掛けよう。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、女郎花のたくさん咲く場所。
沖田総司は微笑んで来た。
少女も微笑んで来た。
斉藤一は普通に来た。
少女はたくさんの女郎花を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さん。斉藤さん。とても綺麗です。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司はたくさんの女郎花を困惑した表情で見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女を見ると、少女に困惑して話し出す。
「鈴ちゃん。女郎花の咲く場所に、近藤さんと土方さんが、居るんだ。」
少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。
沖田総司は斉藤一に困惑して話し出す。
「斉藤さん。近藤さんと土方さんが、何故、女郎花の咲く場所に居るのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「女郎花を摘みに来たと思う。」
沖田総司は斉藤一に困惑して話し出す。
「斉藤さんの話が正しければ、近藤さんと土方さんは、直ぐに居なくなりますよね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「少し離れて様子を見よう。」
沖田総司は少女に困惑して話し出す。
「鈴ちゃん。少し離れて様子を見よう。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
少女も微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、女郎花のたくさん咲く場所。
近藤勇は微笑んで居る。
土方歳三も微笑んで居る。
近藤勇も土方歳三も、沖田総司、斉藤一、少女が来ている状況に気付いてない。
近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。
「歳。私が今の場所に居る状況。場違いな気がする。」
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「気にしない。気にしない。」
近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。
「歳。落ち着かない。早く花を摘んで、今の居る場所から早く去ろう。」
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「近藤さん。綺麗な女郎花だ。歌に添えて贈ると喜ぶと思う。」
近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。
「歳。今の話は、誰について話しているんだ?」
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「両方。」
近藤勇は土方歳三を苦笑して見た。
土方歳三は数本の女郎花を手折ると、近藤勇に数本の女郎花を微笑んで渡した。
近藤勇は土方歳三から数本の女郎花を苦笑して受け取った。
土方歳三はたくさんの女郎花を見ると、微笑んで呟いた。
「“をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ”。」
近藤勇は数本の女郎花を持ち、土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は近藤勇を見ると、近藤勇に微笑んで話し出す。
「今の歌は、俺が贈る。近藤さんは別な歌を贈るように。」
近藤勇は数本の女郎花を持ち、土方歳三に不思議な様子で話し出す。
「私と歳が、歌を贈る相手は違うのだろ。同じ歌を贈っても問題ないと思う。」
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「時期的に同じ歌を贈る可能性はあるが、俺と近藤さんが、近い日に同じ歌を贈った状況が分かると、周囲の人達が、勝手な想像して、いろいろと話すかも知れない。良い歌はたくさんある。近藤さんは別な歌にしてくれ。」
近藤勇は数本の女郎花を持ち、土方歳三に苦笑して話し出す。
「実は、私も歳の話した歌を贈りたいと思っていた。今回、歳は綺麗な女郎花の咲く場所を見付けてくれた。今回は、歳への更なる礼を兼ねて、別な歌を贈る。」
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「近藤さん。ありがとう。」
近藤勇は数本の女郎花を持ち、土方歳三に微笑んで話し出す。
「どういたしまして。」
土方歳三は女郎花を微笑んで手折った。
近藤勇は数本の女郎花を持ち、土方歳三に微笑んで話し出す。
「歳。戻ろう。」
土方歳三は女郎花を持ち、近藤勇を見ると、近藤勇に微笑んで頷いた。
近藤勇は数本の女郎花を持ち、微笑んで歩き出した。
土方歳三は女郎花を持ち、微笑んで歩き出した。
直後の事。
ここは、女郎花のたくさん咲く場所。
沖田総司は近藤勇と土方歳三を普通の表情で見ている。
斉藤一も近藤勇と土方歳三を普通の表情で見ている。
少女は、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、を不思議な様子で見ている。
近藤勇の姿も土方歳三の姿も、少しずつ見えなくなっていく。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に普通に話し出す。
「近藤さんと土方さんは、帰ると判断して良いのでしょうか?」
斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫だよ。女郎花をたくさん見よう。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は微笑んで歩き出した。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
少女は微笑んで歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、女郎花のたくさん咲く場所。
沖田総司は微笑んで止まった。
斉藤一は普通に止まった。
少女は微笑んで止まった。
少女はたくさんの女郎花を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
少女は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さん。斉藤さん。たくさんの綺麗な女郎花が見られます。嬉しいです。素敵な場所に連れてきて頂いて、ありがとうございます。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが喜んでくれた。嬉しいな。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女を見ると、少女に僅かに恥ずかしく話し出す。
「鈴ちゃん。少し良いかな?」
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に僅かに恥ずかしく話し出す。
「鈴ちゃん。“をみなへし”。」
辺りに、弱い風が吹いた。
たくさんの女郎花が風に揺れ始めた。
少女はたくさんの女郎花の揺れる様子を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さん。斉藤さん。女郎花が波のように揺れています。綺麗です。」
沖田総司は少女に苦笑して頷いた。
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
たくさんの女郎花の波のような揺れ方が、少しずつ小さくなっていく。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。“をみなへし”。」
辺りに、弱い風が吹いた。
たくさんの女郎花が風に揺れ始めた。
少女はたくさんの女郎花の揺れる様子を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
たくさんの女郎花は波のように揺れ続けている。
「をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ」
近藤勇、土方歳三、沖田総司、原田左之助は、女郎花と歌を贈る方法は何になるのか?
たくさんの綺麗な女郎花の咲く場所で起きた秋の日の出来事は、たくさんの想いの中で続いていく。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
この物語に登場する歌は「万葉集 第十七巻 三九四四番」
「をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出 た廻り来ぬ」
ひらがなの読み方は「わみなへし さきたるのへを いきまわり きみをおもひで たもとほりきぬ」
作者は「大伴宿祢池主(おおとものすくねいけぬし)」
歌の意味は「女郎花(おみなえし)が咲いている野をめぐっているうちに、あなたのことを思い出して、回り道をしてやってきたのですよ。」となるそうです。
原文は「乎美奈敝之、左伎多流野渡邊乎、由伎米具利、吉美乎念出、多母登保里伎奴」
「女郎花(おみなえし)」についてです。
「秋の七草」の一つです。
綺麗な黄色い花が咲きます。
香りは余り良くないといわれています。
この物語の補足です。
この物語の舞台のほとんどは、たくさんの女郎花の咲く場所か近辺です。
新撰組の人達が同じ場所で話している物語です。
京都の実在の場所をイメージしていていません。
ご了承願います。
「女郎花月」についてです。
「おみなえしづき」、または、「をみなへしづき」、と読みます。
「陰暦七月の異称」です。
この物語では「おみなえしづき」と読んでいます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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