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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 蘭月から葉月へ 山菅の止まずて君を思へかも 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]




「山菅の 止まずて君を 思へかも 我が心どの この頃はなき」

「万葉集 第十二巻 三〇五五番」

作者:詠み人知らず




暦は、秋を迎えた。



ここは、京の町。



暑さを感じる日が続いている。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。

机の上に、紙が置いてある。



土方歳三は部屋を微笑んで訪れた。



近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。部屋に来るように呼んでしまった。悪かった。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「気にするな。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「お雪に歌を贈りたい。歳。以前に、気の利く贈る方法にするように話した。私は風流に疎い。気の利く贈る方法が思い浮かばない。相談したくて呼んだ。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「歌の他に贈る物は何だ?」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「薮蘭を贈りたいと思っている。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「綺麗な紫色の花だ。良いと思う。」

近藤勇は土方歳三に紙を渡すと、土方歳三に微笑んで話し出す。

「お雪に贈る歌を数首ほど選んだ。歳。選んで欲しい。」

土方歳三は近藤勇から紙を受け取ると、紙を微笑んで見た。

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は紙を持ち、近藤勇を見ると、近藤勇に微笑んで話し出す。

「薮蘭を詠んだ歌が良いと思う。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は紙を持ち、近藤勇に微笑んで話し出す。

「薮蘭を一本だけ用意して、藪蘭の茎に歌を巻き付けて贈るんだ。」

近藤勇は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「一本だけで良いのか?」

土方歳三は机の上に紙を置くと、近藤勇に微笑んで話し出す。

「幾本も用意する時間が無い。考えが廻らないから、一本だけなんだ。」

近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。

「歳が今の方法で歌と花を贈ると様になる。私が今の方法で贈っても大丈夫なのか?」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「気にしない。気にしない。」

近藤勇は土方歳三を苦笑して見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。もしかして恥ずかしいのか?」

近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。

「少し。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「総司に、薮蘭と歌を持たせて、お雪さんの家に行かせたい。」

近藤勇は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「今の歌ならば、総司には意味が伝わりにくい。良い機会だ。総司にも、あの子に薮蘭と歌を贈るように、話を展開したい。」

近藤勇は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「歳。今の方法は、お雪も巻き込む形になる。良いのか?」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「お雪さんはあの子を気に掛けている。お雪さんは喜んで協力する。お雪さんも、近藤さんから花と歌を受け取れる。あの子も、総司から花と歌が受け取れる。一石二鳥以上の内容が出来る。」

近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。

「さすが。歳。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺を誰だと思っているんだ?」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「新撰組の鬼の副長、策士の土方歳三、恋愛の達人、頼りになる友人、で良いのかな?」

土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。



翌日の事。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。

机の上には、紙が置いてある。



沖田総司は部屋を微笑んで訪れた。



近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。一つ頼みがある。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さんの頼み。何ですか?」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お雪に花と歌を届けて欲しい。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「贈る花は、薮蘭だ。薮蘭を二本だけ用意してくれ。一本だけ歌を書いた紙を巻き付けてくれ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「隊服を着て花を探す行為は、周りが不思議に思う。隊服を着ないで出掛けてくれ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。一人で薮蘭が咲く場所を探すのは、大変だと思う。斉藤と一緒に出掛けて良いぞ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤は任務の都合で途中から居なくなると思う。途中からは、総司一人のみになる。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も近藤勇を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は部屋を微笑んで訪れた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。近藤さんに頼まれて、お雪さんに藪蘭と歌を届けます。一緒に手伝ってください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、町中。



沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「近くに薮蘭の花の咲く場所が在るのですね。良かったです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんはいろいろな内容を知っていますね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「いろいろな内容を知る訳ではない。覚える行為には損が無いから、忘れないようにしている。」

沖田総司は斉藤一を感心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お雪さんに歌と花を渡した帰りに、鈴ちゃんに薮蘭を持って行きたいと思います。大丈夫でしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは藪蘭を喜んでくれるでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに薮蘭と歌を一緒に贈る方法が良い。藪蘭のみを贈るより、更に喜ぶ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃんに贈る歌を用意していません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「お雪さんは歌に詳しい。良い歌を教えてくれると思う。」

沖田総司は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「お雪さんに、鈴ちゃんに贈る歌を相談するのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。何故、恥ずかしがる?」

沖田総司は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「恥ずかしいより、話し難いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「お雪さんは総司より遥かに歌に詳しい。自分より優れた人物に教えを乞う言動。普通の言動だ。恥ずかしく思うな。」

沖田総司は斉藤一を恥ずかしく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの笑顔を見たいのだろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。お雪さんに鈴ちゃんへの贈り物の歌を相談します。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



少し後の事。



ここは、藪蘭の花の咲く場所。



沖田総司は薮蘭の花を真剣な表情で選んでいる。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。



沖田総司は数本の薮蘭を摘むと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



少し後の事。



ここは、お雪の住む家の近く。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。



斉藤一は一本の薮蘭の茎に、近藤勇が書いた歌の文を普通の表情で巻き付けた。

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は数本の薮蘭を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「準備は出来ました。斉藤さん。行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



僅かに後の事。



ここは、お雪の住む家。



玄関。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、微笑んで訪れた。

斉藤一は普通に訪れた。



お雪は微笑んで来た。



お雪は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、お雪に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

斉藤一はお雪に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、お雪に一本の薮蘭を渡すと、お雪に微笑んで話し出す。

「近藤さんから歌と花を預かりました。」

お雪は沖田総司から一本の藪蘭を受け取ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「暑い中を来て頂いてありがとうございます。飲み物を用意します。家に上がってください。」

沖田総司はお雪に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一はお雪に普通の表情で軽く礼をした。

お雪は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、お雪の住む家。



客間。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

お雪は藪蘭を持ち、微笑んで居る。

机の上に、二つの花瓶が置いてある。



お雪は藪蘭から文を丁寧に外すと、一本の藪蘭を一つの花瓶に微笑んで挿した。

沖田総司はお雪を微笑んで見た。

お雪は紙を持ち、紙を微笑んで読んだ。

斉藤一はお雪を普通の表情で見た。

お雪は紙を机に微笑んで置いた。

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、お雪を微笑んで見た。

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さん。お出掛けするまで、藪蘭の花を花瓶に挿しませんか?」

沖田総司はお雪に数本の藪蘭を渡すと、お雪に微笑んで話し出す。

「お願いします。」

お雪は沖田総司から数本の藪蘭を受け取ると、数本の藪蘭を一つの花瓶に微笑んで挿した。

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「藪蘭の花は、小さくて綺麗な色ですね。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「藪蘭を屯所に持って帰るのですか?」

沖田総司はお雪に恥ずかしく話し出す。

「何時も菓子などを用意してくれる女の子がいます。藪蘭を贈りたいと思って、藪蘭の花を摘みました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「藪蘭とお歌と一緒に贈る。お相手の方が更に喜ぶと思います。」

沖田総司はお雪に恥ずかく話し出す。

「私は歌の勉強中です。今回は、贈る歌を考えていませんでした。歌について相談にのって頂かないと、相手に対して失礼な歌を贈ると思います。」

お雪は沖田総司に微笑んで見た。

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「お雪さんは歌に詳しいです。差し支えなければ、贈る歌の相談にのってください。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私でお役に立てるのならば、喜んで相談にのります。」

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「お雪さんに相談にのって頂ければ、良い歌を贈れます。お願いします。」

お雪は沖田総司に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は沖田総司とお雪を普通の表情で見た。



少し後の事。



ここは、お雪の住む家。



客間。



沖田総司は歌集を考えながら読んでいる。

斉藤一は普通に居る。

お雪は微笑んで居る。

机の上には、数冊の歌集が乗っている。



沖田総司は歌集を読みながら、お雪に考えながら話し出す。

「歌が多過ぎて、贈る歌が分かりません。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「藪蘭を詠んだといわれるお歌があります。藪蘭の花と一緒に贈ると良いと思います。」

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「藪蘭を詠んだ歌。教えてください。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「万葉集に掲載するお歌です。藪蘭を詠んだといわれるお歌の一つです。“山菅の 止まずて君を 思へかも 我が心どの この頃はなき”。藪蘭を見て親しい人を思い出して、慌てているお歌です。」

沖田総司はお雪に心配して話し出す。

「今の歌を贈っても大丈夫なのですか?」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「何時もお菓子を用意してくれるので、お礼をしたいと、以前から思っていた。藪蘭の花を見付けたので、贈りたいと思った。藪蘭の花を直ぐに持って行こうと考えたために、慌ててしまい、藪蘭の花をたくさん摘まなかった。藪蘭の花を摘んで贈りたいと思ったのは、突然の出来事だったから、歌を贈る準備をしていなかった。紙に歌を書いて、藪蘭に巻き付ける方法を考えた。以上の内容で贈るのが良いと思います。」

沖田総司は雪に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「墨が乾くまで時間が掛かります。今から紙に歌を書きませんか?」

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「はい。」

お雪は沖田総司を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、町中。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は、任務の準備、お雪さんの近藤さん宛の文を届けるために、屯所に戻る。総司は、美鈴さんの家に行け。」

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



少し後の事。



ここは、少女の住む家。



玄関。



沖田総司は数本の藪蘭を大事に持ち、微笑んで訪れた。



少女は不思議な様子で現れた。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「今日は少し時間に余裕が出来たんだ。鈴ちゃんと話したくて来たんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今からお出掛けしますか?」

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「時間の都合で、今から出掛けるより、鈴ちゃんの部屋で話す方が、ゆっくり過ごせると思うんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

沖田総司は数本の藪蘭を持ち、少女を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、少女の住む家。



少女の部屋。



沖田総司は数本の藪蘭を持ち、微笑んで居る。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女に数本の藪蘭を渡すと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。藪蘭の花の咲く場所を見付けたんだ。綺麗に咲いていたから、鈴ちゃんに見てもらいたくて摘んだんだ。」

少女は沖田総司から数本の藪蘭を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は数本の藪蘭を持ち、数本の藪蘭を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は数本の藪蘭を持ち、数本の藪蘭を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「藪蘭に歌を書いた紙を巻き付けたんだ。」

少女は数本の藪蘭を持ち、紙を丁寧に微笑んで外した。

沖田総司は少女を恥ずかしく見た。

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、紙を微笑んで読んだ。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「藪蘭を摘んでいたら、歌を選ぶ時間が無くて、慌ててしまったんだ。突然に藪蘭を詠んだ歌を思い出したんだ。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「“山菅の 止まずて君を 思へかも 我が心どの この頃はなき”。藪蘭を見つけて、いつも仲良くしている人の事を思い出して、慌てている歌だよね。今の状況に合う歌だと思ったんだ。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司を恥ずかしく見ている。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。もしかして、違う意味の歌なのかな?」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。嬉しいです。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に安心して話し出す。

「良かった。鈴ちゃんに失礼な歌を贈っていたら困ると思ったんだ。鈴ちゃんの困る歌ではなかったんだね。良かった。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「藪蘭を見付けて、直ぐにお歌を思い出したのですね。総司さんは凄いです。お歌について更に勉強します。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「私は少しずつ時間を掛けて歌について勉強しているんだ。鈴ちゃん。焦らずに歌の勉強をしてね。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが歌も藪蘭も喜んでくれた。良かった。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司と藪蘭を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「綺麗な花を見付けたら、鈴ちゃんに持ってくるね。花瓶に活けた花を、一緒に見るのも良いよね。」

少女は数本の藪蘭と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



「山菅の 止まずて君を 思へかも 我が心どの この頃はなき」

お雪は、近藤勇から藪蘭と歌を受け取って、笑顔になった。

少女は、沖田総司から藪蘭と歌を受け取って、笑顔になった。

沖田総司は、近藤勇、土方歳三、斉藤一、お雪に、上手くのせられた形になった。

沖田総司は、今回の歌の意味を少し勘違いして覚えてしまった。

沖田総司が、今回の歌の正しい意味を知る日は、暫く経った日の出来事になる様子。

秋は藪蘭の花の咲く中でゆっくりと過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十二巻 三〇五五番」

「山菅の 止まずて君を 思へかも 我が心どの この頃はなき」

ひらがなの読み方は「やますげの やまずてきみを おもへかも あがこころどの このころはなき」

作者は「詠み人知らず」

歌の意味は、「いつもあなたを想っているからでしょうか、この頃の私の心は落ち着きをなくしています。」、となるそうです。

原文は「山菅之 不正而公乎 念可母 吾心神之 頃者名寸」

「山菅(やますげ)」から「止まず」という言葉を導いています。

「心どの」というのは、「しっかりとした心」という意味です。

「山菅(やますげ)」が、どの植物を差しているのかは、いくつか説があり、はっきりとはわからないそうです。

現在は、「蛇の髭(じゃのひげ)」、「薮蘭(やぶらん)」、「菅(すげ)」などではないかと言われているそうです。

この物語では、「山菅」を「薮蘭(やぶらん)」として書きました。

「藪蘭」についてです。

主に、現在の暦で、8月〜9月頃に、藪蘭を見る事が出来ます。

艶のある細くて長い葉と、薄紫色の小さな花が、穂のような花茎にたくさん集まって咲く姿が、印象的な花です。

「蘭月(らんげつ)」についてです。

「陰暦七月の異称」です。

「葉月(はづき)」についてです。

「陰暦八月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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