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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 菊の香り 置きまどはせる白菊の花 〜
〜 改訂版 〜
登場人物
土方歳三、沖田総司、斉藤一、お雪、少女[美鈴・鈴]
「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」
「小倉百人一首 二十九番」、及び、「古今集」、より
作者:凡河内躬恒(おほしかふちのみつね)
土方歳三は、女性が一目惚れをする端正な容姿になる。
容姿からは想像ができないが、壬生狼と恐れられる新撰組の副長になる。
“鬼の副局長 土方歳三”と呼ぶ人達がいる。
刀を持つと、端正な顔立ちに似合わない強さを見せる。
今は、秋。
ここは、京の町。
涼しい日が続くようになった。
ここは、町中。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、微笑んで歩いている。
道行く女性達は、土方歳三の姿をうっとりとした表情で見ている。
土方歳三は、女性達の憧れを含む視線に慣れているのか、適度に気を配りながら、白菊の花束を抱いて、微笑んで歩いている。
少し後の事。
ここは、お雪の住む家。
玄関。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、微笑んで居る。
お雪は微笑んで居る。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、お雪に微笑んで話し出す。
「こんにちは。」
お雪は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。こんにちは。」
土方歳三は白菊の花束を抱いて、お雪に微笑んで話し出す。
「お雪さんに似合う白菊を見付けました。」
お雪は土方歳三に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
土方歳三はお雪に白菊の花束を微笑んで渡した。
お雪は土方歳三から白菊の花束を微笑んで受け取った。
土方歳三はお雪を微笑んで見た。
お雪は白菊の花束を抱いて、土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。お時間に余裕があれば、家に上がりませんか?」
土方歳三はお雪に微笑んで話し出す。
「お言葉に甘えて、少し休みます。」
お雪は白菊の花束を抱いて、土方歳三を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、お雪の住む家。
客間。
土方歳三は微笑んで居る。
お雪の部屋。
お雪は微笑んで居る。
お雪の傍には、白菊の花束、花瓶、が置いてある。
お雪は白菊の花束を微笑んで広げた。
白菊の花束の中に、細く折った紙が挟み込んである。
お雪は紙を取ると、紙を不思議な様子で広げた。
少し後の事。
ここは、お雪の住む家。
客間。
土方歳三は微笑んで居る。
お雪は白菊を活けた花瓶を持ち、客間の中に微笑んで入ってきた。
土方歳三はお雪を微笑んで見た。
お雪は床の間に白菊を活けた花瓶を微笑んで置いた。
土方歳三はお雪に寂しく話し出す。
「お雪さんは、俺を、先生、土方先生、と呼びます。」
お雪は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生は偉い人物です。先生とお呼びしないと失礼になります。」
土方歳三はお雪に寂しく話し出す。
「二人のみで居る時は、先生の肩書を付けて呼ぶのを止めませんか?」
お雪は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三はお雪を見ながら、寂しくため息を付いた。
お雪は土方歳三に微笑んで話し出す。
「とても素敵な菊のお土産。とても素敵な歌のお土産。とても素敵な二つの贈り物を同時に頂きました。ありがとうございました。」
土方歳三はお雪に微笑んで話し出す。
「少し早い時季ですが、贈り物に用意しました。気に入って頂けたのですね。嬉しいです。」
お雪は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三もお雪を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、町中。
土方歳三は普通の表情で考えながら歩いている。
土方歳三は普通の表情で考えながら呟いた。
「お雪さんの姿と白菊の姿の見分けがつかないとか、お雪さんの名前と見分けがつかないとか、お雪さんの姿と白菊の白さの見分けがつかないとか、様々な意味を掛けて、今回の歌を贈った。お雪さんは、贈り物の意味を分かっていたが、普段と同じ言動だった。今回も駄目だったか。」
土方歳三は普通の表情で軽くため息を付いた。
土方歳三の考える姿は、憂いを含む姿に見える。
気にならない女性がいないほどの人目を引く。
道行く女性達は、土方歳三が空色の羽織を着ていなため、新撰組の者だと気付かない。
土方歳三の憂いを含む表情は、空色の羽織を着ていても、女性達の目を引きつける姿になる。
道行く女性達は、土方歳三の考えながら歩く姿を、振り返って、うっとりと見ている。
少し後の事。
ここは、屯所。
玄関の傍。
土方歳三は普通に来た。
沖田総司が微笑んで来た。
沖田総司が土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方さん。お帰りなさい。」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺に用事があるのか?」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「仲の良い子に歌を贈りたいと思っています。土方さんに歌を教えてもらいたいと思いました。土方さんの帰りを待っていました。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。とても良い心がけだ。今日の俺は、時間に余裕がある。歌についてじっくりと教える。」
沖田総司は土方歳三から怪訝な表情で少し離れた。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。何故、後ろに向かって歩くんだ?」
沖田総司は土方歳三に苦笑して話し出す。
「何か起こる予感がします。」
土方歳三は沖田総司の後ろを見ながら、微笑んで話し出す。
「斉藤。頼む。」
沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は後ろから腕を掴まれた。
沖田総司は後ろを驚いて見た。
斉藤一は沖田総司の腕を普通の表情で掴んでいる。
沖田総司は土方歳三と斉藤一に少し調子で話し出す。
「土方さん! 斉藤さん! 私を騙しましたね!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。俺は騙していない。今の言葉を直ぐに訂正してくれ。」
沖田総司は斉藤一と土方歳三を納得のいかない様子で見た。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。総司に刀をずっと持たせる。仲の良い子が総司のずっと傍に居る。どちらが良いと思う?」
斉藤一は沖田総司の腕を掴んで、土方歳三に普通に話し出す。
「総司に常に刀を持たせる方法は、様々な意味で了承のできない部分があります。全て丸く収めるならば、仲の良い子に常に傍に居てもらう方法が一番に良いと思います。」
沖田総司は土方歳三と斉藤一を赤面して見た。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に笑顔で話し出す。
「総司。斉藤。部屋に行くぞ。」
斉藤一は沖田総司の腕を掴んで、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は微笑んで歩き出した。
斉藤一は沖田総司の腕を掴んで、普通に歩き出した。
沖田総司は赤面して歩き出した。
少し後の事。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は微笑んで居る。
沖田総司は赤面して居る。
斉藤一は普通に居る。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。何故、赤面している?」
沖田総司は土方歳三に赤面して話し出す。
「赤面していません。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。歌を贈る仲の良い子は、女の子で良いのだろ?」
沖田総司は土方歳三に赤面して動揺して話し出す。
「違います!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。歌を贈る仲の良い子は、男性なのか?」
沖田総司は土方歳三に赤面して慌てて話し出す。
「違います!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司の仲の良い子。女性ではない。男性ではない。以上の内容から考えると、人物以外になる。」
沖田総司は土方歳三に赤面して慌てて話し出す。
「違います!」
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は土方歳三を赤面して見た。
土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤は、総司のための歌の説明を聞くのみなのに、直ぐに覚える。総司より教え甲斐がある。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は土方歳三に赤面して拗ねて話し出す。
「土方さん。酷いです。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。事実だ。拗ねるな。」
沖田総司は土方歳三を赤面して拗ねて見た。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「今から歌の勉強を始める。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は土方歳三を見ながら、赤面してため息を付いた。
翌日の事。
ここは、町中。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、微笑んで歩いている。
道行く女性達は、土方歳三の姿を振り返って見る。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、僅かに辺りを見ながら、微笑んで歩いている。
土方歳三の視線の先に、少女の歩く姿が見えた。
少女は土方歳三の姿に気付いたが、普通に歩いている。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、微笑んで、歩調を変えずに歩いている。
土方歳三と少女の距離は、話しが出来るまで近付いた。
少女は普通の表情で端に寄った。
少女は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、微笑んで止まった。
土方歳三は白菊の花束を片手で抱くと、少女の腕を片手で微笑んで掴んだ。
少女は土方歳三を驚いた表情で見た。
土方歳三は白菊の花束を片手で抱いて、少女の腕を掴んで、微笑んで小道に入った。
少女は驚いた様子で小道に入った。
僅かに後の事。
ここは、小道。
土方歳三は白菊の花束を片手で抱いて、少女の手を片手で掴んで、微笑んで居る。
少女は驚いた表情で居る。
土方歳三は片手で白菊の花束を抱いて、少女の手を微笑んで放した。
少女は土方歳三を驚いた表情で見た。
土方歳三は白菊の花束を抱いて、少女に微笑んで話し出す。
「白い小菊の花束を抱く君の姿。想像しながら用意した。」
少女は土方歳三を不安な様子で見た。
土方歳三は少女に白菊の花束を抱いて、少女に微笑んで話し出す。
「白菊の花束。受け取ってくれ。」
少女は土方歳三を不安な様子で見ている。
土方歳三は少女に白菊の花束を微笑んで渡した。
少女は土方歳三から白菊の花束を不安な様子で受け取った。
土方歳三は少女を微笑んで見た。
少女は白菊の花束を抱いて、土方歳三に不安な様子で小さい声で話し出す。
「ありがとうございます。」
土方歳三は少女に微笑んで話し出す。
「喜んでもらえて嬉しいよ。」
少女は白菊の花束を抱いて、土方歳三を不安な様子で見た。
土方歳三は少女に微笑んで話し出す。
「花の礼の要求。花の礼を表すための頼み事の要求。共に要求しない。安心して良いよ。」
少女は白菊の花束を抱いて、土方歳三を不安な様子で見ている。
土方歳三は少女に微笑んで話し出す。
「“心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花”。少し早い時季だけど、歌も一緒に受け取ってくれ。」
少女は白菊の花束を抱いて、土方歳三に不安な様子で小さい声で話し出す。
「ありがとうございます。」
土方歳三は少女に微笑んで話し出す。
「引き止めて悪かったね。行って良いよ。」
少女は白菊の花束を抱いて、土方歳三に不安な様子で軽く礼をした。
土方歳三は少女に微笑んで頷いた。
少女は白菊の花束を抱いて、大通りへ不安な様子で歩き出した。
土方歳三は少女を微笑んで見た。
少女の姿は直ぐに見えなくなった。
土方歳三はため息を付くと、後ろに向かって詰まらない様子で話し出す。
「斉藤。長く話されてくれても良いだろ。」
土方歳三の後ろから、斉藤一の普通の声が聞こえた。
「駄目です。」
土方歳三は後ろを詰まらない様子で見た。
斉藤一は普通に居る。
土方歳三は斉藤一に詰まらない様子で話し出す。
「あの子に逢うために、白菊を用意したんだ。あの子のために、歌も贈ったんだ。長く話したかったな。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「話して、花を渡して、歌を贈る。充分ですよね。」
土方歳三は斉藤一を残念な様子で見ながら、ため息をついた。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に残念な様子で話し出す。
「斉藤。一緒に帰るだろ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は大通りに向かって普通に歩き出した。
斉藤一も大通りに向かって普通に歩き出した。
翌日の事。
ここは、京の町。
空の様子は、少し経つと陽が落ちる気配を見せている。
ここは、屯所。
玄関付近。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、笑顔で歩いてきた。
斉藤一は普通に止まった。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 少し早く咲いた竜脳菊が手に入りました!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、斉藤一に笑顔で話し出す。
「時間は少し遅いですが、鈴ちゃんの家に行っても大丈夫ですよね!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、斉藤一に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんの家に行ってきます!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、元気良く居なくなった。
少し後の事。
ここは、少女の家から少し離れた場所。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、微笑んで来た。
少女も微笑んで来た。
沖田総司は竜脳菊を抱えて、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんと話が出来る。嬉しいな。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は竜脳菊を抱えて、少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司竜脳菊を抱えて、少女に微笑んで話し出す。
「早く咲いた竜脳菊が手に入ったんだ。菊湯に使えるよね。鈴ちゃんに早く渡したくて、鈴ちゃんの家に来たんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
沖田総司は竜脳菊を抱えて、少女に不思議な様子で話し出す。
「鈴ちゃんの家を出る前から、鈴ちゃんから良い香りが届くんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「菊湯の香りだと思います。」
沖田総司は竜脳菊を抱えて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。風呂に浸かったんだ。隠さずに教えないと駄目だよ。部屋で話しができるよね。風邪をひいたら困るよね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「寒さは感じません。浴衣ではなく、着物に着替えました。風邪はひかないと思います。」
沖田総司は竜脳菊を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃんが風邪をひいたら、嫌だよ、悲しいよ。体が冷えたら困るよ。早く戻ろう。」
少女は沖田総司を寂しく見た。
沖田総司は竜脳菊を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。鈴ちゃんの部屋で続きを話そう。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は竜脳菊を抱いて、少女を微笑んで見た。
沖田総司は竜脳菊を抱いて、微笑んで歩き出した。
少女も微笑んで歩き出した。
翌日の事。
ここは、少女の家。
風呂場。
沖田総司が少女のために手に入れた竜脳菊を使った菊湯を用意している。
少女は菊湯に微笑んで浸かっている。
翌日の事。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
本堂。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんから頂いた竜脳菊を使った菊湯に浸かりました。とても気持ち良かったです。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「竜脳菊が再び手に入ったら、直ぐに持っていくね!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「良く考えたら、鈴ちゃんの家でも、竜脳菊は用意が出来るよね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私の家では竜脳菊をたくさん用意する時は少ないです。総司さんから竜脳菊を頂いて嬉しいです。菊湯をたくさん楽しめます。嬉しいです。」
沖田総司は少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」
土方歳三がお雪と少女に贈った白菊の花。
沖田総司が少女に贈った竜脳菊の花。
白菊のような、お雪と少女。
共に白さに包まれている。
菊湯の湯気と菊湯の香りに包まれて、色々な想いが揺らめいている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 二十九番」、及び、「古今集」
「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」
ひらがなの読み方は「こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな」
作者は「凡河内躬恒(おほしかふちのみつね)」
歌の意味は「当て推量で折るなら折ってみましょうか。初霜が降りて、霜の白さと見分けもつかない紛らわしい白菊の花を」となるそうです。
「風呂」についてです。
江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。
現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていたそうです。
「戸棚風呂」と呼ばれる形だったそうです。
熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。
浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。
下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。
蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。
簡単な説明ですが、天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。
お風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。
現在でいう「風呂」に近い、深く浸かる「風呂」ですが、これも江戸時代に出来ました。
「据え風呂」というそうです。
「慶長年間の末頃」に出来たそうです。
井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。
一般の庶民の家に広まったそうです。
普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。
「鉄砲風呂」は、簡単に言うと、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。
鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。
この形のお風呂は、江戸で主流になっていたそうです。
「五右衛門風呂」は、簡単に言うと、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。
こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いてお風呂に入ったそうです。
この形のお風呂は、関西で主流になっていたそうです。
「菊湯(きくゆ)」についてです。
菊の芳香や精油成分には、カフェインが含まれているそうです。
血行促進、新陳代謝の促進、体の痛みを和らげる効果があるそうです。
「菊湯」に使う菊は、「竜脳菊(りゅうのうぎく)」です。
「菊湯」の入り方ですが、簡単に説明します。
乾燥した竜脳菊の葉か、竜脳菊の生葉を使います。
日陰干しして乾燥させた竜脳菊の葉か、竜脳菊の生葉を、布袋に入れます。
桶などに布袋を入れて、熱湯を掛けます。
15〜20分ほど蒸らします。
布袋と煮出した汁ごと浴槽に入れます。
気分を出すために、浴槽に竜脳菊の花を浮かべたりする事もあるそうです。
「竜脳菊」は、「竜脳」という木に似た香りがするところからついたと言われています。
「樟脳(しょうのう)」に似た香りとも言われています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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