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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 秋の夜長の夢語り 十三夜 天の原 出でし月 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人 夢




「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」

「小倉百人一首 七番」、及び、「古今集」

作者:阿倍仲麿(あべのなかまろ)




今は、秋。



十三夜が近付いてきている。

少し経つと冬を迎える時季になった。



沖田総司と少女は、少し前の出来事になるが、十五夜に一緒に月を見た。

十五夜の天気が良くなかったために、僅かな時間しか月を見られなかった。

片見月にしないために、十三夜も一緒に月を見る約束をした。



沖田総司は、土方歳三から、十三夜に向けて、月について詠む歌を、数首ほど教えてもらっている。

斉藤一は土方歳三に半分命令された形で同席している。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。

沖田総司は歌集を普通の表情で読んでいる。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は歌集を読むのを止めると、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三を見ると、土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「土方さん。何故、斉藤さんも一緒に勉強しているのですか?」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「斉藤は歌の勉強のために同席していない。斉藤は総司が逃げ出さないように見張っているんだ。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「私は逃げません。」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「斉藤は、勉強を兼ねて同席している。細かい内容を気にするな。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤は一緒に居るだけなのに、歌だけでなく、作者や背景も、覚えたぞ。」

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に驚いて話し出す。

「斉藤さん! 勉強中の歌に関して全て覚えたのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「同じ説明を幾度も繰り返す。聞く間に覚えた。」

沖田総司は斉藤一を感心して見た。

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。感心する暇があるならば、早く歌を覚えろ。」

沖田総司は土方歳三を見ると、土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「数首も覚えなければならないのですか?」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「物凄く親しい友達の家で、十三夜に月を見るのだろ。家族が歌に関する内容を話すかも知れない。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「十五夜の時は、私と友達の二人のみで月を見ました。家の人達とは、ほとんど話しませんでした。」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「十五夜の時は、天気が悪かったから、歌に関する内容を話さなかったかも知れない。歌を詠む可能性のある時は、歌に関する会話に困らないように、数種ほど用意するんだ。」

沖田総司は土方歳三を見ながら、困惑して軽くため息を付いた。

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。ため息をつく暇があるならば、早く歌を覚えろ。」

沖田総司は土方歳三に困惑して小さい声で話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「別な歌の説明を始める。“天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも”。小倉百人一首に選ばれた歌。作者は、阿倍仲麿。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「今の歌は、聞いた時があります。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「話が早い。今の歌を詠んだ場所は、唐と伝わる。作者は、遣唐使の一員として唐に行った。作者は、国に戻りたいがなかなか許しがもらえなかった。作者は、やっと許しがもらえたが、いろいろと遭って、国に戻れなかったそうだ。作者は、最期は唐で亡くなっている。」

沖田総司は土方歳三を見ながら、複雑な表情で呟いた。

「国に戻れずに、唐で亡くなった。」

土方歳三は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は土方歳三に複雑な表情で確認する様子で話し出す。

「作者は、辛かったのでしょうか?」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の考えは何になるんだ?」

沖田総司は土方歳三を困惑して見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「作者は、最初は戻りたかったと思う。作者が最期の方で思った内容は、俺には分からない。」

沖田総司は土方歳三を複雑な表情で考えながら見た。

土方歳三は斉藤一を普通の表情で見た。

斉藤一は土方歳三を一瞥すると、沖田総司を見て、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。疲れたのか?」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。十三夜までに、歌や作者などを覚えなければならない。日々の任務がある。疲れている時に無理しても覚えられない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さん。歌の説明の続きをお願いします。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。



幾日か後の事。



十三夜の当日を迎えた。



ここは、京の町。



朝から良い天気となっている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



机には、念のために用意した歌を書いた紙、少女に渡す歌を書いた文、が置いてある。



沖田総司は真剣な表情で居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は紙と文を真剣な表情で懐に仕舞った。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。笑顔が消えている。緊張している様子が分かる。」

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「話し掛けないでください。歌に関して覚えた内容を忘れてしまいます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが今の総司の顔を見たら心配する。」

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「分かっています。鈴ちゃんに逢う時には笑顔になります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「行ってきます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は懐を大事に押さえて、部屋を出て行った。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



直後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋の前に在る縁。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



土方歳三が苦笑して来た。



斉藤一は土方歳三を見ると、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に苦笑して話し出す。

「今の総司の様子は、斬り込みに行く様子だな。あの子が見たら驚く。本当に大丈夫なのか?」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「あの子に逢えば、直ぐに笑顔になると思います。」

土方歳三は斉藤一に苦笑して話し出す。

「あの子に逢った途単に歌を忘れるように感じる。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「総司はあの子と二人のみで話すと思います。歌は一首のみに関して話す状況になると思います。今回は心配無いと思います。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤の話すとおかも知れない。総司も真剣に歌を覚えた。総司が歌を詠む機会が無事に訪れると良いな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今夜は綺麗な月を見られる雰囲気だな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺も今夜は予定がある。総司が俺に報告したいと話した時は、適当な内容で説明を頼む。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



十三夜であるが、想像より静かに雰囲気になっている。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は部屋を嬉しい様子で訪れた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「月が綺麗でした! 鈴ちゃんはずっと笑顔でした! とても楽しかったです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに歌を贈ったのか?」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい! 鈴ちゃんはとても喜んでいました!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんと土方さんには、物凄く感謝しています! 土方さんに今からお礼を話しに行きます!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今の時間は、礼を含める話が長くなると困る。明日、礼を話せ。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「分かりました!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! お休みなさい!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は部屋から笑顔で出て行った。



少し後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は微笑んで寝る準備をしている。



床が敷いてある。



沖田総司は笑顔で寝る準備を終えた。

沖田総司は床に笑顔で横になった。

沖田総司は床の中で、笑顔で目を閉じた。



少し後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の中で、微笑んで静かに眠っている。



不思議な気配が、部屋の中を包んだ。



沖田総司は床の中で、微笑んでゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司の顔を覆うように、笑顔で覗き込んでいる。



沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ顔の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢は沖田総司の顔から微笑んで離れた。

沖田総司は床の上に体を起こすと、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、夢を赤面して動きを止めて見た。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



心地好い空気に包まれている。



夜空には、ほとんど丸い形の月が浮かんでいる。

夜空には、たくさんの星が輝いている。



草原。



月の輝きが静かに照らしている。



沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。

夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。



夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は夢を赤面して緊張して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。今夜は夜の国も十三夜です。以前に、総司さんと斉藤さんと美鈴さんで、十五夜だけなく十三夜も月を見たいと話していました。十三夜の夜の国に招待しました。」

沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。気を遣ってくれてありがとう。」

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと斉藤さんと一緒に早く話したいな。」

夢は沖田総司に抱き付くと、沖田総司に寂しく話し出す。

「総司さん。私とは話したくないのですね。寂しいです。」

沖田総司は夢を赤面して動揺して動きを止めて見た。

夢は沖田総司を抱いて、沖田総司に寂しく話し出す。

「総司さん。ずっと一緒に居たいです。」

沖田総司は夢を赤面して動揺して動きを止めて見ている。

夢は沖田総司から離れると、沖田総司に呆れた様子で話し出す。

「総司さん。顔が真っ赤です。大丈夫ですか?」

沖田総司は夢に赤面して動揺して話し出す。

「夢ちゃんが変な内容を話すから、顔が赤くなっただけだよ。」

夢は沖田総司に寂しく話し出す。

「私は変な内容を話していません。総司さんと美鈴さんが、幸せにならないと、私は大切な人と結婚が出来ません。」

沖田総司は夢を赤面して心配して見た。

夢は沖田総司に寂しく話し出す。

「総司さん。私に関して無関心なのですね。酷いです。」

沖田総司は夢に心配して赤面して話し出す。

「夢ちゃん。言い過ぎた。ご免ね。」

夢は沖田総司に寂しく話し出す。

「慣れました。」

沖田総司は夢を心配して赤面して見ている。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は夢を赤面して驚いた様子で抱いた。



月の光が、沖田総司と夢を静かに照らした。



沖田総司は夢を抱いて、夢を赤面して慌てて見ようとした。



少女が驚いた表情で沖田総司の腕の中に居る。



少女と夢が突然に入れ替わっている。



沖田総司は少女を抱いて、少女に赤面して心配して話し出す。

「鈴ちゃん! 大丈夫?!」

少女は沖田総司に驚いた表情で小さい声で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を抱いて、少女を赤面して心配して見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱いて、少女を赤面して安心した表情で見た。



少し後の事。



ここは、夜の国。



草原。



心地好い空気に包まれている。



夜空には、ほとんど丸い形の月が浮かんでいる。

夜空には、たくさんの星が輝いている。



月の輝きが静かに照らしている。



沖田総司は微笑んで座っている。

少女も微笑んで座っている。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。月と星が、綺麗だね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが居ないね。何処に居るのかな?」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。



沖田総司の後ろから、斉藤一の普通の声が聞こえた。

「ずっと傍に居る。」



沖田総司は後ろを驚いた様子で見た。



斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。



少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「ずっと居たかも知れませんが、最初から居ないですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が赤面して現れた時から、ずっと傍に居た。」

沖田総司は斉藤一を赤面して動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺。総司。美鈴さん。三人で一緒に月を見た。約束は守った。」

沖田総司は斉藤一を赤面して動揺して見ている。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「俺は或る人物と共に、月を見ながら酒を飲む約束をしている。後は、総司と美鈴さんの二人で楽しめ。」

沖田総司は斉藤一に赤面して微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。



斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に、十三夜の綺麗な月を二度も見られる。とても嬉しいよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も総司さんと一緒に、十三夜の月を二度も見られます。とても嬉しいです。」

沖田総司は少女と月を微笑んで見た。

少女も沖田総司と月を微笑んで見た。



夜空には、綺麗な月とたくさんの星が輝いている。



沖田総司は月と星を見ると、微笑んで呟いた。

「“天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも”。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「百人一首に掲載されたお歌ですね。」

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。直ぐに月のお歌を詠めます。凄いです。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「凄くないよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんから何時お歌を頂いても大丈夫なように、更に勉強します。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「鈴ちゃんはしっかりと勉強しているよ。無理をしないでね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「褒めて頂いてありがとうございます。気を付けます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「綺麗な月の輝きとたくさんの星の輝きを見ていたら、今の歌を思い出したんだ。夜の国の十三夜では、歌を贈っていないから、鈴ちゃんに今の歌を贈るよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今日は、総司さんからお歌を二首も頂きました。嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」

夜の国の十三夜の月。

京の町の十三夜の月。

江戸の町の十三夜の月。

同じ月に見えるのか。

違う月に見えるのか。

答えを知るのは、月のみかも知れない。

十三夜の夜の国の時間は、穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 七番」、及び、「古今集」

「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」

作者は「阿倍仲麿(あべのなかまろ)」

ひらがなの読み方は「あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも」

歌の意味は「大空を遠く仰ぎ見ると、今見えるあの月は、春日にある三笠山に出ていた月と、きっと同じ月なんでしょうね」となるそうです。

この作者が月を見ている場所は、「唐」です。

遣唐使の一員として唐に行き、科挙(かきょ)にも合格したそうです。

他の同行者の何人かは、日本に帰ったそうです。

しかし、阿倍仲麿は、日本に帰りたかったそうですが、なかなか許しがもらえずに、唐に留まっていたそうです。

後に日本に帰る許しがもらえますが、遭難をしたために、日本に帰る事が出来なかったそうです。

結局は、日本に戻る事なく、唐で亡くなります。

この事から考えると、阿倍仲麿は優秀な人だったと思います。

阿倍仲麿は、万葉集の時代の人ですが、万葉集には歌は掲載されていないそうです。

「阿倍仲麿」は、「阿倍仲麻呂」と書かれている事もあるそうです。

「百人一首」では、「阿倍仲麿」と記載されている事が多いそうです。

この物語でも、サイト様の作者の名前の字と、私の知る名前の字という事もあり、「阿倍仲麿」とさせて頂きました。

「十三夜(じゅうさんや)」についてです。

「陰暦十三日の夜。陰暦九月十三日の夜。」という意味があります。

この物語では「陰暦九月十三日の夜。」をさしています。

「十三夜」には、「豆名月。栗名月。」という別な呼び方があります。

「旧暦八月十五日」の「十五夜」と同様に、古くから「旧暦九月十三日」の「十三夜」にもお月見も行われています。

十五夜は中国から伝わりましたが、十三夜は日本固有の風習になるそうです。

この時期に食べ頃の大豆や栗などを供えるそうです。

十五夜の月見をして十三夜の月見をしない事は、「片見月」と言って嫌われているそうです。

「お月見団子」についてです。

関東では「丸い球の形」、関西では「里芋のような形」をしています。

この物語の補足です。

「雪月花 新撰組異聞編 短編 秋の夜長の夢語り 十五夜 月の影のさやけさ」で、沖田総司さんと鈴ちゃんが、十五夜を過ごしました。

その時の出来事が元になり、十三夜も一緒に過ごす約束をした前段階があります。

そのため、単独の物語ですが、後の物語にもなります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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