このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 木香薔薇 我れと笑まして 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

土方歳三、沖田総司、斉藤一、綺麗な女性、少女[美鈴・鈴]




「青山を 横ぎる雲の いちしろく 我れと笑まして 人に知らゆな」

「万葉集 第四巻 六八八番」より

作者:坂上郎女(さかのうえのいつらめ)




今は、初夏。



ここは、京の町。



過ごしやすい日が続いている。



ここは、町中。



沖田総司は微笑んで歩いている。

少女も微笑んで歩いている。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今日は、途中から任務があるんだ。逢う時間が短いんだ。ご免ね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが短い時間でも楽しんで過ごせるならば、とても嬉しいです。私は総司さんと話しが出来るので嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



町中から、騒がしい声が聞こえた。

「斬り合いが始まったぞ!」



沖田総司は厳しい表情で止まった。



少女は驚いて止まった。



沖田総司は厳しい表情で声の聞こえる方向を見た。

少女は沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女を慌てて見た。

少女は下を辛い表情で見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。調子が悪くなったのかな?」

少女は下を見て、辛い表情で小さい声で話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「急に騒がしくなったから疲れたよね。近くに寺が在るよね。少し休もう。」

少女は下を見て、辛い表情で小さい声で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「肩を抱いて歩くと目立つから困るよね。ゆっくりと歩こうね。」

少女は下を見て、辛い表情で小さい声で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を心配して見た。



沖田総司は少女を心配しながら、ゆっくりと歩いた。

少女は辛い表情でゆっくりと歩き出した。



少し後の事。



ここは、沖田総司と少女が居た場所の近くに在る寺。



一室。



沖田総司は心配な様子で居る。

少女は床の中で辛い様子で横になっている。



少女は床の中で、沖田総司を静かに泣いて見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。辛いの?」

少女は床の中で、沖田総司を見て、静かに泣いて小さい声で話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女を心配して見た。

少女は床の中で、沖田総司を見て、静かに泣いて小さい声で話し出す。

「総司さん。お仕事は?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「時間に余裕があるから大丈夫だよ。」

少女は床の中で、沖田総司を静かに泣いて見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。少し眠って。」

少女は床の中で、沖田総司を静かに泣いて見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は床の中で、静かに泣いて、ゆっくりと目を閉じた。



少し後の事。



ここは、沖田総司と少女が居る寺。



一室。



沖田総司は心配な様子で居る。

少女は床の中で静かに寝ている。



少女は床の中でゆっくりと目を開けた。

沖田総司は少女を心配して見た。

少女は床の中で、沖田総司に不安な様子で話し出す。

「総司さん。お仕事。大丈夫ですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。心配しないで。大丈夫だよ。」

少女は床の中で、沖田総司に不安な様子で話し出す。

「総司さん。ごめんなさい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは私に謝る言動をしていないよ。」

少女は床に横の中で、沖田総司に不安な様子で話し出す。

「総司さん。ごめんなさい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。疲れているんだよ。無理をしないでね。」

少女は床に横の中で、沖田総司を悲しく見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。少し休んで。」

少女は床の中で、ゆっくりと目を閉じた。



暫く後の事。



ここは、京の町。



夜空に、月と星が、浮かんでいる。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は部屋を申し訳なく訪れた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に申し訳なく話し出す。

「斉藤さん。無理な願い事を頼んでしまいました。申し訳ありませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は面倒な内容しか頼まない。気にしていない。」

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの具合は良くなったのか?」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「最初は、とても辛い様子でした。帰る時も、調子は悪いはずなのに、笑顔でした。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「今日、鈴ちゃんと一緒に町中を歩く最中に、斬り合いが始まったと話す声が聞こえました。私の居る場所からは、斬り合いをしている様子は確認ができませんでした。鈴ちゃんを見ました。鈴ちゃんはとても調子が悪い様子でした。鈴ちゃんは私が人を斬る姿を思い出しと思います。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんの調子が悪くなった原因は、私です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「私は今日の途中から任務があると話しました。鈴ちゃんは私が傍に居たのでとても心配しました。鈴ちゃんが眠る最中に、私が斉藤さんと土方さんに連絡を頼んだ内容を話せませんでした。鈴ちゃんは今も私を心配していると思います。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。明日、鈴ちゃんの様子を確認して欲しいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんに逢わないのか?」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんの調子が良いならば、逢いたいです。鈴ちゃんの調子が悪ければ、逢えません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「明日、美鈴さんの様子を確認する。美鈴さんが元気ならば、三人で逢う予定を決める。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。お願いします。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



翌日の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は微笑んで居る。

机の上には、文が置いてある。



斉藤一は部屋を普通に訪ねた。



土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。今から外出する予定があるのだろ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「外出の間に、文を届けて欲しい場所、確認を頼みたい場所、が在る。確認を頼みたい場所は、文を届けて欲しい場所と同じだ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は文を持つと、斉藤一に文を微笑んで渡した。

斉藤一は土方歳三から普通の表情で文を受け取った。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺が外出しない時間ならば、総司と斉藤とあの子で、外出をして良いぞ。」

斉藤一は文を懐に仕舞うと、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「あの子が本当の意味で元気になると良いな。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。話は終わった。外出して良いぞ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで頷いた。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



少し後の事。



ここは、少女の住む家。



玄関。



斉藤一は普通に訪ねた。



少女は微笑んで来た。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。部屋で話したい。」

少女は斉藤一に心配な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。



斉藤一は家の中に普通に入って行った。

少女は家の中に心配な様子で入って行った。



僅かに後の事。



ここは、少女の住む家。



少女の部屋。



斉藤一は普通に居る。

少女は心配な様子で居る。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「想像より元気に見える。安心した。」

少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。

「斉藤さんにも心配を掛けたのですね。申し訳ありません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺への気遣いは無用だ。」

少女は斉藤一を申し訳なく見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「総司さん。私を怒っていませんか? 私を呆れていませんか?」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司は、美鈴さんへの気配りが不足していた言動を後悔している。」

少女は斉藤一に心配して話し出す。

「私の調子が悪くなったから、総司さんはお休みの時間を楽しめませんでした。総司さんのお仕事に迷惑を掛けたのに、お仕事について困る様子を見せませんでした。私と一緒に居られて楽しいと話しました。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんは総司の任務の迷惑にならない。総司が美鈴さんと共に居て楽しいと話すならば、心配するな。」

少女は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司を信じずに不安になると、総司も不安になる。総司を信じて、たくさんの笑顔を見せろ。」

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司と俺と美鈴さんで、数日以内に出掛けたい。都合の悪い日を教えてくれ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は、今日も明日も明後日も、全て大丈夫です。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「二日後に、総司か俺が、美鈴さんを迎えに来る。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。楽しみに待っています。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。



二日後の事。



沖田総司、斉藤一、少女が出掛ける日になる。



ここは、京の町。



綺麗な青空に白い雲が浮かんでいる。



ここは、穏やかな雰囲気の屋敷。



庭。



広くはないが、丁寧に手入れがしてある。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。



斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は庭の一点を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女を微笑んで見た。



少女の視線の先には、藤棚のような棚に、小さくて黄色の木香薔薇の花が、たくさん垂れ下がっている。



木香薔薇は、青空の下でたくさんの黄色い花を咲かせている。



少女は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「とても綺麗です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「木香薔薇、という名前なんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「木香薔薇。初めて見ました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんに教えてもらったんだ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は木香薔薇を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



翌日の事。



ここは、京の町。



綺麗な青空に白い雲が浮かんでいる。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が前日に訪れた屋敷。



庭。



綺麗な黄色の木香薔薇の花が、陽の光を受けながら咲いている。



土方歳三は微笑んで居る。

綺麗な女性も微笑んで居る。



斉藤一は、土方歳三と綺麗な女性から少し離れた場所に、普通に居る。



綺麗な女性は木香薔薇を微笑んで見た。

土方歳三は綺麗な女性に微笑んで話し出す。

「木香薔薇。気に入った様子だね。」

綺麗な女性は土方歳三を見ると、土方歳三に微笑んで話し出す。

「木香薔薇。青空に黄色の花がとても良く映えます。豪華なのに清楚な雰囲気も感じます。とても気に入りました。」

土方歳三は綺麗な女性を微笑んで見た。

綺麗な女性は土方歳三に抱き付くと、土方歳三に微笑んで話し出す。

「“青山を 横ぎる雲の いちしろく 我れと笑まして 人に知らゆな”。」

土方歳三は綺麗な女性を抱くと、綺麗な女性の耳元で微笑んで囁いた。

「抱き付いていたら、歌のように微笑み掛けられない。良いのかな?」

綺麗な女性は土方歳三から微笑んでゆっくりと離れた。

土方歳三は綺麗な女性を微笑んで見た。

綺麗な女性は土方歳三を微笑んで見た。



「青山を 横ぎる雲の いちしろく 我れと笑まして 人に知らゆな」

青い空に浮かぶ白い雲。

陽の光の中で咲く黄色の木香薔薇の花。

たくさんの笑顔。

初夏の時間は、たくさんのものに包まれながら、穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の後書きを加筆訂正して書きました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第四巻 六八八番」

「青山を 横ぎる雲の いちしろく 我れと笑まして 人に知らゆな」

作者は「坂上郎女(さかのうえのいつらめ)」

ひらがな読み方は「あおやまの よこぎるくもの いちしろく われとえまして ひとにしらゆな」

歌の意味は「緑の山を横切って行く雲のように、私にはっきりと分かるように微笑みかけて、そして人には分からない様に。」となるそうです。

原文は「青山乎 横■雲之 灼然 吾共咲為児 人二所知名」

「■」は文字変換が出来ない字のようです。

「木香薔薇(もっこうばら)」についてです。

中国原産です。

つる性のバラです。

現在見掛けるバラの中では早く咲き始め、現在見かけるバラが見頃を迎える頃に終わりを迎えます。

現在の暦で、4月下旬頃から5月中旬に掛けて、見頃になる所が多いと思います。

「木香薔薇」は、「黄木香薔薇」と「白木香薔薇」があります。

共に八重咲きです。

木香の香りがある事から、「木香薔薇」の名前で呼ばれるようになったそうです。

江戸時代の中期頃に観賞用として渡来したそうです。

この物語の補足です。

この物語に登場する歌の作者は女性です。

その関係から、当初は、沖田総司さんが、女性の作者と知らずに、または、誰かに教えてもらって、鈴ちゃんに詠んだ事にしようとして物語を書いていました。

しかし、土方歳三さんが登場する事もあり、沖田総司さんと鈴ちゃんの間では歌を詠むのを止めました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください