このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 枝垂れ梅 梅の花君がり遣らば 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]




「淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも」

「万葉集 第八巻 一六四一番」より

作者:角朝臣廣辨(つののあそんのひろべ)




ここは、京の町。



梅の花が綺麗に咲いている。



沖田総司と少女が出逢って初めて迎える梅の花の綺麗に咲く時季になる。

斉藤一と少女が逢って初めて話してから間もない時季になる。



ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。



境内。



梅の花が綺麗に咲いている。



本堂。



縁の傍。



少女は梅の花を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。



少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今の季節で見たい花はある?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「枝垂れ梅が見たいです。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「枝垂れ梅。見た記憶が無い気がする。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「枝垂れ梅は見る機会が少ないと思います。枝垂れ梅は、枝垂れる様子が素敵です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に枝垂れ梅を見たいな。枝垂れ梅が見られる場所を探すね。楽しみに待っていてね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「楽しみに待っています。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「枝垂れ梅を見る時に斉藤さんを誘っても良いかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。楽しみに待っています。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



一室。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司が部屋の中に微笑んで入ってきた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は鈴ちゃんと一緒に梅の花を見ました。鈴ちゃんに今の季節に見たい花を質問しました。鈴ちゃんは枝垂れ梅と答えました。鈴ちゃんに枝垂れ梅を見る時に斉藤さんを誘って良いか質問しました。鈴ちゃんは喜んで了承しました。斉藤さん。枝垂れ梅を一緒に見に行きましょう。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。枝垂れ梅を見られる場所。知りませんか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。都合が悪い日が続くのですか? 枝垂れ梅が咲く場所を知らないのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「一緒に行く。枝垂れ梅を見られる場所を知っている。見頃か分からないから返事をしなかった。」

沖田総司は斉藤一を安心して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。枝垂れ梅を見る時に、美鈴さんに歌を贈れ。美鈴さんが喜ぶ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。良い歌を知っているのですね。教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも”。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「梅の花と淡雪の登場する歌ですね。雪の降らない日に贈る方法を教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「枝垂れ梅を淡雪の降る様子に見立てるんだ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。歌を紙に書きます。字などを教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



数日後の事。



ここは、京の町。



青空が広がっている。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



境内。



枝垂れ梅が静かな雰囲気に包まれながら咲いている。



少女は枝垂れ梅を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

斉藤一は、沖田総司、少女、枝垂れ梅を普通の表情で見ている。



少女は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「綺麗な枝垂れ梅が見られます。嬉しいです。ありがとうございます。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

少女は枝垂れ梅を微笑んで見た。

沖田総司は懐から紙を微笑んで取り出した。

少女は枝垂れ梅を微笑んで見ている。

沖田総司は紙を持ち、少女を微笑んで見た。



辺りに陽が差した。



少女が陽に当たって輝いた。

枝垂れ梅が陽に当たって輝いた。



沖田総司は紙を持ち、少女を赤面して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は紙を持ち、少女を赤面して見ている。

少女は沖田総司に心配して話し出す。

「総司さん。お顔が赤いです。大丈夫ですか?」

沖田総司は紙を持ち、少女に赤面して頷いた。

少女は沖田総司を安心して見た。

沖田総司は紙を持ち、少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんと枝垂れ梅に、陽が差したんだ。鈴ちゃんが枝垂れ梅の神様に見えたんだ。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「お世辞で褒めて頂いても嬉しいです。」

沖田総司は紙を持ち、少女に赤面して話し出す。

「お世辞ではないよ。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は紙を持ち、少女に赤面して頷いた。

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に紙を渡すと、少女に赤面して話し出す。

「梅と淡雪を詠んだ歌を用意したんだ。鈴ちゃん。受け取って。」

少女は沖田総司から紙を受け取ると、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「枝垂れ梅を淡雪の降る様子に見立てて贈ろうと考えた歌なんだ。」

少女は紙を持ち、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「総司さんはお歌についてたくさん学んでいます。総司さんと一緒にお歌についてたくさん話しが出来るように、たくさん学びます。」

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃんが歌について更に学んだら、私は更に更に学ぶ状況になってしまう。」

少女は紙を持ち、沖田総司と紙を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女を赤面して見た。

少女は紙を持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃん。もしかして、贈ってはいけない歌だったのかな?」

少女は紙を持ち、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女を赤面して安心して見た。

少女は紙を持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



一室。



沖田総司は不思議な様子で居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんに歌を贈った時に恥ずかしい様子になりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんが梅の神様だと照れながら話した。総司は美鈴さんを梅の神様に喩えたのはお世辞ではないと照れながら話した。総司は歌を照れながら贈った。美鈴さんは歌の雰囲気や意味を考えて照れたと思う。」

沖田総司は斉藤一を納得して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんに贈った歌。“淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも”。歌の意味は、“淡雪に降られながら梅の花が咲いています。この梅の花をあなたさまに届けたら、あなたさまは淡雪のことを思ってくださいますよね。”、となる。」

沖田総司は斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは、総司の照れる様子と総司の話の内容から、深い意味が無いと気が付いた。美鈴さんがしっかりとした子で良かったな。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。歌の意味を知っていて、鈴ちゃんに歌を贈るように話したのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が良い歌を知らないかと質問した。俺が良いと思った歌を教えた。問題は無い。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんが、鈴ちゃんと枝垂れ梅に、陽を当てたのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺には天気を変える能力は無い。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんには、天気を変えられる能力を持つ雰囲気が有ります。斉藤さんが、天気を変えられる能力を持っていないとしても、特定の場所の特定の日時に陽の当たる事象が詳細に分かる能力を持つ雰囲気があります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「仮に、特定の場所の特定の日時に陽の当たる事象を詳細に分かる能力を持っていたとしても、予定の数日前に該当日時の詳細な天気は分からない。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんには、予定の幾日前の該当日時の詳細な天気の分かる雰囲気が有ります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんが悩んでいたら励まさなければなりません。次に鈴ちゃんに逢う日は、斉藤さんも一緒に来てください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を赤面して見た。



数日後の事。



ここは、数日前に、沖田総司、斉藤一、少女が訪れた枝垂れ梅の咲く寺。



境内。



枝垂れ梅は静かな雰囲気に包まれながら咲いている。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今日も枝垂れ梅が綺麗に咲いているね。良かったね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが元気で良かった。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に僅かに慌てて話し出す。

「今の話に深い意味は無いんだ。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。

沖田総司は少女に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さんは優しくて頼りになる人物だね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を安心して見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと斉藤さんは、逢って友達になったよね。鈴ちゃんに話したい内容があるんだ。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの知らない人物、鈴ちゃんが顔や名前を知る程度の人物から、私や斉藤さんに不測の事態が起きた、私や斉藤さんが鈴ちゃんに逢いたい、私や斉藤さんが鈴ちゃんに話しがある、などの内容を聞いたとしても、直ぐに信じないでね。鈴ちゃんの知る人物から話を聞いたとしても、直ぐに信じないでね。細心の注意を払っても足りないと思ってね。疑問を感じた時や不安を感じた時は、危険だと判断してね。」

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私と斉藤さんは、強いから心配しないでね。私が居ない時に、驚く内容を話す人物の中で、悩まずに信じて良い人物は、斉藤さんだけだよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



「淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも」

淡雪が降るように咲く枝垂れ梅の傍で贈った歌。

沖田総司、斉藤一、少女の間に起きた、和やかで微笑ましい出来事。

沖田総司が少女に今回の歌を贈るのに相応しい状況になる時、沖田総司が少女に話した内容が重い意味を持つ時は、幾重もの後の時になる。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第八巻 一六四一番」

「淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも」

ひらがなの読み方は「あわゆきに ふらえてさける うめのはな きみがりやらば よそへてむかも」

作者は「角朝臣廣辨(つののあそんのひろべ)」

歌の意味は「淡雪に降られながら梅の花が咲いています。この梅の花をあなたさまに届けたら、あなたさまは淡雪のことを思ってくださいますよね。」となるそうです。

原文は「沫雪尓 所落開有 梅花 君之許遣者 与曽倍弖牟可聞」

「よそへてむ」は、「よそふ」+「てむ(推量)」と考えられるそうです。

「よそふ」を「男女のこととうわさする」とするか、「なぞらえる」とするか迷うところだそうです。

「(あなたさまが)よそへてむかも」として訳されたそうです。

「枝垂れ梅(しだれうめ)」についてです。

「枝が垂れている梅」です。

「枝垂れ桜」に比べると「枝垂れ梅」を見る機会は少ないと思います。

「枝垂れ梅」は綺麗な中にも静かな雰囲気や物悲しさを感じます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください