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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 秋 七種の花 撫子の花 をみなえし そして 〜


登場人物

土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

「万葉集 第八巻 一五三七番」

作者:山上憶良(やまのうえのおくら)



「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

「万葉集 第八巻 一五三八番」

作者:山上憶良(やまのうえのおくら)



今は秋。



ここは、京の町。



季節は秋だが、暑い日が続いている。



ここは、屯所。



縁。



斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は斉藤一の傍に微笑んで来た。



斉藤一は立ち止まると、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は立ち止まると、斉藤一を微笑んで見た。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私の部屋で話しても良いですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は微笑んで歩き出した。

斉藤一普通に歩き出した。



僅かに後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は部屋の中に微笑んで入ってきた。

斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんに贈り物を用意したいと思っています。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今回は美鈴さんに何をした?」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。私が鈴ちゃんに贈り物をしたいと話すと、毎回のように同じ話をしますね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、剣術関連と食べ物関連のみに天才的な鋭さを発揮して、他には天才的な鈍さを発揮する。以上が理由だ。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。今の発言は酷いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺の発言を酷いと言い切る自信があるならば、俺に美鈴さんに対して失礼な言動をしていないと言え。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「私は鈴ちゃんに失礼な言動はしていないと思います。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「していないと思う、と苦笑して言うな。していない、と自信を持って言え。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、困惑して考え込んだ。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に考え込んで話し出す。

「言い切る自信がありません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんへの贈り物は決めたのか?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今は秋です。花の咲く状態の秋の七草を贈りたいと思いました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今は秋だから、秋の七草を贈りたいと考えるのは分かる。秋の七草は、萩、薄、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗、になる。京の町のみで花の咲く秋の七草を一斉に揃えようとすると、期間が限定されるか無理が有る。東西南北の様々な藩に範囲を広げれば、花の咲く秋の七草が揃えられると思う。総司が一人で花の咲く秋の七草を揃えるのは難しい。花の咲く秋の七草を揃える方法は決まっているのか?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが手伝ってくれます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「花の咲く秋の七草を受け取る相手は、美鈴さんだろ。秋の七草の世話をする人物は、美鈴さんになる。美鈴さんが世話をする状況も含めて考えた贈り物なのか?」

沖田総司は斉藤一を見ながら、困惑して考え込んだ。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に考え込んで話し出す。

「斉藤さん。今の時季に喜ばれる贈り物を知りませんか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。品物のみを贈るのか?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「歌も一緒に贈る予定です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「贈る歌は決まっているのか?」

沖田総司は斉藤一に自慢満々に話し出す。

「“秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花”! “萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”! 以上の二首です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「自信満々に歌を詠んだな。」

沖田総司は斉藤一に自慢満々に話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。秋の七草の柄の千代紙に、総司が詠んだ歌を添えて贈る。以上の趣向を思い付いた。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「秋の七草の柄の千代紙を取り扱う店があるのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「千代紙を取り扱う店を探せば見付かる可能性がある。費用は掛かるが、注文して希望の柄の千代紙を作る方法がある。」

沖田総司は斉藤一に考え込んで話し出す。

「雅や風流な雰囲気の色の千代紙。雅や風流な柄の千代紙。選ぶのが難しいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「千代紙の柄は、秋の七草と決まった。俺も手伝う。悩むな。」

沖田総司は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「明日か明後日に、一緒に出掛けよう。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



幾日か後の事。



ここは、京の町。



沖田総司は包みを持ち、微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「親切な対応で、丁寧な作業で、綺麗な柄の千代紙を作れて、注文した千代紙の仕上がりが早くて、本当に素晴らしい店です。斉藤さん。本当にありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは本当に物知りですね。」

斉藤一は沖田総司に普通は話し出す。

「千代紙について詳しいと思われる人物に質問をしたら、いろいろと丁寧に教えてくれた。俺は店に関する確認をしただけだ。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。会ってお礼を言いたいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺が総司の分も含めて礼を言った。教えてくれた人物は、総司も知る人物だ。教えてくれた人物は、総司に礼を求めていない。無理して礼を言わない方が良い。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。秋の七草の贈り物について話した時に、千代紙の贈り物を思い付きました。凄いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「秋の七草の押花を贈る方法は、押花を作るために事前の準備が必要だ。総司は綺麗な押花を作れないから、更に事前の準備が増える。千代紙は色や柄が豊富だ。希望する千代紙が見付からない場合は、頼んで作ってもらえる。美鈴さんのへの贈り物に良いと思った。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を感心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「土方さんはたくさんの女性と親しいので、様々な贈り物を直ぐに思い付くのは分かります。斉藤さんは女性と頻繁に逢う様子がないので、贈り物を直ぐに思い付いたのが不思議でした。斉藤さん。みんなに知られないように女性と頻繁に逢っていませんか? たくさんの女性と付き合っていませんか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今の俺に関する内容は、冗談で話したのか? 今の俺に関する内容は、本気で話したのか?」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を困惑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。早く答えろ。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に困惑して話し出す。

「斉藤さんは、京の町について詳しくて、歌や花や千代紙などの雅や風流についても詳しいです。斉藤さんに今や過去も含めて親しい女性がいるように思ってしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「江戸に居た頃は、家族が役に立たない内容は一つも無いと言って、歌や植物も含めて、様々な内容を教え合った。幾度も覚えるのは面倒だから、出来るだけ一度で覚えるようにした。京の町に来ると、京の町を詳細に知る状況は、公私共に便利だ。京の町の情報を集める、京の町で聞く噂を集める、京の町で聞く噂の真偽を確認する、などを実行している。京の町には、歌に詳しい土方さんが近くに居る。歌は、土方さんに付き添っている間に覚えている。江戸に居た頃も京の町に居る間も、出来るだけ一度で覚えるようにしている。俺に関係する女性は、姉と土方さんが親しくする女性になる。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を感心して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「感心する内容ではない。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さん。私の勘違いのために嫌な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が勝手に盛り上がって様々な解釈をする状況は、珍しい状況ではない。怒るときりがない。気にするな。」

沖田総司は包みを持ち、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



翌日の事。



ここは、少女の家。



少女の部屋。



沖田総司は微笑んで居る。

沖田総司の傍には包みが置いてある。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女の前に包み置くと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが喜びそうな物を見付けたんだ。いつも世話になっている礼として受け取って。」

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は包みを微笑んで広げた。



包みの中には、秋の七草の柄の千代紙が幾枚も入っている。



少女は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。綺麗な柄の千代紙の贈り物をありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに似合う千代紙が手に入る店を見付けたのは、斉藤さんなんだ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺は千代紙が手に入る店を見付けただけだ。千代紙を購入したのは、総司だ。」

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は千代紙を微笑んで持った。



千代紙の下に紙が置いてある。



少女は千代紙を持ち、紙を不思議な様子で取った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は紙を持ち、千代紙を包みに戻した。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

少女は紙を持ち、紙を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は紙を持ち、沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「秋の七草を詠んだお歌をありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ。」

少女は紙を持ち、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「秋の七草を詠んだ二首のお歌と秋の七草の柄の千代紙を組み合わせた贈り物。素敵な贈り物です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、撫子を抜いた六種類の柄の千代紙を提案したんだ。私は、七種類の柄の千代紙が良いと話したんだ。」

少女は紙を持ち、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「秋の七草の中で、撫子の花の咲く時期が早いから、撫子を抜くと考えたのですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、鈴ちゃんが撫子に該当するから、六種類が良いと提案したんだ。勿論、私は斉藤さんの考えに直ぐに同意したよ。斉藤さんと私で話し合って、秋の七草を贈るから、七種類の柄にすると決めたんだ。」

少女は紙を持ち、沖田総司と斉藤一を恥ずかしく見た。

沖田総司は斉藤一と少女を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



沖田総司の頭が突然に痛んだ。



沖田総司は頭を抑えて、大きな声を出した。

「痛い!」

少女は紙を持ち、沖田総司を心配して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。頭が痛いのか?」

沖田総司は頭から手を放すと、斉藤一を怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。何か遭ったのか?」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「何もありません。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女を慌てて見た。

少女は紙を持ち、沖田総司を心配して見ている。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「千代紙の柄は七種類だけど、鈴ちゃんが撫子に該当する事実は変わらないよ!」

少女は紙を持ち、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「褒めて頂いてありがとうございます。」

沖田総司は少女を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんの家で私の頭を突然に叩きましたよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話の意味が全く分からない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私の追及から逃げています。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司から追及された覚えは一度も無い。俺を追及するならば、更なる精進をしろ。」

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



土方歳三が沖田総司と斉藤一の傍に微笑んで来た。



沖田総司は微笑んで立ち止まった。

斉藤一は普通に立ち止まった。

土方歳三は微笑んで立ち止まった。



土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司は秋の七草を詠んだ二首の歌を覚えていたんだって。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「おみつさんの助けはあったが、総司が歌を忘れずに覚えていた。俺は嬉しい。」

沖田総司は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。俺は撫子を抜いた六種類の柄の千代紙を贈り物にする。」

沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。秋の七草を詠んだ歌について復習するぞ。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。

「私は歌を覚えています。復習は必要ありません。」

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「幾人もの人物が、重要な出来事の最中までは覚えていた内容を、重要な出来事が無事に終わった後に忘れてしまう時がある。俺が更にしっかりと復習を兼ねて説明する。斉藤も一緒に来い。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三に苦笑して話し出す。

「遠慮します。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤は遠慮せずに了承の返事をした。総司は遠慮するのか?」

沖田総司は土方歳三と斉藤一を苦笑して見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤。行くぞ。」

斉藤一は沖田総司の腕を掴むと、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は斉藤一を僅かに驚いた表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三に渋々と話し出す。

「はい。」



土方歳三は微笑んで歩き出した。

斉藤一は沖田総司の腕を掴み、普通に歩き出した。

沖田総司は渋々と歩き出した。



「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

秋の季節に起きた楽しくて微笑ましい出来事。

秋の七草の柄の千代紙が時を鮮やかに彩っていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は、二首あります。

一首目は「万葉集 第八巻 一五三七番」

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

ひらがなの読み方は「あきののに さきたるはなを およびおり かきかぞふれば ななくさのはな」

作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」

歌の意味は「秋の野に咲いている花を、指折り数えてみると、七種類になります。」となるそうです。

原文は「秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花」

二首目は「万葉集 第八巻 一五三八番」

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

ひらがなの読み方は「はぎのはな をばな くずはな なでしこのはな をみなえし またふぢばかま あさがほのはな」

作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」

歌の意味は「(七種類の花というのは)、萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、そして、藤袴、朝顔の花」となるそうです。

原文は「芽之花 乎花 葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花」

秋の花を詠みあげた歌です。

この歌に登場する植物は「秋の七草(あきのななくさ)」として有名です。

「秋の七草」を詠んだ歌は「万葉集 第八巻 一五三七番」と「万葉集 第八巻 一五三八番」の連続した二首で構成しています。

「秋の七草」についてです。

現在では主に鑑賞を目的として親しまれています。

「撫子(なでしこ)」は、夏の季語ですが、他の六種類は、秋の季語です。

「萩(はぎ)」は、マメ科の落葉低木の総称です。

現在の暦で、6月〜10月頃に花が咲きます。

万葉集の「萩」は、「山萩(やまはぎ)」といわれています。

「尾花」は、イネ科の多年草です。

「薄(すすき)」の名前でも知られています。

現在の暦で、9月〜10月頃に花が咲きます。

「葛(くず)」は、マメ科の蔓性の多年草です。

現在の暦で、8月〜9月頃に花が咲きます。

「撫子」は、ナデシコ科の多年草です。

現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。

「女郎花(おみなえし)」は、オミナエシ科の多年草です。

現在の暦で、7月〜10頃に花が咲きます。

「藤袴(ふじばかま)」は、キク科の多年草です。

現在の暦で、10月〜11月頃に花が咲きます。

「朝顔(あさがお)」は、万葉集では朝な綺麗に咲く花として詠まれています。

「桔梗(ききょう)」、「槿(むくげ)」、「昼顔(ひるがお)」の説があります。

「秋の七草」の「朝顔」は、「桔梗」として紹介している事が多いです。

今回の物語も「桔梗」としています。

「桔梗」は、キキョウ科の多年草です。

現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。

「千代紙(ちよがみ)」についてです。

千代紙の歴史は、1700年ほど前の京都にまで遡るそうです。

当時の千代紙は、宮廷のみで奉書紙で使用されていたそうです。

そのような状況のため、千代紙は高級品だったそうです。

後に、貴族などの限られた人達が利用していた高価な千代紙が、江戸に着たそうです。

江戸では和紙を利用して千代紙を作るようになり、奉書紙の雰囲気を出しながらも、手に入れやすい値段になり、庶民の間に広まったそうです。

千代紙は浮世絵師が色付けして錦絵と一緒に販売されていたそうです。

そのため、当時の流行の物や流行の人などを意識した柄や新作も作られたそうです。

当時の人達は、気に入った柄の千代紙を購入して、身の回りの物に貼る、小物などを作る、などして楽しんでいたそうです。

当時人気があったのは、歌舞伎役者などの歌舞伎関係だったそうです。

女性達が、お気に入りの歌舞伎役者関係の千代紙を使って、身の回りの物に貼る、小物を作る、などして楽しんでいたそうです。

いろいろな地域に広まった千代紙は、地域によって様々な特徴を持っていったそうです。

京都で作られた千代紙は「京千代紙」と呼ばれ、江戸で作られた千代紙は「江戸千代紙」と呼ばれたそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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