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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 色取月の物語 我れは物思ふ 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我れは物思ふ つれなきものを」

「万葉集 第十巻 二二四七番」

作者:詠み人知らず



今は秋。



ここは、京の町。



銀杏は黄色に色付いている。

紅葉は紅色に色付いている。



今日は朝から青空が広がっている。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が幾度も訪れる寺。



本堂。



縁の傍。



斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺と二人で居ると楽しくないだろ。総司は少し経つと来る。辛抱しろ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと一緒に居ると、総司さんと居る時と同様に、楽しくて安心です。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺にお世辞は必要ない。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お世辞ではありません。本当です。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんの逢える人物が、一人のみと限定された場合は、総司を迷わず選ぶだろ。」

少女は斉藤一を困惑して見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんが総司に逢いたい気持ちを表現するために話した。美鈴さんを悩ませてしまった。悪かったな。」

少女は斉藤一に微笑んで首を横に振った。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は良い天気ですね。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「銀杏が陽の光を受けると、金色に輝きます。金色に輝く銀杏を見ると、明るい気持ちになります。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。



少女は障子を微笑んで少し開けた。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。



本堂に光が差した。



少女は本堂に光の差す様子を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一の刀の鞘に光が当たった。



少女は斉藤一の刀の鞘を驚いて見た。

斉藤一は少女に刀の鞘が見えないように普通の表情で抱いた。

少女は斉藤一に辛い様子で話し出す。

「すいません。」

斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。

「美鈴さんは悪くない。」

少女は斉藤一に辛い様子で話し出す。

「総司さんは無事ですか?」

斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。

「総司は無事に過ごしている。安心しろ。」

少女は斉藤一に辛い様子で話し出す。

「総司さんの来る時間が近付いています。私の調子が悪いと、総司さんが心配します。私の調子が悪いと、総司さんが私は頼りにならないと思います。」

斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。

「美鈴さんはしっかりとしている。安心しろ。」

少女は斉藤一に辛い様子で話し出す。

「総司さんの刀と斉藤さんの刀が、人を斬る時に光りました。斉藤さんの刀が突然に光りました。総司さんの刀も突然に光っていますよね。」

斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。

「過去の辛い出来事を思い出すな。」

少女は斉藤一を辛い様子で見た。

斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司が来るまで少し余裕がある。少し休め。」

少女は斉藤一に辛い様子で頷いた。

斉藤一は少女を抱いて、少女を普通の表情で見た。

少女は辛い表情で目を閉じている。



斉藤一は少女を抱いて、本堂を静かに出て行った。



少し後の事。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が幾度も訪れる寺。



一室。



少女は床の中で辛い様子で眠っている。

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。



部屋の外から、沖田総司の足音が小さく響いた。



斉藤一は部屋を静かに出て行った。



僅かに後の事。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が幾度も訪れる寺。



本堂。



沖田総司は本道に微笑んで入ってきた。



斉藤一の姿が見えない。

少女の姿も見えない。



沖田総司は本堂を不思議な様子で見た。



斉藤一が本堂に普通に入ってきた。



沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが総司と俺の人を斬った時の様子を思い出して倒れた。住職に頼んで部屋と床を用意してもらった。美鈴さんは僅かずつだが落ち着いている。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の刀の鞘に光が当たった。美鈴さんは総司が直ぐに来ないので心配していた。美鈴さんは総司と俺が人を斬った時の出来事を思い出してしまった。美鈴さんは調子が悪くなった自分を見て、総司が心配する様子や呆れる様子を想像して、不安になっていた。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんの様子を確認したいです。鈴ちゃんの眠る部屋を教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を心配して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司を部屋に案内した後に、俺は寺を出る。後は頼む。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんが目覚めた時に斉藤さんが居ないと心配して悩みます。鈴ちゃんが目覚めるまで傍に居てください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが目覚めた時に、俺と総司が傍に居たら、美鈴さんが気を遣う。美鈴さんの傍に居る人物は、総司のみが良いと思う。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんが目覚めた後に、斉藤さんに逢いたいと話すかも知れません。鈴ちゃんが斉藤さんに逢いたいと話したら、鈴ちゃんに逢ってください。鈴ちゃんが安心して気持ちが早く落ち着きます。寺の外に出るのは、暫く待ってください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を心配して見た。



少し後の事。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が幾度も訪れる寺。



一室。



少女は床の中で辛い様子で眠っている。

沖田総司は少女を心配して見ている。



少女は床の中でゆっくりと目を開けた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。こんにちは。」

少女は床の中で、沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが、鈴ちゃんは疲れて眠っているから、鈴ちゃんの傍に居て欲しいと頼んだんだ。鈴ちゃんの傍で、鈴ちゃんの寝顔を見ていたんだ。楽しかったよ。」

少女は床の中で、沖田総司を不安な様子で見ている。

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「鈴ちゃんは寝ていたから、詰まらなかったよね。」

少女は床の中で、沖田総司に微笑んで小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は床の中で、沖田総司に心配して話し出す。

「斉藤さんは何処に居ますか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは寺の敷地内に居るよ。斉藤さんを探しに行くね。」

少女は床の中で、沖田総司に心配して話し出す。

「斉藤さんに迷惑を掛けました。斉藤さんは私を呆れていると思います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは鈴ちゃんが休む時間の邪魔をしないために、部屋から出て行ったんだ。斉藤さんは優しい人だよ。鈴ちゃんは心配しなくて大丈夫だよ。」

少女は床の中で、沖田総司に心配して話し出す。

「総司さんも斉藤さんも、大切なお休みの時間の最中です。私が眠ったために、総司さんと斉藤さんに、迷惑を掛けました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私から斉藤さんに鈴ちゃんが心配していたと伝えるよ。鈴ちゃん。安心して。」

少女は床の中で、沖田総司に心配して頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。眠いよね。今は悩まずにゆっくりと休んで。」

少女は床の中で、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「総司さんに悪いです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は鈴ちゃんの寝顔も鈴ちゃんの笑顔も見られた。とても楽しいよ。」

少女は床の中で、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を恥ずかしく見た。

少女は床の中で、沖田総司に微笑んで手を差し出した。

沖田総司は少女の手を微笑んで握った。



暫く後の事。



ここは、京の町。



月の光が綺麗に輝いている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は考え込んで居る。



斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。



沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが目を覚ましてから少しの時間は、斉藤さんの気配を感じました。斉藤さんは私の頼みのとおり、寺の敷地内に居てくれました。ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの調子は元に戻りました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが斉藤さんに迷惑を掛けたから謝りたいと話しました。斉藤さんの都合の良い時に、三人で出掛けましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「明日は美鈴さんの様子を確認するために、美鈴さんの家に出掛けるだろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は懐から紙を取り出すと、沖田総司に紙を普通に差し出した。

沖田総司は斉藤一から紙を不思議な様子で受け取った。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「紙に歌が書いてある。美鈴さんに逢ったら歌を贈れ。美鈴さんが喜ぶぞ。」

沖田総司は紙を持ち、紙を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は紙を持ち、紙を見ながら、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「“秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我れは物思ふ つれなきものを”。鈴ちゃんが贈り物として受け取って喜ぶ歌なのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「喜ぶ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺を信じろ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。明日は報告を兼ねて逢おう。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。明日のために早く寝ろ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。斉藤さん。お休みなさい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



翌日の事。



ここは、少女の家。



少女の部屋。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。元気に見える。安心した。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんに鈴ちゃんは笑顔で起きたと伝えたんだ。斉藤さんは安心していたよ。斉藤さんの都合が付いたら三人で出掛けたいと話したんだ。斉藤さんは直ぐに了承したよ。鈴ちゃん。良かったね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は懐から文を取り出すと、少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんから良い歌を教えてもらったんだ。鈴ちゃんへの贈り物に良いと思ったんだ。鈴ちゃん。受け取って。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に文を微笑んで差し出した。

少女は沖田総司から文を微笑んで受け取った。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は文を持ち、文を微笑んで読み始めた。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

少女は文を持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は文を持ち、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「秋の実りや穂の垂れる様子を詠んだ歌だよね。穂が垂れるほどの実りなのに、自分は何かをつれなく思っているんだよね。つれなく思う理由は、鈴ちゃんに相応しくなかったのかな? 斉藤さんは鈴ちゃんが今の歌を受け取ったら喜ぶと話したんだ。私は斉藤さんの話を聞いて、鈴ちゃんへの贈り物にすると直ぐに決めたんだ。斉藤さんは勘違いをしているのかな?」

少女は文を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。素敵なお歌の贈り物。ありがとうございます。斉藤さんにもお礼を伝えたいです。」

沖田総司は少女に安心して話し出す。

「鈴ちゃんの贈り物に出来る歌だったんだね。安心した。斉藤さんには私から伝えるよ。安心して。」

少女は文を持ち、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を笑顔で見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は机に普通の表情で向かっている。



沖田総司が部屋の中に微笑んで入ってきた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは歌を受け取って喜んでいました。鈴ちゃんは斉藤さんにお礼を伝えたいと話しました。ありがとうございました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんが、歌を受け取った時に、不思議な態度を取りました。鈴ちゃんに贈って良い歌だったのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「“秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我れは物思ふ つれなきものを”。秋の田の穂が垂れる豊かな実りを詠んだ歌ですよね。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「歌の中の“我れ”は、何をつれなく思っているのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。歌の中に“片寄りに”の言葉があるだろ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「歌の意味は、“秋の田の稲の穂が実って垂れているように、私はあなたの事だけを想っている。あなたは知らないふりをしているけれど。”となるそうだ。」

沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。

「鈴ちゃんが誤解したら困ります!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが誤解した場合は、良い機会だから、美鈴さんに誤解を続けてもらえ。」

沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。

「鈴ちゃんが誤解したために、鈴ちゃんに逢えない状況になる可能性があります!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今の状況で、総司が美鈴さんに今の歌を贈っても、総司が美鈴さんに逢えない状況になる可能性は無い。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんは私に鈴ちゃんが喜ぶから信じろと話しました! 私は斉藤さんを信じました! 酷いです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは喜んだのだろ。問題は無い。」

沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。

「充分に問題があります!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は、総司が美鈴さんは喜ぶかと質問したから、喜ぶと答えた。俺は、総司が納得していないから、俺を信じろと話した。俺は総司に詳細な説明をしても良かったが、総司は俺に詳細な説明を求めずに納得して会話を終えた。」

沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。

「斉藤さん! 酷いです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが喜んでいるのに、俺に酷いと話す総司の方が、酷い。」

沖田総司は斉藤一を赤面して拗ねて見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に赤面して拗ねて話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんと出掛ける約束は忘れないでください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に赤面して拗ねて話し出す。

「斉藤さん。頷く返事ではなく、言葉で返事をしてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに対して失礼な言動は出来ない。美鈴さんを相手に嘘を付く必要は無い。」

沖田総司は斉藤一に赤面して拗ねて話し出す。

「斉藤さん。今の話の内容は、鈴ちゃんに嘘を付かないけれど、私には嘘を付く、と解釈できます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司に嘘を付くと、長い時間を騒ぐし、話す時間が長くなる。以上の理由で、俺は総司に嘘を付かない。」

沖田総司は斉藤一に赤面して僅かに怪訝な様子で話し出す。

「分かりました。斉藤さんの話を信じます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は赤面して、軽く息をはいた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を赤面して不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司の額を指で普通の表情で思い切り弾いた。

沖田総司は額を手で押さえると、斉藤一に赤面して怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。痛いです。何をするのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の額を叩いて大切な物を出したいと思った。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今回も大切な物が出ない。次回は、更に強く叩く。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して緊張して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。もしかして、俺から離れたいと考えているのか?」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して動揺して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一に赤面して怪訝な様子で話し出す。

「私と斉藤さんは、友達です。酷い言動はしませんよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一に赤面して怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。頷く返事ではなく、言葉で返事をしてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。直ぐに総司の額を叩きたい。大切な物が出れば、美鈴さんの満面の笑顔が見られる。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺を信じろ。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して緊張して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は任務中だ。続きは後にする。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一を赤面して不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺と話しを続けたいのか。仕方が無い。急ぎの内容から話せ。」

沖田総司は額を手で押さえて、斉藤一に赤面して不思議な様子で話し出す。

「斉藤さんの邪魔は出来ません。任務が終わったら、続きを話しましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は額を手で押さて、部屋を不思議な様子で出て行った。



「秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我れは物思ふ つれなきものを」

沖田総司と少女。

いろいろな出来事が重なり、想いが複雑に絡まっている。

斉藤一と少女の苦労は、暫く続く予感がする。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 二二四七番」

「秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我れは物思ふ つれなきものを」

ひらがなの読み方は「あきのたの ほむきのよれる かたよりに われはものおもふ つれなきものを」

作者は「詠み人知らず」

原文は「秋田之 穂向之所依 片縁 吾者物念 都礼無物乎」

歌の意味は「秋の田の稲の穂が実って垂れているように、私はあなたのことだけを想っています。あなたは知らないふりをしているけれど」となるそうです。

「秋の田」は、収穫時期の田を差しているそうです。

鈴ちゃんが沖田総司さんと斉藤一さんが人を斬った時の様子を思い出して調子が悪くなる場面は、幾つかの物語で書いています。

斉藤一さんと鈴ちゃんが一緒に居る時に、鈴ちゃんが何かのきっかけで沖田総司さんと斉藤一さんが人を斬った時の様子を思い出して倒れる場面を書きたいと思いました。

この物語の時間設定時の沖田総司さんは、既に病気になっています。

そのため、沖田総司さんの想いと鈴ちゃんの想いが複雑に絡まっています。

「色取月(いろどりづき)」は、「いろどるづき」とも読みます。

「色取り月」と書いて「いろどりづき」と読む事もあります。

「(木の葉の色付く付の意味から)陰暦九月の異称」です。

この物語では「色取月(いろどりづき)」と書いて読んでいます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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