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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 桜紅葉と紅葉の舞 心あらばいまひとたびの 〜
登場人物
沖田総司、斉藤一、少女[鈴・美鈴]
「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ」
「小倉百人一首 二十六番」、及び、「拾遺集」より
作者:貞信公(ていしんこう)
今は秋の終わり。
ここは、京の町。
木々の葉が少しずつ紅色に色付き始めた。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
本堂。
縁。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。桜の葉が赤く色付いているね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。寒さを感じる時があるよね。本堂に入ろう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は本堂に微笑んで入って行った。
少女も本堂に微笑んで入って行った。
少し後の事。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
本堂。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は少女に残念な様子で話し出す。
「鈴ちゃん。帰る予定の時間が近付いているんだ。」
少女は沖田総司に寂しく頷いた。
沖田総司は少女に申し訳なく話し出す。
「鈴ちゃん。家まで送っていくよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女も沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は微笑んで立ち上がった。
少女も微笑んで立ち上がった。
沖田総司は障子を開けると、少女を微笑んで見た。
少女が辛い様子で座っている。
沖田総司は少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。調子が悪くなったのかな?」
少女は沖田総司に辛い様子で首を横に振った。
沖田総司は少女を心配して抱いた。
少女は沖田総司に辛い様子で話し出す。
「すいません。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。謝る必要はないよ。」
少女は沖田総司を辛い様子で見た。
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。少し休もう。」
少女は沖田総司に辛い様子で話し出す。
「お休みを取ると、総司さんがお仕事に遅れます。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。戻る時間までに余裕がある。私の心配はしなくて良いよ。」
少女は沖田総司に辛く抱き付いた。
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫?」
少女は沖田総司に辛い様子で抱き付いている。
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。本堂で少し休もう。」
少女は沖田総司に抱き付いて、沖田総司に辛い様子で話し出す。
「すいません。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃんは悪くないよ。謝る必要はないよ。」
少女は沖田総司に辛い様子で抱き付いた。
沖田総司は少女を支えて、本堂の中にゆっくりと入って行った。
少女は本堂の中に辛い様子でゆっくりと入って行った。
少し後の事。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
本堂。
沖田総司は少女を心配して抱いている。
少女は辛い様子で居る。
沖田総司は少女を抱いて、少女を心配して見た。
少女は沖田総司を辛い様子で見た。
沖田総司は少女を抱いて、困惑した様子で考え込んだ。
少女は沖田総司に辛い様子で小さく話し出す。
「総司さん。すいません。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に僅かに慌てて話し出す。
「境内に植わる木々の葉が赤いから、調子が悪くなったのかな?」
少女は沖田総司に辛い様子で小さい声で話し出す。
「総司さん。帰ります。」
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫?」
少女は沖田総司に辛い様子で頷いた。
沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。家まで送っていくよ。」
少女は沖田総司に辛い様子で小さく頷いた。
沖田総司は少女を支えて、本堂をゆっくりと出て行った。
少女は本堂を辛い様子でゆっくりと出て行った。
直後の事。
ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。
沖田総司は少女を支えて、境内にゆっくりと来た。
少女は境内に辛い様子でゆっくりと来た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。山門を潜ったら、一人で歩きます。」
沖田総司は少女を支えて、少女に心配して話し出す。
「辛くなったら、無理をせずに私に掴まってね。」
少女は沖田総司に微笑んで小さく頷いた。
沖田総司は少女を支えて、少女を微笑んで見た。
暫く後の事。
今は夜。
ここは、京の町。
星が静かに輝いている。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は部屋を心配な様子で訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。
「今日は、鈴ちゃんと逢いました。私は鈴ちゃんに用事があるので帰ろうと話しました。鈴ちゃんは私が任務のために帰りたいと話したのが分かったと思います。境内の紅葉が赤く色付いていました。鈴ちゃんが帰る時には、私の背中に赤く色付いた紅葉が見えました。鈴ちゃんの調子が急に悪くなりました。鈴ちゃんは私が人を斬った時の様子を思い出したと思います。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。
「鈴ちゃんが辛い思いをしています。私は鈴ちゃんの笑顔が見たいです。私は、鈴ちゃんが無理をして作る笑顔ではなく、本当の笑顔が見たいです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。
「斉藤さんに鈴ちゃんの様子の確認を頼みたいです。鈴ちゃんと話しが出来る様子ならば、私と鈴ちゃんの話す時間を作ってください。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。
「私も鈴ちゃんの家の近くまで一緒に行きます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。
翌日の事。
ここは、少女の家の近く。
沖田総司は普通に来た。
斉藤一も普通に来た。
沖田総司は斉藤一に心配して軽く礼をした。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
斉藤一は普通に歩き出した。
少し後の事。
ここは、少女の家。
玄関。
斉藤一は普通に訪ねてきた。
少女は不思議な様子で来た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「元気そうだな。」
少女は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「少し話したい。外で話したいと考えている。都合が悪ければ日を改める。遠慮せずに返事をしろ。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私は大丈夫です。斉藤さんとお話しが出来て嬉しいです。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は普通に居なくなった。
少女は微笑んで居なくなった。
少し後の事。
ここは、斉藤一と少女が幾度も訪れる寺。
本堂。
斉藤一は普通に来た。
少女は微笑んで来た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「昨日、調子が悪くなったのだろ。今日は元気に見える。安心した。」
少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。
「ご迷惑をお掛けしてすいません。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは悪い言動をしていない。謝るな。」
少女は斉藤一を申し訳なく見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「今は紅葉の時期だ。紅葉する木々を見て、総司が人を斬った時の様子を思い出して、調子が悪くなったのか?」
少女は斉藤一を不安な様子で見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司には話さない。不安にならず話してくれ。」
少女は斉藤一に不安な様子で話し出す。
「総司さんの後ろに見える紅色の紅葉を見た時に、総司さんが赤く見えました。総司さんが赤く見えると思った途端に辛くなりました。」
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に僅かに辛い様子で小さい声で話し出す。
「総司さんが人を斬った時に、相手の人が赤くなりました。」
斉藤一は少女を抱くと、少女に普通に話し出す。
「辛い時の状況を思い出させた。悪かった。無理するな。」
少女は斉藤一に辛く不安な様子で話し出す。
「総司さんのお仕事は間に合いましたか?」
斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。
「間に合った。」
少女は斉藤一に辛く不安な様子で話し出す。
「総司さんは私を呆れていましたか?」
斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。
「総司は美鈴さんを呆れていない。総司は美鈴さんを心配している。不安になるな。」
少女は斉藤一に辛く不安な様子で話し出す。
「総司さんも斉藤さんも、お仕事が大変で忙しいです。私を心配すると、お休みする時間が減ってしまいます。」
斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。
「美鈴さんを心配しても、休む時間は減らない。細かい内容で悩むな。」
少女は斉藤一に辛く不安な様子で話し出す。
「すいません。」
斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは悪い言動を何もしていない。謝るな。」
少女は斉藤一に辛く不安な様子で話し出す。
「総司さんも斉藤さんも、危険なお仕事をしています。総司さんにも斉藤さんにも、たくさんお休みして欲しいです。総司さんにも斉藤さんにも、たくさん楽しんで欲しいです。総司さんにも斉藤さんにも、たくさん心配を掛けています。総司さんも斉藤さんも、私を呆れてしまいます。総司さんにも斉藤さんにも、逢えなくなります。」
斉藤一は少女を抱いて、少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。普通に過ごしていれば、人を斬る様子は滅多に見ない。美鈴さんが人を斬る様子を見た人物が、総司と俺だった。総司も俺も、美鈴さんの悩む気持ちが分かる。総司も俺も、美鈴さんが辛い調子になる状況が分かる。総司も俺も、美鈴さんと逢う時間を楽しみにしている。美鈴さん。悩まずに気を楽にして過ごせ。」
少女は斉藤一を見ながら、小さい声で泣いた。
斉藤一は少女を抱いて、少女を普通の表情で見た。
少し後の事。
ここは、斉藤一と少女が幾度も訪れる寺。
本堂。
斉藤一は少女を抱いて、少女を普通の表情で見ている。
少女は静かに泣いている。
少女は静かに泣き止んだ。
斉藤一は少女を抱いて、少女を普通の表情で見ている。
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女をゆっくりと放した。
少女は斉藤一を微笑んで見ている。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は美鈴さんの調子が良ければ話したいと思っている。総司は美鈴さんに無理をさせて話したいと思っていない。美鈴さんが辛い調子ならば、総司と話さずに家に戻ろう。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さんに逢いたいです。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は境内に居る。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は本堂を微笑んで出て行った。
僅かに後の事。
ここは、斉藤一と少女が幾度も訪れる寺。
境内。
少女は境内に微笑んで来た。
少女は境内を微笑んで見た。
沖田総司は寒椿を微笑んで見ている。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司も少女を微笑んで見た。
少女は微笑んで歩き出した。
沖田総司は少女を微笑んで見ている。
少女は微笑んで来た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「寒椿が咲いていますね。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は境内の桜の木を指すと、沖田総司に微笑んで話し出す。
「桜の葉が紅色に色付き始めました。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は境内の桜の木を指すのを止めると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「紅色に色付く桜の葉を“桜紅葉”と呼びます。素敵な呼び名だと思います。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「紅葉も綺麗に色付いていますね。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんの姿が見える前に、紅葉の木に歌を詠みながら願い事をしたんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「素敵な願い事を想像しました。紅葉の木に詠んだお歌を知りたくなりました。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「“小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ”」
少女は沖田総司を申し訳なく見た。
沖田総司は少女に苦笑して話し出す。
「私は歌に関して疎いから、私の知る歌は少ない。“もみぢ葉”、“心あらば”、“いまひとたびの”、“待たなむ”、の言葉があるから、紅葉の木に歌を詠みながら願い事をしたんだ。鈴ちゃんが私の紅葉の木への願い事の内容を知ったら、呆れると思うんだ。鈴ちゃんには私の紅葉の木への願い事の内容を秘密にしたいと思っているんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を苦笑して見た。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは本堂に居るよね。私と斉藤さんと鈴ちゃんで、本堂で話してすごそう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女の手を微笑んで握った。
少女も沖田総司の手を微笑んで握った。
沖田総司は少女の手を握り、微笑んで歩き出した。
少女も沖田総司の手を握り、微笑んで歩き出した。
「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ」
京の町の桜の葉と紅葉が、紅色に色付き始めた。
沖田総司の想い、斉藤一の想い、少女の想いが、優しく重なり合っている。
秋の季節がゆっくりと過ぎていく。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「小倉百人一首 二十六番」、及び、「拾遺集」
「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ」
ひらがなの読み方は「をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ」
作者は「貞信公(ていしんこう)」
歌の意味は「小倉山の峰を彩る紅葉の葉よ。お前に心というものがあるのなら、もう一度、行幸(天皇のお出かけ)があるまで散らないで待っていておくれ。」となるそうです。
幕末の京都は、維新派や幕府派などが入り乱れて、治安が良いとは言えない状況の時がありました。
そのような状況ではありますが、鈴ちゃんが一人で出掛ける場面は幾度も登場しています。
「新撰組異聞」関連の物語の設定当時は、京都で大きな戦いが始まらなければ、場所や時間を注意して出掛ければ、人を斬る場面を見る機会は無かったと思います。
「新撰組異聞」関連の物語の中で、沖田総司さんが人を斬る場面が登場する物語を幾度か書きました。
「新撰組異聞」関連の物語の中で、鈴ちゃんが沖田総司さんの人を斬る状況を見る場面が登場する物語も書きました。
沖田総司さんは剣の天才と伝わっています。
沖田総司さんと相手の間に、圧倒的な力量の差がある場合が、たくさんあったと思います。
鈴ちゃんは沖田総司さんの優しさも強さも知った上で一緒に居ます。
鈴ちゃんは沖田総司さんが人を斬る姿を何かの時に思い出して、辛い思いをした時があると思いました。
沖田総司さんは鈴ちゃんの気持ちが分かるので、辛い思いをしたと思いました。
鈴ちゃんは実在の人物ではありませんが、実際に起きる可能性があると考えて物語を書きました。
「桜紅葉(さくらもみじ)」は「秋に桜の葉が紅葉すること。紅葉した桜の葉そのもの。」です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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