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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 女郎花と男郎花 袖さえにほふをみなへし 〜
登場人物
土方歳三、沖田総司、斉藤一、子供達、少女[鈴・美鈴]
「手に取れば 袖さえにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも」
「万葉集 第十巻 二一一五番」より
作者:詠み人知らず
今は秋。
ここは、京の町。
女郎花が綺麗に咲く頃となっている。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
沖田総司と子供達は、相撲を取っている。
斉藤一は、沖田総司と子供達から少し離れた場所で、沖田総司と子供達を普通の表情で見ている。
子供は沖田総司に果敢に向かっていく。
沖田総司は子供を受け止めると、子供を軽く投げ飛ばした。
子供は地面に尻餅を付いた。
沖田総司は、剣の稽古に関しては、子供にも容赦は無い。
今は剣の稽古は関係ないので、子供達の様子を見ながら相撲を取っている。
沖田総司は子供達に分からない程度に手加減をしているため、子供達が怪我をする様子はない。
沖田総司は子供達に笑顔で話し出す。
「次は誰かな?!」
子供が沖田総司に真剣な表情で話し出す。
「僕です!」
沖田総司は子供に笑顔で話し出す。
「良い顔をしているな!」
子供は沖田総司に真剣な表情で果敢に勝負を挑んだ。
沖田総司は子供を受け止めると、子供を軽く投げ飛ばした。
子供は地面に尻餅を付いた。
沖田総司は子供に笑顔で話し出す。
「次も勝負するか?!」
子供は沖田総司に微笑んで首を横に振った。
沖田総司は子供達に笑顔で話し出す。
「次は誰かな?!」
子供が沖田総司に笑顔で話し出そうとした。
沖田総司の視線の中に女郎花の花が入ってきた。
沖田総司は女郎花を微笑んで見た。
子供達は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は子供達を見ると、子供達に微笑んで話し出す。
「女郎花が咲いているね。」
子供達は境内を微笑んで見た。
子供達の視界の中に女郎花の花が入ってきた。
子供達は女郎花を微笑んで見た。
沖田総司は女郎花に向かって微笑んで歩き出した。
子供達は沖田総司の後に続いて微笑んで歩き出した。
直後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
女郎花の咲く場所。
女郎花の花は静かに咲いている。
沖田総司は微笑んで来た。
子供達も微笑んで来た。
女郎花の隣に、女郎花の花に似る白色の花が咲いている。
沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。
「女郎花の隣に咲く白い花は、女郎花に似ているね。」
子供が沖田総司に微笑んで話し出そうとした。
沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。
「白い花の女郎花があるんだね。知らなかった。」
子供が沖田総司に微笑んで話し出そうとした。
沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。
「帰る時間になったね。」
子供達は沖田総司を何か言いたげに見た。
沖田総司は子供達に微笑んで話し出す。
「みんな。気をつけて帰ってね。」
子供達は沖田総司に微笑んで話し出す。
「今日はありがとうございました。」
沖田総司は子供達に微笑んで頷いた。
斉藤一は普通に来た。
子供達は斉藤一に微笑んで話し出す。
「今日はありがとうございました。」
斉藤一は子供達に普通の表情で頷いた。
子供達は微笑んで居なくなった。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。私達も帰りましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで居なくなった。
斉藤一は普通に居なくなった。
少し後の事。
ここは、町中。
沖田総司は微笑んで歩いている。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「子供達と遊ぶ最中に、珍しい花を見つけました。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「斉藤さん。何かありましたか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「境内や本堂などに、珍しい花が咲いていた記憶が無い。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「白色の女郎花の花が、女郎花の隣で咲いていました。白色の女郎花の花は、珍しいですよね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「珍しい花か分からないが、美鈴さんは喜ぶと思う。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「明日、鈴ちゃんと一緒に出掛ける予定です。斉藤さんも予定が無ければ一緒に出掛けますよね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが喜んでくれると嬉しいです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
翌日の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
沖田総司は微笑んで来た。
斉藤一は普通に来た。
少女は微笑んで来た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「昨日、子供達と遊ぶ最中に、珍しい女郎花を見付けたんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「楽しみです。」
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「珍しい女郎花を直ぐに見るよね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「直ぐに見たいです。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
少女も微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
女郎花の花の咲く場所。
女郎花の花は静かに咲いている。
沖田総司は微笑んで来た。
少女は微笑んで来た。
斉藤一は普通に来た。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! 女郎花と一緒に白い女郎花の花が咲いているんだ! 凄いよね!」
少女は女郎花を微笑んで見た。
沖田総司は少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。綺麗です。ありがとうございます。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんに喜んでもらえた! 嬉しいな!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は普通に居る。
沖田総司は笑顔で来た。
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「土方さん! 白い女郎花を見付けました! 珍しいですよね!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司が話す白色の女郎花は、男郎花だと思う。」
沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「男郎花の花は、白色の女郎花の花のように見える。」
沖田総司は土方歳三を赤面して見た。
土方歳三は沖田総司に不思議な様子で話し出す。
「斉藤に確認しなかったのか?」
沖田総司は土方歳三を赤面して驚いて見た。
土方歳三は沖田総司に呆れた様子で話し出す。
「斉藤に確認しなかったのか。」
沖田総司は土方歳三に赤面して拗ねて話し出す。
「私は〜 斉藤さんに〜 白色の女郎花の花だと話しました〜 斉藤さんは〜 黙っていました〜」
土方歳三は沖田総司に呆れた様子で話し出す。
「斉藤が何かの内容を話す前に、総司が立て続けに話していないか?」
沖田総司は土方歳三を赤面して考え込みながら見た。
土方歳三は沖田総司を呆れた様子で見た。
沖田総司は土方歳三を赤面して何かを思い出した様子で見た。
土方歳三は沖田総司に呆れた様子で話し出す。
「当たっているのか。」
沖田総司は土方歳三を赤面して動揺して見た。
沖田総司は部屋を赤面して慌てて出て行った。
土方歳三は呆れた様子で軽く息をはいた。
少し後の事。
ここは、屯所。
縁。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司は赤面して慌てて走ってきた。
斉藤一は普通に立ち止まった。
沖田総司は斉藤一に赤面して慌てて話し出す。
「斉藤さん! 何処に出掛けていたのですか?! 帰りが遅過ぎです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は、総司が美鈴さんを家まで送る間に、屯所に戻った。総司が屯所に戻る前に、用意があったので出掛けた。」
沖田総司は斉藤一に赤面して慌てて話し出す。
「私は、斉藤さんに話したくて、斉藤さんの帰りを待っていました! 斉藤さん! 帰りが遅過ぎです!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「斉藤さん! 私は男郎花を知りませんでした! 鈴ちゃんは呆れています! 鈴ちゃんは私に再び逢わないかも知れません!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは、総司が男郎花を知らない程度で、逢うのを止めない。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「私が男郎花を白い女郎花と話した時に、鈴ちゃんは黙っていました! 鈴ちゃんは男郎花も知らない私を、呆れたと思います! 鈴ちゃんは、私を呆れたから、黙っていたと思います!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「男郎花を知っていて、男郎花を見ただけで直ぐに分かる男性は、たくさん居ない。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「土方さんも斉藤さんも、男郎花を知っています!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「土方さんは、別格だ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「斉藤さんも別格なのですね!」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「総司。落ち着け。俺と土方さんを一緒にするな。」
沖田総司は斉藤一を赤面して動揺して見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは、総司が花に疎い状況を既に知っている。美鈴さんが総司の話を訂正しなかったのは、総司を呆れた訳ではなく、話す機会を逃しただけだ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「私は男郎花を知りました! 鈴ちゃんに私が男郎花を知っている内容を話したいです! 斉藤さん! 良い方法を教えてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんに女郎花の花に添えて歌を贈れ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。土方さんの部屋に行くぞ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して動揺して話し出す。
「はい!」
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は赤面して歩き出した。
数日後の事。
ここは、町中。
沖田総司は微笑んで歩いている。
少女も微笑んで歩いている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんに見て欲しい場所があるんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私に見て欲しい場所。楽しみです。早く知りたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「ひ、み、つ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「秘密の場所なのですね。とても楽しみです。」
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃん! 期待が大きいと残念に思う可能性があるよ! 期待しないでね!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんが私に見て欲しい場所です。残念に思う可能性は無いです。」
沖田総司は少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、季節の花がたくさん咲く場所。
沖田総司は微笑んで来た。
少女も微笑んで来た。
沖田総司は前を指すと、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。着いたよ。」
少女は前を微笑んで見た。
たくさんの女郎花の花が咲いている。
たくさんの男郎花の花が咲いている。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。綺麗です。」
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「数日ほど前に、私が鈴ちゃんに珍しい女郎花と話した花は、男郎花だよね。」
少女は沖田総司を申し訳なく見た。
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「私は鈴ちゃんを責めていないよ! 鈴ちゃんが、私の話を聞いて期待していたのに、残念に思っていないか心配になったんだ!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「男郎花を見る機会は少ないです。とても嬉しかったです。」
沖田総司は少女に安心して見た。
少女は女郎花と男郎花見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。黄色の花の波の中に、白色の花の波が見えます。黄色い花の波が白色に輝いているみたいです。」
沖田総司は女郎花と男郎花を見ると、少女に微笑んで話し出す。
「本当だね。波に見えるね。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。
「私は花について疎いんだ。間違った内容を話した時は、教えて欲しいんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私が教える内容は無いと思います。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが花についていろいろと教えてくれるから、とても勉強になっているんだ。今後もいろいろと教えてね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。女郎花と男郎花を近くで見よう。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
僅かに後の事。
ここは、季節の花がたくさん咲く場所。
たくさんの女郎花が咲いている。
たくさんの男郎花が咲いている。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は女郎花と男郎花を微笑んで手折った。
少女は、沖田総司、女郎花、男郎花、を微笑んで見た。
沖田総司は女郎花と男郎花を少女に差し出すと、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。贈り物。」
少女は沖田総司から女郎花と男郎花を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は女郎花と男郎花を持ち、沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「“手に取れば 袖さえにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも”」
少女は女郎花と男郎花を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「万葉集のお歌ですね。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「女郎花も男郎花も共に登場する歌が見付らなかったんだ。白露の白色を男郎花の代わりとして選んだ歌なんだ。」
少女は郎花と男郎花を手に持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「素敵な歌の選び方です。総司さん。凄いです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「今の歌を文に書いたんだ。歌も受け取ってくれるかな?」
少女は郎花と男郎花を手に持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女の持つ女郎花と男郎花に文を微笑んで巻き付けた。
少女は女郎花と男郎花を手に持ち、沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで見た。
風が吹き始めた。
女郎花が風に揺れて、黄色の波を作り始めた。
男郎花も風に揺れて、白色の波を作り始めた。
黄色い波の中に、白色の波が見える。
黄色い波が白色に輝くように見える。
黄色の波と白色の波が、沖田総司と少女を包み込むように揺れている。
「手に取れば 袖さえにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも」
沖田総司は、手に取ると袖まで美しく染まりそうな女郎花を見た。
沖田総司の見る女郎花は、白露に包まれても散らないように感じた。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 二一一五番」
「手に取れば 袖さえにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも」
ひらがなの読み方は「てにとれば そでさへにほふ をみなへし このしらつゆに ちらまくおしも」
作者は「詠み人知らず」
歌の意味は「手に取ると袖まで美しく染まりそうな女郎花が、この白露に散ってしまうのが惜しいことです。」となるそうです。
原文は「手取者、袖并丹覆、美人部師、此白露尓、散巻惜」
「にほふ」は「美しい色に染まる」とか「鮮やかに色付く」という意味だそうです。
「女郎花(おみなえし)」についてです。
オミナエシ科。
多年草。
秋の季語。
「秋の七草」の一つです。
小さい黄色い花がたくさん集まって咲きます。
開花時期は、現在の暦で、7月上旬〜10月上旬です。
絶滅危惧種、準絶滅危惧者、などに指定している県が幾つもあります。
絶滅の危険が高まっている植物の一種類です。
「男郎花(おとこえし)」についてです。
オミナエシ科。
多年草。
秋の季語です。
見た目は、白色の花の女郎花、のような感じです。
白色の小さい花が集まって咲きます。
開花時期は、女郎花とほぼ同じです。
絶滅危惧種としての指定はありませんが、レッドデーターに記載されている県があります。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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