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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 秋の夜長の夢語り 万葉 簾動かし 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人 夢




「君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く」

「万葉集 第四巻 四八八番」より

作者:額田王(ぬかたのおおきみ)




今は秋。



ここは、京の町。



過ごしやすい日が続いている。



夜空には月と星が綺麗に輝いている。



屯所。



沖田総司の部屋。



部屋の中に蚊帳が吊ってある。



蚊帳の中に床が敷いてある。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。



沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ顔の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は床に横になり、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。今晩は。」

夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は床の上にゆっくりと体を起こした。

夢は沖田総司に笑顔で抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して動きを止めた。



夢は沖田総司を抱いて、微笑んで、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、動きを止めて、不思議な空気に包まれた。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



草原。



夜空には月と満天の星が綺麗に輝いている。



心地良い空気に包まれている。



草原は月の光と満天の星の光を受けて淡く輝いている。



夢は沖田総司を抱いて、微笑んで、静かに現れた。

沖田総司は赤面して、動きを止めて、静かに現れた。



夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「挨拶が遅くなりました。照れ屋の総司さん。こんばんは。」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「私は照れ屋ではない。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。顔が赤いです。照れ屋さんだから、顔が赤くなります。」

沖田総司は夢を赤面して困惑して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。照れ屋さんだから黙っているのですね?」

沖田総司は夢を赤面して困惑して見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。本題に入ります。良いですか?」

沖田総司は夢に赤面して不思議な様子で話し出す。

「本題?」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を赤面して不思議な様子で見た。



橙色の薔薇の花束が、輝いて、静かに現れた。



橙色の薔薇の花束の光は少しずつ消えていった。



沖田総司は橙色の薔薇の花束を不思議な様子で見た。

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は橙色の薔薇の花束を見ながら、夢に微笑んで話し出す。

「綺麗な色の花だね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「薔薇の名前は、“万葉”です。総司さんの住む国に歌集の“万葉集”がありますよね。“万葉集”の歌の時代にちなんで名付けられました。」



橙色の花は、薔薇の花になる。

橙色の薔薇は、“万葉”の名前になる。



沖田総司は夢を不思議な様子で見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「夜の国では、薔薇の花は、春から夏の間に咲く他に、秋に咲く種類も多いです。」

沖田総司は夢を不思議な様子で見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。万葉の花束を贈ります。」

沖田総司は夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。ありがとう。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。後程、逢いましょう。」

沖田総司は夢を微笑んで見た。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。



斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。今晩は。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「夢ちゃんから万葉の名前の薔薇の花束をもらいました。綺麗な薔薇ですよね。」

斉藤一は万葉の花束を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は万葉の花束を見ながら、普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに万葉の花束を贈りたいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。万葉集に薔薇を詠んだ歌はありますか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「万葉集には薔薇を詠んだ歌は二首ある。二首共に、美鈴さんへの贈り物の歌に相応しいか疑問だ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は歌に疎い。覚えたい歌が覚えられなくなる。良いのか?」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「私だって〜 歌に関する勉強がしたいです〜 鈴ちゃんに贈る歌に相応しいかは〜 私が決めます〜 斉藤さん〜 早く教えてください〜」

斉藤一は沖田総司の耳に普通の表情で顔を近付けた。

沖田総司は斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司の耳から普通の表情で離れた。

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんの話すとおりです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんには、万葉と万葉集の中で秋を詠んだ歌を贈り物にしろ。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。良い歌を知っているのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「作者は女性だが、秋の風を詠んだ歌がある。」

沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。教えてください。」

斉藤一は懐から紙を取り出すと、沖田総司に紙を普通に渡した。

沖田総司は斉藤一から紙を赤面して不思議な様子で受け取った。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は紙を持ち、紙を赤面して見た。



紙には一首の歌が書いてある。



「君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く」



沖田総司は紙を持ち、紙を赤面して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。万葉と歌を贈るための準備を始める。」

沖田総司は紙を持ち、紙を赤面して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。赤面する内容の歌に該当しない。何時まで赤面するのか?」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を観ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私は赤面していますか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「先程まで赤面していたが、今は赤面していない。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんから贈る方法が合う歌に思います。女性の作者だから感じる内容なのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。再び赤面した。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を赤面して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。総司が薔薇と薔薇を詠んだ歌を贈りたいと話した。俺が万葉集に掲載している二首の歌を教えた。総司は美鈴さんに贈る歌を悩んで決められなかった。美鈴さんに以上の内容を話したい。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に赤面して慌てて話し出す。

「斉藤さん! 斉藤さんの話す内容では、万葉集に掲載している二首の歌の中で、鈴ちゃんに贈る歌が決められずに悩んでいるように感じます!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は嘘を付いていない。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さんは嘘を付いていませんが、現況と経過が、分かるよう話してください! 鈴ちゃんには今の内容で話さないでください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。総司の話の内容では、俺は、嘘の内容を話していないが、詳細な内容は話していないと受け取れる。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に慌てて話し出す。

「斉藤さんは嘘を付いていません! 斉藤さんは真実を話しています!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を安心して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。話し忘れていた。美鈴さんは万葉集に掲載している薔薇を詠んだ二首の歌を知っている可能性がある。総司が悩んでいると分かったら、何を思うかな?」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが万葉集に掲載している薔薇を詠んだ歌を知らない時は、俺が教える。安心しろ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! 思い切り安心できません! 止めてください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。“君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く”、に合う場所に行くぞ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。動揺するな。早く行くぞ。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に慌てて話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



万葉の花束は、淡く光ると、静かに居なくなった。

沖田総司は紙を持ち、静かに居なくなった。

斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



夢の住む家。



畳敷きの部屋。



簾が有る。



落ち着いた雰囲気になっている。



万葉の花束が淡く光り、静かに現れた。

沖田総司は紙を持ち、静かに現れた。

斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。



沖田総司は紙を持ち、部屋を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「歌に合わせて様々な内容が出来る。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。歌を紙に書け。」

沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」



簾がゆっくりと動いた。



心地良い風が部屋の中に入ってきた。



沖田総司は紙を持ち、簾を不思議な様子で見た。

斉藤一は簾を普通の表情で見た。



少女が部屋の中に微笑んで入ってきた。



沖田総司は紙を持ち、少女を僅かに驚いた表情で見た。



沖田総司の紙を持つ力が弱まった。



紙は沖田総司の手から紙をゆっくりと放れた。



紙は畳の上にゆっくりと舞い落ちた。



斉藤一は、沖田総司、少女、紙を、普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。こんばんは。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 今晩は!」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 万葉の名前の薔薇だよ! 綺麗だよね!」

少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。

沖田総司は少女を見ながら、万葉の花束を慌てて指した。

少女は万葉の花束を微笑んで見た。

沖田総司は万葉の花束を指すのを止めると、少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「万葉。綺麗な薔薇です。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は万葉の花束を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。万葉は、万葉集の歌の時代にちなんで名付けられたんだ。」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「万葉。素敵な名前です。綺麗な薔薇です。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「万葉の薔薇を見ながら、鈴ちゃんに万葉集に掲載している歌を贈りたいと思ったんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お歌の贈り物が頂けるのですね。楽しみです。」

沖田総司は手を驚いた表情で見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は部屋の中を慌てて見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。



少女の視線の先に、紙が畳の上に落ちている様子が見えた。



少女は紙を不思議な様子で取った。

沖田総司は少女を慌てて見た。

少女は紙を持ち、紙を不思議な様子で見た。



紙には一首の歌が書いてある。



「君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く」



沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「斉藤さんが、万葉集に掲載している薔薇を詠んだ歌は、鈴ちゃんへり贈り物に相応しくない歌だと教えてくれたんだ! 斉藤さんが参考に歌を紙に書いて教えてくれたんだ!」

少女は紙を持ち、沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。万葉集の時代にちなんで名付けられた薔薇です。万葉の花の色も、万葉の花の姿も、万葉の名前も、素敵です。私のために、万葉集に掲載している素敵な秋のお歌を選んで頂いて嬉しいです。ありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一と少女を慌てて見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を動揺して見た。

少女は紙を持ち、沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は斉藤一と少女を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今回は万葉の花のみを贈り物にしても良いかな?」

少女は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



「君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く」

簾を動かして秋の風が吹いた。

部屋の中に、秋風と共に、少女も、現れた。

薔薇の万葉と万葉集に掲載している歌が、秋の夜を穏やかに紡ぐ。



沖田総司、斉藤一、少女の過ごす秋の夜の時間は、暫く続く予感がする。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第四巻 四八八番」

「君待つと 我が恋ひをれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く」

ひらがなの読み方は「きみまつと わがこひをれば わがやどの すだれうごかし あきのかぜふく」

作者は「額田王(ぬかたのおおきみ)」

原文は「君待跡 吾戀居者 我屋戸乃 簾令動 秋之風吹」

歌の意味は「あなた様を恋しく待っていますと、家の簾(すだれ)を動かして秋の風が吹いてきます。」となるそうです。

「天智天皇(てんじてんのう)」を思って詠んだ歌だそうです。

「中大兄皇子(なかのおおえのみこ)」と「天智天皇(てんじてんのう)」は、同一人物です。

「薔薇(ばら)」について説明します。

バラ科。

夏の季語です。

「浜茄子(はまなす)」や「野茨[“野薔薇”とも書く](のいばら)」など、日本には古くから見られるバラが有ります。

「野茨(のいばら)」は、万葉集に二首の歌が掲載しています。

今回は二首の歌の掲載は遠慮させてください。

現在の私達が見られるバラの多くは、沖田総司さん達の時代より後に造られました。

現在の私達が見られるバラの一部は、沖田総司さんの時代に造られました。

「バラ」の「万葉(まんよう)」について説明します。

バラ科です。

日本で1988年作出です。

フロリバンダ系です。

大きめの輝くようなオレンジ色のバラです。

万葉の時代をイメージさせる大変に優美なバラです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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