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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 冬月に見る夢 雪見温泉と雪見酒 山里は冬 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人 夢




「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

「小倉百人一首 二十八番」、及び、「古今集」

作者:源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)




今は冬。



ここは、京の町。



一日を通して寒い日が続いている。



屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司を笑顔で見ている。



沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ容姿の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。今晩は。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は床の上に体を微笑んで起こした。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して動きを止めた。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は赤面して床の上に体を起こして、不思議な空気に包まれた。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。

沖田総司は赤面して床の上に体を起こして、静かに居なくなった。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



夜空には、月と満天の星が輝いている。



心地好い空気に包まれている。



夢の住む家。



一室。



心地好い空気に包まれている。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。



夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国へようこそ。」

沖田総司は夢を赤面して見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国の温泉が大好きですよね。今回は、夜の国の露天の温泉で雪見酒を楽しんで頂くためにご招待しました。」

沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。

「今回は、夜の国の露天の温泉で雪見酒が楽しめるんだ。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。ご案内します。」

沖田総司は夢に苦笑して話し出す。

「夢ちゃん。夜の国に来る時と同じ行動をしないよね。」

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は夢を緊張して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。安心してください。緊張しないでください。」

沖田総司は夢を安心して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。行きましょう。」

沖田総司は夢に慌てて頷いた。

夢は沖田総司を微笑んで見た。



僅かに後の事。



ここは、夜の国。



温泉地。



山に覆われている。

木々も地面も、雪に覆われている。

川の水が絶え間なく流れている。

滝から水が流れ落ちている。

川の音も、滝の音も、絶え間なく聞こえる。



一軒の宿。



山に覆われている。

木々も地面も、雪に覆われている。

川の水が絶え間なく流れている。

川の音が絶え間なく聞こえる。



一室。



心地好い空気に包まれている。



夢は微笑んで、静かに現れた。

沖田総司も微笑んで、静かに現れた。



夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「到着しました。今夜は貸切りです。ゆっくりと楽しんでください。」

沖田総司は夢に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

夢は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。私は戻ります。再び逢いましょう。」

沖田総司は夢に微笑んで頷いた。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。



沖田総司は微笑んで呟いた。

「斉藤さんと一緒に露天の温泉で雪見酒が楽しめる。楽しみだな。」



沖田総司の後ろから、斉藤一の普通の声が聞こえた。

「俺も楽しみだ。」



沖田総司は後ろを微笑んで見た。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。



沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「先程、総司が微笑んで見詰め合う姿を見た。」

沖田総司は斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは既に宿に居る。」

沖田総司は斉藤一を動揺して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今回も、美鈴さんに教えない。」

沖田総司は斉藤一を動揺して見ている。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



少女が微笑んで、静かに現れた。



少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女を見ると、少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女を驚いて見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女の手を握ると、少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 私にとって、鈴ちゃんは一番に物凄く大切な友達だよ!」

少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんが一番に物凄く大切な友達なのか。」

沖田総司は少女の手を握り、斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女の手を握り、斉藤一に慌てて話し出す。

「私にとって、斉藤さんも一番に物凄く大切な友達です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。一番に物凄く大切な友達が二人も居る。」

沖田総司は少女の手を握り、斉藤一を動揺して見た。

少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司は物凄く照れ屋だ。総司は、美鈴さんと共に楽しく過ごす夜の国の時間を、夜の国の温泉に浸かる時間を、物凄く楽しみにしている。総司は物凄く楽しいために舞い上がり、意味の不明な言動をしている。総司には普通に接してくれ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんは、斉藤さんと一緒に過ごす夜の国の時間も、物凄く楽しみにしています。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。少し経ったら、俺と総司は、露天の温泉に行く。美鈴さんも露天の温泉を楽しめ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんの傍を離れたくない気持ちは分かるが、美鈴さんの手に握り続けると露天の温泉が楽しめない。」

沖田総司は少女の手を慌てて放した。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を照れて見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、夜の国。



宿。



露天の温泉。



山に覆われている。

木々も地面も、雪に覆われている。

川の水が絶え間なく流れている。

滝から水が流れ落ちている。

川の音も、滝の音も、絶え間なく聞こえる。



露天の温泉からは、温かい湯気が立ち上っている。

露天の温泉の端に、酒と杯が、置いてある。



沖田総司は杯の酒を飲み、露天の温泉に微笑んで浸かっている。

斉藤一は杯の酒を飲み、露天の温泉に普通の表情で浸かっている。



沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんに私が照れ屋だと話しました。恥ずかしかったです。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「俺は美鈴さんに事実を話した。美鈴さんは気にしていない。恥ずかしくない。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私と斉藤さんは、露天の温泉に浸かりながら、雪見酒を楽しんでいます。鈴ちゃんは酒が飲めません。鈴ちゃんは酒の代わりの飲み物を用意してもらったのでしょうか?」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんには薬草と香草を使った飲み物を用意している。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に微笑んで話し出す。

「安心しました。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺と居て楽しいか?」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺が物凄く一番の友達に該当するのか? 美鈴さんが物凄く一番の友達に該当するのか?」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に苦笑して話し出す。

「私にとって、斉藤さんも鈴ちゃんも、物凄く一番に大切な友達です。選べません。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、雪景色を見ると、普通の表情で呟いた。

「“山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば”。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。拗ねていますね。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、雪景色を見て、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。歌の意味は、“人も訪ねてこなくなり、草までも枯れてしまうと思うと、山里の冬は特に寂しく感じられるものです。”、となるそうだ。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲むのを止めると、斉藤一を困惑して見た。

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺の予想を裏切らない。総司と居ると楽だ。総司と居ると面白い。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「夜の国の出来事は、俺達の住む国に戻ると、思い出せない。総司は、万が一に、夜の国の出来事を思い出したとしても、他言しない。総司は俺を友達だと話すから、俺は楽で面白い。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。友達の意味が少し違うように思います。」

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司に普通に話し出す。

「合っている。」

沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は露天の温泉に浸かり、杯の酒を飲み、沖田総司を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、夜の国。



宿。



一室。



心地好い空気に包まれている。



木々も地面も、雪に覆われている様子が見える。

川の水が絶え間なく流れる様子が見える。

川の音が絶え間なく聞こえる。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。露天の温泉から見た雪景色は素敵だった。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんから、鈴ちゃんが露天の温泉に浸かりながら楽しむ飲み物に、薬草と香草を使った飲み物が用意されたと教えてもらったんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「薬草と香草を使った飲み物。美味しかったです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司と共に露天の温泉に浸かりながら雪見酒を楽しむ間に、冬を詠んだ歌について話した。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「冬を詠んだお歌。差し支えなければ教えてください。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「“山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば”。俺が歌を詠んだ後に、総司は俺を心配した。俺は総司が誤解していると説明した。総司は誤解だと分かった途端に、動揺して慌てた。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんの優しさが伝わるお話です。」

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「斉藤さんが、私にとって一番に物凄く大切な友達が、斉藤さんなのか、鈴ちゃんなのか、気にしている様子に感じたんだ。斉藤さんの詠んだ歌の内容から、斉藤さんを心配したんだ。斉藤さんの説明を聞いて、違っていると分かったから、動揺して慌てたんだ。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が、物凄く一番に大切な友達に、俺と美鈴さんの両方を選んだとしても、俺と総司と美鈴さんの関係ならば、落ち込む理由に該当しない。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんのお気持ち。分かります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんも同意した。」

沖田総司は斉藤一と少女を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

沖田総司と斉藤一は、露天の温泉と雪見酒を楽しみながら、夜の国の雪景色を楽しむ。

少女は、露天の温泉と薬草と香草を使った飲み物を飲みながら、夜の国の雪景色を楽しむ。

夜の国の冬の時間は、穏やかに和やかに過ぎていく。




*      *       *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「小倉百人一首 二十八番」、及び、「古今集」

「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

ひらがなの読み方は「やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば」

作者は「源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)」

歌の意味は「人も訪ねてこなくなり、草までも枯れてしまうと思うと、山里の冬は特に寂しく感じられるものです。」となるそうです。

「山里(やまさと)」は「山間の村里。山間に在る人里。山郷の別荘。」をいいます。

貴族の人達は、「山里」を「京近郊に在る景勝地に富んだ別荘・山荘」の意味で使う事が多いそうです。

この物語の補足です。

夜の国は現在の暦が基になっています。

沖田総司さんと斉藤一さんが過ごす時代は、陰暦です。

陰暦の暦を現在の暦に合わせると、半月から一ヵ月半ほどの開きがあります。

夜の国の暦の月は日付によりますが、沖田総司さん達の過ごす陰暦では、同月ではない可能性が非常に高いです。

この物語は夜の国が冬の季節として書きました。

ご了承ください。

「雪見(ゆきみ)」についてです。

「雪の降るさまや積もった雪を見て楽しむこと。また、その遊宴。」です。

冬の季語です。

「雪見酒(ゆきみざけ)」についてです。

「雪景色を眺めながら酒を飲むこと」です。

冬の季語です。

「冬月(とうげつ)」についてです。

「冬の季節。冬の夜の月。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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