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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 羽衣の咲く頃 椿つばらかに今日は暮らさね 〜


登場人物。

近藤勇、山南敬助、土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも」

「万葉集 第十九巻 四一五二番」

作者:大伴家持(おおとものやかもち)



今は春。



ここは、京の町。



春の花が綺麗に咲いている。



朝日が春の花を照らしている。

朝日が新撰組の隊士達が居る屯所も照らしている。



今日は朝から暖かい。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は笑顔で居る。



沖田総司は空を見ながら、笑顔で背伸びをした。



空の色は橙色から澄んだ青色に変わっている。



沖田総司は空を見ながら、笑顔で背伸びを止めた。

沖田総司は空を見ながら、笑顔で声を出した。

「今日は非番だ〜! 朝から逢える〜! 夜になったら、斉藤さんと思い切り酒を飲むぞ〜! 楽しみだな〜!」



沖田総司は辺りを笑顔で見た。



斉藤一が沖田総司から少し離れた場所を普通に歩いている。



沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。



沖田総司は笑顔で歩き出した。



斉藤一は歩きながら、沖田総司を普通の表情で見た。



沖田総司は笑顔で来た。



斉藤一は普通に立ち止まった。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。何故、私が近付いているに、居なくなろうとしたのですか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「今夜は酒を飲む約束をしましたよね。何故、私が近付いているに、居なくなろうとしたのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今夜、酒を飲む。今、話す。別な言動だ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「同じ言動です。今日は、私は鈴ちゃんに早い時間から逢います。今日は、斉藤さんは頼まれた用事のために出掛けますよね。今の間に話さなければ、詳しい内容を決められないですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「何処で酒を飲む?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの酒を飲みたい場所で良いですよ。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「場所は考えておく。別な人物を誘うかも知れない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんに早く逢いに行け。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は笑顔で歩き出した。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



心地よい風が吹いた。



斉藤一は沖田総司を見ながら普通の表情で呟いた。

「“奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも”。」



沖田総司の姿は見えなくなった。



斉藤一は普通に歩き出した。



暫く後の事。



ここは、町中。



沖田総司は微笑んで歩いている。

少女も微笑んで歩いている。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今日の時点で綺麗に咲く花は何かな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「椿が綺麗に咲いていると思います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「椿の花が綺麗に咲いているんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんはお武家様です。椿以外の花を観る方が良いですよね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの観たい花は椿だよね。私への気遣いは要らないよ。今日は椿を観よう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。椿を観る時が楽しみです。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「私は花について疎い。椿の綺麗に咲く場所に案内してくれると嬉しいな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



縁。



斉藤一は普通に歩いている。



山南敬助が微笑んで来た。



斉藤一は普通に止まった。



斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君。予定より早く戻ってこられたんだね。」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今から、近藤さんに報告するのかな?」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今夜、沖田君と斉藤君は、酒を飲むそうだね。」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君。近藤さんへの報告の後、予定は有るかな?」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く首を横に振った。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君と沖田君に、用事を頼む人物が居たら、私が用事を頼む予定が有ると答えて構わない。私の用事を確認するために、私の部屋に来てくれ。」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は斉藤一に微笑んで頷いた。



斉藤一は普通に歩き出した。



山南敬助は斉藤一を微笑んで見た。



心地よい風が吹いた。



山南敬助は斉藤一を見ながら微笑んで表情で呟いた。

「“奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも”。」



斉藤一の姿は見えなくなった。



山南敬助は微笑んで居なくなった。



少し後の事。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。

斉藤一も普通に居る。



斉藤一は近藤勇に普通に話し出す。

「実は、今夜、総司と酒を飲む約束があります。」

近藤勇は斉藤一に微笑んで話し出す。

「楽しみだな。」

斉藤一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は近藤勇に普通に話し出す。

「先程の話に繋がる内容を話しても良いですか?」

近藤勇は斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は近藤勇に普通に話し出す。

「任務と関係の無い用事を頼むのは止めてください。」

近藤勇は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は近藤勇に普通に話し出す。

「近藤さん本人にとって良い内容は、近藤さん本人が進んで言動を始めます。近藤さんにとって面倒な内容も、近藤さん本人が進んで言動を始めるのはどうでしょうか? 別な意味になりますが、総司を見習って欲しいと思います。」

近藤勇は斉藤一に苦笑して話し出す。

「今夜は、総司と一緒に酒を飲む約束をしているのだろ。総司と二人のみで酒を飲むのか?」

斉藤一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤。少し経ったら、私の部屋に再び来てくれ。」

斉藤一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



直後の事。



ここは、椿の咲く場所。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。



沖田総司は淡い桃色の椿を指すと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私の指す椿。綺麗だね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は淡い桃色の椿を指して、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私の指す椿の名前を教えて?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「羽衣です。」

沖田総司は淡い桃色の椿を指すのを止めると、少女に微笑んで話し出す。

「羽衣。鈴ちゃんを連想する椿だね。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫? 調子が悪くなったのかな?」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「大丈夫です」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。顔が赤いよ。熱があるかも知れない。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「少し暑く感じるために、顔が赤いと思います。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「今の時季に暑く感じるの? 少し早く歩き過ぎたから、暑く感じるのかな?」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「総司さん。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。今日は長い時間も逢える。急いで椿を観なくても大丈夫だよね。少し休もう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を僅かに安心して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに笑顔が戻った。歩く早さは更に気を付けるね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



縁。



斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司が笑顔で走ってきた。



斉藤一は普通に立ち止まった。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「斉藤さん! 出掛けましょう!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今夜はいつもより少し豪華に酒を飲める。」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「本当ですか?! 楽しみです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。邪魔が入らないように早く出掛ける。」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



斉藤一は普通に歩き出した。

沖田総司は嬉しく歩き出した。



直後の事。



ここは、屯所。



縁。



土方歳三は沖田総司と斉藤一を普通の表情で見ている。



山南敬助は微笑んで来た。



土方歳三は山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君。一緒に酒を飲みに出掛けるらしい。」

土方歳三は山南敬助を普通の表情で見ている。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「いつもより少し豪華に酒を飲めるらしい。総司か斉藤君に、臨時収入があったらしい。」

土方歳三は山南敬助を普通の表情で見ている。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司は優秀だ。斉藤君はいろいろな意味で優秀だ。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんの話すとおりです。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「“奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも”。総司と斉藤君を見て思い出した歌だ。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「“奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも”。総司と斉藤に合う歌ですね。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。



山南敬助は微笑んで歩き出した。



ここは、京の町。



月が綺麗に輝いている。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。



土方歳三は部屋を微笑んで訪れた。



近藤勇は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤が、二人で酒を飲みに出掛けているらしい。今回の総司と斉藤は、いつもより少し豪華に酒が飲めるらしい。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。俺より今の話の内容を早く知っていた。」

近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。

「斉藤にはいつも世話になっている。恩返しになるかも知れない。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「恩返し、なのか。」

近藤勇は土方歳三を苦笑して見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「山南さんが、総司と斉藤の出掛けるまでの様子を観て、万葉集に掲載している椿の登場する歌を思い出した。俺も山南さんの話す歌は、総司と斉藤の出掛けるまでの様子に合う歌だと思った。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳の話す歌。“奥山の、八峯の椿、つばらかに、今日は暮らさね、大夫のとも”、かな?」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「さすが近藤さん。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳に褒めてもらえた。嬉しい。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「嬉しい気持ちを続けるために、久しぶりに二人で酒を飲まないか?」

近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「今から酒を飲む準備をする。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。



土方歳三は部屋から微笑んで出て行った。



僅かに後の事。



ここは、酒を提供する店。



一室。



沖田総司は嬉しく居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「近藤さんか山南さんが、紹介した店ですか?!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「今夜の飲む酒が楽しみです! 今夜の酒の肴も楽しみです!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を嬉しく見た。



少し後の事。



ここは、酒を提供する店。



一室。



沖田総司は嬉しく居る。

膳には、普段より豪華な酒と肴が載っている。

斉藤一は普通に居る。

膳には、普段より豪華な酒と肴が載っている。



沖田総司は膳を嬉しく見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を嬉しく見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「いただきます!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯に酒を注ぐと、杯の酒を笑顔で美味しく飲んだ。

斉藤一は杯に酒を注ぐと、杯の酒を普通の表情で飲んだ。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に嬉しく話し出す。

「斉藤さん! 美味しいですね!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一を嬉しく見た。



「奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも」

椿の綺麗に咲く春の或る一日。

沖田総司と斉藤一と少女は、楽しく過ごしている。

厳しい任務に就く時間の多い新撰組隊士達の長閑な春の一日は、長閑に過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十九巻 四一五二番」

「奥山の 八峯の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫のとも」

ひらがなの読み方は「おくやまの やつをのつばき つばからに けふはくらさね ますらおのとも」

作者は「大伴家持(おおとものやかもち)」

歌の意味は「今日は心ゆくまで楽しい一日を過ごしてください、ますらおたち。」となるそうです。

原文は「奥山之、八峯乃海石榴、都婆良可尓 今日者久良佐祢、大夫之徒」

大伴家持の館で催された宴会での歌だそうです。

「奥山の」から前半は、「つばらかに(十分に、思い残すことなく)」を導入するための句だそうです。

「大夫」は、通常は「たいふ、または、たゆう」と読みます。

「たいふ」と読むと、「大夫」の身分を差します。

江戸時代になると、「大名の家老」を呼ぶ言葉としても使われたようです。

この歌では「ますらお」と訳しています。

「ますらお」は、「益荒男、または、丈夫」です。

「ますらお」と読むと、「勇気のある強い男。武人。」などの意味になります。

そのような事もあって、この物語に登場しました。

「椿(つばき)」の「羽衣(はごろも)」についてです。

淡いピンク色の花が咲きます。

羽衣のように花びらが重なって咲きます。

八重蓮華咲きです。

中輪です。

江戸時代の書物に記載の有る椿です。

この物語の時間設定についてです。

沖田総司さん達が京に来てから二度目の春を想定して書きました。

ほのぼのとした明るい雰囲気の物語になるように書きました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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