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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 桜の花 隠りたる我が下心 〜


登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、お雪、少女[美鈴・鈴]



「天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ」

「万葉集 第七巻 一三〇四番」より

作者:柿本人麻呂(かきのもとのひろまろ)歌集より



今は春。



ここは、京の町。



たくさんの場所で一重の桜が咲いている。

早く咲き始めた一重の桜は散り始めている。



ここは、お雪の家。



客間。



近藤勇は微笑んで居る。

土方歳三も微笑んで居る。

お雪も微笑んで居る。

卓の上には、普段と同じ肴と普段と同じ酒が載っている。



近藤勇はお雪に微笑んで話し出す。

「普通と同様に過ごしたい時には、普段と同じ酒と普段と同じ肴を用意してくれる。気持ちを明るくしたい時には、気持ちの明るくなる酒と気持ちの明るくなる肴を用意してくれる。状況に応じて、豪華な酒と肴を用意してくれる。さすが。お雪だ。」

土方歳三はお雪に微笑んで頷いた。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「お褒め頂きありがとうごいます。」

近藤勇はお雪を微笑んで見た。

お雪は近藤勇と土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「最近の屯所は、二人で落ち着いて話しが出来ない。今日は楽しみだ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで軽く礼をした。

近藤勇はお雪に微笑んで話し出す。

「お雪。私や歳に遠慮せずに、傍に居てくれ。」

土方歳三はお雪に微笑んで頷いた。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで軽く礼をした。

近藤勇はお雪を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇の杯に微笑んで酒を注ぐと、土方歳三の杯に微笑んで酒を注いだ。

近藤勇は杯を持ち、土方歳三とお雪を微笑んで見た。

土方歳三も杯を持ち、近藤勇とお雪を微笑んで見た。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「隊士達も落ち着かない雰囲気が続いていたが、少しずつだが落ち着いてきた。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺達だけで落ち着いた雰囲気の中で酒を飲む。他の隊士に申し訳ないと思う。近藤さんは、忙しい時間が更に増えた、考える物事も増えている。仕方が無いと割り切るしかないな。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇の杯に微笑んで酒を注ぐと、土方歳三の杯に微笑んで酒を注いだ。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「私と歳の二人で酒を飲んでいると、総司の様子が幾度も気になる。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇を微笑んで見た。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。近い内に、私と歳と総司と斉藤で、お雪の家で酒を飲みたい。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「総司は、俺や近藤さんと酒を飲む時間より、斉藤やあの子と一緒に居る時間が、楽しいと感じるはずだ。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳の話すとおりだと思う。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「以前の総司は、一番に元気良く酒を飲んでいた。最近の総司は、必要な時以外、酒をほとんど飲まない。酒を飲む内容で誘う時は、食べ物の用意などを考える必要が有ると思う。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺は詳細について分からない。総司が総司本人の体調を考えての行動だと思う。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇の杯に微笑んで酒を注ぐと、土方歳三の杯に微笑んで酒を注いだ。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「芹沢さんも山南さんも、武士だ。総司も永倉も斉藤も平助も、武士だ。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「生まれながらの武士。或る程度の年齢になってからの武士。同じ武士でも、違うと思う。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「俺は歳と同じだ。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺は、近藤さんを皆が羨む大名にさせると話した。近藤さんと俺は、違う。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「俺が大名に成る時は、歳は家老の身分になる。俺も歳も、同じだ。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「どうしようかな?」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳は、大切な友、新撰組の大切な仲間、だ。俺のみが高みに上りつめても意味が無い。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇を微笑んで見た。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳が返事をしない気持ち。俺は分かる。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇を微笑んで見ている。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「芹沢さんの命と山南さんの命の上に、新撰組がある。総司も斉藤も、俺に付いてきてくれる。何が起きたとしても、俺を信じて付いてきてくれる隊士達を見捨てる訳にはいかない。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かっている。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇の杯に微笑んで酒を注ぐと、土方歳三の杯に微笑んで酒を注いだ。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司は少し前に辛い役目を務めた。今も落ち着いていない。気晴らしをさせたい。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、お雪に微笑んで話し出す。

「お雪。近い内に、酒宴などの用意を頼むかも知れない。」

お雪は近藤勇に微笑んで話し出す。

「遠慮せずに頼んでください。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、お雪に微笑んで話し出す。

「総司は、とても仲の良い女の子、斉藤、子供達、と一緒に過ごす時間が多いです。何かの時にはよろしく頼みます。」

お雪は土方歳三に微笑んで話し出す。

「遠慮せずに頼んでください。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、お雪を微笑んで見た。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三とお雪を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇の杯に微笑んで酒を注ぐと、土方歳三の杯に微笑んで酒を注いだ。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇とお雪を微笑んで見た。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「“天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ”」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、お雪を不思議な様子で見た。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、お雪を不思議な様子で見た。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「理由は分かりませんが、今のお歌を突然に思い出しました。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、お雪に微笑んで話し出す。

「さすが。お雪。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇とお雪に微笑んで頷いた。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「お褒め頂きありがとうございます。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、お雪に微笑んで話し出す。

「俺達の居る部屋には、木の葉は見えないですね。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで頷いた。


お雪は障子の傍に微笑んで来た。


お雪は障子を微笑んで開けた。


庭に桜の花が綺麗に咲く姿が見えた。


近藤勇は杯の酒を飲みながら、桜の花を微笑んで見た。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、桜の花を微笑んで見た。


お雪は近藤勇と土方歳三の傍に微笑んで来た。


近藤勇は杯の酒を飲みながら、お雪を微笑んで見た。

お雪は近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「今はたくさんの桜の花びらが見えます。少し時が経てば、たくさんの葉が見えます。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、お雪を見ると、お雪に微笑んで話し出す。

「お雪さん。一つ忘れている内容があります。」

お雪は土方歳三を微笑んで見た。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「一つ忘れている内容。お雪だろ。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「正解。」

お雪は近藤勇と土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、桜の花を微笑んで見た。

近藤勇も杯の酒を飲みながら、桜の花を微笑んで見た。

お雪は、近藤勇、土方歳三、桜の花を、微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、京の町。


たくさんの場所で一重の桜が綺麗に咲いているが、一重の桜の散る姿が少しずつ増えてきた。


ここは、屯所。


縁。


沖田総司は嬉しく歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


土方歳三は沖田総司と斉藤一に向かって微笑んで歩いている。


沖田総司は土方歳三に笑顔で軽く礼をしてから、笑顔で通り過ぎていった。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をしてから、普通に通り過ぎていった。


土方歳三は微笑んで立ち止まった。


土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


沖田総司は笑顔で歩く姿が見える。

斉藤一は普通に歩く姿が見える。


土方歳三は微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、お雪の家。


客間。


沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

お雪は微笑んで居る。


沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「近藤さんから文を預かりました。」

お雪は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は懐から文を取り出すと、お雪に文を微笑んで渡した。

お雪は沖田総司から文を微笑んで受け取った。

沖田総司はお雪を微笑んで見た。

お雪は懐に文を丁寧に微笑んで仕舞った。

沖田総司はお雪を微笑んで見ている。

斉藤一はお雪を普通の表情で見ている。

お雪は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「美味しいお菓子を見付けたので、たくさん買ってしまいました。お菓子を買った後に、食べきれない量のお菓子を買っていたと気付きました。慌ててしまいました。差し支えなければ、沖田さんと斉藤さんにも、お菓子を食べて頂けると嬉しいと思いました。」

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。少し後に出掛ける場所があります。一緒に逢う子も菓子が好きです。美味しい菓子を見たら喜びます。差し支えなければ、菓子を追加で頂きたいです。」

斉藤一はお雪に普通の表情で軽く礼をした。

お雪は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「帰る時にお菓子をたくさん用意します。」

沖田総司はお雪に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

斉藤一はお雪に普通の表情で軽く礼をした。

お雪は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、京の町。


小さめの落ち着いた雰囲気の寺。


境内には、桜の花が綺麗に咲いている。


本堂。


縁の傍。


沖田総司は微笑んで居る。

沖田総司の傍には、包みが置いてある。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


沖田総司は少女の前に包みを置くと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに逢う前に、近藤さんに頼まれた用事のために、お雪さんの家に寄ったんだ。お雪さんが菓子をたくさん買ったから分けてくれたんだ。菓子から美味しい様子が伝わるんだ。菓子を一緒に食べよう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「美味しい様子の伝わるお菓子。楽しみです。」

沖田総司は包みを微笑んで広げた。

少女は沖田総司と包みを微笑んで見た。

斉藤一は、沖田総司、少女、包み、を普通の表情で見た。


包みの中には、たくさんの上生菓子が入っている。


沖田総司は包みを驚いた表情で見た。

少女も包みを驚いた表情で見た。

斉藤一は包みを普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「お菓子を分けた、より、総司さんと斉藤さんのために買ったお菓子、のように感じます。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「お雪さんは、菓子をたくさん買い過ぎたと話しましたよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は包みを見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「包みを受け取った時に、少し重く感じました。お雪さんの様子から不思議に感じませんでした。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「お雪さんが気を利かせて、良い菓子をたくさん用意したと思う。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お雪さんに私のお礼の気持ちを伝えたいです。」

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「分かった。私からお雪さんに鈴ちゃんのお礼の気持ちを伝えるね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。お菓子を先に選んでください。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「俺の分の菓子は、総司と美鈴さんで食べてくれ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんはお雪さんが気を利かせたと話しました。菓子を一個だけでも良いので食べてください。斉藤さんの残りの分の菓子は、私と鈴ちゃんで食べます。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。お菓子を先に選んでください。」

斉藤一は菓子を見ながら、普通の表情で呟いた。

「“天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ”」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「万葉集に掲載しているお歌ですね。」

斉藤一は少女を見ると、少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「上生菓子と万葉集の歌。関係有るのですか?」

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「土方さんと一緒に居る時に、土方さんが今の歌について話した。お雪さんからもらった菓子を見ていたら、今の歌を思い出した。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今回のお雪さんのお気持ちを表すのに相応しいお歌だと思います。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一と少女に考えながら話し出す。

「かも知れない。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんも同じように感じたのですね。嬉しいです。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「私も鈴ちゃんと同じように感じられた。嬉しいよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を恥ずかしく見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女を恥ずかしく見た。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「総司。美鈴さん。早く菓子を食べよう。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は菓子を嬉しく取った。

斉藤一は菓子を普通に取った。

少女は菓子を微笑んで取った。

沖田総司は、斉藤一、少女、桜の花を見ながら、菓子を笑顔で美味しく食べ始めた。

少女は、沖田総司、斉藤一、桜の花を見ながら、菓子を微笑んで食べ始めた。

斉藤一は、沖田総司、少女、桜の花を見ながら、菓子を普通の表情で食べ始めた。



「天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ」

近藤勇の本当の気持ち。

土方歳三の本当の気持ち。

沖田総司の本当の気持ち。

斉藤一の本当の気持ち。

少女の本当の気持ち。

本当の気持ちを知るものは、何処に居るのか。

散り始めている一重の桜の花は、何かを知っている様子で咲いている、と思う。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第七巻 一三〇四番」

「天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ」

ひらがなの読み方は「あまくのも たなびくやまの こもりたる あがしたごころ このはしるらむ」

作者は「柿本人麻呂(かきのもとのひろまろ)歌集より」

歌の意味は「天雲がたなびく山のように、隠された私の本当の気持ちは、木の葉が知っているでしょう。」となるそうです。

原文は「天雲 棚引山 隠在 吾下心 木葉知」

この物語についての補足です。

身分に関係なく、という状況になりますが、生まれながらの武士は、芹沢鴨さん、山南敬助さん、伊東甲子太郎さん、沖田総司さん、永倉新八さん、斉藤一さん、藤堂平助さんなど、たくさん居ます。

斉藤一さんは、親が御家人株を買って武士になっていますが、その前に父親が武士だった時代があるようです。

斉藤一さんの剣術の技量などから考えても、武士の子として生まれていた可能性は充分にあります。

斉藤一さんは、身分は別にして、生まれながらの武士と呼んでも良いと考えています。

多摩に居る時代の近藤勇さんと土方歳三は、当時の考え方からすると、武士と呼ぶには難しい状況だったと思います。

近藤勇さんは切腹ではなく打ち首で亡くなっています。

打ち首の時の近藤勇さん、土方歳三さんを含める幹部は、城持ちではありませんが、それなりの身分です。

当時の武士は、本来ならば切腹です。

この場合は、政局が複雑に絡んでいる状況もありましたが、近藤勇さんの途中までの身分や状況が切腹をしない判断になった可能性はあります。

複雑な気持ちになります。

この物語の時間設定は、山南敬助さんが切腹をして亡くなってから初めて迎える桜の季節です。

そのため、近藤勇さんや土方歳三さん達などの幹部に、大名・旗本の話がある時より前の出来事になります。

この物語の時間設定時は、お雪さんと鈴ちゃんは、直接的には会っていません。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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