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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 杜若の幻 常ならぬ 夢に見しかも 〜


登場人物

土方歳三、沖田総司、斉藤一、市村鉄之助



「常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも」

「万葉集 第七巻 一三四五番」より

作者:詠み人知らず



初夏の頃。



幕府軍、薩摩藩や長州藩が中心の新政府軍、の戦いが続いている。



土方歳三は戦いの最中に足を怪我した関係で、治療のために会津に来た。

会津で医師の治療を受けている。



土方歳三は会津の温泉地の近く宿に来た。

会津には良い温泉が在る。

医師の勧めで、怪我の治り具合を確認しながら温泉で湯治をする話になった。



ここは、会津。



土方歳三の滞在する宿。



一室。



土方歳三は床の中に普通に居る。

市村鉄之助は普通に居る。



市村鉄之助は土方歳三に心配して話し出す。

「土方先生。怪我は辛いですか?」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通に話し出す。

「床の中で療養する怪我だ。俺の怪我の辛さの判断は、鉄之助が自分で判断しろ。」

市村鉄之助は土方歳三に申し訳なく話し出す。

「申し訳ありません。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三に申し訳なく話し出す。

「汗をかいて辛いですよね。体を拭くためのお湯をもらってきます。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

市村鉄之助は桶を困惑して持った。

土方歳三は床の中で、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は桶を持ち、部屋を困惑して出て行った。



僅かに後の事。



ここは、会津。



土方歳三の滞在する宿。



一室。



土方歳三は床の中に普通に居る。



市村鉄之助が桶を持ち、部屋の中に困惑して入ってきた。



土方歳三は床の中で、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は桶を持ち、土方歳三に困惑して話し出す。

「同じ宿に宿泊している幕臣の先生が、土方先生に会いたいと話しています。土方先生は怪我で療養中です。先生に確認してから返事をすると話しました。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通に話し出す。

「怪我で療養中でも、余程の人物以外は会える。鉄之助は、鉄之助の一存で答えられる立場に居ない。」

市村鉄之助は桶を持ち、土方歳三に申し訳なく話し出す。

「はい。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通に話し出す。

「鉄之助。客に部屋に来るように伝えてくれ。鉄之助は客が部屋から出るまで部屋の外で待て。」

市村鉄之助は桶を持ち、土方歳三に普通に話し出す。

「はい。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。



市村鉄之助は桶を持ち、部屋から普通に出て行った。



暫く後の事。



ここは、会津。



土方歳三の滞在する宿。



一室。



土方歳三は床の上に不機嫌に体を起こしている。

枕が土方歳三から離れた場所に転がっている。



市村鉄之助は部屋の中に慌てて入ってきた。



市村鉄之助は土方歳三を驚いて見た。

土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を不機嫌に見た。

市村鉄之助は枕を慌てて持った。

土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を不機嫌に見ている。

市村鉄之助は枕を床に丁寧に置いた。

土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を不機嫌に見ている。

市村鉄之助は土方歳三を心配して見た。

土方歳三は床の中に普通に横になった。

市村鉄之助は土方歳三を心配して見た。

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通に話し出す。

「鉄之助。桶を持っていない。桶は何処に置いた?」

市村鉄之助は土方歳三に僅かに慌てて話し出す。

「部屋の外に置いてきてしまいました。桶を取りに行きます。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。



市村鉄之助は部屋から僅かに慌てて出て行った。



土方歳三は床の中で、僅かに不機嫌に軽く息をはいた。



少し後の事。



ここは、会津。



寺。



境内。



市村鉄之助は悔しい様子で居る。



市村鉄之助の後ろから、斉藤一の普通の声が聞こえた。

「何をしている?」



市村鉄之助は後ろを悔しい様子で見た。



斉藤一は市村鉄之助を普通の表情で見ている。



市村鉄之助は斉藤一に悔しい様子で話し出す。

「悔しいです!」

斉藤一は市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は斉藤一に悔しく話し出す。

「土方先生が幕臣の先生に新撰組に加わり共に戦うように話しました! 幕臣の先生は土方先生を見下すように否定の返事をしました! 幕臣の先生は、部屋に戻った後に、土方先生を見下す発言をしました! 同室の先生達も、土方先生を見下す発言をしました!」

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「土方さんの部屋を訪ねた人物は、文官の幕臣なのだろ。土方さんは文官の幕臣に共に戦う話を拒否されて怒って枕を投げたのだろ。」

市村鉄之助は斉藤一に悔しく話し出す。

「土方先生は幕臣の先生に見下される人物ではありません! 土方先生は立派な人物です!」

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「土方さんの生い立ちと今までの状況から考えると、土方さんの部屋を訪ねた文官の幕臣が、土方さんを見下す発言になるのは仕方がない。見舞いを兼ねて訪ねた相手に怒って枕を投げる行為は、立派な人物の行為に該当しない。」

市村鉄之助は斉藤一に悔しく話し出す。

「土方先生は床に着いて療養する怪我です! 怪我の痛みなどで不機嫌になるのは当然です!」

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「床に着いて療養する怪我になれば、誰でも痛さを感じる。床に着いて療養する怪我になれば、誰でも不機嫌になる時がある。以上の理由を基にすれば、立派な人物も床に着いて療養する怪我の最中ならば、全ての言動が許される状況になるのか?」

市村鉄之助は斉藤一を悔しく見た。

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「立派な人物の部下が、寺の境内で不機嫌な言動をする。立派な人物の部下の言動に該当しない。」

市村鉄之助は斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「立派な人物の部下なのだろ。立派な人物なのに見下す原因を率先して作るな。」

市村鉄之助は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「はい!」

斉藤一は市村鉄之助に普通に話し出す。

「桶を土方さんの部屋に戻していないのだろ。」
市村鉄之助は斉藤一に慌てて話し出す。

「桶を土方先生の部屋に直ぐに戻してきます!」

斉藤一は市村鉄之助に普通の表情で頷いた。



市村鉄之助は慌てて居なくなった。



暫く後の事。



ここは、会津。



土方歳三の滞在する宿。



一室。



土方歳三は床の中に普通に居る。

斉藤一は普通に居る。



市村鉄之助は桶と杜若を挿した花瓶を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。



土方歳三は床の中で、市村鉄之助を不思議な様子で見た。

斉藤一は市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は市村鉄之助の傍に桶と杜若を挿した花瓶を微笑んで置いた。

土方歳三は床の中で、市村鉄之助を不思議な様子で見ている。

斉藤一は市村鉄之助を普通の表情で見ている。

市村鉄之助は杜若を挿した花瓶を土方歳三の傍に微笑んで置いた。

土方歳三は床の中で、杜若を不思議な様子で見た。

斉藤一は土方歳三と杜若を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三と斉藤一に微笑んで話し出す。

「会津には良い温泉が湧きます。今の居る宿から少し離れた場所に、温泉が湧いています。土方先生の体を温泉で拭きたいと思いました。温泉を分けてもらいました。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

斉藤一は市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

土方歳三は床の上に体をゆっくりと普通の表情で起こした。

市村鉄之助は手拭を温泉で微笑んで絞った。

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で微笑んで拭いた。

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助を普通の表情で見ている。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭きながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方先生。気持ち良いですか?」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭きながら、土方歳三と斉藤一に微笑んで話し出す。

「今の会津は杜若が咲いています。土方先生に楽しんで頂きたいと思いました。杜若を分けてもらいました。」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

斉藤一は市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭きながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方先生。枕を投げたくなった時は、私に枕を投げてください。」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭きながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「私は鍛えています。安心して枕を投げてください。」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助に普通に話し出す。

「鉄之助は鍛えている状況に該当しない。鉄之助は部下だ。鉄之助に枕を投げられない。」

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭きながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「お客様に枕を投げるより、部下の私に枕を投げる方が良いです。私は更に鍛えます。私に安心して枕を投げてください。」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で拭くのを止めると、土方歳三に慌てて話し出す。

「失礼しました!」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「鉄之助。落ち着いて俺の体を拭け。」

市村鉄之助は手拭を持ち、土方歳三に慌てて話し出す。

「はい!」

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助を微笑んで見た。

市村鉄之助は土方歳三の体を手拭で微笑んで拭いた。

斉藤一は土方歳三と斉藤一を普通の表情で見た。

土方歳三は床の上に体を起こして、市村鉄之助と杜若を微笑んで見た。

斉藤一は、土方歳三、市村鉄之助、杜若、を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、会津。



土方歳三の滞在する宿。



一室。



土方歳三は床の中に普通に居る。

斉藤一は普通に居る。

市村鉄之助は微笑んで居る。

土方歳三の傍には、杜若を差した花瓶が置いてある。



土方歳三は床の中で杜若を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は床の中で、杜若を見ながら、普通の表情で呟いた。

「“常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも”」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

市村鉄之助は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は床の中で、杜若を見ながら、市村鉄之助に普通に話し出す。

「歌の意味は、“国山の秋津野のかきつはたを夢に見ました。”、となるそうだ。」

市村鉄之助は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「“国山の秋津野”。何処に在るのですか?」

土方歳三は床の中で、杜若を見ながら、市村鉄之助に普通に話し出す。

「実在の場所ではない説がある。」

市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方先生。“人国山の秋津野のかきつはた”が見付かった時は、私も一緒に観たいです。」

土方歳三は床の中で、市村鉄之助を見ると、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。

市村鉄之助は土方歳三と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三と市村鉄之助を普通の表情で見た。



幾つかの季節が過ぎた。



今は明治と呼ぶ時代になっている。



幕府と新政府の戦いは、新政府の勝利で終わったと発表された。



更に幾つかの季節が過ぎた。



今は初夏。



市村鉄之助は危険な状況が続くため、土方歳三の身内の世話になり過ごしている。

市村鉄之助は気軽に外出できない日が続いている。



ここは、多摩。



杜若の花の見頃の頃になる。



土方歳三の身内の家。



一室。



市村鉄之助は微笑んで居る。

机の上に、杜若を挿した花瓶が置いてある。



市村鉄之助は杜若を微笑んで見た。



市村鉄之助が慕う男性の普通の声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。

「鉄之助。杜若を観ているのか。」



市村鉄之助は杜若を見ながら、微笑んで呟いた。

「はい。」



市村鉄之助が慕う男性の普通の声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。

「“常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも”。鉄之助。覚えているか?」



市村鉄之助は杜若を見ながら、微笑んで呟いた。

「はい。」



市村鉄之助が慕う男性の普通の声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。

「鉄之助。昨日、夢の中で杜若を観た。」



市村鉄之助は杜若を見ながら、微笑んで呟いた。

「“人国山の秋津野のかきつはた”。私も観たいです。」



市村鉄之助が慕う男性の普通の声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。

「分かった。“人国山の秋津野のかきつはた”を観付けた時は、一緒に観よう。」



市村鉄之助は杜若を見ながら、微笑んで呟いた。

「ありがとうございます。」



杜若に陽の光が僅かに強く差した。



杜若が陽の光を受けて僅かに強く輝いた。



市村鉄之助は杜若を微笑んで見た。



数日後の事。



ここは、北の地の或る場所。



夜空には月が浮かんでいる。



一軒の家。



一室。



武士姿の男性が横になって静かに寝ている。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。一緒に出掛けましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。出掛けたい場所がありますか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも”。今の歌の光景。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「歌の意味は、“国山の秋津野のかきつはたを夢に見ました。”、となるそうだ。“国山の秋津野”は、実在の場所ではない説がある。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。実在しない場所に咲く杜若を観たいのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「実在する場所ならば、今の歌の光景を観たい。今の歌を思い出したから、総司の質問の答えにした。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「“国山の秋津野のかきつはた”。安全な場所ならば、鈴ちゃんに見せてあげたいです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも一緒に出掛けますよ。約束ですよ。忘れないでくださいね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



武士姿の男性はゆっくりと体を起こした。

武士姿の男性は部屋の中を普通の表情で見た。



部屋の中に変わった様子はない。



武士姿の男性は障子を静かに開けると、周りを普通の表情で見た。



辺りに変わった様子はない。



武士姿の男性は夜空を見ると、普通の表情で呟いた。

「大事な寝る時間を邪魔するほどに寂しいのか? 俺は暫く向こうに行く考えが無い。俺が向こうに行ったら、暇な時は付き合う。我慢して待て。」



星が僅かに強く輝いた。



武士姿の男性は夜空を見ながら、普通の表情で呟いた。

「仕方が無い。今回は少しだけ話す。“国山の秋津野”は、今も場所が分からない。約束は今も覚えている。俺は無事に過ごしている。安心しろ。以上で話しは終わりだ。」



武士姿の男性は障子を静かに普通の表情で閉めた。

武士姿の男性は横になると、直ぐに目を閉じた。




「常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも」

「人国山の秋津野のかきつはた」は、実在しない場所に咲く杜若になる。

市村鉄之助が「人国山の秋津野のかきつはた」を共に観たい人物は、今の世に居ない。

斉藤一が「人国山の秋津野のかきつはた」を共に観たい人物も、今の世に居ない。

市村鉄之助は、土方歳三にとっての「人国山の秋津野」に咲く杜若を、土方歳三と共に観る日を楽しみに待ちながら、初夏を過ごしている。

斉藤一は、斉藤一にとっての「人国山の秋津野」に咲く杜若を、沖田総司と少女と共に観る日を楽しみに待ちながら、初夏を過ごしている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第七巻 一三四五番」

「常ならぬ 人国山の 秋津野の かきつはたをし 夢に見しかも」

ひらがなの読み方は「つねならぬ ひとくにやまの あきつのの かきつはたをし いめにみしかも」

作者は「詠み人知らず」

歌の意味は「人国山(ひとくにやま)の秋津野(あきつの)のかきつはたを夢に見ました。」となるそうです。

原文は「常不 人國山乃 秋津野乃 垣津幡鴛 夢見鴨」

「常ならぬ(つねならぬ)」は、「はかない」という意味で「人」の枕詞です。

「人国山(ひとくにやま)」も「秋津野(あきつの)」もどこかは不明だそうです。

「夢に見しかも(夢に見た)」ということですから、実在の場所のことではないかも知れないそうです。

「杜若(かきつばた)」についてです。

アヤメ科です。

池や川辺などの湿地に生え、紫色や白色の花を咲かせます。

白色の花も、紫色の花も、花弁の真ん中は白色です。

土方歳三さんが怒って枕を投げた出来事についてです。

土方歳三さんが会津での療養中、旅館の「清水屋」(平成24年時点では、金融機関が建ち、石碑と説明板が在る。)に滞在中の出来事、として伝わっています。

土方歳三さんが枕を投げた人物は、幕臣(文官)の「望月光蔵」さんです。

土方歳三さんは望月光蔵さんより、十四歳ほど年下になるそうです。

土方歳三さんと望月光蔵さんは、同宿の時期があったそうです。

望月光蔵さんは土方歳三さんを見舞います。

土方歳三さんは寝たまま対応したようです。

土方歳三さんは、共に戦うように、土方歳三さんの考え、などを話したそうです。

望月光蔵さんは、文官なので戦えない、望月光蔵さんの意見、などを話したようです。

土方歳三さんと望月光蔵さんが話す中で、意見などの相違、共に戦う話を拒否された、ために、土方歳三さんが望月光蔵さんに怒って枕を投げた、と伝わっています。

望月光蔵さんは土方歳三さんにせせら笑う対応をして、部屋に戻ってからも仲間と笑って話したそうです。

この逸話は、望月光蔵さんのお孫さんが、父親(望月光蔵さんのさんの息子さん)からの聞き伝えとして書籍に書いています。

土方歳三さんが望月光蔵さんに枕を投げた日の詳細は分からないそうです。

慶応四年四月二十九日(1868年5月21日)、土方歳三さんは清水屋に到着したそうです。

閏四月末頃、望月光蔵さんは松平容保の命を受けた人物から、戦いに加わる話を聞きます。

望月光蔵さんは話を了承(戦況などから否定できる状況ではなかった様子です)して戦いに加わる事になります。

この出来事は、慶応四年四月二十九日(1868年5月21日)から慶応四年閏四月(一日〜二十九日)(1868年5月22日〜6月19日)の間の出来事になると思います。

土方歳三さん、斉藤一さん、市村鉄之助さん、この物語について、簡単に補足します。

土方歳三さんは、戊辰戦争の中の宇都宮の戦いの最中に、足を負傷します。

慶応四年(1868年)四月下旬(現在の暦で五月頃)に、会津に来ました。

会津で数ヶ月ほど療養したそうです。

療養中に、医者などの勧めがあり、現在の会津若松市に在る東山温泉で湯治をしたと伝わっています。

土方歳三さんが湯治をした頃の東山温泉には、会津藩指定の共同湯が在りました。

土方歳三さんが湯治に通った温泉は、逸話が幾つかありますが、特定は出来ないそうです。

土方歳三さんは、会津での療養中に、近藤勇さんのお墓を会津に建てます。

近藤勇さんのお墓を建てた時に、斉藤一さんが会津に居たと伝わっているそうです。

そのため、斉藤一さんが近藤勇さんの遺髪を会津に運んだ、斉藤一さんは土方歳三さんの怪我の療養中に新撰組の組長代理として指揮していなかった、などの説があります。

この物語は、斉藤一さんが近藤勇さんのお墓を建てた時に居た、斉藤一さんが近藤勇さんの遺髪を運んだ、どちらも特定した内容は書いていません。

東山温泉には、川が流れていて滝のように流れる場所と滝になっている場所が在ります。

土方歳三さんは、温泉の近くに在る寺(近藤勇さんのお墓が在る寺)で療養した時期があるそうです。

土方歳三さんは、慶応四年(1868年)七月中旬から八月頃に、戦線に復帰したそうです。

斉藤一さんは、幾つもの名前を名乗って過ごしていました。

物語の前半の時間設定時は、「山口次郎」さんと名乗っている可能性が高いようです。

幾つもの名前を名乗って過ごすと、一つの物語に複数の名前が登場する事があります。

一つの物語に、同一人物が複数の名前が登場すると分かり難くなると考えて、「斉藤一」さんの名前が一部の場面に登場して、他の場面では特定の名前で登場していません。

斉藤一さんは、函館に向かわず会津に残りました。

会津に残った新撰組隊士は、二十名ほどと伝わっています。

会津に残った新撰組隊士は、二十名ほどで或る場所を警護していました。

その時に、新政府側が攻撃してきたそうです。

この戦いで、会津に残った新撰組隊士は全員亡くなったと伝わった事があるそうです。

実際は、斉藤一さんを含めた数名の隊士は生き残りました。

市村鉄之助さんは、明治二年(1869年)五月頃に、土方歳三さんの命令で、函館を脱出し多摩へと向かいます。

物語の時間設定の後半は、市村鉄之助さんは函館を脱出し、多摩に着いています。

市村鉄之助さんは、新撰組が京の町で活動中の時の隊士募集で入隊しました。

しかし、市村鉄之助さんは、隊士募集希望年齢以下だったそうです。

本来ならば年齢制限のために新撰組に入隊できませんが、土方歳三さんが特別に入隊を認めたそうです。

市村鉄之助さんは、土方歳三さん付きの小姓に就きます。

土方歳三さんは市村鉄之助さんを「頗る勝気、性亦怜悧」と表現したそうです。

土方歳三さんが市村鉄之助さんに函館から多摩に行けと命令した理由は、話したり記したりせずに亡くなったらしいので、分からないそうです。

土方歳三さんは、明治二年五月十一日(1869年6月20日)に戦いの中で亡くなります。

近藤勇さんは、慶応四年四月二十五日(1868年5月17日)に斬首により亡くなります。

沖田総司さんは、慶応四年五月三十日(1868年7月19日)に病のために亡くなります。

この物語の設定時は、斉藤一さん、市村鉄之助さんは、存命で、土方歳三さん、沖田総司さんは、前半は存命で後半は亡くなり、近藤勇さんは、亡くなっています。

この物語の土方歳三さんの療養場所は、土方歳三さんが療養したと伝わる場所、土方歳三さんが療養した可能性が高い場所、を想定して書きました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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