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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 秋の夜長の夢語り 七種の花 萩の花 再び 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人 夢、謎の男性




「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

「万葉集 第八巻 一五三七番」

作者:山上憶良(やまのうえのおくら)



「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

「万葉集 第八巻 一五三八番」

作者:山上憶良(やまのうえのおくら)




今は秋。



ここは、京の町。



季節は秋だが、暑い日が続いている。



屯所。



沖田総司の部屋。



部屋の中に蚊帳が吊ってある。



蚊帳の中には床が敷いてある。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中で、ゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司の顔を笑顔で覗き込んでいる。



沖田総司は、少女と同じ容姿の夜の国の住人で“夢”の名前の少女だと直ぐに分かった。



沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今晩は。」

夢は沖田総司の顔から微笑んで放れた。

沖田総司は床の上に微笑んで体を起こした。

夢は沖田総司に強く抱き付くと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は赤面して動きを止めた。



不思議な空気が沖田総司と夢を包んだ。



夢は沖田総司を強く抱いて、微笑んで、静かに居なくなった。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに居なくなった。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



夜空には、月と満天の星が綺麗に輝いている。



草原。



心地好い空気に包まれている。



夢は沖田総司を強く抱いて、微笑んで、静かに現れた。

沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。



夢は沖田総司から離れると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国にようこそ。」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「夢ちゃん。何故、今回は私に強く抱き付いたのかな?」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんを僅かですが趣向を変えて夜の国にご招待しました。」

沖田総司は夢に赤面して話し出す。

「違う趣向が良かったな。」

夢は沖田総司に抱き付くと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。今後のために、希望する趣向の内容を教えてください。」

沖田総司は夢を赤面して困惑して見た。

夢は沖田総司に抱き付いて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。は、や、く、お、し、え、て。」

沖田総司は赤面したまま、目の前が暗くなった。



少し後の事。



ここは、夜の国。



夢の住む家。



一室。



心地好い空気に包まれている。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。



沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。



沖田総司は床の上にゆっくりと体を起こした。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。是非、俺も知りたい。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司さん。は、や、く、お、し、え、て。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! 夢ちゃんと私の話を聞いたのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の想像に任せる!」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! 何故、答えないのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と一緒に居ると楽しいからだ。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に動揺して話し出す。

「言葉の意味のみの解釈ならば、嬉しい内容の返事ですが、今の質問の答えに合っていないと思います!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺の答えた内容が不服なのか?」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さんが楽しいと話しました。不服ではありません。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。少しだけ休め。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



少し後の事。



ここは、夜の国。



草原。



夜空には、月と満天の星が綺麗に輝いている。



心地好い空気に包まれている。



毛氈が敷いてある。



毛氈の上には、酒、肴、お茶、お菓子、が置いてある。



斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

男性は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

少女はお茶を微笑んで飲んでいる。



男性の姿は、斉藤一と少女に、馴染みのある人物と同じ容姿をしている。



男性は杯の酒を飲みながら、少女に微笑んで話し出す。

「撫子は他の六種類と比べると、少し早く咲きます。京の町では、秋の七草の花を同時に見る行為は難しいと思います。」

少女はお茶を飲みながら、男性に微笑んで話し出す。

「はい。」

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「“秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花”。“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。沖田さんが美鈴さんに、秋の七草について詠んだ二首の歌と秋の七草の柄の千代紙を贈ったそうですね。」

少女はお茶を飲みながら、男性に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通の表情で頷いた。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。沖田さんに、美鈴さんを撫子の花に見立てて、撫子の花を抜いた六種類の柄の千代紙を贈る提案をしたそうですね。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通に話し出す。

「俺が総司に提案したが、俺が一人で考えた提案ではない。」

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性を普通の表情で見た。

男性は杯の酒を飲みながら、少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは可愛いです。美鈴さんと撫子。直ぐに繋がります。」

少女はお茶を飲むのを止めると、男性を恥ずかしい様子で見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通に話し出す。

「総司が今のような気の利いた言葉をさり気なく発言できれば、と幾度も思う。」

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの気持ちは分かりますが、それぞれに特長があります。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通に話し出す。

「それぞれに特長はあるが、総司の特長は物凄く極端になる。」

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。

少女は斉藤一と男性を恥ずかしく見ている。

男性は杯の酒を飲みながら、少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。困る内容を話してしまいました。」

少女は男性に恥ずかしい様子で話し出す。

「大丈夫です。」

男性は杯の酒を飲みながら、少女を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性と少女を普通の表情で見た。

男性は杯の酒を飲みながら、少女に微笑んで話し出す。

「夜の国は、京の町では不思議に感じる出来事が普通に起きます。夜の国では秋の七草の花を同時に見られます。」

少女は男性に微笑んで話し出す。

「秋の七草を同時に見たいです。」

男性は杯の酒を飲みながら、少女を微笑んで見た。

少女は男性を微笑んで見た。

男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。美鈴さん。参考になる話を聞けました。ありがとうございます。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通の表情で頷いた。

少女は男性を微笑んで見た。

男性は杯の酒を全て飲むと、斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「私は先に戻ります。」

少女は男性に微笑んで話し出す。

「たくさんお話しが出来ました。楽しかったです。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性に普通の表情で頷いた。

男性は斉藤一と少女を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、男性を普通の表情で見た。

少女は男性を微笑んで見た。

男性は男性の使用した杯と使用した皿を微笑んで片付けた。



男性は杯と皿を持ち、微笑んで、静かに居なくなった。



斉藤一は杯の酒を飲みながら、少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。お茶と菓子がたくさん残っている。遠慮せずに食べろ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、少女を普通の表情で見た。

少女はお茶を微笑んで飲んだ。



沖田総司が微笑んで、静かに現れた。



少女はお茶を飲むのを止めると、沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃん。今晩は。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは総司の来る直前にお茶を飲み始めた。総司は美鈴さんの邪魔をしている。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! ご免ね! 私に気を遣わずにお茶を飲んで!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を落ち着かない様子で見た。

少女はお茶を微笑んで飲み始めた。

沖田総司は少女を安心した様子で見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

少女はお茶を微笑んで飲み終わった。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに見せたい物があるんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は前を微笑んで指した。

少女は前を微笑んで見た。



萩の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。

薄の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。

葛の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。

女郎花の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。

藤袴の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。

桔梗の花の咲く鉢植えが、淡い光に包まれて、静かに現れた。



少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。秋の七草が淡く光っています。綺麗です。」

沖田総司は前を指すのを止めると、少女を赤面して見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。



沖田総司の手元に、撫子の花束が、淡い光に包まれて、静かに現れた。



少女は撫子の花束を微笑んで見た。

沖田総司は撫子の花束を持つと、少女に赤面して話し出す。

「秋の七草の中で、撫子を抜いた六種類の鉢植えを借りたんだ。京の町に帰るまでに、六種類の鉢植えを返さなければならないんだ。撫子の鉢植えを返すのは、鈴ちゃんと離れるみたいで嫌だったから、撫子の花束を用意したんだ。夜の国の記憶は京の町に戻ると同時に思い出せなくなるし、撫子の花束は京の町に戻ると同時に消えてしまうけれど、撫子の記憶は他の六種類より長く残るよね。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に撫子の花束を差し出すと、少女に赤面して話し出す。

「鈴ちゃん。受け取って。」

少女は沖田総司から花束を受取ると、沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「総司さん。ありがとうございます。」

沖田総司は少女を赤面して見た。

斉藤一は杯の酒を飲むのを止めると、沖田総司の耳元で普通の表情で囁いた。

「総司。誰に教えもらった?」

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に赤面して囁いた。

「優しくて頼りになる人物からです。」

斉藤一は沖田総司の耳元で普通の表情で囁いた。

「俺以外の優しくて便りになる人物。」

沖田総司は斉藤一を赤面して動揺して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女に赤面して大きな声で話し出す。

「私にとって、斉藤さんと鈴ちゃんは、とてもとても大切な友達です! 私にとって、斉藤さんと鈴ちゃんは、とてもとても信頼できる人物です! 斉藤さん! 鈴ちゃん! 末永く一緒に居てください!」

少女は撫子の花束を持ち、沖田総司を驚いた様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女を赤面して見た。



「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

秋の七草の花が同時に揃う夜の国。

夜の国の秋の時間は和やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、二首になります。

一首目は「万葉集 第八巻 一五三七番」

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」

ひらがなの読み方は「あきののに さきたるはなを およびおり かきかぞふれば ななくさのはな」

作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」

歌の意味は「秋の野に咲いている花を、指折り数えてみると、七種類になります。」となるそうです。

原文は「秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花」

二首目は「万葉集 第八巻 一五三八番」

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」

ひらがなの読み方は「はぎのはな をばな くずはな なでしこのはな をみなえし またふぢばかま あさがほのはな」

作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」

歌の意味は「(七種類の花というのは)、萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、そして、藤袴、朝顔の花」となるそうです。

原文は「芽之花 乎花 葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花」

秋の花を読み上げた歌です。

この歌に登場する植物は、「秋の七草(あきのななくさ)」として有名です。

「秋の七草」を詠んだ歌は、「万葉集 第八巻 一五三七番」と「万葉集 第八巻 一五三八番」の連続した二首で構成されています。

「秋の七草」についてです。

現在では主に鑑賞を目的として親しまれています。

「撫子(なでしこ)」は、夏の季語ですが、他の六種類は、秋の季語です。

「萩」は、マメ科の落葉低木の総称です。

現在の暦で、6月〜10月頃に花が咲きます。

万葉集の「萩」は、「山萩(やまはぎ)」といわれています。

「尾花」は、イネ科の多年草です。

「薄(すすき)」の名前でも知られています。

現在の暦で、9月〜10月頃に花が咲きます。

「葛(くず)」は、マメ科の蔓性の多年草です。

現在の暦で、8月〜9月頃に花が咲きます。

「撫子」は、ナデシコ科の多年草です。

現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。

「女郎花」は、オミナエシ科の多年草です。

現在の暦で、7月〜10頃に花が咲きます。

「藤袴」は、キク科の多年草です。

現在の暦で、10月〜11月頃に花が咲きます。

「朝顔」は、万葉集では朝な綺麗に咲く花として詠まれています。

「桔梗(ききょう)」、「槿(むくげ)」、「昼顔(ひるがお)」、とする説があります。

「秋の七草」の「朝顔」は、「桔梗」として紹介されている事が多いです。

今回の物語でも「桔梗」として登場しています。

「桔梗」は、キキョウ科の多年草です。

現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。

「千代紙(ちよがみ)」についてです。

千代紙の歴史は、1700年程前の京都にまで遡る事が出来るそうです。

当時の千代紙は、宮廷のみで奉書紙で使用されていたそうです。

そのような状況のため、千代紙は高級品だったそうです。

後に、貴族などの限られた人達が利用していた高価な千代紙が、江戸に着たそうです。

江戸では和紙を利用して千代紙を作るようになり、奉書紙の雰囲気を出しながらも、手に入れやすい値段になり、庶民の間に広まったそうです。

千代紙は浮世絵師が色付けして錦絵と一緒に販売されていたそうです。

そのため、当時の流行の物や流行の人などを意識した柄や新作も作られたそうです。

当時の人達は、気に入った柄の千代紙を購入して、身の回りの物に貼ったり、小物などを作ったりなどして楽しんでいたそうです。

当時人気があったのは、歌舞伎役者などの歌舞伎関係だったそうです。

女性達が、お気に入りの歌舞伎役者関係の千代紙を使って、身の回りの物に貼ったり小物を作ったりして楽しんでいたそうです。

いろいろな地域に広まった千代紙は、地域によって様々な特徴を持っていったそうです。

京都で作られた千代紙は「京千代紙」と呼ばれ、江戸で作られた千代紙は「江戸千代紙」と呼ばれたそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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