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~ 雪月花 新撰組異聞 編 ~
~ 卯の花の幻 鶯の幻 憂きこと 君が ~
登場人物
土方歳三、沖田総司、斉藤一、市村鉄之助
「鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ」
「万葉集 第十巻 一九八八番」より
作者:詠み人知らず
初夏の頃。
幕府軍と薩長中心の新政府軍の戦いが続いている。
土方歳三は戦いの中で足に怪我をしたので、会津で医師の治療を受けている。
会津には良い温泉が幾つも在る。
医者は土方歳三の怪我の早期の回復のために、温泉の湯治を考えている。
ここは、会津。
温泉地。
宿。
滝が傍に在る。
一室。
滝の音が絶え間なく聞こえる。
土方歳三は床に普通に横になっている。
市村鉄之助が桶と手拭を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。
桶から湯気が立ち上っている。
土方歳三は床の上に普通の表情でゆっくりと体を起こした。
市村鉄之助は桶と手拭を傍に置くと、土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。温泉の湯を汲んできました。直ぐに体を拭きます。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は手拭を桶の温泉に微笑んで浸した。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は土方歳三の上半身の浴衣を微笑んで脱がせた。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は手拭を絞ると、土方歳三の上半身を微笑んで拭いた。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭きながら、土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。気持ち良いですか?」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭いて、土方歳三に微笑んで話し出す。
「医師が、土方先生の次回の傷の治り具合を診て、温泉に浸かる療養の開始日を決めるそうですね。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭いて、土方歳三に微笑んで話し出す。
「桶で汲んだ温泉で体を拭くより、温泉に浸かる方が、気持ち良いですよね。土方先生が、温泉に浸かれるようになれば、傷の治りが早まると思います。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭いて、土方歳三に心配して話し出す。
「土方先生。傷が痛みますか?」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で首を横に振った。
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭いて、土方歳三に心配して話し出す。
「土方先生。体の拭き方が下手で申し訳ありません。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「体の拭き方は丁寧だ。手拭いを良い感じで絞っている。安心しろ。」
市村鉄之助は土方歳三の上半身を拭いて、土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
少し後の事。
ここは、会津。
温泉地。
宿。
滝が傍に在る。
一室。
滝の音が絶え間なく聞こえる。
土方歳三は床に普通に横になっている。
市村鉄之助は普通に居る。
土方歳三は床の上にゆっくりと体を普通の表情で起こした。
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。無理をせずに、私に用事を言ってください。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「体を起こしたいから、体を起こした。以前より怪我は治っている。無理はしていない。」
市村鉄之助は土方歳三を心配して見た。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「傷は少しずつ治っている。体を起こしたい時がある。傷が治り始めている証拠だと思え。鉄之助が俺を心配する気持ちは分かる。俺も傷を早く治したい。無理はしない。心配するな。」
市村鉄之助は土方歳三に心配して話し出す。
「はい。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は土方歳三を心配して見た。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は土方歳三に僅かに慌てて微笑んで話し出す。
「土方先生。宿から離れた場所を歩く途中で、卯の花の咲く様子を見ました。卯の花を見た時に、鶯の綺麗な泣き声が聞こえました。春と初夏を感じました。不思議な感じになりました。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「鉄之助。慌てて話す内容ではない。落ち着け。」
市村鉄之助は土方歳三に恥ずかしい様子で話し出す。
「はい。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は土方歳三を恥ずかしい様子で見た。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「鶯の綺麗な鳴き声は、春から初夏に掛けて聞こえる。場所と気候によっては、初夏を過ぎても綺麗な鳴き声が聞こえる。卯の花が咲く中で聞く、鶯の綺麗な泣き声。素晴らしい情景だ。鉄之助。教えてくれてありがとう。」
市村鉄之助は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「鉄之助。万葉集に卯の花と鶯を詠んだ歌がある。」
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。卯の花と鶯を詠んだ歌を教えてください。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”。」
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「歌の意味は、“鶯が通ってくる垣根の卯の花の、憂きことがあるのでしょうか、あなたさまがいらっしゃらないことです・・・”、となるそうだ。“万葉集 第十巻 一九八八番”。作者は“不明”。“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の”、で、“憂きこと”、を導いている。」
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「万葉集は数多の内容を詠んでいますね。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生。温泉の湯で体を拭きますか?」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「少し前に温泉の湯で体を拭いた。少し後に、温泉の湯で体を再び拭いてくれ。」
市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
土方歳三は床の上に体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
暫く後の事。
ここは、会津。
温泉地。
宿。
滝が傍に在る。
一室。
滝の音が絶え間なく聞こえる。
土方歳三は床の上に普通の表情で体を起こしている。
土方歳三は床の上で体を起こし、外を普通の表情で見た。
鶯の飛ぶ姿が僅かに見えた。
土方歳三は床の上に体を起こし、外を見て、微笑んで呟いた。
「“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”。俺は、幸いにも、“憂きことあれや 君が来まさぬ”、にならない。感謝する。」
市村鉄之助が、桶、手拭、卯の花を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。
土方歳三は床の上で体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
市村鉄之助は、桶、手拭、卯の花を脇に置くと、土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方先生に卯の花を見て頂きたくて用意しました。」
土方歳三は床の上で体を起こし、市村鉄之助に普通に話し出す。
「鉄之助が部屋に入る前に、鶯の外を飛ぶ姿が僅かに見えた。“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”、の歌を詠んだ。鉄之助が卯の花を持ってきた。卯の花と鶯が揃った。」
市村鉄之助は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は床の上で体を起こし、市村鉄之助に普通の表情で頷いた。
市村鉄之助は温泉に手拭を微笑んで浸した。
土方歳三は床の上で体を起こし、市村鉄之助を普通の表情で見た。
幾つかの季節が過ぎた。
今は明治と呼ぶ時代になっている。
幕府と新政府の戦いは、新政府の勝利で終わったと発表された。
更に幾つかの季節が過ぎた。
今は初夏の頃。
市村鉄之助は危険な状況が続くため、土方歳三の身内の世話になり過ごしている。
市村鉄之助は気軽に外出できない日が続いている。
ここは、多摩。
土方歳三の身内の家。
一室。
卯の花を挿した花瓶が机の上に置いてある。
市村鉄之助は微笑んで居る。
市村鉄之助は障子を微笑んで開けた。
青空の広がる様子が見える。
市村鉄之助は青空を微笑んで見た。
鶯の綺麗な鳴き声が微かに聞こえた。
市村鉄之助は辺りを不思議な様子で見た。
鶯の姿は見えない。
市村鉄之助は青空を微笑んで見た。
市村鉄之助の慕う男性の穏やかな声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。
「鉄之助。鶯の鳴き声が聞こえたか?」
市村鉄之助は青空を見ながら、微笑んで呟いた。
「はい。」
市村鉄之助の慕う男性の穏やかな声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。
「鉄之助。歌の勉強だ。卯の花と鶯を詠んだ歌を覚えているか?」
市村鉄之助は卯の花を見ると、微笑んで呟いた。
「“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”。」
市村鉄之助の慕う男性の穏やかな声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。
「鉄之助。正解だ。」
市村鉄之助は卯の花を微笑んで見た。
市村鉄之助の慕う男性の穏やかな声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。
「鉄之助。剣術関連の精進は大切だ。剣術関連の精進には、体力も練習も、重要だ。歌関連の精進は大切だ。歌関連の精進には、恋は重要だ。鉄之助は、剣術、歌、恋愛を含めて、様々な精進が大切だ。」
市村鉄之助は卯の花を見ながら、微笑んで呟いた。
「はい。」
市村鉄之助の慕う男性の穏やかな声が、市村鉄之助の傍から聞こえた。
「鉄之助が感謝する人達に迷惑を掛けないために、様々な内容を精進しろ。」
市村鉄之助は卯の花を見ながら、微笑んで呟いた。
「はい。」
鶯の鳴き声が聞こえた。
市村鉄之助は辺りを微笑んで見た。
鶯の姿は見えない。
市村鉄之助は障子を微笑んで閉めた。
暫く後の事。
ここは、北の地の或る場所。
今は夜。
ここは、一軒の家。
一室。
武士姿の男性が横になり静かに寝ている。
初夏の京の町。
屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は部屋の中に普通に居る。
沖田総司は微笑んで居る。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。鶯を詠んだ歌を知りませんか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「初夏に鶯を詠んだ歌を贈るのか?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「鶯を詠んだ歌の季節は、春が多い。初夏に鶯を詠んだ歌を贈りたいと思った理由は何だ?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「緑色の木々を見ていたら、鈴ちゃんに鶯を詠んだ歌を贈りたいと思いました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「梅を見ながら鶯を詠んだ歌を贈るのではなく、緑色の葉の茂る木々を見ながら鶯を詠んだ歌を贈りたいのか?」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。変わっている。」
沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は趣向を凝らす贈り方が下手なのに、初夏に鶯と卯の花を詠んだ歌を贈る方法を思い付いた。物凄く珍しい。」
沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。
「斉藤さん。酷いです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「“鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ”。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。歌の復唱をお願いします。歌の意味もお願いします。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺は酷いのだろ。酷い俺から歌を教えてもらうのか?」
沖田総司は斉藤一を動揺して見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。面白い。先程の歌を、物凄くじっくりと説明する。喜べ。」
沖田総司は斉藤一に僅かに怖い様子で話し出す。
「斉藤さん。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。
「何もありません。歌を教えてください。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。
ここは、北の地の或る場所。
一軒の家。
一室。
武士姿の男性は普通の表情でゆっくりと体を起こした。
武士姿の男性は部屋の中を普通の表情で見た。
部屋の中に変わった様子はない。
武士姿の男性は障子を静かに開けると、辺りを普通の表情で見た。
辺りに変わった様子はない。
武士姿の男性は夜空を見ると、普通の表情で呟いた。
「大事な寝る時間を邪魔するほどに寂しいのか? 俺は暫く向こうに行く考えが無い。俺が向こうに行ったら、暇な時は付き合う。我慢して待て。」
武士姿の男性は障子を静かに普通の表情で閉めた。
武士姿の男性は横になると、普通の表情で直ぐに目を閉じた。
「鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ」
斉藤一も市村鉄之助も、大切な人物が傍に居なくても、大切な人物と想いの繋がりを感じながら過ごしている。
斉藤一も市村鉄之助も、大切な人物が傍に居なくても、憂きことがなく過ごしている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 一九八八番」
「鶯の 通ふ垣根の 卯の花の 憂きことあれや 君が来まさぬ」
ひらがなの読み方は「うぐひすの かよふかきねの うのはなの うきことあれや きみがきまさぬ」
作者は「詠み人知らず」
歌の意味は「鶯が通ってくる垣根の卯の花の、憂きことがあるのでしょうか、あなたさまがいらっしゃらないことです・・・」となるそうです。
原文は「鶯之 往来垣根乃 宇能花乃 厭事有哉 君之不来座」
「憂きこと(うきこと)」は「気分が優れないこと」をいいます。
「鶯(うぐひす)の 通ふ垣根の(かよふかきねの) 卯の花の(うのはなの)」で、「憂きこと(うきこと)」を導いています。
現代かなづかいにすると、「鶯」の「うぐひす」は「うぐいす」、「通ふ(かよふ)」は「通う(かよう)」になります。
「卯の花(うのはな)」は「空木(うつぎ)の白い花。空木の別名。」です。
日本原産です。
「空木」は、幹の中が空洞なところから付いた名前だといわれています。
夏の季語です。
「鶯(うぐいす)」についてです。
今回は鳥の「鶯」について説明します。
すずめ目ヒタキ科ウグイス亜科の鳥です。
全長は、雄が約16cm、雌は約14cmです。
上面は緑褐色、腹部は白く、淡色の眉斑があります。
東アジアに分布しています。
日本では夏は山地の低木林で繁殖し、冬は平地に降ります。
別名に、「春告げ鳥(はるつげどり)」、「春告鳥(はるつげどり)」、「歌詠み鳥(うたよみどり)」、「歌詠鳥(うたよみどり)」、「人来鳥(ひとくどり)」、「愛宕鳥(あたごどり)」、などたくさんあります。
春の季語です。
土方歳三さん、斉藤一さん、市村鉄之助さん、今回の物語について、簡単に補足します。
土方歳三さんは、戊辰戦争の中の宇都宮の戦いの最中に、足を負傷します。
そのため、慶応四年(1868年)四月下旬(現在の暦で五月頃)に、会津に来ました。
会津で数ヶ月ほど療養したそうです。
療養中に、医者などの勧めがあり、現在の会津若松市に在る東山温泉で湯治をしたと伝わっています。
土方歳三さんが湯治をした頃の東山温泉には、会津藩指定の共同湯が在りました。
土方歳三さんが湯治に通った温泉は、逸話が幾つかありますが、特定は出来ないそうです。
土方歳三さんは、会津での療養中に、近藤勇さんのお墓を会津に建てます。
近藤勇さんのお墓を建てた時に、斉藤一さんが会津に居たと伝わっているそうです。
そのため、斉藤一さんが近藤勇さんの遺髪を会津に運んだ、斉藤一さんは土方歳三さんの怪我の療養中に新撰組の組長代理として指揮していなかった、などの説があります。
今回の物語は、斉藤一さんが近藤勇さんのお墓を建てた時に居た、斉藤一さんが近藤勇さんの遺髪を運んだ、どちらも特定した内容は書いていません。
東山温泉には、川が流れていて滝のように流れる場所と滝になっている場所が在ります。
土方歳三さんは、温泉の近くに在る寺(近藤勇さんのお墓が在る寺)で療養した時期があるそうです。
土方歳三さんは、慶応四年(1868年)七月中旬から八月頃に、戦線に復帰したそうです。
斉藤一さんは、幾つもの名前を名乗って過ごしていました。
物語の前半の時間設定時は、「山口次郎」さんと名乗っている可能性が高いようです。
幾つもの名前を名乗って過ごすと、一つの物語に複数の名前が登場する事があります。
一つの物語に、同一人物が複数の名前が登場すると分かり難くなると考えて、「斉藤一」さんの名前が一部の場面に登場して、他の場面では特定の名前で登場していません。
斉藤一さんは、函館に向かわず会津に残りました。
会津に残った新撰組隊士は、二十名ほどと伝わっています。
会津に残った新撰組隊士は、二十名ほどで或る場所を警護していました。
その時に、新政府側が攻撃してきたそうです。
この戦いで、会津に残った新撰組隊士は全員亡くなったと伝わった事があるそうです。
実際は、斉藤一さんを含めた数名の隊士は生き残りました。
市村鉄之助さんは、明治二年(1869年)五月頃に、土方歳三さんの命令で、函館を脱出し多摩へと向かいます。
物語の時間設定の後半は、市村鉄之助さんは函館を脱出し、多摩に着いています。
市村鉄之助さんは、新撰組が京の町で活動中の時の隊士募集で入隊しました。
しかし、市村鉄之助さんは、隊士募集希望年齢以下だったそうです。
本来ならば年齢制限のために新撰組に入隊できませんが、土方歳三さんが特別に入隊を認めたそうです。
市村鉄之助さんは、土方歳三さん付きの小姓に就きます。
土方歳三さんは市村鉄之助さんを「頗る勝気、性亦怜悧」と表現したそうです。
土方歳三さんが市村鉄之助さんに函館から多摩に行けと命令した理由は、話したり記したりせずに亡くなったらしいので、分からないそうです。
土方歳三さんは、明治二年五月十一日(1869年6月20日)に戦いの中で亡くなります。
近藤勇さんは、慶応四年四月二十五日(1868年5月17日)に斬首により亡くなります。
沖田総司さんは、慶応四年五月三十日(1868年7月19日)に病のために亡くなります。
この物語の設定時は、斉藤一さん、市村鉄之助さんは、存命中で、土方歳三さん、沖田総司さんは、前半は存命で後半は亡くなり、近藤勇さんは、亡くなっています。
この物語の土方歳三さんの療養先は、土方歳三さんの療養先と伝わる場所、土方歳三さんの療養先の可能性が高い場所、を想定して書きました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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