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~ 雪月花 新撰組異聞 編~


~ 大寒の頃 雪と豆柿 白妙の ~


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]




「田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」

「小倉百人一首 四番」、及び、「新古今集」

作者:山部赤人(やまべのあかひと)




今は、冬。



ここは、京の町。



寒い日が続いている。



昨日、雪が降った。



雪が少し積もっている。



ここは、町中。



沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんと一緒に雪景色が見られます。楽しみですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「町中には雪が残っている。美鈴さんの家の外で逢うのか?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの希望を確認してから考えます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺。美鈴さん。三人が美鈴さんの部屋の中で逢う状況は落ち着かないし思う。俺は美鈴さんの部屋で逢う時は遠慮する。念のために、俺は美鈴さんの家の外で答えを待つ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。外は寒いです。鈴ちゃんは優しいです。鈴ちゃんは斉藤さんに逢う時間も楽しみにしています。鈴ちゃんに逢う前に帰るなどの状況は、心配します。一緒に訪問しましょう。一緒に逢いましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、少女の住む家。



玄関。



沖田総司は微笑んで訪ねてきた。

斉藤一は普通に訪ねてきた。



少女は微笑んで来た。



少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。こんにちは。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。町中には雪が少し残っているんだ。鈴ちゃんの家で逢うなどの場所の変更が必要になると思うんだ。」

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「外は寒いです。部屋で休憩しながら、出掛ける場所を考えませんか?」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



境内。



豆柿の熟した実が幾つも生っている。



沖田総司は微笑んで来た。

斉藤一は普通に来た。

少女は微笑んで来た。



少女は境内を微笑んで見た。

斉藤一は少女と境内を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。境内で気になる景色を見付けたの?」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「豆柿が熟しています。雪と熟した豆柿。冬の景色の中で素敵な組み合わせの一つだと思いました。」

沖田総司は境内を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「豆柿の実が熟しているね。熟した豆柿の実だから食べられるね。餅に搗き込んで食べられるね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。豆柿の実は、熟すと食べられる。今の居る寺の境内に植わる豆柿の実は、熟している。美鈴さんは豆柿と雪の積もる様子の組み合わせは、素敵な組み合わせだと話した。総司の美鈴さんへの答えは、重なっていない。」

沖田総司は斉藤一と少女を僅かに恥ずかしく見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司は、風流な内容を、食べ物に繋げて話す。総司の風流に疎い性格のために話した内容になる。総司を許して欲しい。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんは、私が素敵な光景を見付けた時に、私が素敵な景色を見付けた様子を気付いてくれます。許す行為に該当しません。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「鈴ちゃん。ありがとう。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。雪の積もる場所に植わる実の生る豆柿。繋がると思いました。」

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一に申し訳なく話し出す。

「失礼な内容を話してしまいました。ご免なさい。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃんが素敵な光景だと褒めた一部に繋がると思ったんだよね! 失礼な内容に該当しないよ!」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を安心した様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司は、京の町の雪景色を見て、美鈴さんに歌を贈りたいと話した。総司は、美鈴さんの総司を素敵な光景に繋がる想いを知って、更に歌を贈りたいと話した。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お歌の贈り物が頂けるのですね。嬉しいです。楽しみです。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見ている。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は境内を僅かに慌てて見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女を見ると、少女に僅かに慌てて話し出す。

「鈴ちゃん。外で長く話しているよね。外は寒いよね。本堂で話そう。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を僅かに慌てて微笑んで見た。



斉藤一は本堂に普通に入って行った。

少女は本堂に微笑んで入って行った。

沖田総司は本堂に考えながら入って行った。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



沖田総司は考えながら居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺が居ると、美鈴さんに歌を贈り難いのだろ。俺は本堂の外に居る。」

沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。


「斉藤さんが傍に居ても歌を贈り難くないです! 斉藤さんも本堂に一緒に居てください!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を安心して見た。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は少女を僅かに緊張して見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に僅かに緊張して話し出す。

「“田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ”。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は斉藤一と少女を僅かに困惑して見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。今の歌が、総司から美鈴さんへの贈り物になる。」

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。歌の贈り物。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に安心して頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一は普通に居る。

沖田総司は僅かに拗ねて居る。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは、俺と総司のために、寒い中を出掛けた。俺は、美鈴さんに喜んでもらうために、歌を贈る内容を考えた。美鈴さんは、総司が贈る歌を喜んで受け取った。拗ねるな。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「斉藤さんは~ 歌の贈り物について事前に話しませんでした~ 私は歌について疎いです~ 雪が関係する歌を慌てて思い出しました~ 直ぐに雪に関する歌を思い出せませんでした~ 焦りました~ 最初に思い出した歌を贈りました~」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が慌てて歌を思い出した状況。総司が直ぐに歌を思い出せなかった状況。総司の焦る状況。総司の問題だ。俺は無関係だ。拗ねるな。」

沖田総司は斉藤一を拗ねて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ”。豆柿と雪。普通ならば、繋がる内容は一部になる。美鈴さんは繋がる部分をたくさん見付けた。さすがだ。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「鈴ちゃんの見付けたたくさんの繋がる部分~ 教えてください~」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに確認しろ。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「鈴ちゃんに確認したら~ 私が慌てて思い付いた歌を贈った状況に気付きます~ 鈴ちゃんに確認が出来ません~」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんには、立派に思われたい気持ち。強く伝わる。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「駄目ですか~?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「大切な人物のために向上したい想い。良い想いに該当する。」

沖田総司は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「理由は分かりませんが、今の斉藤さんの話の内容を聞いたら、笑いたい気持ちになりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の普段の言動と一致しないから、笑いたい気持ちになった。以上が理由になる。」

沖田総司は斉藤一に笑いを堪えて話し出す。

「斉藤さん。私のために無理をしたのですね。ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、俺と総司が友達だと幾度も話す。気にするな。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺と総司は、友達になる。気にしなくて良いが、感謝は必要だ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、私にとって大切な友達です。感謝しています。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。感謝を表わす方法がある。だから。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「礼をします。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「礼をする方法がある。だから。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「美味しい酒。美味しい肴。奢ります。私から斉藤さんへの礼です。良いでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私の奢りですが、斉藤さんと酒を飲む時間が楽しみです。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



「田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」

雪景色と熟した豆柿の実。

彩の少ない冬の季節の中で、静かな彩を与えている。

寒さを感じる中で、静かな彩の中で、冬の時間はゆっくりと過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「小倉百人一首 四番」、及び、「新古今集」

「田子の浦に うち出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」

ひらがなの読み方は「たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ」

作者は「山部赤人(やまべのあかひと)」

歌の意味は「田子の浦に出てみると、真っ白な富士の高嶺に、雪がしきりに降って居るようです。」となるそうです。

「田子の浦(たごのうら)」は、「駿河国」の歌枕です。

読み方は少し変わりますが、「万葉集 第三巻 三一八番」の歌でもあります。

「白妙(しろたえ)」ですが、幾つか意味があります。

この物語では、「白色。白。」の意味です。

「白妙の(しろたえの)」は枕詞です。

「衣・布に関する、[衣]、[袖]、[袂]、[たすき]、[紐]、などにかかります。」

「白色の意味から、[雲]、[雪]、[波]、[浜のまさご]、などにかかります。」

「栲(たえ)の材料になる藤、白栲で作る木綿(ゆう)、と同音の、[ふぢ]、[ゆふ(夕)・(木綿)]、などにかかります。」

「豆柿(まめがき)」についてです。

カキノキ科。

落葉高木。

別名は、「小柿(こがき)」、「信濃柿(しなのがき)」、「千成柿(せんなりがき)」、など。

果径は、1.5cm程。

若い果実を潰して「柿渋(かきしぶ)」を採る。

実生の苗を柿の木台にする。

実は、下が降りる頃に渋さが抜けるそう。

生食、お餅に搗き込んで食べる、などの食用にするそう。

秋の季語です。

「大寒(だいかん)」についてです。

「二十四節気」の一つです。

現在の暦で、一月二十日頃、または、この日から「立春(りっしゅん)」(現在の暦で、2月4日頃)までの期間です。

寒さが最も厳しくなる頃です。

寒中の真ん中で、一年で最も寒い時期です。

冬の季語です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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