このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
~ 雪月花 新撰組異聞 編 ~
~ 秋の夜長の夢語り 温泉と尾花 秋風に ~
登場人物
沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]
夜の国の住人 夢
「高円の 尾花吹き越す 秋風に 紐解き開けな 直ならずとも」
「万葉集 第二十巻 四二九五番」より
作者:大伴池主(おおとものいけぬし)
今は秋。
ここは、京の町。
陽が落ちると暑さは感じなくなっている。
日中は暑さを感じる時間が少なくなっている。
屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は床の中で静かに寝ている。
部屋の中が不思議な空気に包まれた。
沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。
少女が沖田総司を笑顔で見ている。
沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ顔の“夢”だと直ぐに分かった。
沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。
「夢ちゃん。今晩は。」
夢は沖田総司の顔を覆い、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。こんばんは。」
沖田総司は床の中で、夢を微笑んで見た。
夢は沖田総司から微笑んで離れた。
沖田総司は床の上に体を微笑んで起こした。
夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。
沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して動きを止めた。
夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。
沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、不思議な空気に包まれた。
夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。
沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、静かに居なくなった。
一瞬の後の事。
ここは、夜の国。
夜空には、月と満天の星が輝いている。
心地好い空気に包まれている。
夢の住む家。
一室。
心地好い空気に包まれている。
夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。
沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。
夢は沖田総司から微笑んで離れた。
沖田総司は夢を赤面して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。夜の国へようこそ。」
沖田総司は夢を赤面して見ている。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「今回も、夜の国で温泉を楽しんで頂くためにご招待しました。」
沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。
「今回も夜の国の温泉が楽しめるんだ。」
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は夢を赤面して微笑んで見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。ご案内します。」
沖田総司は夢に赤面して苦笑して話し出す。
「夢ちゃん。夜の国に来る時と同じ行動をしないよね。」
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんの希望に合わせます。」
沖田総司は夢を赤面して安心して見た。
夢は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は夢を赤面して緊張して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。直ぐに案内します。緊張しないでください。」
沖田総司は夢に赤面して慌てて頷いた。
夢は沖田総司を微笑んで見た。
僅かに後の事。
ここは、夜の国。
温泉地。
山に覆われている。
山の木々は僅かに紅色の葉に染まっている。
川が絶え間なく流れている。
川の流れる音が絶え間なく聞こえる。
宿。
山の木々が僅かに紅色の葉に染まる様子が見える。
川が見える。
川の流れる音が絶え間なく聞こえる。
一室。
心地好い空気に包まれている。
夢は微笑んで、静かに現れた。
沖田総司も微笑んで、静かに現れた。
沖田総司は夢を微笑んで見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。私は戻ります。暫く後に再び逢いましょう。」
沖田総司は夢に微笑んで頷いた。
夢は微笑んで、静かに居なくなった。
沖田総司は部屋の中を微笑んで見た。
斉藤一が沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を驚いて見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今回も俺を見て驚いた。」
沖田総司は斉藤一に動揺して話し出す。
「突然に斉藤さんが姿を現すからです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は、今回も、総司より以前から居る。総司は抱き付かれる状況になって、勘が鈍っている。」
沖田総司は斉藤一を複雑な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんに総司が抱き付かれた状況は、今回も話さない。安心しろ。」
沖田総司は斉藤一に動揺して話し出す。
「鈴ちゃんも宿に居るのですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは温泉に浸かっている。」
沖田総司は斉藤一を安心して見た。
斉藤一は部屋を普通の表情で見た。
床の間に花瓶に挿した尾花が飾ってある。
斉藤一は尾花を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。温泉に浸かろう。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
少し後の事。
ここは、夜の国。
温泉地。
宿。
露天の温泉。
山の木々が僅かに紅色の葉に染まる様子が見える。
瀧が見える。
川が見える。
瀧から水が落ちる音も川の流れる音も、絶え間なく聞こえる。
沖田総司は露天の温泉に笑顔で浸かっている。
斉藤一は露天の温泉に普通の表情で浸かっている。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、景色を見ながら、斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 絶景ですね!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、景色を見ながら、普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、景色を笑顔で見た。
心地好い風が吹いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、景色を見ながら、斉藤一に笑顔で話し出す。
「風が吹きました! 心地好いですね!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、景色を笑顔で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。宿の部屋の床の間に尾花が飾ってあった。覚えているか?」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を見ると、斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「“秋風”と“尾花”を詠んだ歌がある。歌を詠んだ日付は、俺達の過ごす暦に当てはめると前になるが、季節は同じ秋だ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に苦笑して話し出す。
「今は温泉に浸かって気持ち良いです。歌の勉強は後でも良いですか?」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「仕方が無い。残念だ。諦める。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、景色を普通の表情で見た。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に僅かに慌てて話し出す。
「斉藤さん。温泉に浸かりながら、長い時間の歌の勉強は無理です。歌の勉強は短い時間でお願いします。」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を安心して見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「“高円の 尾花吹き越す 秋風に 紐解き開けな 直ならずとも”。作者は男性だ。酒を飲む中で詠んだ歌だそうだ。“紐解く”は、男女間の契りを連想する言葉だ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を怪訝な様子で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「俺と総司も、紐を解いて、温泉に浸かっている。温泉に浸かる人物は、俺と総司のみだ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を怪訝な様子で見ている。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。気付いていたか?」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に慌てて話し出す。
「私にとって、斉藤さんは物凄く信頼する物凄く大切な友達です! 私にとって、斉藤さんを物凄く信頼する物凄く大切な仕事仲間です! 私は斉藤さんの想いを受け止められません!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を緊張して見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。歌の説明を続ける。歌の意味は、“高円の尾花をなびかせて拭く秋風に、衣の紐を解いてくつろぎましょう。特に何をする、というわけではないですけど・・・”、となるそうだ。“紐解く”は、男女間の契りを連想する言葉だ。“直ならずとも”と詠んで、“男同士でどうするってことじゃなくて、ただ、くつろぎましょう”、を表現しているそうだ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を唖然とした表情で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「総司は、剣術関連では天才的能力を発揮するが、一部の部分には天才的な鈍さを発揮する。総司は今の会話で天才的な鈍さを発揮しない内容を話した。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を唖然とした表情で見ている。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に動揺して話し出す。
「斉藤さん! 私の勘違いの内容を鈴ちゃんが知ったら、鈴ちゃんは私を呆れて嫌いになります! 鈴ちゃんには何が何でも秘密にしてください!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「総司は、俺を勘違いするだけでなく、俺を信じていない。残念だ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に動揺して話し出す。
「斉藤さんの希望を叶えます! 鈴ちゃんには秘密にしてください! 鈴ちゃんには何が何でも秘密にしてください!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんへの告白。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に動揺して話し出す。
「斉藤さんは鈴ちゃんを好きなのですか?! 私は斉藤さんと鈴ちゃんの仲を応援しなければならないのですか?!」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「意味も無く話した内容だ。総司は俺の希望を叶えると話した。文句は受け付けない。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を唖然とした表情で見た。
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。
「美味しい酒。美味しい肴。俺を楽しませる。以上が、俺の希望だ。」
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一に考えながら話し出す。
「はい。」
斉藤一は露天の温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は露天の温泉に浸かり、斉藤一を考えながら見た。
暫く後の事。
ここは、夜の国。
温泉地。
山に覆われている。
山の木々は僅かに紅色の葉に染まっている。
川が絶え間なく流れている。
川の流れる音が絶え間なく聞こえる。
宿。
山の木々が僅かに紅色の葉に染まる様子が見える。
川が見える。
川の流れる音が絶え間なく聞こえる。
一室。
心地好い空気に包まれている。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
少女は微笑んで居る。
沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「斉藤さん。酒と肴を用意しなくて良いのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司と共に温泉に浸かりたい。酒を飲むと温泉に浸かる時間が遅くなる。酒を飲むのは後になる。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司さん。斉藤さん。楽しんで温泉に浸かったのですね。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女に苦笑して頷いた。
少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司が俺と温泉に浸かった時に、俺は総司に歌の説明をした。総司は物凄い勘違いをした。楽しかった。」
沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。
「斉藤さん!」
少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。床の間に尾花を差した花瓶が飾ってある。温泉に浸かる時間に心地好い風を感じた。秋を感じるな。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃん! 美味しい菓子を用意したんだ! 一緒に食べよう!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんがお酒を飲む時に、総司さんと私が飲食をしていないと寂しいと思います。斉藤さんがお酒を飲む時に、お菓子を食べたいです。」
沖田総司は少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「さすが。鈴ちゃん。鈴ちゃんの意見に賛成するよ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司も少女を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
「高円の 尾花吹き越す 秋風に 紐解き開けな 直ならずとも」
尾花。
秋の風。
温泉に浸かる心地好さ。
沖田総司、斉藤一、少女は、温泉を楽しみながら、秋の風を楽しみながら、尾花を楽しみながら、夜の国の秋を感じている。
夜の国の秋の時間は、ゆっくりと穏やかに過ぎていく。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第二十巻 四二九五番」
「高円の 尾花吹き越す 秋風に 紐解き開けな 直ならずとも」
ひらがなの読み方は「たかまとの おばなふきこす あきかぜに ひもときあけな ただならずとも」
作者は「大伴池主(おおとものいけぬし)」
歌の意味は「高円(たかまと)の尾花をなびかせて拭く秋風に、衣の紐を解いてくつろぎましょう。特に何をする、というわけではないですけど・・・」となるそうです。
原文は「多可麻刀能 乎婆奈布伎故酒 秋風尓 比毛等伎安氣奈 多太奈良受等母」
天平勝宝五年八月十二日(753年9月13日)に官人たちがお酒を持ち寄って高円山(たかまとやま)[奈良市の山]に登りました。
そこに参加していた大伴池主(おおとものいけぬし)が詠んだ歌です。
「紐解く」のは、どうも男女間の契りをイメージするようです。
ただし、この歌では、“男同士でどうするってことじゃなくて、ただ、くつろぎましょう”、ってことを「直ならずとも」と詠んでいるようです。
「尾花」は、イネ科の多年草です。
「薄(すすき)」の名前でも知られています。
「芒(すすき)」とも書きます。
薄の別名で「茅(かや)」や「萱(かや)」が紹介される事があります。
現在では、イネ科の薄、イネ科の「茅(ちがや)」、カヤツリグサ科の「菅(すげ)」の総称としても使用する事が多いそうです。
薄の花は、花びらがないのが特徴です。
現在の暦で、9月~10月頃に花が咲きます。
秋の七草の一つです。
楽しんで頂けると嬉しいです。
←前
目次
次→
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |