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~ 雪月花 新撰組異聞 編 ~


~ 小春の頃 蜜柑の日和 時じくに ~


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]




「橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し」

「万葉集 第十八巻 四一一二番」より

作者:大伴家持(おおとものやかもち)




今は冬。



ここは、京の町。



小春の日和が続いている。



今は夜。



月の輝きと星の輝きが見える。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「綺麗な夜空ですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日も過ごしやすい日でしたね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんも今夜の夜空を見て綺麗に思いますよね。鈴ちゃんも今日も過ごしやすい日だと思いますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんは、可愛くて、優しくて、賢くて、素直、です。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私の発言に本当に同意していますか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。何故、同意の発言が無いのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺も総司と同じ意見だから、言葉で重ねて表現せずに、頷いて表現した。」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。私に同意した内容を具体的に話してください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今夜は綺麗な夜空。今日も過ごしやすい日。美鈴さんは、可愛い、優しい、賢い、素直。」

沖田総司は斉藤一に確認する様子で話し出す。

「斉藤さん。私の前で鈴ちゃんを褒めるだけでなく、鈴ちゃんの前でも褒めてください。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。本当に同意していますか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、頻繁に話の辻褄が合わなくなるが、今夜は特に話の辻褄が合わない。月の輝きに酔ったのか?」

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。話を逸らさないでください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんに、可愛い、優しい、賢い、素直、と話す。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんに確認します。鈴ちゃんに忘れずに伝えてくださいね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は考えながら、斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。理由が分からないのですが、斉藤さんが鈴ちゃんに、可愛くて、優しくて、賢くて、素直、と話す様子を想像したら、不安になりました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。物凄く面白い。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は寝る準備をする。総司も寝る準備をしろ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「分かりました。斉藤さん。お休みなさい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



沖田総司は寝る準備を不思議な様子で始めた。



数日後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司の数日前の言動だ。月が綺麗。過ごしやすい日が続く。美鈴さんが、可愛い、優しい、賢い、素直。総司は以上の内容を話した。俺は以上の内容に頷いて同意した。総司は俺が頷くだけでは納得しなかった。俺は総司に以上の内容を話した。総司が俺に、美鈴さんに、可愛くて、優しくて、賢くて、素直、と話せと迫った。俺は了承の返事をした。総司は美鈴さんに俺が話したか確認する。総司に返事を頼む。」

少女は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「斉藤さん。無理をしないでください。総司さんには斉藤さんが話したと答えます。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司に嘘を付きたくないだろ。美鈴さんも困る状況になりたくないだろ。」

少女は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「分かりました。お願いします。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんは、可愛い、優しい、賢い、素直。」

少女は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「ありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を恥ずかしく見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。話しがある。」

少女は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



沖田総司は本堂に元気良く入ってきた。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「欲しい。」

少女は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一と少女を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんに経緯も含めて伝えた。」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。欲しい物があるのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“み”から始まる。仮名で三文字。漢字で二文字。」

沖田総司は斉藤一を動揺して見た。

少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。斉藤さんに了承の返事をしたの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を動揺して見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんからお歌を頂きました。」

沖田総司は少女を動揺して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し”。歌の意味は“橘は、花も実も見るのですが、いつもいつも見ていたいものですよ。”となる。」

沖田総司は斉藤一と少女を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は斉藤一と少女に悲しく話し出す。

「酷い!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。



沖田総司は本堂から悲しい様子で出て行った。



少女は斉藤一を心配な様子で見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。総司を連れてくる。少しの間だけ、一人で待っていてくれ。」

少女は斉藤一に心配な様子で話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。



斉藤一は本堂から普通に出て行った。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



一室。



沖田総司は悲しく居る。



斉藤一は部屋の中に普通に入った。



沖田総司は斉藤一を不機嫌に見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんが心配している。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「私には関係ありません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。“み”から始まる。仮名で三文字。漢字で二文字。何を想像したんだ?」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さんには関係ありません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんも、“み”から始まり、仮名で三文字、漢字で二文字、だな。」

沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんを想像した場合、俺は美鈴さんに美鈴さんが欲しいと話した状況になる。」

沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「成る程。」

沖田総司は斉藤一の腕を掴むと、斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は美鈴さんに総司が想像した内容を話す。」

沖田総司は斉藤一の腕を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! お願いです! 止めてください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は、総司に疑われ、総司の酷い内容の言葉を聞き、総司に酷い仕打ちを受けた。俺は冷静に対処した。俺は総司を冷静にした。総司は俺に“お願い”の一言で済ますのか?」

沖田総司は斉藤一の腕を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! 私は斉藤さんのために何をすれば良いのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「物凄く美味しい酒と物凄く美味しい肴を、ゆっくりと味わいたい。」

沖田総司は斉藤一の腕を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「分かりました!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。友達は、良いな。」

沖田総司は斉藤一の腕を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんが待っている。」

沖田総司は斉藤一の腕を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一の腕をゆっくりと放した。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。

沖田総司は部屋を慌てて出て行った。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



少女は心配な様子で居る。



沖田総司は本堂に恥ずかしく入ってきた。

斉藤一は本堂に普通に入ってきた。



少女は沖田総司と斉藤一を心配な様子で見た。

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「私が慌てたために、鈴ちゃんに心配を掛けてしまった。ご免ね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「“み”から始まる。仮名で三文字。漢字で二文字。斉藤さんが鈴ちゃんに話した欲しい物は何ですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「蜜柑。」

沖田総司は斉藤一を唖然として見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「蜜柑は、“み”から始まり、仮名で三文字、漢字で二文字。美鈴さんと蜜柑に関する話題を話した。蜜柑に関する話題として、橘が登場する歌も話した。美鈴さんに“橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し”を渡した。美鈴さんは、次に逢う時か、次の次に逢う時に、蜜柑を用意してくれるそうだ。」

沖田総司は斉藤一を怪訝な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。私を誤解させるために、分かり難い説明をしましたね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は間違った説明はしていない。総司が間違った解釈をした。総司は俺に責任があると思うのか。」

沖田総司は斉藤一に動揺して話し出す。

「私の言い方が悪くてすいません! 斉藤さんは悪くありません!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を安心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



数日後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。

少女の傍には、蜜柑が入った包みが置いてある。



辺りを蜜柑の香が包んでいる。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。幾度も美味しい食べ物を用意するのは大変だろ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が俺への日頃の感謝を込めて、物凄く美味しい酒と物凄く美味しい肴を奢ってくれる。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「良かったですね。総司さんと一緒に楽しんで過ごしてください。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんは幾度も美味しい食べ物を用意してくれる。今回も蜜柑を用意してくれた。総司と美鈴さんが、美味しい物を食べられるように設定する。予定を組むから、気長に返事を待ってくれ。」

少女は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さんの名前が入っていません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺を気にせずに、総司と美鈴さんの二人で楽しめ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんは斉藤さんを信頼しています。総司さんは斉藤さんの話題を笑顔で話します。私は総司さんの笑顔を見ると、私も笑顔になります。総司さんは斉藤さんが参加しないと寂しく感じます。斉藤さんも一緒に楽しめないのですか?」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「分かった。俺も都合を付ける。更に気長に待つ可能性がある。良いのか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。



沖田総司が本堂に元気良く入ってきた。



少女は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! こんにちは! 斉藤さん! 鈴ちゃんを守ってくれてありがとうございます!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。蜜柑を用意しました。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! いつもありがとう!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



「橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し」

小春の頃に蜜柑が関係する不思議な出来事が起きた。

次は何が起きるのか。

詳細を知るのは、斉藤一のみかも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十八巻 四一一二番」です。

「橘は 花にも実にも 見つれども いや時じくに なほし見が欲し」

ひらがなの読み方は「たちばなは はなにもみにも みつれども いやときじくに なほしみがほし」

作者は「大伴家持(おおとものやかもち)」

歌の意味は「橘は、花も実も見るのですが、いつもいつも見ていたいものですよ。」となるそうです。

原文は「橘波 花尓毛實尓母 美都礼騰母 移夜時自久尓 奈保之見我保之」

「時じくに」は「絶え間なく」という意味だそうです。

「橘」についてです。

ミカン科常緑小高木です。

「日本たちばな、または、ミカン科の総称」と考えられています。

「日本たちばな」は、日本産です。

現在の暦の6月頃に小さい白い花が咲き、秋から冬頃に小さい実が成るそうです。

実は熟しても酸味や苦味が強いために食用にはしていないそうです。

古事記では「橘」は「非時香果(ときじくのみ)」とされているそうです。

「非時香果」とは、いつまでも香り高い果実という意味だそうです。

「橘」の実には、尊い生命力が宿ると信じられていたようです。

「蜜柑(みかん)」についてです。

一つ目は、ミカン科ミカン属の常緑小高木、ミカン科ミカン属の常緑小高木に生る実、です。

初夏に白色の小さな花が咲き、秋から冬に掛けて黄橙色の実が生ります。

冬の季語ですが、花は、夏の季語です。

二つ目は、ミカン科の双子葉植物の総称、です。

ミカン亜科(蜜柑、金柑[きんかん]、枳殻[からたち]、などの属を含む)とサンショウ亜科に分かれるそうです。

江戸時代の末期には、既に「蜜柑」を食べていました。

最初は「蜜柑」といえば「紀州みかん」でした。

「温州みかん」は後から出来た「蜜柑」です。

当初、「温州みかん」は余り広まらなかったようです。

現在は「蜜柑」と言うと「温州みかん(うんしゅうみかん)」を想像する方が多いと思いますが、当時は「紀州みかん(きしゅうみかん)」の方が良く食べられていたようです。

「小春(こはる)」についてです。

「初冬に穏やかで暖かい春のような日和が続く事を表す言葉。陰暦十月の異称。」です。

「日和(ひより)」についてです。

「空模様。晴れた良い天気。晴天。何かをするのに、ちょうど良い天気。物事の成り行き。形勢。」などの意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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