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~ 雪月花 新撰組異聞 編 ~
~ 時雨月の頃の物語 ひとりし寝れば ~
登場人物
沖田総司、斉藤一、美鈴[美鈴・鈴]
「黄葉を 散らすしぐれの 降るなへに 夜さへぞ寒き ひとりし寝れば」
「万葉集 第十巻 二二三七番」より
作者:詠み人知らず
ここは、京の町。
寒い日が始まっている。
地面を紅葉や黄葉が彩っている。
ここは、屯所。
一人の隊士が昨夜の外出中に斬られて亡くなったため、雰囲気は僅かに落ち着かない。
数人の隊士達が囁き合う声が聞こえる。
「昨日の夜は、斉藤さんも外出したらしいぞ。」
「本当か?」
「屯所を出て行く斉藤さんの姿を見た隊士がいるそうだ。」
「斉藤さんに外出する場所を尋ねなかったのか?」
「任務以外の斉藤さんに話し掛けて万が一の出来事が起きたら困るから、話し掛けられない。」
「確かに、任務中なら斉藤さんに何とか話し掛けられる。」
「任務以外の斉藤さんに話し掛けられる隊士は、数える程しかいないだろ。」
「斉藤さんを確証も無く疑うと、俺達も朝日を見られないかも知れない。」
「早く話を止めよう。」
数人の隊士達は、何事もなかったように、別々の場所へと分かれた。
同じ頃。
ここは、屯所。
縁。
斉藤一は普通に歩いている。
斉藤一の視線の先に、沖田総司が微笑んで歩く姿が見えた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
斉藤一は普通に止まった。
沖田総司は斉藤一の傍に微笑んで来た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。私に用事がありますか?」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの部屋で話しましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司は部屋の中に微笑んで入った。
斉藤一は部屋の中に普通に入った。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「昨夜は寝る時間がほとんど無かった。今夜も遅くなるかも知れない。今の内に少し寝たい。」
沖田総司は斉藤一を心配して見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「一人で寝る最中に、隊士達が部屋を訪ねて来るかも知れない。一人で外出して寝る間は、周囲が気になる。共に落ち着いて寝られない。総司が傍に居れば、隊士達は緊急時しか訪ねて来ない、外出中も、落ち着いて寝られる。声を掛ける相手に相応しい。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「分かりました。私が傍に居ます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「敷布団を用意は、見られた時に目立ちます。寒さで風邪をひくと困ります。掛け布団は用意しましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を見ながら、沖田総司の腕を普通の表情で掴んだ。
沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司。確かに今日は少し寒い。一人だと寒さが増すな。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「私が傍に居ます。安心してください。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で抱き寄せた。
沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司に普通の表情で囁いた。
「総司。俺は、何時も一人で寒くて寂しい。」
沖田総司は斉藤一を心配して見た。
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司に普通の表情で囁いた。
「総司は俺の傍に居て温めてくれる。嬉しい。」
沖田総司は斉藤一に僅かに動揺して話し出す。
「傍に居ると話しましたが、温めるとは話していません。」
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司に普通の表情で囁いた。
「総司は俺を友達と話す。総司は俺の傍に居ると話した。先程の言葉は嘘だったのか。俺は何時も一人だな。」
沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。
「私と斉藤さんは友達です。元気を出してください。」
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司に普通の表情で囁いた。
「総司。ありがとう。」
沖田総司は斉藤一を安心して見た。
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司に普通の表情で囁いた。
「“黄葉を 散らすしぐれの 降るなへに 夜さへぞ寒き ひとりし寝れば”。総司。俺は今の歌のような思いをしたくない。俺を温めてくれ。」
沖田総司は斉藤一を赤面して動揺して見た。
斉藤一は沖田総司を抱いて、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を赤面して緊張して見ている。
斉藤一は沖田総司を放すと、沖田総司の手を普通の表情で握った。
沖田総司は斉藤一を赤面して緊張して見ている。
斉藤一は沖田総司の手を握り、沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司。最初の頃より温かくなった。」
沖田総司は斉藤一を赤面して不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司の手を放すと、沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「今は寒い。総司が温かくなれば気持ち良く寝られると思った。総司は想像より早く温かくなった。総司。寝ている間は離れずに傍に居ろ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して怪訝な様子で話し出す。
「斉藤さん。私を温かい道具の代わりに考えたのですか?」
斉藤一は沖田総司の手を握ると、沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司お兄ちゃんと俺は、友達ですよね。総司お兄ちゃんは、優しくて温かいです。総司お兄ちゃんは、細かい出来事は気にしませんよね。」
沖田総司は斉藤一に赤面して困惑して頷いた。
斉藤一は沖田総司の手を放すと、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。本当に分かりやすい。」
沖田総司は斉藤一を赤面して僅かに困惑して見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「温かくなったのに、元に戻ったら意味がない。早く寝る準備をしよう。」
沖田総司は斉藤一を赤面して僅かに困惑した表情で見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司。体を更に温かくするために、掛布団を用意しろ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して小さく頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の前に赤面して掛け布団を静かに置いた。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司。寝た後に逃げるな。他言するな。」
沖田総司は斉藤一に赤面して小さい声で話し出す。
「斉藤さんが寝た後も、逃げません。他言しません。安心してください。」
斉藤一は、横になり、掛け布団を掛けると、沖田総司に普通に話し出す。
「後を頼む。」
沖田総司は斉藤一に赤面して小さい声で話し出す。
「はい。」
斉藤一は横になり、掛け布団を掛けて、直ぐに目を閉じた。
沖田総司は斉藤一の傍に赤面して静かに近付いた。
暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
隊士達が部屋を訪ねて来ないので、静かな雰囲気に包まれている。
斉藤一は横になり、掛け布団を掛けて、静かに寝ている。
沖田総司は斉藤一に近付いて微笑んで居る。
斉藤一は横になり、掛け布団を掛けて、ゆっくりと目を開けた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は掛け布団を掛けて、普通の表情でゆっくりと体を起こした。
沖田総司は斉藤一に微笑んで小さい声で話し出す。
「斉藤さん。ゆっくりと休んでください。」
斉藤一は掛け布団を退けると、沖田総司に普通に話し出す。
「大丈夫だ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。せっかくなので、お礼を頂いても良いですか?」
斉藤一は沖田総司の手を握ると、沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「今まで総司お兄ちゃんをたくさん助けてきました。更にお礼が必要なのですか?」
沖田総司は斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。
「斉藤さん。時折ですが変わる口調を聞くと嫌だと話しません。出来たら止めてください。」
斉藤一は沖田総司の手を放すと、沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司が必ず了承するように口調を変えているだけだ。不満が有るなら止める。」
沖田総司は斉藤一を困惑して見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で小さい声で話し出す。
「総司は分かりやすくて剣の腕も立つ。総司と共に居ると楽で便利だ。」
沖田総司は斉藤一に苦笑して小さい声で話し出す。
「褒め言葉として受け取っておきます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「勿論、褒め言葉だ。」
沖田総司は斉藤一に苦笑して小さい声で話し出す。
「ありがとうございます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。
数日後の事。
ここは、沖田総司、斉藤一、少女が良く訪れる寺。
本堂。
斉藤一は普通に居る。
少女は心配な様子で居る。
少女の脇には、包みが置いてある。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は少し遅れて来るだけだ。心配するな。」
少女は斉藤一に心配して話し出す。
「すいません。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは俺に迷惑を掛けていない。謝る必要はない。」
少女は斉藤一に心配して話し出す。
「斉藤さんが私のためにお休み出来ないと困ります。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんと共に居ても、休む時間は減らない。安心しろ。」
少女は斉藤一を安心して見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「おいなりさんを作りました。甘さを少し抑えて味付けしました。普段より少し多めに作りました。斉藤さんもたくさん食べてください。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一を微笑んで見ている。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。無理をして笑顔を作っている様子に見える。悩みがあるのか?」
少女は斉藤一に困惑して話し出す。
「斉藤さん。忙しくて休む時間が少ないですか? 疲れていませんか? 私は境内で待ちます。総司さんが来た後に休んでください。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんに何か話したのか?」
少女は斉藤一を僅かに困惑して見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんに何を話したのか大体の想像は付くが、念のために、美鈴さんに話す。俺がいろいろとあって寝る時間の少ない日が続いた。昼間に俺の部屋だとしても、一人で寝るのは落ち着かない。総司は強いから傍に居てもらった。」
少女は斉藤一を安心して見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
沖田総司が本堂の中に笑顔で入ってきた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「おいなりさんをたくさん作りました。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃん! ありがとう!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを笑顔で広げた。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は包みから稲荷寿司を取ると、少女に笑顔で話し出す。
「いただきます!」
斉藤一は包から稲荷寿司を取ると、少女に普通の表情で話し出す。
「いただきます。」
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は稲荷寿司を嬉しく美味しく食べ始めた。
斉藤一は稲荷寿司を普通の表情で食べ始めた。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見ている。
斉藤一は稲荷寿司を食べ終わると、少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は稲荷寿司を食べ終わると、不思議な表情になった。
少女は沖田総司に心配して話し出す。
「おいなりさん。美味しくないですか?」
沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。
「鈴ちゃん。今回は味付けが違うね。」
少女は沖田総司に心配して話し出す。
「甘さを少し抑えて作りました。甘さを抑えすぎたのかも知れません。」
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「味付けは何時もと違うけれど、鈴ちゃんの作ったいなり寿司は美味しいよ!」
少女は沖田総司に心配して話し出す。
「すいません。」
沖田総司は斉藤一を慌てて見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。美味しい。安心しろ。」
少女は斉藤一を安心して見た。
沖田総司は少女を安心して見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。疲れていたら、横になって休んでください。私が住職さんに部屋の用意を頼みます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今は疲れていない。総司と美鈴さんと共に居るから、休憩はとれている。」
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「三人でいなり寿司を食べながら楽しく過ごそうね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は包みから稲荷寿司を取ると、少女に笑顔で話し出す。
「いただきます!」
斉藤一は包みから稲荷寿司を取ると、少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は稲荷寿司を嬉しく美味しく食べ始めた。
斉藤一は稲荷寿司を普通の表情で食べ始めた。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司が包みを持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の前に包みを置くと、斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんを家に送りました。鈴ちゃんの家族から時雨煮を頂きました。一緒に食べましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんに先日の出来事を他言したのか。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは、私や斉藤さんを気遣ってくれます。鈴ちゃんは、私や斉藤さんにとても良くしてくれます。鈴ちゃんは、私と斉藤さんにとって、物凄く大切な友達です。鈴ちゃんに話しても、他言には該当しません。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司にとって、美鈴さんは物凄く大切な友達だったな。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「勿論、斉藤さんも物凄く大切な友達です!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司の額を普通の表情で思い切り指で弾いた。
沖田総司は痛い表情で額を押さえると、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。
「斉藤さん! 痛いです! 何をするのですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の気配り。感謝する。礼として、更に大切な物が出したいと思った。物凄く頑丈で出てこなかった。」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。
「斉藤さん。私に今回の酒代を負担して欲しいのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は酒代の負担について話していない。話の意味が分からないのか。総司の額を再び指で弾く。」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に慌てて話し出す。
「止めてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「時雨煮を肴に酒を飲みたいが、少し時間が早いな。」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。
「はい。」
斉藤一は包みを持つと、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。時雨煮は俺が預かる。良いか?」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。
「はい。」
斉藤一は包みを机に上に普通に置いた。
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一を怪訝な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。良い機会だ。一眠りされてくれ。」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に怪訝な様子で話し出す。
「はい。」
斉藤一は掛け布団を普通の表情で用意した。
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一を怪訝な様子で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。寝るな。逃げるな。他言するな。」
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一に苦笑して話し出す。
「はい。」
斉藤一は横になり、掛け布団を掛けると、直ぐに目を閉じた。
沖田総司は痛い表情で額を押さえて、斉藤一を苦笑して見た。
部屋の外から時雨の降る音が聞こえてきた。
斉藤一は横になり、掛け布団を掛けて、静かに寝ている。
沖田総司は額から手を離すと、斉藤一を微笑んで見た。
「黄葉を 散らすしぐれの 降るなへに 夜さへぞ寒き ひとりし寝れば」
時雨が降り、地面を紅葉や銀杏が彩る頃は、一日を通して寒い時間が増えてくる。
斉藤一は、沖田総司の優しさと温かさ、少女の優しさと温かさに、触れて過ごしている。
斉藤一は、寒さを感じる時間は少ない。
斉藤一にとって、様々な彩と共に、穏やかな時間が過ぎていく。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 二二三七番」
「黄葉を 散らすしぐれの 降るなへに 夜さへぞ寒き ひとりし寝れば」
ひらがなの読み方は「もみじばを ちらすしぐれの ふるなへに よさへぞさむき ひとりしねれば」
作者は「詠み人知らず」
歌の意味は「黄葉(もみじ)を散らすしぐれが降り続いて、(ふとんに入っている)夜も寒いです。一人で寝ると。」となるそうです。
原文は「黄葉乎 令落四具礼能 零苗尓 夜副衣寒 一之宿者」
「降るなへに」の「なへに」は、「~するにつれて」という意味だそうです。
「時雨(しぐれ)」は、秋の終わりから冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨。」と「時雨煮」と「涙を落として泣く事、または、その涙そのもの。」という意味があります。
冬の季語です。
「時雨(じう)」と読むと、「ちょうどよい時に降る雨。しぐれ。」という意味になります。
「時雨」を「しぐれ」・「じう」どちらで読んでも「しぐれ」の意味に繋がりますが、「しぐれ」から「じう」には繋がり難い意味となっているようです。
この物語では「時雨(しぐれ)」と読んでいます。
「時雨月(しぐれづき)」についてです。
「陰暦十月の異称」です。
「時雨煮(しぐれに)」についてです。
「蛤(はまぐり)などのむき身に、生姜を加えて佃煮風に煮上げた料理」を言います。
元々は桑名の名産として有名になった「時雨蛤(しぐれはまぐり)」を「時雨煮」と呼んでいたそうですが、現在では蛤以外の貝類や牛肉などに生姜を入れて佃煮風に調理した物も「時雨煮」と呼ぶようになっています。
「時雨蛤」の名前を付けたのは、「各務支考(かがみしこう)」と言われています。
江戸時代の調理書に「時雨煮」の作り方が掲載されているそうです。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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