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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 花惜月 八重桜けふ九重ににほひぬるかな 〜


〜 改訂版 〜


初めに。

この物語は「沖田惣次郎と姉のみつ」と「山口一、そして、姉の勝と兄の廣明」の二部構成です。



登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田惣次郎、沖田みつ、

山口一、山口勝、山口廣明



「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」

「百人一首 六一番」、及び、「詩花集」より

作者:伊勢大輔(いせのたいふ)



〜 沖田惣次郎と姉のみつ 〜


今は春。



ここは、多摩。



一重の桜の花びらの舞う姿が見られる頃。



ここは、試衛館。



庭に桜の木が植わっている。



桜の花びらが青空に向かって舞っている。



土方歳三と沖田惣次郎は、桜の花びらの舞う様子を見た。

沖田惣次郎は桜の花びらを舞い散らす桜の木を見た。

桜の木の下に、一人の少年が立っている。

少年は沖田惣次郎を普通の表情で見ている。

沖田惣次郎の記憶の中では初めて見る少年。

沖田惣次郎は少年を不思議な気持ちで見た。

少年は沖田惣次郎と土方歳三に軽く会釈をすると、普通に居なくなった。

沖田惣次郎は近藤勇に少年の名前を尋ねた。

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで名前を教えた。

少年の名前は、“山口一”。

沖田惣次郎が近藤勇に山口一について尋ねると、桜の花びらが舞い始める。



沖田惣次郎が試衛館で一瞬だけ見た、山口一。

庭の桜の木から花びらが舞い落ちると、山口一が居ないか辺りを見てしまう。

理由は分からないが、近藤勇に山口一の訪れる日などを含めて詳しく尋ねられない。

近藤勇に詳しく尋ねなくても、必ず再び逢える予感がする。

予感より、確信が近い。

不思議な気持ちを抱きながら、桜の花びらの舞う中で見た山口一が気になる日々を過ごしている。



幾日もの日々が過ぎた。



ここは、多摩。



桜の季節が一重の桜から八重の桜へと移っている。



道。



辺りには八重桜が綺麗に咲いている。



沖田惣次郎は元気良く歩いている。



沖田惣次郎は立ち止まると、八重桜を笑顔で見た。



八重桜は陽の光を受けて輝いて咲いている。



沖田総司は視線を戻すと、元気良く歩き出した。



少し後の事。



ここは、沖田惣次郎の姉の沖田みつの住む家。



玄関。



沖田惣次郎は元気良く来た。



沖田惣次郎は家の中に元気良く声を掛ける。

「姉さん! こんにちは!」



沖田みつは微笑んで来た。



沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。こんにちは。」

沖田惣次郎は沖田みつを笑顔で見た。



沖田惣次郎は家の中に笑顔で入って行った。

沖田みつは家の中に微笑んで入って行った。



少し後の事。



ここは、沖田みつの住む家。



食卓の有る部屋。



沖田みつは微笑んで居る。

沖田惣次郎は笑顔で居る。



沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「姉さんの家に来る途中で、八重桜を見ました! 綺麗でした!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎も桜を見て綺麗と感じるようになったのね。成長したのね。嬉しいわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「桜を見ると、山口一という男の子を思い出します! だから、桜が綺麗に感じます!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「先日も、山口君について話していたわね。山口君が気になるの?」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「山口君は剣術関連がとても強いそうです! 早く手合わせしたいです! 早く話したいです! 早く逢いたくて、桜を幾度も見てしまいます!」

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「姉さん! 山口君に再び逢った時は、山口君と普通に呼ぶ、一君と親しみを込めて呼ぶ、が考えられます! 姉さんが良いと思う呼び方を教えてください!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今の質問には以前に答えているわ。忘れたの?」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「覚えていません! 再び教えてください!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君に関する詳しい状況が分からないから、山口君と呼ぶ方が良いと思うの。山口君の年齢と性格と立場を含めて確認して後に、山口君の呼び方を変える方が良いと思うの。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「はい! 分かりました!」

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「姉さん! 八重桜は豪華ですが、八重桜は重く感じます! 山口一君と逢う時は普通の桜の見頃が良いです!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。普通の桜の表現ではなくて、一重の桜、桜の名前、などの内容で話しなさい。」

沖田惣次郎は沖田みつを不思議な様子で見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「八重桜を詠んだ歌があるの。教えてあげる。」

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「姉さん。歌は後で教えてください。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君と逢った時のために、歌を覚えましょう。」

沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。

「山口一君と逢う時には、歌を知らなくても大丈夫だと思います。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君の趣味が歌を詠む場合は、歌に関する話が出来ると喜ぶわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「姉さん。剣術関連に強い人物は、歌を多く覚えるより、剣術関連の技を多く覚える方が楽しいです。山口君と話す内容は、歌より剣術が相応しいです。山口君と剣術についてたくさん話したいです。歌は後で教えてください。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「歌も剣術も、一度に全て覚えられないわ。歌の剣術も、少しずつ覚えていくわ。歌を覚える行為も剣術を覚える行為も同じよ。」

沖田惣次郎は沖田みつを不思議な様子で見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎に想う女性が現れて、歌を贈りたいと思った時に、歌を慌てて覚えるのも大変よ。」沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。

「姉さんの話を聞くと、私に想う女性が直ぐに現れるから、歌を覚えるように話しているように感じます。私が想う女性が近い内に現れるのですか?」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎と逢う人達は、惣次郎と縁があって逢っているわ。惣次郎と山口君の逢う日が分からなかったように、惣次郎と想う女性が逢う日も分からないわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「姉さんは私に以前から歌を少しずつ教えてくれます。大丈夫です。」

沖田みつは沖田惣次郎を苦笑して見た。

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「姉さんの話を聞く間に、山口君が歌に詳しい人だと困ると思い始めました。姉さん。八重桜を詠んだ歌を教えてください。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「“いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな”」

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「以前に聞いた歌に感じます。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「小倉百人一首に撰ばれた歌よ。出典基は、詩花集。“伊勢大輔”という女性が詠んだ歌だけど、八重桜を素敵に詠んだ歌だと思って教えたの。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「私が今の歌を聞いた記憶があるのは正しかったのですね!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今の歌を次に来る時までにしっかりと覚えてね。次に来た時に、歌を覚えていなかった時は、特訓するわよ。」

沖田惣次郎は沖田みつを苦笑して見た。

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「姉さん。山口一君に逢った時のために、今の歌を覚えたいです。今の歌を紙に書いてください。今の歌を次に来る時までに覚えてきます。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで頷いた。

沖田惣次郎は沖田みつを微笑んで見た。

沖田みつは紙に歌を微笑んで書いた。

沖田惣次郎は沖田みつと紙を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、沖田みつの住む家。



玄関。



沖田みつは微笑んで居る。

沖田惣次郎は笑顔で居る。



沖田惣次郎は玄関を笑顔で出て行った。



沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。



沖田惣次郎は元気良く歩いている。



辺りには八重桜が綺麗に咲いている。



沖田みつは沖田惣次郎を見ながら、微笑んで呟いた。

「惣次郎には幸せになって欲しいわ。惣次郎が想う女性に早く逢って欲しいけれど、惣次郎の様子では、当分の間は逢えないわね。残念な状況だけど、惣次郎に歌を教える時間はたくさんある状況になるわね。惣次郎が想う女性の趣味が歌を詠む場合は、惣次郎が慌てる状況になるわね。惣次郎に想う女性が現れた時に、惣次郎の近くに歌を教えられる人物が居ない可能性があるわね。今の内に、惣次郎に一通りの歌を教える必要があるわね。」



沖田惣次郎の姿は見えなくなった。



沖田みつは家の中に微笑んで入って行った。



「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」

八重桜は沖田惣次郎の気持ちと沖田みつの気持ちに気付いたらしく、例年より長く咲いている。




*      *      *      *      *      *




〜 山口一、そして、姉の勝と兄の廣明 〜


今は春。



ここは、多摩。



一重の桜の花びらの舞う様子が見られる頃。



ここは、試衛館。



山口一は近藤勇から頼まれた物を受け取るために試衛館を訪れた。

山口一に剣術関連の才能が有るため、練習に参加しなくても、良い刺激になると考えて、試衛館に使いとして訪れている。

近藤勇は山口一を気に掛けている様子に感じる。

山口一は今日も試衛館を訪れている。



近藤勇は山口一に預ける物の準備を始めた。

山口一は近藤勇を普通の表情で見た。

近藤勇は、山口一に庭に咲く桜が綺麗なので見て欲しいと話した。

山口一は、近藤勇が準備をする間、庭に咲く桜を見る状況になった。

山口一は庭に普通に出た。

山口一は辺りを普通の表情で見た。

桜の木が青空の下で綺麗な花を咲かせていた。

山口一は桜の下に来ると、桜を普通の表情で見た。



少し遠くから、明るい少年の声が聞こえてきた。



山口一は明るい少年の声が聞える方向を一瞥だけして、桜を普通の表情で見た。



少年の明るい話し声は続いている。

桜を静かに見る状況ではなくなったが、少年の明るい声が騒がしく感じない。

山口一は桜を普通の表情で見ている。



明るい少年の話し声が僅かずつだが、はっきりと聞こえるようになっている。



山口一は明るい少年の話し声が聞える方向を普通の表情で見た。



強い風が桜の木の周りを吹きぬけた。



桜の花びらが風に乗って青空へと舞い上がった。



明るい少年の話し声が止まった。



桜の花びらは静かな時間の中でゆっくりと舞い落ちてくる。



山口一は、桜の花びらの舞う姿と少年の明るい話し声が聞こえる方向を普通の表情で見た。



山口一の年齢に近い元服前の少年が居る。

山口一の年齢に近い少年は、以前に僅かな時間だが逢った時がある。

山口一の年齢より年上の青年も居る。



山口一は青年と少年を普通の表情で見た。



少年は山口一を不思議な様子で見た。

少年は山口一と逢った事実を覚えていない様子に見える。



近藤勇は包みを持ち、山口一の元に微笑んで来た。

山口一は近藤勇から包みを普通に受け取った。

山口一は包みを持ち、近藤勇、青年、少年に、普通の表情で軽く礼をした。

山口一は包みを持ち、普通に居なくなった。



試衛館で逢った少年。

近藤勇に少年の今の名前を確認しなかったが、元服前なので、沖田惣次郎と名乗る可能性が高い。

少年は、山口一の顔を忘れているだけで以前に試衛館で逢った出来事は覚えているのか、山口一と逢った出来事を忘れているのか、確認していないので分からない。

山口一は少年の記憶の中から忘れられている可能性があるのに気にならない。

少年が山口一と話す時に、少年の話す内容は気になる。

山口一は沖田惣次郎に必ず逢えると思っている。

予感ではなく、確信になる。

山口一は生まれながらに勘の良い人物。

山口一の勘は当たっているはず。



幾日もの日々が過ぎた。



ここは、江戸の町。



桜の季節が一重の桜から八重の桜へと移っている。



ここは、山口一の姉の山口勝、山口勝の弟で山口一の兄の山口廣明、山口一の住む家。



縁。



山口勝は微笑んで居る。

山口廣明は普通に居る。

山口一も普通に居る。



山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明。一。八重桜が綺麗に咲いているから、見に行きたいの。付き合ってくれる?」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に困惑して話し出す。

「少し経ったら出掛けたい所があるんだ。」

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「桜を詠んだ歌について説明したいと思っているの。出掛ける時間を遅く出来る?」

山口廣明は山口勝に考え込んで頷いた。

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「廣明も一緒に出掛けてくれるのね。嬉しいな。」

山口廣明は山口勝を微笑んで見た。

山口一は山口勝と山口廣明を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、八重桜が綺麗に咲く場所。



山口勝は微笑んで来た。

山口廣明は普通に来た。

山口一も普通に来た。



山口廣明が山口一に微笑んで話し出す。

「一は試衛館に出掛けたんだって?」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一に考え込んで話し出す。

「試衛館に、一に近い年齢の強い少年が居る話を聞いた時がある。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「一に近い年齢で強い話が伝わるのだから、とても強い少年になるわね。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は廣明の話す少年に逢ったの?」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「話したの? 名前を尋ねたの?」

山口一は山口勝に普通の表情で首を横に振った。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は少年を一目だけ見て、強い人物だと分かったのね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「惣次郎君と強い話の伝わる少年が同一人物の可能性があるのね。」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「惣次郎君の可能性は高いと思う。」

山口一は山口勝と山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一を微笑んで見た。

山口勝も山口一を微笑んで見た。

山口一は八重桜を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「百人一首の中に、八重桜を詠んだ歌が撰ばれているの。歌を詠める?」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝を見ると、山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一。歌を詠んで。」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「“いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな”」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「正解よ。」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「廣明。今の歌は百人一首の何番? 今の歌の出典基は? 以上の二つを答えて。」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「百人一首の六一番。出典基は、詩花集。」

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「正解よ。」

山口廣明は山口勝を微笑んで見た。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「一も廣明も、とても優秀だわ。教えがいがあるわ。私も歌について更に勉強するわ。」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口廣明は山口勝を微笑んで見ている。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「歌の勉強を続けても大丈夫?」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。



「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」

青空の下に咲く綺麗な八重桜。

山口勝、山口廣明、山口一の歌の勉強は続く。

八重桜は、山口勝、山口廣明、山口一の歌の勉強を助けるように、綺麗な姿で咲いている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後鍵を加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「小倉百人一首 六十一番」、及び、「歌花集」です。

「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」

ひらがなの読み方は「いにしえの ならのみやこの やえざくら けふここのえに にほひぬるかな」

歌の意味は「昔栄えた奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で、ひときわ美しく咲いていることでしょう。」となるそうです。

作者は「伊勢大輔(いせのたいふ)」

女性の作者です。

この物語は、「新撰組異聞外伝 一瞬の出会い 桜の舞うなか」と一部分と重なり、「新撰組異聞外伝 一瞬の出会い 桜の舞うなか」の後日談です。

「沖田惣次郎と姉のみつ」の物語の冒頭部分と「山口一、そして、姉の勝と兄の廣明」の物語の冒頭部分は、物語の進行上の関係で、沖田惣次郎さんの側から見た状況、山口一さん側から見た状況、で書きました。

沖田総司さんの名前は、この物語の時間設定では「沖田惣次郎」さんと名乗る頃と思われるので、「沖田惣次郎」さんの名前で書きました。

近藤勇さんは、この物語の時間設定では「近藤勇」さんと名乗っていない可能性がありますが、「近藤勇」さんと名乗る設定で書きました。

土方歳三さんは、試衛館の稽古などに途中から参加しています。

この物語の時間設定では、土方歳三さんが試衛館に参加していない可能性がありますが、物語の設定の関係で、試衛館に既に参加しています。

沖田惣次郎さんの姉の「沖田みつ」さんが登場します。

「ミツ」、「みつ」、「光」、の名前で書く事が多いです。

この物語では「みつ」にしました。

沖田みつさんは、天保四年(1833年)四月生まれだそうです。

沖田惣次郎さんは、天保十三年(一月〜十一月までは、1842年。沖田惣次郎さんの誕生月の設定では、1842年。)生まれの説が多いため、「新撰組異聞」と「新撰組異聞外伝」は、「天保十三年生まれ」の説を採用しています。

沖田惣次郎さんと沖田みつさんは、九〜十歳ほど歳が離れている事になります。

沖田みつさんには妹で、沖田惣次郎さんには姉になる、女性がいます。

天保七年(一月〜十一月までは、1836年。十二月は、1837年)生まれと伝わるので、沖田みつさんに近い年齢になります。

この物語の掲載日時点では登場していません。

史実の沖田総司さんは、歌に興味を示す逸話などが伝わっていないそうです。

沖田総司さんの作と伝わる歌があるので、歌の知識があると考えて、「新撰組異聞」関連の状況になりました。

山口一さんの姉の山口勝さんは、この物語の時間設定では祝言を挙げている可能性がありますが、祝言前の設定で書いたため、「山口勝」さんの名前で書きました。

山口一さんは、「新撰組異聞」関連の物語を書き始めた頃は、沖田惣次郎さんよりも歌に興が無いと考えていました。

しかし、山口一さんに歌の知識が全く無い状況は考えられませんでした。

そのため、「新撰組異聞」関連で、沖田総司さんを助ける物語を書いています。

山口一さんに歌を教えた人物は、家族の可能性があると考えました。

山口一さんが姉の山口勝さんの指導を受けながら、歌の勉強をする物語になりました。

山口一さんの性格から想像して、「新撰組異聞」関連や「新撰組異聞外伝」関連では、覚えた内容は忘れないと考えて、たくさんの歌を知る設定になりました。

「花惜月(はなおしみづき)」は「陰暦三月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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