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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 七夕月の月人壮士 夕星も通ふ天道 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田惣次郎、

山口勝、山口一



「夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士」

「万葉集 第十巻 二〇一〇番」

作者:柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)歌集より



今は秋。



ここは、多摩。



夏のような暑さが続いている。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は机に普通に向かっている。



沖田惣次郎は元気良く訪れた。



近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 七夕の準備は順調ですか?!」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎でも、食べ物と縁の無い七夕が気になるのか。」

沖田惣次郎は近藤勇に拗ねて話し出す。

「近藤さん。七夕はみんなが楽しみに待つ行事です。私も七夕を楽しみに待っています。」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今年の七夕が待ち遠しい様子が伝わる。」

沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。

「今年の七夕は強く頼みたい願い事が有ります。」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎が強く頼みたい願い事は何かな?」

沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。

「秘密です。」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。七夕の短冊に書かずに願うのか?」

沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。

「七夕の短冊に書かずに願う可能性がありますが、近藤さんには特別に教えます。」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。

「更に強くなりたいです。更に強くなって、絶対に逢いたい人がいます。」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君に逢いたいのか。」

沖田惣次郎は近藤勇を驚いて見た。

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。七夕が楽しみだな。」

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「はい!」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。



数日後の事。



今日は七夕になる。



ここは、多摩。



夏のような暑い日は続いている。



綺麗な青空の中に純白の雲が浮かんでいる。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。

土方歳三は微笑んで居る。

沖田惣次郎は微笑んで居る。



近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。歳と一緒に出掛けて欲しい所がある。」

沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。頼み事が多くて申し訳ない。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺と近藤さんの仲だ。遠慮しないでくれ。」

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇と土方歳三を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は机に普通に向かっている。



山口一が普通に訪ねてきた。



近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「山口君。遠いのに来てくれてありがとう。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「夏のような暑い日が続く。試衛館に来る時も暑さを感じただろ。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「季節は秋だが暑い日が続く。麦茶の用意を頼む方が良いかな?」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「山口君。少し待っていてくれ。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。



近藤勇は部屋を微笑んで出て行った。



山口一は部屋の中を普通の表情で見た。



近藤勇は部屋の中に微笑んで入ってきた。



山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「山口君。予定の日より早く来たが、何か遭ったのかな?」

山口一は近藤勇に普通に話し出す。

「家の関係の用事があるため早く来ました。」

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「今夜は七夕だ。家族で七夕を楽しむ予定なのかな?」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「山口君。沖田惣次郎という名前の少年を覚えているかな?」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「惣次郎が山口君に逢いたいと思い続けている。山口君が今日の間に来ると思わなかったから、惣次郎に私の代理として用事を頼んでしまった。惣次郎は山口君に逢えたら物凄く喜ぶ。待てる範囲で構わないから待って欲しい。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。



若い塾生が麦茶を持ち、部屋の中に普通の表情で入ってきた。



近藤勇は若い塾生を普通の表情で見た。

山口一も若い塾生を普通の表情で見た。

若い塾生は山口一の前に麦茶を普通の表情で置いた。

山口一は若い塾生に普通の表情で軽く礼をした。

若い塾生は近藤勇の前に麦茶を普通の表情で置いた。

近藤勇は若い塾生に普通に話し出す。

「突然に頼んだのに麦茶の用意をしてくれてありがとう。」

若い塾生は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。



若い塾生は部屋を普通の表情で出て行った。



近藤勇は山口一を微笑んで見た。

山口一は近藤勇に普通に話し出す。

「いただきます。」

近藤勇は山口一に微笑んで頷いた。

山口一は麦茶を普通の表情で飲み始めた。

近藤勇は山口一を見ながら、麦茶を微笑んで飲み始めた。



暫く後の事。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は麦茶を微笑んで飲んでいる。

山口一は麦茶を普通の表情で飲んでいる。



山口一は麦茶を普通の表情で飲み終わった。

近藤勇は麦茶を微笑んで飲み終わった。

山口一は近藤勇に普通に話し出す。

「ご馳走様でした。」

近藤勇は山口一に微笑んで頷いた。

山口一は近藤勇に普通に話し出す。

「家の都合で申し訳ありませんが、戻りたいと思います。」

近藤勇は山口一に残念な様子で話し出す。

「仕方が無い。残念だ。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで話し出す。

「山口君。外は暑い。気を付けて帰ってくれ。」

山口一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は山口一に微笑んで頷いた。



僅かに後の事。



ここは、試衛館の近くに在る道。



土方歳三は微笑んで歩いている。

沖田惣次郎も微笑んで歩いている。



沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「予定より早く終わりましたね。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで頷いた。

沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「今日は七夕です。楽しみです。」

土方歳三は少し離れた場所を不思議な様子で見た。

沖田惣次郎は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「土方さん? 何かありましたか?」

土方歳三は沖田惣次郎を見ると、沖田惣次郎に不思議な様子で話し出す。

「あの子の姿を見た気がした。」

沖田惣次郎は土方歳三に確認する様子で話し出す。

「土方さん! 山口君が近くに居るのですか?! 山口君の姿を見た場所は何処ですか?!」

土方歳三は少し離れた道を僅かに困惑して見た。



沖田惣次郎は慌てて走り出した。



土方歳三は僅かに慌てて走り出した。



僅かに後の事。



ここは、試衛館の近くに在る道。



沖田惣次郎は慌てて走ってきた。



沖田惣次郎は辺りを落ち着かない様子で見た。



辺りに人の姿は見えない。



土方歳三は僅かに慌てて走ってきた。



沖田惣次郎は辺りを落ち着かない様子で見ている。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。人違いの可能性がある。試衛館に戻ろう。」

沖田惣次郎は辺りを見ながら、土方歳三に落ち着かない様子で話し出す。

「試衛館に戻ると、山口君に逢えなくなります! 試衛館に戻りません! 山口君を探します!」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。辺りに人の姿は見えない。山口君の歩く方向は試衛館と逆方向だった。山口君は帰る途中かも知れない。試衛館に戻って、近藤さんに確認しよう。」

沖田惣次郎は土方歳三に納得のいかない様子で頷いた。



沖田惣次郎は納得のいかない様子で走り出した。

土方歳三は僅かに慌てて走り出した。



少し後の事。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は机に普通に向かっている。



沖田惣次郎が部屋の中に慌てて入ってきた。

土方歳三は部屋の中に微笑んで入ってきた。



近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を不思議な様子で見た。

沖田惣次郎は近藤勇に慌てて話し出す。

「近藤さん! 土方さんが山口君の姿を見ました! 山口君は試衛館に来ましたか?!」

近藤勇は沖田惣次郎に困惑して頷いた。

沖田惣次郎は近藤勇に不機嫌に話し出す。

「近藤さん! 山口君が来ると知っていたのに、私に用事を頼んだのですね!」

近藤勇は沖田惣次郎に心配して話し出す。

「知り合いが山口君に私宛ての用事を頼んだ。知り合いから山口君が試衛館に今日から数日以内に来る連絡をもらっていた。山口君が今日の間に来る確証は無かった。」

沖田惣次郎は近藤勇に不機嫌に話し出す。

「近藤さんが私に意地悪をしたから、私は山口君に逢えなくなりました! 近藤さんは物凄く冷酷です! 近藤さんは物凄く意地悪です! 近藤さんは物凄く大嫌いです!」

近藤勇は沖田惣次郎を心配して見た。

土方歳三は近藤勇と沖田惣次郎を心配して見た。



沖田惣次郎は部屋から不機嫌に勢い良く出て行った。



土方歳三は近藤勇に心配して話し出す。

「近藤さん。俺が行く。」

近藤勇は土方歳三に心配な様子で話し出す。

「私が行く。」

土方歳三は近藤勇に心配な様子で頷いた。



近藤勇は部屋を心配な様子で出て行った。



僅かに後の事。



ここは、試衛館の近く。



沖田惣次郎は試衛館の敷地から走って出てきた。



沖田惣次郎は辺りを見ながら、不機嫌に声を出した。

「山口君! 物凄く逢いたい!」



近藤勇が試衛館の敷地から心配な様子で出てきた。



沖田惣次郎は横を見ると、不機嫌に声を出した。

「近藤さんだけ山口君に逢いました! 近藤さんは物凄く大嫌いです!」

近藤勇は沖田惣次郎に申し訳なく話し出す。

「山口君も惣次郎に逢いたい様子だった。山口君は七夕のために戻りたいと話した。私は山口君に可能な範囲で惣次郎の帰りを待って欲しいと頼んだ。山口君は惣次郎の帰りを可能な範囲で待った。私の気遣いが足りないために、山口君も惣次郎も、辛い思いをした。惣次郎にも山口君にも、申し訳ないと思っている。」

沖田惣次郎は横を不機嫌に見た。

近藤勇は沖田惣次郎に申し訳なく話し出す。

「惣次郎と山口君が一日も早く逢えるように、七夕の夜に願う。惣次郎。試衛館に戻って七夕の準備を始めよう。」

沖田惣次郎は近藤勇を不機嫌に見た。

近藤勇は沖田惣次郎を申し訳なく見た。

沖田惣次郎は近藤勇を困惑して見た。

近藤勇は沖田惣次郎を申し訳なく見ている。

沖田惣次郎は近藤勇に困惑して小さい声で話し出す。

「はい。」

近藤勇は沖田惣次郎に申し訳なく頷いた。

沖田惣次郎は近藤勇を微笑んで見た。

近藤勇も沖田惣次郎を微笑んで見た。



沖田惣次郎は試衛館の敷地内に微笑んで入って行った。

近藤勇は試衛館の敷地内に微笑んで入って行った。



暫く後の事。



ここは、江戸の町。



夏のような暑さが続いている。



ここは、山口一の姉の山口勝、山口一、の住む家。



玄関。



山口一は普通に帰ってきた。



山口勝が微笑んで来た。



山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「お帰りなさい。早かったのね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「惣次郎君に逢えた?」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「出掛けていた。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「残念だったわね。」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「惣次郎君の居場所は分かっているわ。一と惣次郎君は、強い縁で繋がっているわ。一と惣次郎君は再び逢えるわ。」

山口一は山口勝を普通の表情で見ている。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「七夕の準備を手伝って。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。



暫く後の事。



今は夕方。



ここは、多摩。



紺色の空に橙色が僅かに混じっている。

空の中に星の輝きが見えるようになってきた。



ここは、試衛館。



庭。



大きめの笹が飾ってある。



土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見ている。

沖田惣次郎は短冊を大事に持っている。



土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。短冊を飾らないかの?」

沖田惣次郎は短冊を持ち、土方歳三に微笑んで話し出す。

「短冊に願い事は書きましたが、笹に飾るのは止めます。」

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た

沖田惣次郎は短冊を持ち、空を微笑んで見た。

土方歳三は空を見ると、微笑んで呟いた。

「“夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士”」

沖田惣次郎は短冊を持ち、土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田惣次郎を見ると、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎の願いが早く叶うと良いな。」

沖田惣次郎は短冊を持ち、土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今の歌を覚えろ。」

沖田惣次郎は短冊を持ち、土方歳三を怪訝な様子で見た。

土方歳三は沖田惣次郎から短冊を取り上げると、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今の歌を覚えられたら、短冊は飾らない。今の歌を覚えられなければ、短冊を飾る。」

沖田惣次郎は土方歳三に困惑して話し出す。

「土方さん。酷いです。」

土方歳三は短冊を持ち、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「“夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士”」

沖田惣次郎は土方歳三を見ながら、ため息を付いた。

土方歳三は短冊を持ち、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「“夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士”」

沖田惣次郎は土方歳三に小さい声で話し出す。

「“夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士”」

土方歳三は短冊を持ち、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「次は原文を覚える。」

沖田惣次郎は土方歳三を見ながら、ため息を付いた。

土方歳三は短冊を持ち、懐から短冊を出して、沖田惣次郎に短冊を微笑んで渡した。

沖田惣次郎は土方歳三から短冊を不思議な様子で受け取った。

土方歳三は短冊を持ち、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「今の歌の原文を書いた短冊だ。七夕に飾るための短冊だ。早く覚えて笹に飾ってくれ。」

沖田惣次郎は短冊を持ち、土方歳三を見ながら、ため息を付いて頷いた。

土方歳三は短冊を持ち、沖田惣次郎を微笑んで見た。



僅かに後の事。



ここは、江戸の町。



紺色の空に橙色が僅かに混じっている。

星の光が僅かに見える。



山口勝と山口一が住む家。



庭。



大きめの笹が飾ってある。



山口勝は空を微笑んで見ている。

山口一は空を普通に見ている。



山口勝は空を見ながら、山口一に微笑んで話し出す。

「夕日から暗くなる頃に光る星も綺麗ね。」

山口一は空を見ながら、普通の表情で頷いた。

山口勝は空を見ながら、山口一に微笑んで話し出す。

「今夜は織姫様と彦星様が逢えるわね。」

山口一は空を見ながら、普通の表情で頷いた。

山口勝は空を見ながら、山口一に微笑んで話し出す。

「“夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士”」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口一を見ると、山口一に微笑んで話し出す。

「今の時間の七夕に合う歌ね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は短冊を飾ったの?」

山口一は山口勝に普通の表情で首を横に振った。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「織姫と彦星は、一の願い事を知りたいと思っているはずよ。七夕が終わる前に、短冊を飾りなさい。」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口一に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。



山口勝は家の中に微笑んで入って行った。

山口一は家の中に普通に入って行った。



「夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士」

七夕の夜空に綺麗な星の輝きがたくさん見える。

月人壮士は七夕の夜空の中でみんなを見守っている。

織姫様と彦星様は、七夕の夜空に包まれてみんなの願いを読んでいる。

七夕は穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 二〇一〇番」

「夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士」

ひらがなの読み方は「ゆふづつも かよふあまぢを いつまでか あおぎてまたむ つきひとをとこ」

作者は「柿本人麻呂(かきのもとのひとま)歌集より」

歌の意味は「宵の明星(よいのみょうじょう)も通う天の道を、いつまで仰ぎ見て待てばいいのかなぁ、お月様。」となるそうです。

原文は「夕星毛 徃来天道 及何時鹿 仰而将待 月壮士」

この歌は、七夕を読んだ歌の一つです。

仰ぎ見て待っているのは、「彦星」のようです。

「月人壮士(つきひとをとこ)」は、月のことを擬人化した呼び方だそうです。

この物語の中の時間設定は、沖田惣次郎さんと山口一さんが試衛館で初めて逢ってから迎える最初の七夕を想定して書きました。

「七夕」、及び、「七夕の節句」についてです。

旧暦の七月十五日の夜に戻って来る先祖の霊に着せる衣服を機織した棚に置いておく習慣があり、棚に機で織った衣服を備えることから「棚機(たなばた)」の言葉が生まれたそうです。

その後、仏教が伝来すると、七月十五日は仏教上の行事「盂蘭盆会(うらぼんえ)」となり、「棚機」は盆の準備のする日という事になって、七月七日に繰り上げられたそうです。

これに中国から伝わった織姫・牽牛の伝説が結び付けられ、天の川の隔てた織姫(織姫星、こと座のベガ)と彦星(牽牛星、わし座のアルタイル)が年に一度の再開を許される日となったそうです。

笹の葉に飾りや短冊を飾るのは、日本独自の風習だそうです。

江戸時代にはじまったようです。

江戸時代の頃の短冊の願い事には、現在のようにいろいろな願い事を書くのではなく、芸事などの上達を短冊に書いたようです。

「七夕月(たなばたづき)」は「陰暦七月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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