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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 土用の丑の日 鰻捕り食せ 〜


〜 改訂版 〜


はじめに、この物語は、「沖田惣次郎と試衛館の人々」と「姉の山口勝、兄の山口廣明、そして、山口一」の二つの短編の構成です。

以上、ご了承ください。



登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田惣次郎、

山口勝、山口廣明、山口一



「石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ」

「万葉集 第十六巻 三八五三番」より

作者:大伴家持(おおとものやかもち)




〜 沖田惣次郎と試衛館の人々 〜


今は夏の風物詩の一つが近付く頃。



ここは、多摩。



暑い日が続いている。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。



沖田惣次郎は笑顔で訪れた。




近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 土用の丑の日が近付いています! 土用の丑の日には鰻の蒲焼を食べます! 夏の風物詩の一つです! 物凄く楽しみです!」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見ている。

沖田惣次郎は近藤勇に不思議な様子で話し出す。

「近藤さん。何かありましたか?」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎の楽しく話す姿を見る間に、面白い気持ちになって、返事を忘れていた。」

沖田惣次郎は近藤勇に拗ねて話し出す。

「近藤さん〜 私が楽しく話す姿を見る間に、近藤さんも楽しい気持ちになって、返事を忘れた〜 と普通は話すと思います〜」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで頷いた。

沖田惣次郎は近藤勇に拗ねて話し出す。

「近藤さん〜 私の話に頷きました〜 近藤さんは私を見て面白い気持ちになったと認める状況になります〜」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「正しく話すと、惣次郎の楽しく話す姿を見て、面白い気持ちになり、楽しい気持ちにもなった。」

沖田惣次郎は近藤勇を不思議な様子で見た。

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「遅くなったが、惣次郎の質問に答える。土用の丑の日はみんなで鰻の蒲焼を食べよう。」

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 私は大きな鰻の蒲焼が食べたいです!」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで頷いた。

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! ありがとうございます! 土用の丑の日を楽しみに待っています!」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで頷いた。



沖田惣次郎は部屋を笑顔で出て行った。



直後の事。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋の前に在る縁。



沖田惣次郎は部屋から笑顔で出てきた。



土方歳三は微笑んで来た。



沖田惣次郎は土方歳三に笑顔で話し出す。

「土方さん! 張り切って稽古を行いましょう!」

土方歳三は沖田惣次郎を苦笑して見た。

沖田惣次郎は土方歳三を笑顔で見た。

土方歳三は沖田惣次郎に苦笑して話し出す。

「嵐の来る予感がする。」

沖田惣次郎は空を不思議な様子で見た。



青空が広がっている。



沖田惣次郎は土方歳三を見ると、土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「土方さん。今日は朝から良い天気です。嵐の来る気配はありません。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「稽古嫌いの惣次郎が、稽古を張り切って行うと話した。惣次郎の話を聞いて、嵐と来る予感がした。」

沖田惣次郎は土方歳三に拗ねて話し出す。

「土方さん〜 酷いです〜」

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は土方歳三に意地悪く話し出す。

「土方さんは、今も昔も、真剣に稽古を行う状況の所に居ます。土方さんは稽古嫌いになれませんね。精進してください。」

土方歳三は沖田惣次郎を苦笑して羽交い絞めにした。

沖田惣次郎は土方歳三に困惑して話し出す。

「土方さん。止めてください。」

土方歳三は沖田惣次郎を羽交い絞めにして、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「い、や、だ。」

沖田惣次郎は土方歳三を困惑して見た。

土方歳三は沖田惣次郎を羽交い絞めにして、沖田惣次郎を微笑んで見た。



近藤勇が部屋から僅かに苦笑して出てきた。



沖田惣次郎は近藤勇を困惑して見た。

土方歳三は沖田惣次郎を羽交い絞めにして、近藤勇を見ると、近藤勇に微笑んで話し出す。

「惣次郎に稽古を就けてもらっている最中だ。」

近藤勇は土方歳三に苦笑して話し出す。

「惣次郎が歳に稽古を就けている様子に見えない。」

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで放した。

沖田惣次郎は土方歳三を緊張して見た。

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。

近藤勇も沖田惣次郎を微笑んで見た。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。近藤さんと俺は、大切な話を始める。近藤さんと俺が話す前に、稽古を就けてくれてありがとう。」

沖田惣次郎は土方歳三を拗ねて見た。

土方歳三は近藤勇と沖田惣次郎を微笑んで見た。

近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を苦笑して見た。



近藤勇は部屋の中に苦笑して入って行った。

土方歳三は部屋の中に微笑んで入って行った。



沖田惣次郎は空を拗ねて見た。



青空が広がっている。



沖田惣次郎は青空を笑顔で見た。

沖田惣次郎は空を見ながら、笑顔で声を出した。

「土用の丑の日は、土方さんより大きな鰻を食べるぞ〜!」

沖田惣次郎は笑顔で視線を戻した。



沖田惣次郎は笑顔で歩き出した。



幾日か後の事。



今日は土用の丑の日。



ここは、多摩。



試衛館。



一室。



たくさんの鰻の蒲焼が並んでいる。



近藤勇は部屋の中と鰻の蒲焼を微笑んで見ている。

沖田惣次郎は鰻の蒲焼を笑顔で見ている。

塾生達が鰻の蒲焼を笑顔で見ている。



沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を笑顔で取った。

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで囁いた。

「惣次郎。鰻の蒲焼を持って、私の部屋に来てくれ。」

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、近藤勇に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。



近藤勇は部屋の外に微笑んで静かに出て行った。

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、部屋の外に不思議な様子で静かに出て行った。



僅かに後の事。



ここは、試衛館。



近藤勇の部屋。



近藤勇は部屋の中に微笑んで入ってきた。

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、部屋の中に不思議な様子で入ってきた。



土方歳三が鰻の蒲焼を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。



土方歳三が鰻の蒲焼を持ち、近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さんの鰻の蒲焼も持ってきた。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。ありがとう。」

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、土方歳三を不思議な様子で見た。

近藤勇は沖田惣次郎を見ると、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。私の分の鰻の蒲焼を食べて良いぞ。みんなには内緒だ。静かに食べろ。」

土方歳三は鰻の蒲焼を机に置くと、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。俺の分の鰻の蒲焼も食べて良いぞ。みんなには内緒だ。静かに食べろ。」

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、近藤勇と土方歳三に微笑んで話し出す。

「近藤さん。土方さん。ありがとうございます。」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。嬉しい気持ちは分かるが、小さい声で話すように。」

沖田惣次郎は一番に大きな鰻の蒲焼を持ち、近藤勇に照れて話し出す。

「はい。」

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は机に一番に大きな鰻の蒲焼を笑顔で置いた。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。鰻の蒲焼を食べる前に、鰻を詠んだ歌を勉強する。」

沖田惣次郎は土方歳三に怪訝な様子で話し出す。

「土方さん。鰻を詠んだ歌が有るのですか? 私に鰻を食べさせないために、思い付きで話していませんか?」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「鰻を詠んだ歌は有る。俺を信じろ。」

沖田惣次郎は土方歳三を怪訝な様子で見た。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

沖田惣次郎は土方歳三を複雑な表情で見た。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。歌を早く覚えないと、鰻の蒲焼を食べる時間が遅くなるぞ。」

沖田惣次郎は鰻の蒲焼を寂しく見た。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

沖田惣次郎は鰻の蒲焼を見ながら、寂しく話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。歌の詠みは合っている。次は今の歌の原文を覚える。」

沖田惣次郎は鰻の蒲焼を寂しく見た。

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎が鰻を詠んだ歌について話したら、山口君は驚くぞ。」

沖田惣次郎は土方歳三を見ると、土方歳三に複雑な表情で話し出す。

「山口君と歌について話すより、剣の手合わせがしたいです。歌の勉強より、鰻の蒲焼が食べたいです。歌の勉強より、更に強くなるために剣術の精進をしたいです。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君も惣次郎も歌に詳しいと、剣術の話題と鰻を詠んだ歌の話題で楽しめる。惣次郎が歌を覚えると、たくさんの鰻の蒲焼を味わって楽しんで食べられる。惣次郎が歌を覚えると、惣次郎にとって楽しい時間が増える。」

沖田惣次郎は土方歳三を複雑な表情で見た。

土方歳三は懐から紙を取り出すと、沖田惣次郎に紙を微笑んで渡した。

沖田惣次郎は土方歳三から紙を複雑な表情で受け取った。

土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は紙を持ち、紙を見て、複雑な表情で息をはいた。

近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を苦笑して見た。



「石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ」

沖田惣次郎の鰻を詠んだ歌の勉強は、土方歳三の指導と近藤勇の見守る中で続く。

今の沖田惣次郎は、山口一と鰻の蒲焼の両方が気になっている。

沖田惣次郎が鰻の蒲焼を食べる時は、何時になるのか?

沖田惣次郎と山口一が再び逢う日は、幾日後になるのか?

答えを知るのは、鰻の蒲焼と今の季節は葉のみの桜、のみかも知れない。




*      *      *      *      *      *




〜 姉の山口勝、兄の山口廣明、そして、山口一 〜



今は夏の風物詩の一つが近付く頃。



ここは、江戸の町。



暑い日が続いている。



ここは、山口一の姉の山口勝、山口勝の弟で山口一の兄の山口廣明、山口一の住む家。



山口廣明の部屋。



山口勝は微笑んで居る。

山口廣明も微笑んで居る。

山口一は普通に居る。



山口勝は山口一と山口廣明に微笑んで話し出す。

「廣明。一。土用の丑の日が近付いているわね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「今年の土用の丑の日も鰻の蒲焼を食べるよね。今年は誰が蒲焼を買いに行くのかな?」

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「土用の丑の日に鰻の蒲焼を食べる時間が待ち遠しいわ。両親に鰻の蒲焼を買う時間を確認する?」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「両親が考え中かも知れない。俺達から両親に話すのは止めよう。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一の考えを教えて。」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「姉さんに任せる。」

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「近い内に、両親が土用の丑の日について話すかも知れないわ。両親が土用の丑の日について長く話さない場合は、私達から確認しましょう。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。



幾日か後の事。



今日は土用の丑の日。



ここは、江戸の町。



暑さを感じる。



山口勝は微笑んで歩いている。

山口廣明は普通に歩いている。

山口一も普通に歩いている。



山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「暑いわね。」

山口廣明は山口勝に苦笑して頷いた。

山口一は山口勝と山口廣明を普通の表情で見た。

山口勝は山口一に不思議な様子で話し出す。

「一は暑くないの?」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「さすが、一。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「さすが、一。」

山口一は山口勝と山口廣明を普通の表情で見た。



少し後の事。



鰻屋。



たくさんの人達が鰻の蒲焼を買うために並んでいる。



山口勝は微笑んで並んでいる。

山口廣明も微笑んで並んでいる。

山口一は普通に並んでいる。



山口廣明は山口勝と山口一に微笑んで話し出す。

「鰻の蒲焼を買うと直ぐに居なくなるし、店内で食べる人達が並んでいない。想像より待つ時間が短くなるかも知れないね。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明に微笑んで頷いた。

山口廣明は山口勝と山口一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、鰻屋。



店員は鰻の蒲焼を次々に焼いている。



山口勝は微笑んで先頭に居る。

山口廣明も微笑んで先頭に居る。

山口一は普通に先頭に居る。



たくさんの人達が並んでいる。



山口勝は店員に料金を微笑んで払った。

店員は山口勝に鰻の蒲焼を微笑んで渡した。

山口勝は店員から鰻の蒲焼を微笑んで受け取った。

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口廣明は山口勝を微笑んで見た。

山口勝は鰻の蒲焼を持ち、山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明。一。帰りましょう。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。



山口勝は鰻の蒲焼を持ち、微笑んで歩き出した。

山口廣明は微笑んで歩き出した。

山口一は普通に歩き出した。



暫く後の事。



ここは、江戸の町。



星の光が見える。



ここは、山口勝、山口廣明、山口一の住む家。



山口廣明の部屋。



山口勝は微笑んで居る。

山口廣明も微笑んで居る。

山口一は普通に居る。



山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「美味しい鰻の蒲焼だったね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝と山口一に微笑んで話し出す。

「もっと鰻の蒲焼が食べたいと思った。」

山口勝は山口廣明に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝と山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「土用の丑の日にちなんで、鰻を詠んだ歌を覚えましょう。」

山口廣明は山口勝に不思議な様子で話し出す。

「鰻を詠んだ歌が有るんだ。」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「姉さん。鰻を詠んだ歌を教えてくれ。」

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

山口廣明は山口勝と山口一に微笑んで話し出す。

「土用の丑の日のために詠んだ歌に感じる。」

山口一は山口勝と山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「惣次郎君は鰻を詠んだ歌を知っているのかな?」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「惣次郎君が鰻を詠んだ歌を知っていたら、鰻を詠んだ歌について話せるわね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は懐から紙を取り出すと、山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「今の歌を紙に書いたの。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は、山口廣明と山口一に、微笑んで紙を渡した。

山口廣明は山口勝から紙を微笑んで受け取った。

山口一は山口勝から紙を普通の表情で受け取った。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明。一。今の歌を詠んで。」

山口廣明は紙を持ち、紙を見て、山口勝に微笑んで話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

山口一は紙を持ち、紙を見て、山口勝に普通に話し出す。

「“石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ”」

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明。一。良く出来ました。」

山口廣明は紙を持ち、山口勝を微笑んで見た。

山口一は紙を持ち、山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。



「石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ」

勘の良い山口一が、沖田惣次郎に必ず再び逢えると感じる。

勘の良い山口一だが、沖田惣次郎と再び逢う日までは分からない。

沖田惣次郎と山口一が京で逢う日は、暫く先の出来事になる。

沖田惣次郎と山口一が再び逢う日を知るのは、鰻の蒲焼と今の季節は葉のみの桜、のみかも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や物語を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十六巻 三八五三番」

「石麻呂に 我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ」

ひらがなでの読み方は「いはまろに、われものまをす、なつやせに、よしといふものぞ、むなぎとりめせ」

作者は「大伴家持(おおとものやかもち)」

歌の意味は「石麻呂さんに申し上げますよ。夏痩せに良いそうですから、鰻を捕って食べてくださいな。」となるそうです。

原文は「麻呂尓 吾物申 夏痩尓 <吉>跡云物曽 武奈伎取喫」

この歌の注に、次のことが載っているそうです。

「吉田連老(よしだのむらじおゆ)、通称、吉田老(よしだのおゆ)という人がいたのですが、体が痩せていて、たくさん食べても食べ物が無くって飢えているように痩せていました。そこで大伴家持(おおとものやかもち)がこの歌を詠んでからかったのです。」

「土用の丑の日(どようのうしのひ)」についてです。

夏の暑い時期を乗り切る栄養をつけるために、鰻を食べます。

由来には諸説あるそうですが、平賀源内(ひらがげんない)が発案した説が一般的です。

江戸時代、商売がうまく行かない鰻屋が、平賀源内に相談をしたところ、平賀源内は、「丑の日に“う”の字が付く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て、「本日土用丑の日」と書いて店先に貼ったそうです。

物知りとして有名な平賀源内の言うことなら、ということがあって、その鰻屋はたいへん繁盛したそうです。

その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したそうです。

この他、土用に大量の蒲焼きの注文を受けた鰻屋が、子の日、丑の日、寅の日の三日間で作って土甕に入れて保存しておいたところ、丑の日に作った物だけが悪くなっていなかったからという説もあるそうです。

土用入りの日が申から丑の日の間の場合は、丑の日が二回あることになり、二回目の丑の日を、「二の丑」と呼ぶそうです。

丑の日が二回ある年は、基本的には二年毎のようです。

物語の初稿版の掲載年「2006年」の前回「2004年」から参考に書きます。

「2004年」の「丑の日、7月21日」と「二の丑、8月2日」、次は、「2006年」の「丑の日、7月23日」と「二の丑、8月4日」、次は二年連続で、「2008年」の「丑の日、7月24日」と「二の丑、8月8日」、「2009年」の「丑の日、7月19日」と「二の丑、7月31日」、でした。

改訂版の物語の掲載年「2010年」は「二の丑」がありません。

次は、「2011年」の「丑の日、7月21日」と「二の丑、8月2日」、になるそうです。

日付などの詳細は、各自でご確認ください。

この物語の中で、沖田惣次郎さんが稽古について話しています。

沖田総司さんは稽古を余りしなかったと伝わっています。

沖田総司さんが本気や真剣になると、近藤勇さんも太刀打ちできなかったと伝わっています。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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