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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 春色と秋色 咲かざりし 木の葉を見ては 〜


〜 改訂版 〜


この物語は、「沖田惣次郎と姉の沖田みつ」、「山口一と姉の山口勝と兄の山口廣明」、二つの短編で構成しています。

以上、ご了承願います。

物語の世界へどうぞ・・・




*      *      *      *      *      *




登場人物

沖田惣次郎、沖田みつ

山口勝、山口廣明、山口一




「冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてそ歎く そこし恨めし 秋山われは」

「万葉集 第一巻 十六番」より

作者:額田王(ぬかたのおおきみ)




〜 沖田惣次郎と姉の沖田みつ 〜


今は春。



桜の花の綺麗に咲く季節になっている。



ここは、多摩。



朝晩は僅かに寒さを感じるが、日中は暖かさを感じるようになっている。



たくさんの桜の花が咲いている。



沖田惣次郎は元気良く走っている。



心地良い風が吹いた。



沖田惣次郎の目の前を桜の花びらが通り過ぎた。



沖田惣次郎は元気良く止まった。



沖田惣次郎は近くに在る桜の木を笑顔で見た。



桜の木から花びらが地面へとゆっくりと舞い落ちていく。



沖田惣次郎は桜の花びらの舞い落ちる様子を笑顔で見た。



心地良い風が吹いた。



桜の木からたくさんの桜の花びらが舞い落ち始めた。



沖田惣次郎は掌で舞い落ちる桜の花びらの一枚を笑顔で受け止めた。



沖田惣次郎の掌には、一枚の綺麗な桜の花びらがある。



沖田惣次郎は掌の桜の花びらを笑顔で見た。



風がゆっくりと止んだ。



沖田惣次郎は掌の桜の花びらに笑顔で息を吹き掛けた。



桜の花びらは、ゆっくりと舞いながら地面へと落ちていった。



沖田惣次郎は元気良く走り出した。



ここは、多摩。



沖田惣次郎は姉のおみつの住む家。



玄関。



沖田惣次郎は笑顔で来た。



沖田惣次郎は家の中に向って元気良く声を掛ける。

「姉さん〜! こんにちは〜! 惣次郎です〜!」



おみつは微笑んで来た。



おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。こんにちは。稽古があるのに呼び立てて悪かったわね。」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「気にしないでください! 姉さん! 今日の用件は何ですか?!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎に歌を教えてあげたいと思って呼んだの。」

沖田惣次郎はおみつに苦笑して話し出す。

「歌は教えてあげなくても良いです。同じあげるならば、菓子が良いです。」

おみつは沖田惣次郎に苦笑して話し出す。

「歌も教えるわ。お菓子も用意したわ。」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「菓子を用意してくれたのですか?!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「牡丹餅を作ったの。」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「牡丹餅が食べられるのですね! 楽しみです!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「歌を覚えた後には、お菓子を楽しむ機会があるわ。安心して歌を覚えてね。」

沖田惣次郎はおみつを心配して見た。

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。心配しているの?」

沖田惣次郎はおみつを心配して見ている。

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。笑顔で歌の勉強を始めましょう。」

沖田惣次郎はおみつに苦笑して頷いた。

おみつは沖田惣次郎を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、多摩。



おみつの住む家。



沖田惣次郎は普通に座っている。

おみつは微笑んで座っている。



おみつは沖田惣次郎に微笑んで歌を詠んだ。

「“冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれ・・・”」

沖田惣次郎はおみつが歌を詠むのを遮ると、おみつに不思議な様子で話し出す。

「姉さん。歌が長いです。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「今回は長歌を教えるの。」

沖田惣次郎はおみつに微笑んで話し出す。

「長歌は長いです。短歌が良いです。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。長歌も覚える必要があるわ。長歌も覚えましょう。」

沖田惣次郎はおみつに微笑んで話し出す。

「山口君に逢った時は、長歌について話さないと思います。短歌を教えてください。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎に好きな女性が現れた時に、長歌の一節を使って歌を作る時が有るかも知れないわ。」

沖田惣次郎はおみつに不思議な様子で話し出す。

「私には懇意にしている女性はいません。懇意にする女性に歌を贈る時には、長歌の一節を使って歌を贈るのですか?」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「長歌を贈る機会は、滅多に無いと思うの。長歌か短歌に関係なく、歌の一節を歌の中に使う時は有ると思うの。長歌も覚えましょう。」

沖田惣次郎はおみつに微笑んで話し出す。

「絶対の状況でなければ、長歌ではなくて短歌を教えてください。山口君も同じ考えだと思います。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「分かったわ。今回は長歌を覚えなくても良いわ。今回の長歌は聞いてね。何かの時に思い出してね。」

沖田惣次郎はおみつに微笑んで話し出す。

「はい。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。長歌を詠むわね。」

沖田惣次郎はおみつに微笑んで話し出す。

「お願いします。」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで歌を詠み始めた。

「“冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてそ歎く そこし恨めし 秋山われは”」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「私は春が良いと思います! 春が大好きです!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎は春が好きなの?」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「山口君に春に逢えた季節だから、春が大好きです!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎は山口君が好きなの?」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「はい! 大好きです!」

おみつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎はおみつに残念な様子で話し出す。

「山口君は私の近くに数回ほど居たそうです。私が急ぐなどの状況だったために、山口君は傍に居たのに気付かなかったようです。山口君と一度も話した時が無いです。山口君と物凄く話したいです。」

おみつは沖田惣次郎を微笑んで見ている。

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「山口君は剣の腕がとても強いそうです! 山口君に逢ったら、山口君と必ず手合わせをしたいです! 姉さんの話すとおり、山口君が歌をたくさん知る可能性があります! 山口君が歌をたくさん知っていると困ります! 少しずつ歌を覚えていきたいと思います!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「山口君に早く再び逢えると良いわね。山口君と早く話しが出来ると良いわね。」

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「はい!」

おみつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎はおみつに笑顔で話し出す。

「姉さん! 歌は詠み終わりましたよね! 牡丹餅を早く食べたいです!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「牡丹餅を食べる時は、短歌の勉強が終わってからよ。」

沖田惣次郎はおみつに納得のいかない様子で話し出す。

「え〜?!」

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎は、長歌ではなくて短歌を教えて欲しいと話したわ。今から、短歌の勉強を始めるわ。」

沖田惣次郎はおみつを複雑な表情で見た。

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。今から短歌を詠むわね。」

沖田惣次郎はおみつを見ながら、軽く息をはいた。

おみつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。しっかりと覚えてね。」

沖田惣次郎はおみつに残念な表情で頷いた。



おみつは、惣次郎に、短歌を詠む、歌に関する説明、をしている。

沖田惣次郎は家の外を複雑な表情で見た。

家の外に植わる桜の木は、風が吹くとゆっくりと花びらを舞い散らせていく。

沖田惣次郎はため息を付きながら、桜の舞い散る様子を見た。

おみつは沖田惣次郎に少し厳しい表情で話し掛けた。

沖田惣次郎はおみつを慌てた様子で見ると、おみつに勢い良く話した。

おみつは沖田惣次郎を微笑んでみた。

沖田惣次郎はおみつを僅かに慌てて見た。

おみつは沖田惣次郎に微笑んで先程と同じ短歌を詠んだ。

沖田惣次郎はおみつを心配な表情で見た。



沖田惣次郎が牡丹餅を食べる時は、暫く後になる気配に包まれている。




*      *      *




〜 山口一と姉の山口勝と兄の山口廣明 〜


今は秋。



紅葉が綺麗に色付く頃。



ここは、江戸。



紅葉が綺麗な紅色に色付き始めた。

秋に咲く桜の花は、淡い色の花を咲かせている。

紅葉と桜が、辺りに彩を添える頃になった。



朝夕など寒さを感じる時がある。



ここは、江戸。



町中。



山口一の姉の山口勝は、微笑んで歩いている。

山口一の兄で山口勝の弟の山口廣明も、微笑んで歩いている。

山口一は普通に歩いている。



今の季節には珍しい心地良い風が吹いた。



山口一と姉の山口勝の目の前と兄の山口廣明の目の前を、紅葉がゆっくりと舞った。



山口勝は微笑んで止まった。

山口廣明も微笑んで止まった。

山口一は普通に止まった。



紅葉はゆっくりと舞いながら、地面に静かに落ちた。



山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明。一。春と秋のどちらが好き?」

山口廣明は山口勝を不思議な様子で見た。

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「春と秋のどちらが優れているかを歌で競わせた時に、額田王の詠んだ歌があるわ。以前に教えた時があるわ。覚えている?」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「覚えている。」

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「春と秋のどちらが良いか歌で詠むように言われたら、普通は良いと思った季節だけを詠むわ。額田王は、両方の季節の良いところを詠いながら、逆に残念だと思うところも一つの歌の中で詠んでいるわ。額田王は、春と秋のどちらが優れているのかは、歌の最後まで分からないように詠っているわ。凄いわよね。」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「額田王は凄いと思う。俺には太刀打ち出来ない。」

山口勝は山口廣明に微笑んで話し出す。

「額田王には及ばないけれど、歌を上手に詠めるようになるために、歌を勉強しているわ。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「廣明、一。今の歌を、私、廣明、一、の順番で詠みたいわ。良いかしら。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口勝は山口廣明に微笑んで歌を詠んだ。

「冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし」

山口廣明は山口一に歌の続きを微笑んで詠んだ。

「“花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず”」

山口一は山口勝に普通の表情で歌の続きを詠んだ。

「“秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ”」

山口勝は山口廣明に微笑んで歌の続きを詠んだ。

「“青きをば 置きてそ歎く そこし恨めし”」

山口廣明は山口一に歌の続きを微笑んで詠んだ。

「“秋山われは”」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「兄さんのところで歌は終わった。」

山口勝は山口廣明と山口一に笑顔で話し出す。

「間違えずに歌を詠んだわね!」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は、山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「先程の質問に戻るわ。廣明。一。春と秋のどちらが好き?」

山口廣明は山口勝に考えながら話し出す。

「どちらも好きだな。」

山口勝は山口廣明に苦笑して話し出す。

「答えになってないわよ。」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「春の初めは、寒い日が多い。秋の初めは、暑い日が多い。他にも、いろいろな良いところ、いろいろな残念なところがあるよね。苦手なところを一つ挙げるならば、寒さ、かな。以上の内容から考えると、答えは、秋、になるのかな。」

山口勝は山口廣明に苦笑して話し出す。

「廣明。今の返事が答えで良いの?」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「好きな季節。秋、で良いよ。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は春と秋のどちらが好き?」

山口一は紅葉を普通の表情で見た。

山口勝は山口一を微笑んで見た。

山口一は山口勝を見ると、山口勝に普通に話し出す。

「春。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は春が好きなのね。一が春を好きな理由を教えて。」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「面白くて変わった人物に逢った季節が、春、だから。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「今の話の内容が、一の春の好きな理由なのね。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「一の話す人物。沖田惣次郎の名前の男の子だよね。」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口勝は山口廣明を見ると、微笑んで話し出す。

「廣明。惣次郎君は、廣明と同じ歳か年上よ。惣次郎君を男の子と話すのは、止めた方が良いと思うわ。」

山口廣明は山口勝を不思議な様子で見た。

山口一は山口廣明に普通の表情で話し出す。

「姉さんの話すとおり、兄さんと同じ歳か年上だと思う。」

山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。

「僕の記憶の中の惣次郎君は、年下に見える。姉さんの観察力と一の観察力からは、同じ歳か年上になるんだ。男の子と呼ぶのは止めるよ。」

山口勝は山口廣明に微笑んで頷いた。

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「今の季節は、紅葉も紅色に染まっているし、桜の花が咲いているわ。少し寒いけれど、気分的には春と秋の両方の季節を楽しめるわね。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は、山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「歩きながらになるけど、紅葉と桜が、綺麗な中で、一度だけ今の歌を詠みたいわ。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。

「先程と順番を変えて、廣明、一、私、の順番で歌を詠みましょう。」

山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。

山口廣明は山口一に微笑んで歌を詠んだ。

「“冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし”」

山口一は山口勝に普通の表情で歌の続きを詠んだ。

「“花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず”」

山口勝は山口廣明に微笑んで歌の続きを詠んだ。

「“秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ”」

山口廣明は山口一に微笑んで歌の続きを詠んだ。

「“青きをば 置きてそ歎く そこし恨めし”」

山口一は山口勝に普通の表情で歌の続きを詠んだ。

「“秋山われは”」

山口勝は山口一と山口廣明に微笑んで話し出す。

「以上で歌は終わり。今回も間違えずに歌を詠んだわ。」

山口廣明は山口勝を微笑んで見た。

山口一は山口勝を普通の表情で見た。



時折、優しい風が吹く。

紅葉が風に舞いながら、ゆっくりと地面に舞い落ちていく。

秋に咲く桜の花びらも風に舞いながら、ゆっくりと地面に舞い落ちていく。



山口勝の姿、山口廣明の姿、山口一の姿は、少しずつ小さくなっていく。



「春と秋のどちらが好きか?」という質問に理由も含めて答える。

想像より難しい質問だと思う。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第一巻 十六番」

「冬ごもり 春さり來れば 鳴かざりし 鳥も來鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取り手も見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてそ歎く そこし恨めし 秋山われは」

ひらがなの読み方は「ふゆごもり はるさりくれば なかざりし とりもきなきぬ さかざりし はなもさけれど やまをしげみ いりてもとらず くさふかみ とりてもみず あきやまの このはをみては もみじをば とりてそしのふ あおきをば おきてそあざむく そこしうらめし あきやまわれは」

作者は「額田王(ぬかたのおおきみ)」

歌の意味は「冬が過ぎて春が来ると、鳥がさえずり、花が咲きます。けれども、山には木が生い茂り、入っていって取ることができません。草が深くて取って見ることもできないのです。秋山は、紅葉した木の葉をとっていいなと思います。まだ青いまま落ちてしまったのを置いてため息をつくのが残念ですけれど。でも、私はそんな秋を選びます。」となるそうです。

原文は「冬木成 春去來者 不喧有之 花毛佐家礼抒 山乎茂 入而毛不取 草深 執手母不見 秋山乃 木葉乎見而者 黄葉乎婆 取而曾思努布 青乎者 置而曾歎久 曾許之恨之 秋山吾者」

この歌は、天智天皇(てんじてんのう:中大兄皇子[なかのおおえのみこ])が藤原鎌足(ふじわらのかまたり)に、春と秋とどちらが優れているかを歌で競わせた時に、額田王(ぬかたのおおきみ)が歌で意見を示したものです。

この物語の補足です。

沖田惣次郎さんと姉のおみつさん、山口一さんと姉の山口勝さんと兄の山口廣明さん、の登場する、二つの物語です。

沖田惣次郎さんは、お菓子に釣られて歌の勉強をしています。

山口一さんは兄の山口廣明さんと共に、姉の指導で着々と歌の勉強を進めています。

いろいろな出来事を重ねながら、沖田惣次郎さんと山口一さんの歌の勉強は続きます。

「秋色(しゅうりょく)」についてです。

「秋の景色。秋の気配。」の意味です。

「春色(しゅんしょく)」についてです。

「春の景色。春の気配。」の意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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