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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 立春の頃の贈り物 心もしのに君をしぞ思ふ 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

藤田五郎、藤田時尾、敬一[沖田総司の息子]、美鈴[敬一の母、沖田総司の妻]



「梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしぞ思ふ」

「万葉集 第ニ十巻 四五〇〇番」より

作者:市原王(いちはらのおおきみ)



立春を過ぎた頃。



藤田五郎と沖田総司の息子の敬一は、前の年の桜の季節に初めて逢った。



数ヶ月ほど経つと一年になる。



ここは、東京。



寒い日が続いている。



紅色の梅の花、白色の梅の花、が咲き始めた。



今日も青空が広がっている。



ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。



庭。



美鈴は微笑んで庭の手入れをしている。



縁。



敬一は座って美鈴を微笑んで見ている。



庭。



美鈴は微笑んで庭の手入れをしている。



敬一は微笑んで来た。



美鈴は庭の手入れを止めると、敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。今日は天気が良いよね。梅の花を見に一緒に出掛けよう。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「今日は時間が無いから、梅の花は別の天気の良い日に見に出掛けましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。



数日後の事。



曇り空が数日ほど続いている。



敬一と美鈴は、梅の花を見に出掛けていない。



ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。



藤田五郎、時尾、勉が、居る。



玄関。



敬一は微笑んで訪れた。



時尾は微笑んで現れた。



敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんは部屋に居るわ。」

敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます!」

時尾は敬一を微笑んで見た。



敬一は家の中に笑顔で入って行った。

時尾は家の中に微笑んでは行って行った。



僅かに後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎の部屋の前に在る縁。



敬一は笑顔で来た。



敬一は藤田五郎の部屋の中に向かって笑顔で声を掛ける。

「こんにちは! 敬一です!」



障子が普通に開いた。



藤田五郎が普通の表情で現れた。



藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



敬一は藤田五郎に笑顔で軽く礼をした。



藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



敬一は部屋の中に笑顔で入って行った。



僅かに後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎の部屋。



藤田五郎は普通に居る。

敬一は微笑んで居る。



敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。異国では、立春を過ぎた頃に、大切な人物に品物を贈る行事があると聞きました。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「二月十四日に、敬一の話す内容に該当する行事がある。俺の話す行事に該当するならば、俺の知る範囲で説明する。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんに贈り物を用意したいです。お母さんの笑顔を見る時が楽しみです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「大切な人物に品物を贈る行事ではない。敬一の話す内容の行事で、美鈴さんに贈り物を用意する相応しい人物。総司になる。」

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一から美鈴さんに感謝の印を兼ねて贈り物を用意する。敬一と美鈴さんの関係で品物を贈る行事ではないが、良い言動だ。」

敬一は藤田五郎を考えながら見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。贈り物を用意する時期は、梅の花が咲く頃ですよね。歌と梅の花を一緒に贈ると、お母さんが喜びますよね。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。手伝って欲しいです。大丈夫ですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。よろしくお願いします。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「時尾に歌と梅の花について話す。俺が居ない時は、時尾に相談しろ。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「はい!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。



夜の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



食卓の有る部屋。



藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

時尾は微笑んで居る。

食卓には、酒と肴が載っている。



藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。

「敬一が美鈴さんに歌と梅の花を贈りたいと話した。敬一から相談があった時は、いろいろと頼む。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君の贈りたい歌の内容は決まっていますか?」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「差し支えなければ、先に教えて頂いても良いですか?」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。



幾日か後の事。



二月十四日を迎えた。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



玄関。



敬一は笑顔で居る。

美鈴は微笑んで居る。



敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! 斉藤さんの家に出掛けるね!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃい。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「行ってきます!」

美鈴は敬一を微笑んで見た。



敬一は元気良く出掛けて行った。



少し後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎、時尾、勉、が居る。



藤田五郎の部屋の前に在る縁。



敬一は笑顔で来た。



敬一は藤田五郎の部屋の中に向かって笑顔で声を掛ける。

「こんにちは! 敬一です!」



障子が普通に開いた。



藤田五郎が普通の表情で現れた。



藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



敬一は藤田五郎に笑顔で軽く礼をした。



藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。



敬一は部屋の中に笑顔で入って行った。



僅かに後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎の部屋。



藤田五郎は普通に座っている。

敬一は机の前に座り、真剣な表情で筆を使い紙に歌を書いている。



敬一は字を笑顔で書き終わった。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は筆を硯に置くと、藤田五郎に笑顔で話し出す。

「歌を書き終わりました! 墨が乾いたら、次は梅の花を選びですよね!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。



少し後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎の部屋。



藤田五郎は普通に居る。

敬一は微笑んで居る。

机の上には、敬一が歌を書いた紙が載っている。



敬一は紙を持つと、紙に書いた墨の乾き具合を微笑んで確認した。

藤田五郎は敬一と紙を普通の表情で見た。

敬一は紙を持ち、藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「墨が乾きました。確認をお願いします。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に紙を微笑んで渡した。

藤田五郎は敬一から紙を受け取ると、紙に書いた墨の乾き具合を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は紙を持ち、敬一を見ると、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通の表情で紙を渡した。

敬一は藤田五郎から紙を微笑んで受け取った。



暫く後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



縁。



美鈴は沖田総司の位牌の有る部屋に向かって微笑んで歩いている。



敬一が沖田総司の位牌の有る部屋の前に有る縁に立つ姿が見えた。



美鈴は微笑んで止まった。



美鈴は敬一を微笑んで見た。



敬一は美鈴に気付かない。



美鈴は敬一に向かって微笑んで歩いた。



美鈴は敬一の傍に微笑んで来た。



美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。帰っていたのね。気付かなくてごめんね。」

敬一は美鈴を驚いた表情で見た。

美鈴は敬一を不思議な様子で見た。

敬一は美鈴に驚いた様子で話し出す。

「お母さんが居ないと思ったから、声を掛けないで家の中に入ったんだ! お母さんが気にする必要はないよ!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お父さんとゆっくりと話しなさい。」

敬一は美鈴に落ち着かない様子で話し出す。

「お母さん! ありがとう!」

美鈴は敬一を微笑んで見た。



美鈴は微笑んで居なくなった。



少し後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



沖田総司の位牌の有る部屋の前に在る縁。



美鈴は微笑んで来た。



美鈴は部屋の中の様子を微笑んで確認した。



敬一が部屋の中に居る様子は無い。



美鈴は部屋の中に微笑んで入って行った。



直後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



沖田総司の位牌の有る部屋。



美鈴は部屋の中に微笑んで入った。



美鈴は沖田総司の位牌を微笑んで見た。



沖田総司の位牌の前に、紙を紐のように巻き付けた梅の小枝が置いてある。



梅の花は良い香りを僅かに漂わせている。



梅の小枝は綺麗な花を咲かせている。



美鈴は梅の小枝を微笑んで持った。

美鈴は梅の小枝を持ち、梅の小枝に巻き付けた紙を丁寧に微笑んで取った。



紙に何か書いてある。



美鈴は梅の小枝と紙を持ち、紙に書いてある字を微笑んで読んだ。

美鈴は梅の小枝と紙を持ち、紙に書いてある字を微笑んで読み終わった。

美鈴は梅の小枝と紙を持ち、紙と梅の小枝を大事に微笑んで胸に抱いた。



直後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



敬一は食卓の前に微笑んで座っている。



敬一は庭を微笑んで見た。



日差しを受けて花や木が輝いている。



敬一は庭を笑顔で見た。



僅かに後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



敬一は食卓の前に微笑んで座っている。



美鈴は梅の小枝を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。



敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。梅の小枝に花が咲いているね。綺麗だね。」

美鈴は梅の小枝を持ち、敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は梅の小枝を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「お父さんの位牌の前に飾りたいと思っているの。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は梅の小枝を持ち、敬一を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎は、居ない。

時尾と勉は、居る。



玄関。



藤田五郎が梅の小枝と包みを持ち、普通に帰ってきた。



時尾は微笑んで現れた。



時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お帰りなさい。」

藤田五郎は梅の小枝と包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君は喜んでいましたか?」

藤田五郎は梅の小枝と包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は包みを持ち、時尾に梅の小枝を普通に渡した。

時尾は藤田五郎から梅の小枝を受け取ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「綺麗な梅です。ありがとうございます。」

藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。



翌日の事。



ここは、東京。



朝から青空が広がっている。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



敬一は、居ない。

美鈴は、居る。



沖田総司の位牌の有る部屋。



美鈴は部屋の中に微笑んで入った。



梅の花の香りが部屋の中を僅かに包んでいる。



沖田総司の位牌の前に、梅の小枝を挿した花瓶が置いてある。



美鈴は沖田総司の位牌に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。二月十四日に素敵なお歌を頂きました。とても嬉しいです。」

美鈴は沖田総司の位牌に微笑んで話し掛ける。

「“梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしぞ思ふ”。素敵なお歌です。」



梅の花の香りが僅かに強まったように感じる。



美鈴は沖田総司の位牌に微笑んで話し掛ける。

「敬一はとても良い子に育っています。今日は、敬一が帰ってきたら、梅の花を一緒に見に行きます。とても楽しみです。」



梅の花の香りが部屋の中を優しく包んだ。



美鈴は沖田総司の位牌を微笑んで見た。



玄関から元気の良い足音が聞こえた。



美鈴は部屋の外へ微笑んで出て行った。



二月十四日は、梅の花の咲く頃になる。

紅色、白色、桃色などの綺麗な梅の花が、辺りに彩を添える頃になる。

暦は春になったが、冬の寒さが続く頃になる。

温かい春を実感する日は、直ぐ近くまで来ている頃になる。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「万葉集 第ニ十巻 四五〇〇番」

「梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしぞ思ふ」

ひらがなの読み方は「うめのはな かをかぐはしみ とおけども こころもしのに きみをしぞおもふ」

作者は「市原王(いちはらのおおきみ)」

歌の意味は、「梅の花の香りの良さに、遠く離れていますけど、心はいつも、あなたさまのことを思っています。」となるそうです。

原文は「宇梅能波奈 香乎加具波之美 等保家杼母 己許母之努尓 伎美乎之曽於毛布」

この歌は、天平宝字(てんぴょうほうじ)二年二月に、中臣清麻呂(なかとみのきよまろ)の邸宅で催された宴席での歌だそうです。

「梅の花の香り」は、中臣清麻呂(なかとみのきよまろ)の人柄を表しているのではないかと考えられています。

ただ、市原王(いちはらのおおきみ)宅と中臣清麻呂(なかとみのきよまろ)宅は、どちらも平城京にあって、そんなに離れているというほどではないようです。

この物語の補足です。

藤田五郎さんと敬一君が逢ってから、初めて迎えるバレンタインの頃の物語です。

バレンタインの少し前から当日までの物語になります。

藤田五郎さんと美鈴さんが、バレンタインを知っている理由ですが、「雪月花 新撰組異聞 編 早緑月の贈り物 梅の花今咲けるごと散り過ぎず」が基になっています。

「バレンタイン」についてです。

西暦二六九年に、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑されました。

それから、この日がバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加えられ、恋人達の愛の誓いの日になりました。

ヨーロッパでは、この日を「愛の日」として花やケーキ、カード等を贈る風習があります。

女性が男性にチョコレートを贈る習慣は日本独自のものです。

1958年(昭和33年)に、東京に本社の在る会社が、新宿に在るデパートで行ったチョコレートセールが始まりです。

最初の年は、3日間で3枚しか売れなかったそうです。

「立春(りっしゅん)」についてです。

「二十四節気の一つ」です。

二月四日頃、または、その頃から「雨水(うすい)[2月18日〜2月19日頃、または、この頃から啓蟄(けいちつ)]」までの期間をいいます。

初めて春の気配が現れてくる日です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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