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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜
〜 撫子の贈り物 ゆめ花散るないやをちに咲け 〜
登場人物
沖田総司、藤田五郎、藤田時尾、藤田勉、敬一[沖田総司の息子]、
美鈴[沖田総司の妻、敬一の母]
「我が宿に 咲けるなでしこ 賄はせむ ゆめ花散るな いやをちに咲け」
「万葉集 第二十巻 四四四六番」より
作者:丹比国人(たじひのときひと)
今は秋。
ここは、東京。
暦は秋だが夏のような暑い日が続いている。
ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴が住む家。
暑さの残る日差しが、家の中を明るく照らしている。
ここは、敬一の部屋。
敬一は本を真剣な表情で読んでいる。
敬一は本を閉じると、微笑んで軽く息をはいた。
敬一は部屋を微笑んで出ていった。
ここは、縁の傍。
美鈴は微笑んで繕い物をしている。
敬一は美鈴の傍に微笑んできた。
美鈴は繕い物を止めると、敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さん。歌集を借りても良いかな?」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。お母さんに確認せずに歌集を借りて良いのよ。」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さんが揃えた歌集だから、お母さんに黙って借りられないよ。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「歌集を読み終わったら元の場所に戻してね。」
敬一は美鈴に微笑んで頷いた。
敬一は微笑んで居なくなった。
美鈴は微笑んで縫い物を始めた。
それから少し後の事。
ここは、一室。
何冊もの歌集が有る。
敬一は真剣な表情で、歌集を読んでいる。
敬一の傍には、数冊の歌集が置いてある。
敬一は歌集を丁寧に開きながら、真剣な表情で呟いた。
「決めた。」
敬一は歌集を元の場所に丁寧に戻した。
敬一は歌集を持ちながら、部屋を普通に出て行った。
それから数日後の事。
ここは、東京。
夏のような暑い日が続いている。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
玄関。
敬一は微笑んで居る。
美鈴も微笑んで居る。
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんやご家族の方に迷惑を掛けないようにね。」
敬一は美鈴に微笑んで頷いた。
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「行ってらっしゃい。」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「行ってきます。」
美鈴は敬一を微笑んで見た。
敬一は元気良く出掛けて行った。
それから少し後の事。
ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。
藤田五郎は仕事のため居ない。
時尾と勉は、居る。
敬一が訪ねている。
ここは、客間。
時尾は麦茶を微笑んで飲んでいる。
勉は麦茶を美味しそうに飲んでいる。
敬一も麦茶を美味しそうに飲んでいる。
敬一は麦茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「お母さんはいつも忙しいです。お母さんに綺麗な撫子の花を歌に添えて贈りたいと考えています。でも、贈り主は、僕ではなく、お父さんです。お父さんがお母さんに感謝を込めて、歌と撫子の花を贈り物にします。」
時尾は麦茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「美鈴さんは、敬一君が贈り主でも喜ぶと思うわ。」
敬一は麦茶を飲みながら、美鈴に微笑んで話し出す。
「撫子を詠んだ素敵な歌を見付けました。歌の意味などから考えると、贈り主は僕よりお父さんが良いと思いました。」
時尾は麦茶を飲みながら、敬一を微笑んで見た。
敬一は麦茶を飲みながら、美鈴に微笑んで話し出す。
「時尾さん。綺麗な撫子の花の咲く場所を知りませんか?」
時尾は麦茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「私の知る撫子の花が綺麗に咲く場所は、出掛ける時間を考えると、別な日が良いと思うの。敬一君の予定に間に合うのならば、明日か明後日でも良いかしら?」
敬一は時尾に微笑んで話し出す。
「はい。」
時尾は敬一を微笑んで見た。
勉は麦茶を飲みながら、時尾と敬一に笑顔で話し出す。
「なでしこ。おくりもの。えがお。たくさん。」
時尾は麦茶を飲みながら、勉に微笑んで頷いた。
敬一は麦茶を飲みながら、勉に微笑んで頷いた。
勉は麦茶を飲みながら、時尾と敬一を笑顔で見た。
それから暫く後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎は仕事を終えて帰っている。
時尾は普段どおり居る。
勉は寝ている。
敬一は既に家に帰ったので居ない。
ここは、食卓の有る部屋。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
時尾は微笑んで居る。
食卓の上には、酒と簡単な肴が載っている。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一君が、撫子の花と歌を美鈴さんに贈りたいので、私に綺麗な撫子の花が咲く場所を尋ねました。敬一君は、歌の意味などから、贈り主はお父さんだと笑顔で話しました。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「明後日に敬一君が来ます。当日に五郎さんの都合が付けば、敬一君と一緒に出掛けて頂いても良いですか?」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、東京。
月の光が辺りを照らしている。
日中は暑さを感じるが、夜になると僅かに涼しさを感じる。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋の前に在る縁。
藤田五郎は縁に座って杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
庭が明るい光に包まれた。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、庭を普通の表情で見た。
庭に季節はずれの桜の花が咲いている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、横を普通の表情で見た。
沖田総司が藤田五郎を微笑んで見ている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に寂しく話し出す。
「“我が宿に 咲けるなでしこ 賄はせむ ゆめ花散るな いやをちに咲け”。敬一が、私を贈り主にして、鈴への贈り物として選んだ歌です。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に寂しく話し出す。
「今の私は、鈴がたくさんの笑顔になるために、贈り物を渡せません。今の私は、斉藤さんに頼らなければ、鈴と敬一の傍に居られません。今の私は、夫として、父親として、何も出来ません。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。
「総司は美鈴さんに大切な贈り物を用意しただろ。」
沖田総司は藤田五郎を不思議そうに見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎を見ながら、不思議そうに考え込んだ。
藤田五郎は酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。
「明後日に敬一が家に来る。俺の都合が付けば、美鈴さんと敬一の家に出掛ける。総司を適当な時間に呼ぶ。総司は常に暇そうだから、呼ぶ時間の指定は必要ないな。」
沖田総司は藤田五郎を苦笑した表情で見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。
「俺が総司の姿を見られるようになってから、総司が忙しく過ごす様子がない。俺の勘違いならば、早く訂正しろ。」
沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「明後日を楽しみに待っています。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、庭を普通の表情で見た。
庭は元の姿に戻っている。
藤田五郎は徳利などを持つと、縁を静かに歩き出した。
それから二日後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎、時尾、勉が居る。
ここは、玄関。
敬一が元気良く訪れた。
藤田五郎は普通に現れた。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「こんにちは。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で話し出す。
「時尾と勉の代わりに俺が出掛ける。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「よろしくお願いします。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「外は暑いだろ。時尾が麦茶を用意した。麦茶を飲んでから出掛けよう。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は家の中に微笑んで入って行った。
藤田五郎は家の中に普通に入って行った。
それから暫く後の事。
ここは、少し広い野原。
藤田五郎は普通に来た。
敬一は微笑んで来た。
綺麗な撫子の花咲く姿が見える。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「綺麗な撫子の花が咲いています。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は撫子の花を笑顔で選び始めた。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
それから少し後の事。
ここは、少し広い野原。
藤田五郎は普通に居る。
敬一は数本の撫子を大事に胸に抱いている。
敬一は撫子を胸に抱きながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「撫子を摘んだので、帰ります。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「家まで送っていく。」
敬一は撫子を胸に抱きながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「陽があります。一人で帰ります。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「敬一。一人で全て用意するのは大変だろ。手伝う。」
敬一は撫子を胸に抱きながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は撫子を胸に抱きながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お母さんに気付かれずに、お父さんの部屋に入りたいと考えています。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「俺が美鈴さんと玄関で話す。敬一は玄関の様子を見て、庭などから家の中に入れ。」
敬一は撫子を胸に抱きながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は撫子を胸に抱きながら、微笑んで歩き出した。
藤田五郎は不通に歩き出した。
それから少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
玄関。
藤田五郎は普通に来た。
美鈴は微笑んで現れた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんにちは。」
藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。
「敬一と一緒に来た。敬一は家に着く少し前に、用事があるから少し送れて戻ると言って、走って居なくなった。俺は一人で来た。」
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一を送って頂いてありがとうございます。外は暑いですよね。陽は明るいですが、お酒の用意をします。家に上がって、休んでください。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
藤田五郎は家の中に普通に入って行った。
美鈴は家の中に微笑んで入って行った。
それから僅かに後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
美鈴は微笑んで来た。
藤田五郎は普通に来た。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お酒の用意をします。座ってお待ちください。」
藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。
「総司の酒と肴の用意もするのか?」
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。
「俺が一人で酒を飲むと、総司が騒ぎそうだ。総司に先に酒と肴の用意をしてくれ。」
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「分かりました。総司さんの分のお酒と肴の用意を先にします。斉藤さん。少し時間が掛かるかも知れませんが、お待ちください。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は微笑んで居なくなった。
藤田五郎は普通に座った。
それから少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
藤田五郎は普通に座っている。
ここは、沖田総司の位牌の在る部屋。
美鈴はお盆に酒と肴を乗せて、部屋の中に微笑んで入ってきた。
美鈴はお盆を持ちながら、沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。
「総司さん。今日は斉藤さんが来ています。総司さんに先にお酒を飲んで欲しいので、陽のある時間ですが用意をしました。」
沖田総司の位牌の前に、手紙と花瓶に挿した綺麗な撫子の花が置いてある。
美鈴は沖田総司の位牌の前に酒と肴を置くと、撫子を見て、微笑んで呟いた。
「綺麗な撫子の花。敬一が総司さんのために用意をしたのね。」
美鈴は手紙を微笑んで見た。
手紙の宛名は、美鈴になっている。
手紙の宛名の筆跡は、美鈴にとって見慣れた字になる。
美鈴は手紙を取ると、手紙を広げて、不思議そうに読み始めた。
「我が宿に、咲けるなでしこ、賄はせむ、ゆめ花散るな、いやをちに咲け」
手紙には、歌が一首だけ書いてある。
美鈴は手紙を大事に胸に抱えると、ゆっくりと目を閉じた。
敬一は部屋の中に静かに入った。
美鈴は手紙を胸に抱きながら、目を閉じている。
敬一は美鈴の傍に心配そうに来た。
美鈴は手紙を大事に胸に抱きながら、敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴に心配そうに話し出す。
「お母さん。何か遭ったの? 調子が悪いの?」
美鈴は手紙を大事に胸に抱きながら、敬一に微笑んで話し出す。
「お父さんから歌と綺麗な撫子の花を頂いたの。」
敬一は美鈴を心配そうに見た。
美鈴は手紙を大事に胸に大事に抱きながら、敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。お母さんは大丈夫よ。安心して。」
敬一は美鈴を安心して見た。
美鈴は沖田総司の位牌の前に手紙を置くと、沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。
「総司さん。撫子の花と手紙を預かってください。後で取りに来ます。」
敬一は美鈴を微笑んで見た。
美鈴は敬一を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤さんが来ているの。早く行きましょう。」
敬一は美鈴に微笑んで頷いた。
美鈴は部屋を微笑んで出て行った。
敬一も部屋を微笑んで出て行った。
それから僅かに後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓。
藤田五郎は普通に居る。
沖田総司は微笑んで居る。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「常に変な物を贈る総司にしては、美鈴さんに良い贈り物をしたな。」
沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「総司と敬一は、同じ歌を選んだ。一度も逢っていなくても、親子だと思った。」
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「だが、総司は贈り物の選び方と贈り物の渡し方も含めて、敬一と美鈴さんの足元にも及ばない。」
沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「鈴と敬一が部屋に来ます。私は戻ります。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「今から戻るのか? 美鈴さんと敬一と一緒に居なくて良いのか?」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「今日は、斉藤さんの時間の許す範囲で、鈴と敬一の傍に居てください。私は、斉藤さんが帰った後に、私の時間の許す範囲で、鈴と敬一の傍に居ます。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。
美鈴が部屋の中に微笑んで入ってきた。
敬一が部屋の中に微笑んで入ってきた。
藤田五郎は敬一と美鈴を普通の表情で見た。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「総司さんにお酒と肴を用意しました。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。用事は終わりました。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。お酒と肴を持ってきます。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は微笑んで居なくなった。
敬一は藤田五郎の横に微笑んで座った。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
「我が宿に、咲けるなでしこ、賄はせむ、ゆめ花散るな、いやをちに咲け」
沖田総司は、美鈴に贈り物を渡せない。
敬一は、藤田五郎と時尾の助けを受けて、美鈴に贈り物を渡した。
沖田総司が美鈴に贈ったもの。
敬一が美鈴に贈ったもの。
美鈴に贈り主の想いが更に強く伝わった。
撫子は、たくさんの優しい想いの中で、穏やかに咲き続けられると思った。
* * * * * *
ここからは後書きなります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第二十巻 四四四六番」
「我が宿に 咲けるなでしこ 賄はせむ ゆめ花散るな いやをちに咲け」
ひらがなの読み方は「わがやどに さけるなでしこ まひはせむ ゆめはなちるな いやをちにさけ」
作者は「丹比国人(たじひのときひと)」
歌の意味は「私の庭に咲いているなでしこよ。なんでも差し上げるから、決して散らないで何度も咲いてください。」となるそうです。
原文は「和我夜度尓 佐家流奈弖之故 麻比波勢牟 由米波奈知流奈 伊也乎知左家」
天平勝宝七年(西暦755年)五月十一日に、橘諸兄(たちばなのもろえ)が丹国人(たじひのときひと)の邸宅で宴をしたそうです。
この宴の席で、丹国人が呼んだ歌だそうです。
「撫子(なでしこ)」についてです。
現在の暦の6月から10月に掛けて、野原や河原などに咲きます。
「秋の七草」の一つです。
「秋の七草」は、「萩(はぎ)[→正確には、山萩(やまはぎ)]、尾花(おばな)[→薄(すすき)]、葛花(くずはな)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、朝顔(あさがお)[→いくつかの説があります。現在では、七草としていう場合は、桔梗(ききょう)となっています。]」です。
今回の物語の補足です。
掲載日(2009年8月23日)以前の「新撰組異聞」関連に、沖田総司さんと美鈴さんが一緒に暮らす物語は無いですが、沖田総司さんと美鈴さんが幕末から明治へと変わる直前に別々に暮らす物語は有ります。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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