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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜
〜 秋 七種の花 萩の花 尾花 葛花 そして 〜
〜 改訂版 〜
登場人物
近藤勇、土方歳三、沖田みつ、沖田惣次郎、
山口勝、山口廣明、山口一
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「万葉集 第八巻 一五三七番」
作者:山上憶良(やまのうえのおくら)
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」
「万葉集 第八巻 一五三八番」
作者:山上憶良(やまのうえのおくら)
今は秋。
ここは、多摩。
日中は暑さを感じるが、陽が沈むと涼しさを感じるようになってきた。
試衛館。
沖田惣次郎をはじめとする塾生達は、日々の稽古に励んでいる。
今は稽古が終わり、くつろぐ者や話す者など、思い思いに過ごしている。
近藤勇の部屋。
近藤勇は机に普通の表情で向かっている。
土方歳三は近藤勇を普通の表情で見ている。
沖田惣次郎が部屋を元気良く訪ねた。
近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。
土方歳三も沖田惣次郎を微笑んで見た。
沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。
「近藤さん。私に用事があると聞きました。」
近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「明日の朝の稽古が終わった後に、おみつさん宛ての文を届けて欲しい。文は明日の朝の稽古の終了後に渡す。長く話す場合は、泊まって良いぞ。」
沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。
「はい。」
近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。歳も部屋に呼んだ。三人で話そう。」
沖田惣次郎は近藤勇に微笑んで話し出す。
「はい。」
近藤勇は沖田惣次郎と土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。秋の七草を知っているか?」
沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「念のために、秋の七草を言ってくれ。」
沖田惣次郎は土方歳三に自慢した様子で話し出す。
「萩、薄、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗。以上です。」
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「正解だ。」
沖田惣次郎は土方歳三を自慢して見た。
土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。
「惣次郎が完璧に答えた。珍しい。」
沖田惣次郎は土方歳三に拗ねて話し出す。
「土方さん〜 酷いです〜」
土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。
近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を微笑んで見た。
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。今の歌を知っているか?」
沖田惣次郎は土方歳三に不思議な様子で話し出す。
「土方さんの話した内容は歌ですか?」
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「作者は、“山上憶良”。掲載は、“万葉集”。秋の野に咲く花を詠んだ歌だ。」
沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。
「秋の七草は、万葉集に掲載する歌が基になっていたのですね。」
近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。歳が詠んだ歌は、おみつさんが惣次郎に既に説明済みらしい。」
沖田惣次郎は近藤勇を苦笑して見た。
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。秋の七草を覚えているならば、俺が説明した歌を復唱しろ。」
沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。
「“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花”。」
土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。
沖田惣次郎は土方歳三を苦笑して見た。
土方歳三は沖田惣次郎を苦笑して見た。
沖田惣次郎は近藤勇を真剣な表情で見た。
近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。
沖田惣次郎は土方歳三に苦笑して話し出す。
「“をみなえし また藤袴 朝顔の花”。以上です。」
近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。何故、途中で止まった?」
沖田惣次郎は近藤勇に苦笑して話し出す。
「歌に関する内容なので、緊張してしまいました。」
土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。
近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を微笑んで見た。
土方歳三は沖田惣次郎を見ると、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。秋の七草について詠んだ歌は、二首で構成している。残り一首を知っているか?」
沖田惣次郎は土方歳三に考えながら話し出す。
「分かりません。」
土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「残り一首は、機会があれば、誰かが教えてくれると思う。今回は、俺が説明した歌を覚えよう。」
沖田惣次郎は土方歳三を苦笑して見た。
土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。
翌日の事。
ここは、多摩。
沖田惣次郎の姉の沖田みつの住む家。
一室。
沖田みつは微笑んで居る。
沖田惣次郎も微笑んで居る。
沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。
「近藤さんから姉さん宛の文を預かりました。」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。文を届けてくれてありがとう。」
沖田惣次郎は懐から文を取り出すと、沖田みつに文を微笑んで渡した。
沖田みつは沖田惣次郎から文を微笑んで受け取った。
沖田惣次郎は沖田みつを微笑んで見た。
沖田みつは文を持ち、文を微笑んで読み始めた。
沖田惣次郎は沖田みつを微笑んで見ている。
沖田みつは文を持ち、文を渋い表情で読み始めた。
沖田惣次郎は沖田みつを不思議な様子で見た。
沖田みつは文を持ち、文を渋い表情で読み終わった。
沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。
「姉さん。何かありましたか?」
沖田みつは文を前に置くと、沖田惣次郎を見て、沖田惣次郎に渋い表情で話し出す。
「惣次郎。秋の七草を詠んだ歌は、説明済みよね。」
沖田惣次郎は沖田みつを僅かに驚いた表情で見た。
沖田みつは沖田惣次郎に渋い表情で話し出す。
「惣次郎。もしかして、忘れたの?」
沖田惣次郎は沖田みつに慌てて話し出す。
「覚えています!」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。直ぐに歌を詠んで。」
沖田惣次郎は沖田みつに緊張して話し出す。
「萩の花、尾花、葛の花、撫子の花、女郎花の花、藤袴の花、朝顔の花。以上です。」
沖田みつは沖田惣次郎に渋い表情で話し出す。
「惣次郎。今は秋の七草を話しただけよ。早く歌を詠みなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつに緊張して話し出す。
「はい。」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。返事は良いから早く歌を詠みなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつに緊張した様子で話し出す。
「“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。以上です。」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。正しく歌を詠んだわ。」
沖田惣次郎は沖田みつを安心して見た。
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。何故、間違えたの?」
沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。
「姉さんの前で緊張したからです。」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。歌を完璧に覚えていないから、緊張するのよ。」
沖田惣次郎は沖田みつを緊張して見た。
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。万葉集には、秋の七草を詠んだ歌は二首あるの。今回は、二首共に全て覚えるまで、家で過ごしなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつに苦笑して話し出す。
「姉さん。私は剣術の稽古をしなければなりません。」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「稽古嫌いの噂のある惣次郎から、稽古への前向きな話が聞けて嬉しいわ。家でも稽古は出来るわ。歌を安心して覚えなさい。試衛館で早く稽古をしたいのならば、一日で歌を覚えなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつを苦笑して見た。
沖田みつは沖田惣次郎に真剣な表情で話し出す。
「沖田家も、私も、惣次郎が剣術に関する天才的な能力を讃えられる言動は嬉しいわ。だけど、惣次郎は私の教えた歌を直ぐに忘れるわ。近藤さんや土方さんに会う時に、恥ずかしく感じる時があるわ。」
沖田惣次郎は沖田みつに苦笑して話し出す。
「姉さん。深く考えないでください。」
沖田みつは沖田惣次郎に真剣な表情で話し出す。
「私が深く考えないように、惣次郎は深く考えなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつを苦笑して見た。
沖田みつは沖田惣次郎に真剣な表情で話し出す。
「惣次郎。秋の七草を詠んだ歌について、家で勉強したい? 秋の七草を詠んだ歌について勉強せずに、試衛館に直ぐに戻り稽古に励みたい? 私に遠慮せずに返事をしなさい。」
沖田惣次郎は沖田みつに小さい声で話し出す。
「秋の七草を詠んだ歌について、家で勉強させてください。」
沖田みつは沖田惣次郎に大きな声で話し出す。
「惣次郎! 声が小さい!」
沖田惣次郎は沖田みつに大きな声で話し出す。
「秋に七草を詠んだ歌について、家で勉強させてください!」
沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。
「惣次郎。立派な内容の返事を聞けたわ。嬉しいわ。」
沖田惣次郎は沖田みつを苦笑して見た。
沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。
翌日の事。
ここは、江戸。
日中は暑さを感じるが、陽が沈むと涼しさを感じるようになってきた。
山口一、兄の山口廣明、一番年上で姉の山口勝の住む家。
山口勝の部屋。
山口勝は微笑んで居る。
山口廣明も微笑んで居る。
山口一は普通に居る。
机の上には、七枚の紙が置いてある。
山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。
「以前に、万葉集に掲載している秋の七草を詠んだ二首の歌について説明したわね。」
山口廣明は山口勝に微笑んで頷いた。
山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。
山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。
「廣明は、作者の名前を答えた後に、秋の七草を詠んだ一首目を詠んで。一は、万葉集に掲載している巻数を答えた後に、秋の七草を詠んだ二首目を詠んで。」
山口廣明は山口勝に微笑んで話し出す。
「作者は、二首共に“山上憶良”。一首目は、“秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花”。」
山口一は山口勝に普通に話し出す。
「掲載している巻数は、二首共に、“第八巻”。二首目は、“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。」
山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。
「廣明。一。二人共に正解よ。」
山口廣明は山口勝を微笑んで見た。
山口一は山口勝を普通の表情で見た。
山口勝は山口廣明と山口一に微笑んで話し出す。
「廣明。一。今日は歌の話は終わりよ。」
山口廣明は山口勝を微笑んで見た。
山口一は山口勝に普通の表情で軽く礼をした。
山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。
「庭で剣術の稽古を行おう。」
山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。
山口勝は山口廣明と山口一を微笑んで見た。
山口廣明は部屋を微笑んで出て行った。
山口一は部屋を普通に出て行った。
山口勝は机から七枚の紙を取ると、山口勝の前に微笑んで並べた。
並べて置いた七枚の紙には、萩の花、薄、葛の花、撫子の花、女郎花の花、藤袴の花、桔梗の花、の押花が、一枚ずつの紙に貼ってある。
山口勝は押花の秋の七草を見ながら、微笑んで呟いた。
「“秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花”。“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。」
同じ頃。
ここは、多摩。
日中は暑さを感じるが、陽が沈むと涼しさを感じるようになってきた。
沖田惣次郎は疲れた様子でゆっくりと歩いている。
微かに風が吹いた。
沖田惣次郎は立ち止まると、空を疲れた様子で見た。
青空が広がっている。
沖田惣次郎は空を見ながら、疲れた様子で呟いた。
「“秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花”。“萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花”。今回も正しく詠めた。」
微かに風が吹いた。
沖田惣次郎は空を見ながら、疲れた様子で呟いた。
「疲れたな。寄り道せずに試衛館に戻っても、稽古が中途半端になるな。」
微かに風が吹いた。
沖田惣次郎は視線を戻すと、笑顔で声を出す。
「私は疲れている! 木陰で休んで元気を取り戻そう! 剣術のためにも、歌の勉強のためにも、一番良い方法だ!」
微かに風が吹いた。
沖田惣次郎は元気良く走り出した。
僅かに後の事。
ここは、江戸。
山口勝、山口廣明、山口一の住む家。
庭。
山口廣明は竹刀を構えて、山口一を真剣な表情で見ている。
山口一は竹刀を構えて、山口廣明を普通の表情で見ている。
山口廣明は山口一に向かって真剣な表情で竹刀を打ち込んだ。
山口一は山口廣明の竹刀を普通の表情で受けた。
山口廣明は山口一の竹刀を真剣な表情で押した。
山口一は山口廣明の竹刀を普通の表情で押した。
山口廣明と山口一の鍔迫り合いが始まった。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」
沖田惣次郎は、後の新撰組一番組組長 沖田総司。
山口一は、後の新撰組三番組組長 斉藤一。
沖田惣次郎にとっても、山口一にとっても、穏やかな時間の中で起きた秋の七草を巡る出来事になる。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
この物語に登場する歌は、二首あります。
一首目は「万葉集 第八巻 一五三七番」
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
ひらがなの読み方は「あきののに さきたるはなを およびおり かきかぞふれば ななくさのはな」
作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」
歌の意味は「秋の野に咲いている花を、指折り数えてみると、七種類になります。」となるそうです。
原文は「秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花」
二首目は「万葉集 第八巻 一五三八番」
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなえし また藤袴 朝顔の花」
ひらがなの読み方は、「はぎのはな をばな くずはな なでしこのはな をみなえし またふぢばかま あさがほのはな」
作者は「山上憶良(やまのうえのおくら)」
歌の意味は「(七種類の花というのは)、萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、そして、藤袴、朝顔の花」となるそうです。
原文は「芽之花 乎花 葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花」
秋の花を詠み上げた歌です。
この歌に登場する植物は、「秋の七草(あきのななくさ)」として有名です。
「秋の七草」を詠んだ歌は、「万葉集 第八巻 一五三七番」と「万葉集 第八巻 一五三八番」の連続した二首で構成しています。
「秋の七草」についてです。
現在では主に鑑賞を目的として親しまれています。
「撫子(なでしこ)」は、夏の季語ですが、他の六種類は、秋の季語です。
「萩」は、マメ科の落葉低木の総称です。
現在の暦で、6月〜10月頃に花が咲きます。
万葉集の「萩」は、「山萩(やまはぎ)」を差しているといわれています。
「尾花」は、イネ科の多年草です。
「薄(すすき)」の名前でも知られています。
現在の暦で、9月〜10月頃に花が咲きます。
「葛(くず)」は、マメ科の蔓性の多年草です。
現在の暦で、8月〜9月頃に花が咲きます。
「撫子」は、ナデシコ科の多年草です。
現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。
「女郎花」は、オミナエシ科の多年草です。
現在の暦で、7月〜10頃に花が咲きます。
「藤袴」は、キク科の多年草です。
現在の暦で、10月〜11月頃に花が咲きます。
「朝顔」は、万葉集では朝に綺麗に咲く花として詠まれています。
「桔梗(ききょう)」、「槿(むくげ)」、「昼顔(ひるがお)」とする説があります。
「秋の七草」の「朝顔」は、「桔梗」として紹介している事が多いです。
今回の物語でも「桔梗」として登場しています。
「桔梗」は、キキョウ科の多年草です。
現在の暦で、6月〜8月頃に花が咲きます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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