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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 梅見月の夢 花 香ににほひける 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

近藤勇、沖田みつ、沖田惣次郎、

山口勝、山口一、




「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」

「小倉百人一首 三十五番」、及び、「古今集」

作者:紀貫之(きのつらゆき)




今は春。



ここは、多摩。



天気の良い日は、寒さの中に僅かに暖かさを感じるようになった。



今日は暖かい日となっている。



ここは、試衛館。



沖田惣次郎をはじめとした塾生達が日々の稽古に励んでいる。



今は、稽古が終わり、塾生達は様々にくつろいでいる。



近藤勇の部屋。



近藤勇は机に普通に向かっている。



沖田惣次郎が部屋を笑顔で訪れた。



近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 私に用事があると聞きました!」

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「おみつさんが惣次郎に用事があるそうだ。外出する用事ならば、稽古を調整する。おみつさんには、私や稽古を含めて気兼ねせずに返事をして構わない。」

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「はい!」

近藤勇は沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇を笑顔で見た。



翌日の事。



ここは、多摩。



沖田惣次郎の姉の沖田みつの住む家。



一室。



沖田みつは微笑んで居る。

沖田惣次郎は笑顔で居る。



沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「近藤さんから、姉さんが私に用事があると聞きました! 近藤さんが、外出する用事ならば、稽古の調整をすると話しました! 遠慮せずに用事を教えてください!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「梅の花の咲く季節が近付いているわ。向島に梅見に行きたいと思っているの。梅の花の見頃に合わせて行くから、今は予定の日は未定になるわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。

「私が梅見の相手で良いのですか?」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎は強いわ。惣次郎の同行があれば、安心だわ。梅見の当日は、お弁当を用意したいと思っているの。梅見を楽しみながら、お弁当を食べたいと思っているの。梅見の最中か梅見の帰りに、お団子を食べたいと思っているの。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「私は大丈夫です! 姉さんの梅見の相手を務めさせてください!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。頼りにしているわよ。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「任せてください!」

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつを笑顔で見た。



幾日か後の事。



ここは、江戸の町。



青空が広がっている。



向島。



たくさんの梅の花が綺麗に咲く場所。



紅梅と白梅が辺りを彩っている。



たくさんの人達が梅見のために訪れている。



沖田みつは梅を微笑んで見ている。

沖田惣次郎は辺りを笑顔で見ている。



沖田みつは沖田惣次郎を見ると、沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。綺麗ね。」

沖田惣次郎は沖田みつを見ると、沖田みつに笑顔で話し出す。

「はい!」

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「姉さん! お弁当は何時に食べますか?! 団子は何時に食べますか?!」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。お弁当は少し後に食べましょう。お団子は食後の様子を確認して決めましょう。」

沖田惣次郎は沖田みつを残念な様子で見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。お団子はたくさん食べて良いわ。元気を出しなさい。」

沖田惣次郎は沖田みつを笑顔で見た。

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は辺りを笑顔で見た。



青空の下で白梅と紅梅が透き通るように咲いている。



沖田惣次郎は沖田みつを見て、沖田みつに笑顔で話し出そうとした。



沖田みつの姿が見えない。



沖田惣次郎は辺りを慌てて見た。



沖田みつの姿が見えない。



たくさん居た人達の姿も見当たらない。



沖田惣次郎は辺りを見ながら、辺りに向かって困惑して声を出した。

「姉さん。何処に居るのですか?」



沖田みつの姿の確認できない。

沖田みつの声も確認できない。



沖田惣次郎は辺りを見ながら、不安な様子で呟いた。

「何か遭ったのかな?」



沖田惣次郎の後ろから、沖田惣次郎の聞き慣れない少年の声が聞こえた。

「何も起きていないよ。」



沖田惣次郎は後ろを僅かに驚いた表情で見た。



人の姿は見えない。



沖田惣次郎の横から、沖田惣次郎の聞き慣れない少年の声が聞こえた。

「真っ直ぐ前に植わる見頃の梅の下に居る女性。お兄さんのお姉さんだよね。」



沖田惣次郎は真っ直ぐ前を僅かに慌てて見た。



真っ直ぐ前の見頃の白梅の下。



沖田みつが辺りを心配して見ている。



沖田惣次郎は辺りを見ながら、笑顔で声を出す。

「姉さんの場所を教えてくれてありがとう!」



沖田惣次郎の横から、沖田惣次郎の聞き慣れない少年の声が聞こえた。

「どういたしまして。」



沖田惣次郎は沖田みつに向かって笑顔で歩き出した。



沖田惣次郎の傍に、沖田みつの穏やかな声が聞こえた。

「惣次郎。今は暖かいけれど、長く寝ていたら風邪をひくわよ。」



沖田惣次郎はゆっくりと目を開けた。



ここは、多摩。



沖田みつの住む家。



一室。



沖田惣次郎は横になっている。



沖田惣次郎に掛け布団が掛けてある。



沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見ている。



沖田惣次郎はゆっくりと起きた。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎が寝ていたから布団を掛けたの。」

沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。

「姉さん。弁当を食べていません。団子を食べていません。早く食べたいです。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「向島の梅見の最中に、お弁当を食べる内容を話したわ。向島の梅見の最中か向島の梅見の帰りに、お団子を食べる内容を話したわ。今日は、お弁当とお団子を用意した内容は話していないわ。」

沖田惣次郎は沖田みつを残念な様子で見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。夢の中で、誰かがお弁当とお団子を食べる内容を話していたの?」

沖田惣次郎は沖田みつに微笑んで話し出す。

「向島に梅見に行きました。青空の下で紅梅と白梅がたくさん咲いていました。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。夢の中で梅見に行く程に風流を理解したのね。成長したのね。」

沖田惣次郎は沖田みつに残念な様子で話し出す。

「梅見に行きましたが、団子も弁当も、食べられませんでした。青空の下で、弁当も団子も、食べられませんでした。青空の下で食べる弁当は美味しいですよね。団子をたくさん食べたかったです。」

沖田みつは沖田惣次郎を苦笑して見た。

沖田惣次郎は沖田みつを見ながら、残念な様子でため息をついた。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「向島に梅見に行く日は、お団子をたくさん食べて良いのよ。向島に梅見に行く日は、惣次郎の好みのお弁当を用意するわ。元気を出しなさい。」

沖田惣次郎は沖田みつに笑顔で話し出す。

「はい!」

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は沖田みつを笑顔で見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。小倉百人一首の中に、梅の花が登場する歌があるの。以前に教えたから覚えているわよね。」

沖田惣次郎は沖田みつに不思議な様子で話し出す。

「小倉百人一首の中に、梅の花の言葉の登場する歌がありましたか?」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「梅の花の言葉で詠んだ歌は無いわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに納得のいかない様子で話し出す。

「姉さん酷いです。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎には、小倉百人一首に選ばれた梅の花が登場する歌を教えているわ。酷くないわ。」

沖田惣次郎は沖田みつを考えながら見た。

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。小倉百人一首に選ばれた梅の花が登場する歌を忘れているのね。私の教える方法が甘かった証拠ね。今回は、小倉百人一首に選ばれた梅の花が登場する歌について、徹底的に教えるわ。」

沖田惣次郎は沖田みつに苦笑して話し出す。

「私は剣術の稽古で忙しいです。遠慮させてください。」

沖田みつは沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「剣術の技術を高める行為は大事だけど、風流を理解する気持ちを高める行為も大事よ。遠慮は許さないわ。」

沖田惣次郎は沖田みつを苦笑して見た。

沖田みつは沖田惣次郎を微笑んで見た。



直後の事。



ここは、江戸の町。



暖かい気候となっている。



山口一と姉の山口勝の住む家。



山口一の部屋。



山口一は布団を掛けて横になって寝ている。



山口一の元に、山口勝の心配な様子の声が聞こえてきた。

「一。大丈夫?」



山口一は横になって、直ぐに目を開けた。



山口勝は山口一を心配して見ている。



山口一は普通に起きた。



山口勝は山口一を心配して見ている。

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「眠くなった。今日は暖かいけれど、念のために、布団を掛けて寝た。調子は悪くない。安心して良いよ。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「さすが。一。しっかりと状況判断をしてから寝たのね。心配の必要は無かったのね。」

山口一は山口勝を普通の表情で見た。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「もしかして夢を見たの?」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「以前に逢った男の子が少し成長した姿になっていた。男の子は姉と共に向島に梅見に来ていた。男の子が姉の姿を見失って慌てていたから、居場所を教えた。男の子は笑顔で礼を言った。男の子は元気良く居なくなった。」

山口勝は山口一に不思議な様子で話し出す。

「惣次郎君が夢の中に現れたの?」

山口一は山口勝に普通の表情で話し出す。

「夢には続きがある。姉の住む家らしい一室で、男の子と姉が、梅の花が登場する小倉百人一首の歌について話していた。男の子は梅の花が登場する小倉百人一首の歌を答えられずに困っていた。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は惣次郎君に歌を教えなかったの?」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「俺は近くに居ないから教えられない。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「一は小倉百人一首に選ばれた梅の花が登場する歌を答えられる?」

山口一は山口勝に普通に話し出す。

「“小倉百人一首 五十三番”。出典基は、“古今集”。“人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける”。」

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「全て正解よ。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「梅の花の見頃になったら、向島に梅見に行きたいな。一も一緒に梅見に行ってくれる?」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口勝に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。

山口勝は山口一に微笑んで話し出す。

「お団子を買ってきたの。一には甘くないお団子を買ったわ。みんなでお団子を食べましょう。」

山口一は山口勝に普通の表情で頷いた。



「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」

多摩に住む沖田惣次郎。

江戸に住む山口一。

梅の花の香りが、昔の時間ではなく、未来の時間に、不思議な出来事を届けた。

沖田惣次郎と山口一は、離れた場所で住んでいるが、不思議な繋がりは続いている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 三十五番」、及び、「古今集」

「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」

ひらがなの読み方は「ひとはいささ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける」

作者は「紀貫之(きのつらゆき)」

歌の意味は「いったいあなたはどうなんでしょうね。人の心なんてわからないものですよ。それでもふるさとの梅の花だけが、昔のまま同じ香りで匂っているのですね。」となるそうです。

古今集の詞書によれば、この歌の「花」は、「梅の花」だそうです。

詞書を伴わない小倉百人一首の歌は、必ずしも梅の花と解釈や考える必要がないそうです。

古今集の詞書によれば、この歌の「人」は、作者が宿った「家のあるじ」を差しているそうです。

「紀貫之」は、三十六歌仙の一人です。

この物語に登場する梅の花が咲く場所についてです。

「向島百花園」を想定して書きました。

「向島百花園」の歴史を簡単ですが説明します。

「向島百花園」は、江戸時代の文化・文政期(1804年〜1830年)に造られた庭園だそうです。

文化・文政期は、江戸の町人文化が花開いたなどと表現される時代です。

骨董商を営んでいた方が造られた庭園だそうです。

開園当初は360本の梅が主体の庭園だったそうです。

旗本の元屋敷跡に、花の咲く草花鑑賞を中心とした民営の花園を造って開園したそうです。

昭和十三年(1938年)まで民営の百花園だったそうです。

昭和十三年(1938年)十月に、最後の所有者の方が東京市に寄付したそうです。

昭和十四年(1939年)七月に、東京市が有料で制限公開を開始したそうです。

この後の経過や出来事については割愛させて頂きます。

「梅見(うめみ)」についてです。

「梅の花を見て楽しむ事」です。

「梅見月(うめみづき)」についてです。

「陰暦二月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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