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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 花菖蒲の咲く頃 雲居にまがふ 沖津白波 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、藤田五郎、藤田時尾、藤田勉、

敬一[沖田総司の息子]、美鈴[沖田総司の妻、敬一の母]




「わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波」

「小倉百人一首 七十六番」、及び、「詞花集」

作者:法性寺入道前関白太政大臣

  (ほうしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん)」




今は夏。



ここは、東京。



花菖蒲が綺麗に咲く時期になった。



今日は曇り空になっている。



ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



縁の傍。



美鈴は微笑んで縫い物をしている。



敬一は微笑んで来た。



美鈴は縫い物を止めると、敬一を微笑んで見た。



敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。花菖蒲が咲き始めたね。天気の落ち着いている日に、花菖蒲を見に行こうよ。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。斉藤さんの家に行く時間が近付いているわよね。敬一を玄関で見送りたいの。斉藤さんの家に行く時は、お母さんに声を掛けてね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。



藤田五郎の部屋。



藤田五郎は麦茶を普通の表情で飲んでいる。

敬一は麦茶を笑顔で美味しく飲んでいる。



敬一は麦茶を笑顔で飲み終わった。

藤田五郎は麦茶を普通の表情で飲み終わった。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「ご馳走様でした!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。麦茶を美味しく飲んでいた。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「時尾さんの淹れる麦茶は美味しいです!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「時尾が知ったら喜ぶ。時尾に伝える。」

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に慌てて話し出す。

「お母さんの淹れる麦茶も美味しいです!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「慌てて話す内容に該当しない。」

敬一は藤田五郎に恥ずかく話し出す。

「お母さんの淹れる麦茶も美味しいです。お母さんを褒めていないので焦ってしまいました。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「焦って話さなくても、想いは伝わる。安心しろ。」

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。話題を変える。時尾が花菖蒲を譲ってもらう家が在る。今日は雨が降っていない。少し経ったら、花菖蒲を受け取りに行く。共に行くか?」

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「時尾さんと勉君も、一緒に行くのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が家に残る場合。時尾が一人で行って、俺と勉は、留守番になる。敬一も共に行く場合。俺も時尾も勉も、共に行く。全員で行く場合。時尾は一人で花菖蒲を受け取り、俺と勉と敬一は、近くで待つ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと時尾さんにとって、都合の良い方法でお願いします。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺と時尾は、敬一の考えに任せる。勉は、全ての方法で敬一の傍に居られるから喜ぶ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「全員で行く方法を選びたいです。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、時尾が花菖蒲を受け取る約束をした家。



家の傍。



藤田五郎は普通に居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。



敬一は勉に微笑んで話し出す。

「時尾さんの受け取る花菖蒲の種類は何かな? 楽しみだね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「たのしみ。」

藤田五郎は敬一と勉を普通の表情で見た。



時尾が花菖蒲を抱えて、微笑んで来た。



藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

勉は時尾を笑顔で見た。

敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾は花菖蒲を抱えて、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「遅くなりました。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さんは遅くないです。大丈夫です。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おそい。ない。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は花菖蒲を抱えて、藤田五郎、勉、敬一を微笑んで見た。

敬一は花菖蒲を微笑んで見た。



白色の花菖蒲が咲いている。



敬一は花菖蒲を見ながら、時尾に微笑んで話し出す。

「白色の綺麗な花菖蒲ですね。」

勉は花菖蒲を見ると、時尾に笑顔で話し出す。

「きれい。」

時尾は花菖蒲を抱えて、敬一と勉に微笑んで話し出す。

「花菖蒲の名前。“沖津白波”、というの。沖、津、白、波、と書くの。」

敬一は花菖蒲を見ながら、微笑んで呟いた。

「“沖津白波”。」

勉は敬一を見ると、敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。にる。」

敬一は勉を見ると、勉に笑顔で話し出す。

「僕は沖津白波に似ているんだ!」

勉は敬一に笑顔で頷いた。

敬一は勉に笑顔で話し出す。

「勉君! ありがとう!」

勉は敬一に笑顔で頷いた。

時尾は花菖蒲を抱えて、敬一と勉を微笑んで見た。

藤田五郎は、時尾、勉、敬一に普通に話し出す。

「家に帰る。帰る途中や家で、続きを話せ。」

時尾は花菖蒲を抱えて、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

勉は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「いえ。かえる。つづき。はなす。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は、時尾、勉、敬一を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



沖田総司の位牌の在る部屋。



沖田総司の位牌の前には、花菖蒲の“沖津白波”を挿した花瓶が置いてある。



敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。



敬一は沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。

「お父さん。花菖蒲の名前は、“沖津白波”、だよ。綺麗だよね。斉藤さんと時尾さんが、“沖津白波”分けてくれたんだ。お母さんの部屋に飾る予定だけど、お父さんに見てもらいたくて、先に持ってきたんだ。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴を見ると、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。“沖津白波”を以前に見せてくれたよね。お父さんは“沖津白波”に似ていると話したよね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は“沖津白波”を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お父さんは、“沖津白波”を見た時に、お母さんに似ている花菖蒲だと話したの。とても嬉しかったわ。」

敬一は美鈴を見ると、美鈴に微笑んで話し出す。

「勉君が、“沖津白波”を見て、僕に似ている花菖蒲だと話したんだ。とても嬉しかったよ。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「“沖津白波”は、お父さん、お母さん、僕、三人に似ているんだ。とても嬉しいな。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんもとても嬉しいわ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。“沖津白波”の一部の同じ言葉を詠んだ歌が、小倉百人一首に撰ばれているよね。お母さんと話す間に、お父さんとお母さんに、小倉百人一首の歌を添えて“沖津白波”を贈れば良かったと思ったんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「次に“沖津白波”を分けてもらえる機会があった時を楽しみに待っているわ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は“沖津白波”を笑顔で見た。

美鈴は“沖津白波”を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、東京。



ぼんやりとした月の明かりが見える。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎の部屋。



机には花菖蒲の“沖津白波”を挿した花瓶が置いてある。



藤田五郎は普通の表情で居る。



部屋の中が穏やかな雰囲気に包まれた。



藤田五郎は障子を普通に開けた。



庭には、季節はずれの桜が満開になって咲いている。



藤田五郎は横を普通の表情で見た。



沖田総司は藤田五郎を笑顔で見ている。



藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。今晩は。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。花菖蒲の“沖津白波”を部屋に飾っていますね。私が傍に居ないから寂しいのですね。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「私の勘は当たっているのですね〜 嬉しいです〜」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「“沖津白波”を見た時に、最初に思った。」

沖田総司は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「詳細な内容を話す。“沖津白波”を見た時に、最初に思った内容は、歌だった。」

沖田総司は藤田五郎を複雑な表情で見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「“小倉百人一首 七十六番”。“わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波”。総司。知っているだろ。」

沖田総司は藤田五郎を複雑な表情で見ている。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「以上だ。」

沖田総司は藤田五郎を拗ねて見た。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎を見ながら、寂しく軽く息をはいた。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と共に居る理由。面白い。」

沖田総司は藤田五郎を嬉しく見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「という言葉で表現するのが近い。」

沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「以上だ。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「私は斉藤さんと一緒に居ると、楽しいし、嬉しいです。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「という言葉で表現するのが近いです。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「以上です。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「同じ言葉を繰り返す。回数が多すぎる。面白くない。」

沖田総司は藤田五郎を残念な様子で見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。精進しろ。」

沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。

「分かりました。」

藤田五郎は総司に普通に話し出す。

「総司。精進して、俺を楽しませろ。」

沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。

「分かりました。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。



「わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波」

花菖蒲の“沖津白波”。

沖田総司、美鈴、敬一に似る花菖蒲になる。

藤田五郎が、“沖津白波”を見て思い出した小倉百人一首の一部の言葉と同じ花菖蒲になる。

藤田五郎が、“沖津白波”を見て、歌を思い出した理由は何か。

答えは、誰にも分からない。

花菖蒲の季節は、様々な答えを考えながら過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「小倉百人一首 七十六番」、及び、「詞花集」

「わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波」

ひらがなの読み方は「わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ」

作者は「法性寺入道前関白太政大臣(ほうしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん)」

歌の意味は「大海原に船を漕ぎ出して見渡してみると、雲と見間違えるばかりに沖に白波が立っています。」となるそうです。

作者の名前の「法性寺入道前関白太政大臣」は、寺の名前や状況や官職や身分などを表しています。

その関係から「藤原忠通(ふじわらのただみち)」として説明する時もあります。

この作者の名前は「法性寺入道前関白太政大臣」とさせて頂きます。

「花菖蒲(はなしょうぶ)」の「沖津白波(おきつしらなみ)」についてです。

花菖蒲なので、アヤメ科です。

江戸系です。

江戸系の花菖蒲の古種の一つです。

作出者・作出年の詳細については、確認がとれませんでした。

「純白六英中小輪、野生種に近い単純な花びら」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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