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〜 雪月花 新撰組異聞外伝 編 〜


〜 小雪から大雪の頃 冬ぞさびしさ 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

藤田五郎、藤田時尾、藤田勉、敬一[沖田総司の息子]、美鈴[敬一の母、沖田総司の妻]




「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

「小倉百人一首 二十八番」、及び、「古今集」、より

作者:源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)




一年の終わりの月の近付く頃。



ここは、東京。



一日を通して寒さを感じる時間が多い。



ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。



敬一の部屋。



敬一は本を真剣な表情で読んでいる。



部屋の外から、美鈴の穏やかな声が聞こえた。

「敬一。お茶の用意が出来たの。」



敬一は本を読むのを微笑んで止めた。



敬一は部屋の外に微笑んで出て行った。



直後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



敬一の部屋の前に在る縁。



美鈴は微笑んで居る。



敬一は部屋の外に微笑んで出てきた。



美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。勉強の邪魔をしてご免ね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕からお茶の用意を頼んだよね。気にしないで。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。今は寒い時間が増えているよね。屋内で続きを話そう。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。



敬一は微笑んで歩き出した。

美鈴は微笑んで歩き出した。



僅かに後の事。



ここは、敬一と美鈴の住む家。



食卓の有る部屋。



敬一は焙じ茶を笑顔で美味しく飲んでいる。

美鈴は焙じ茶を微笑んで飲んでいる。



敬一は焙じ茶を飲みながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。近い内に、斉藤さんの家に行くね。」

美鈴は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんとご家族に、迷惑を掛けないようにね。気を付けて出掛けてね。」

敬一は焙じ茶を飲みながら、美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は焙じ茶を飲みながら、敬一を微笑んで見た。



数日後の事。



ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。



藤田五郎は、外出のために居ない。

時尾と勉は、居る。



玄関。



敬一は微笑んで訪ねた。



時尾は微笑んで来た。

勉は笑顔で来た。



敬一は時尾と勉に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「こんにちは。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。居ますか?」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんは外出中なの。」

敬一は時尾を残念な様子で見た。

時尾は敬一に申し訳なく話し出す。

「五郎さんは敬一君と約束しているのに外出してしまったのね。ご免なさい。」

敬一は時尾に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さんと約束していません。斉藤さんが家に居たら話したいと思って質問しました。気にしないでください。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。お茶を用意するわ。家に上がって。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

時尾は敬一を微笑んで見た。



勉は家の中に笑顔で入って行った。

敬一は家の中に微笑んで入って行った。

時尾は家の中に微笑んで入って行った。



少し後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



食卓の有る部屋。



時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。

食卓には、焙じ茶が載っている。



敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「勉君と遊びたいです。大丈夫ですか?」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「大丈夫よ。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。一緒に遊ぼう。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「あそぼ。いっしょ。」

敬一は勉を微笑んで見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。家に来てから時間が経っていないわ。お茶を飲んで休んで。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。遊ぶ前にお茶を飲みましょう。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おちゃ。あそぶ。まえ。のむ。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「いただきます。」

時尾は勉と敬一に微笑んで頷いた。

敬一は焙じ茶を笑顔で美味しく飲んだ。

勉も焙じ茶を笑顔で美味しく飲んだ。

時尾は勉と敬一を見ながら、焙じ茶を微笑んで飲んだ。



暫く後の事。



ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。



藤田五郎は、外出のために居ない。

時尾と勉は、居る。

敬一も、居る。



玄関。



藤田五郎が普通に帰ってきた。



時尾は微笑んで来た。

敬一も微笑んで来た。

勉は笑顔で来た。



時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。お帰りなさい。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。お帰りなさい。」

勉は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「おかえり。」

藤田五郎は、時尾、勉、敬一に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。敬一君が五郎さんと一緒に話したいそうです。」

敬一は藤田五郎と時尾を僅かに驚いて見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。帰る時間は近付いているのか?」

敬一は藤田五郎に僅かに慌てて話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「家まで送る。帰る途中で話せ。」

敬一は藤田五郎と時尾に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さん。帰った直後です。少し休んでください。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。予定より早い時間に帰ってきました。敬一君も五郎さんを気遣っています。敬一君を家に送るまでに、少しですが、休む時間はあると思います。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。



藤田五郎は家の中に普通に入って行った。



時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。五郎さんの外出の準備中は、敬一君と話せないと思うの。大丈夫かしら?」

敬一は時尾に僅かに慌てて話し出す。

「はい。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。いこ。」

敬一は勉に僅かに慌てて頷いた。



敬一は家の中に笑顔で入って行った。

敬一は家の中に僅かに慌てて入って行った。

時尾は家の中に微笑んで入って行った。



少し後の事。



ここは、東京。



空の色が僅かに橙色に染まり始めている。



ここは、町中。



藤田五郎は普通に歩いている。

敬一は考えながら歩いている。



藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。俺と話したいのだろ。考えずに早く話せ。」

敬一は藤田五郎に考えながら話し出す。

「斉藤さんと話したいより、斉藤さんに逢いたい、の表現が近いと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。何か遭ったのか?」

敬一は藤田五郎に考えながら話し出す。

「何も起きていないと思います。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「斉藤さん。帰って直ぐなのに、忙しいのに、意味も無く付き合ってくれました。ご免なさい。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一は俺に逢いたいと思った。意味は有る。謝るな。」

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「今の季節は、寒さを感じる時間が多くなり、日没が早くなる。敬一が俺に逢いたいと思った理由かも知れない。」

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「もしかして、人恋しい、ですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「正確には、斉藤さんが恋しい、ですね。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に恥ずかしく話し出す。

「斉藤さん。即答しないでください。照れます。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「照れる内容は話すな。」

敬一は藤田五郎に苦笑して話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。照れる気持ちを苦笑で誤魔化しても、状況は変わらない。」

敬一は藤田五郎を苦笑して見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。突然ですが、話題を変えても良いですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「“山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば”。突然に今の歌を思い出しました。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に僅かに慌てて話し出す。

「斉藤さんは僕の家を訪ねてくれます。今の歌と合致しません。斉藤さんに更に家を訪ねて欲しいと催促していません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「分かっている。落ち着け。」

敬一は藤田五郎を安心して見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。勉は、幼い。勉は、敬一の家を訪ねる行為は無理だ。時尾は、美鈴さんと繋がりが無い。時尾が、敬一の家を訪ねるためには、きっかけが必要になる。時尾と勉が、敬一の家を訪ねる時は、暫く後になる。俺は、都合が付けば、敬一の家を今までどおり訪ねる。敬一には美鈴さんが傍に居る。寂しく思うな。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。



「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

敬一の傍には、美鈴が居る。

時尾と勉が、敬一の家を訪ねる時は、暫く後になる様子。

藤田五郎は、敬一の家を普通に訪ねている。

敬一は、藤田五郎の想い、時尾の想い、勉の想い、美鈴の想いに包まれている。

敬一は、冬になっても、寂しさを感じる時間は無いかも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は「小倉百人一首 二十八番」、及び、「古今集」

「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

ひらがなの読み方は「やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば」

作者は「源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)」

歌の意味は「人も訪ねてこなくなり、草までも枯れてしまうと思うと、山里の冬は特に寂しく感じられるものです。」となるそうです。

「山里(やまさと)」は「山間の村里。山間に在る人里。山郷の別荘。」をいいます。

貴族の人達は、「山里」を「京近郊に在る景勝地に富んだ別荘・山荘」の意味で使う事が多いそうです。

「かれぬ」は、「離れぬ(かれぬ)」(人目が途絶えてしまう)、「枯れぬ」(草が枯れてしまう)、の掛詞です。

「源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)」についてです。

「源宗于(みなもとのむねゆき)」が氏名です。

生年未詳です。

没年は、天慶二年(939年)です。

「三十六歌仙」の一人です。

光孝天皇の孫です。

「小雪(しょうせつ)」についてです。

二十四節気の一つです。

11月22日頃、または、この頃から「大雪(たいせつ)」までの期間をいいます。

僅かながら雪が降り始める頃といわれています。

そして、遠くの山に冠雪が見られ始め、みかんが黄ばみ始める頃ともいわれています。

「大雪(たいせつ)」についてです。

二十四節気の一つです。

12月7日頃、または、12月7日頃から「冬至(とうじ)(12月22日頃)」までの期間をいいます。

雪が激しく降り始める頃といわれています。

鰤(ぶり)などの冬の魚の漁が盛んになって、熊が冬眠に入り、南天の実が赤く色づく頃といわれます。

「人恋しい(ひとこいしい)」についてです。

「人に会いたい、人と話がしたい、という気持ち。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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