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~ 雪月花 新撰組異聞外伝 編 ~
~ 陽復の頃 雨の降る時 干る時 ~
登場人物
藤田五郎、藤田時尾、藤田勉、敬一[沖田総司の息子]、美鈴[沖田総司の妻、敬一の母]
「ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか」
「万葉集 第七巻 一三七一番」より
作者:詠み人知らず
今は冬。
ここは、東京。
木々の枝に葉が見えない。
寒さを感じる時間が増えている。
今日は雨が静かに降っている。
ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
縁の傍。
敬一は外を微笑んで見ている。
美鈴は微笑んで縫い物をしている。
美鈴は縫い物を止めると、敬一に微笑んで話し出す。
「お母さんが縫い物をしているから、勉強が出来ないわね。直ぐに止めるわね。」
敬一は美鈴を見ると、美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さんと一緒に同じ部屋で過ごすと、部屋を暖める費用が節約できるよね。お母さんは静かに縫い物をしているよ。心配しないで縫い物を続けて。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「今の敬一にとって大切な仕事は、しっかりと成長して、しっかりと勉強して、しっかりと斉藤さんの稽古を受ける、になるわ。お母さんに気遣いせずに過ごしなさい。」
敬一は美鈴を微笑んで見た。
美鈴も敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さん。突然だけど、話題を変えるね。今日は雨が降っているよね。雨と涙を関連させた歌を、普段より早く覚えられると思うんだ。雨と涙を関連させた歌を教えて。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一は泣かないから、関連付けて覚える方法が、覚え易いかも知れないわね。」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お父さんは悲しくても泣かないで過ごしたんだよね。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「お父さんは、男性が泣いて良い時は、親が亡くなった時、大切な人物が亡くなった時、と話していたの。お母さんの知る範囲では、お父さんは泣いていないわ。」
敬一は美鈴に考えながら話し出す。
「お父さんにとって大切な人物。」
美鈴は敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴を考えながら見た。
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。雨と涙を関連させた歌を覚えるのは止める?」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「教えて。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「“ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか”。掲載は、“万葉集 第七巻 一三七一番”。作者は、分からないそうよ。歌の意味は、“雨に濡れたわけでもないのに、私の衣の袖は乾くことがありません。”、となるそうよ。」
敬一は雨の降る様子を見ると、考えながら呟いた。
「“ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか”。歌の意味は、“雨に濡れたわけでもないのに、私の衣の袖は乾くことがありません。”、となる。掲載は、“万葉集 第七巻 一三七一番”。作者は、分からない。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。合っているわ。」
敬一は雨の降る様子を考えながら見た。
美鈴は敬一を微笑んで見た。
数日後の事。
ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。
藤田五郎は、仕事で居ない。
時尾と勉は、居る。
敬一が、訪ねている。
食卓の有る部屋。
食卓には、焙じ茶とお菓子が載っている。
時尾は焙じ茶を微笑んで飲んでいる。
勉は焙じ茶を笑顔で飲んでいる。
敬一は焙じ茶を美味しく飲んでいる。
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「数日前に雨が降りましたよね。雨と涙を関連させた歌を覚えたいと思いました。お母さんから雨と涙を関連させた歌を教えてもらいました。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「敬一君が美鈴さんから教えてもらった歌を教えて。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「“ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか”。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「歌の意味は、“雨に濡れたわけでもないのに、私の衣の袖は乾くことがありません。”、となるわね。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「はい。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一を微笑んで見た。
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「お母さんから、お父さんは、男性が泣いて良い時は、親が亡くなった時、大切な人物が亡くなった時、と話していたと教えてもらいました。お母さんは、お母さんの分かる範囲では、お父さんは泣いていないと話しました。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「五郎さんも、男性が泣いて良い時は、親が亡くなった時、大切な人物が亡くなった時、と話した時があるわ。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「斉藤さんはお父さんと同じ内容を話したのですね。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで頷いた。
勉は焙じ茶を飲みながら、敬一に笑顔で話し出す。
「ぼく。おとうさん。おかあさん。げんき。なく。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、勉に微笑んで話し出す。
「勉君は、幼いから、泣いて良い時が増えるんだよ。勉君も、大人になったら、お父さんのように泣かないで過ごすんだよ。」
勉は焙じ茶を飲みながら、敬一に笑顔で話し出す。
「ぼく。おとうさん。おかあさん。おにいちゃん。なく。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、勉に微笑んで話し出す。
「僕も大切な人物に加えてくれるんだ。ありがとう。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。
「敬一君。勉が失礼な内容を話していると思うの。許してね。」
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一を微笑んで見た。
敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾と勉を微笑んで見た。
勉は焙じ茶を飲みながら、時尾と敬一を笑顔で見た。
数日後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
玄関。
藤田五郎が普通に訪れた。
美鈴は微笑んで現れた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんにちは。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一は外出中です。敬一が戻るまで少し時間が掛かります。お酒などを用意します。家の中でお待ちください。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
藤田五郎は家の中に普通に入って行った。
美鈴は家の中に微笑んで入って行った。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
食卓には、酒、肴、焙じ茶、が載っている。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
美鈴は焙じ茶を微笑んで飲んでいる。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。
「敬一が美鈴さんに頼んで歌を教えてもらったと話したそうだ。敬一は美鈴さんから教えてもらった歌は、“ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか”、だと話したそうだ。」
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一が雨と涙を関連させた歌を覚えたいと話したので教えました。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。
「総司は、男性が泣いて良い時は、親が亡くなった時、大切な人物が亡くなった時、と話していた。敬一が時尾と勉に総司の話した内容を教えたそうだ。勉が、勉にとって俺と時尾と敬一は泣いて良い人物、と話したそうだ。敬一は笑顔で帰ったそうだ。時尾が敬一は悲しんでいないか心配していた。」
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一は、勉君が大切な人物の中に選んでくれた、勉君の大切な人物の中に末永く居たい、などと、笑顔で話していました。時尾さんには、安心してくださいと伝えてください。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。
「いろいろと遭ったから、美鈴さんに長く逢えない日々が続いた。久しぶりに逢った美鈴さんからは、泣く気配を感じない。美鈴さんは敬一の母親だから、敬一の前では泣けないと思う。美鈴さんは、女性だ。美鈴さんは、泣いて良い。泣きたい時は、俺の前で泣け。」
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お気遣いありがとうございます。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一は総司さんを尊敬して慕っています。敬一は総司さんの話した内容を実行するために努力を続けています。敬一に辛い出来事が起きる可能性があります。敬一が泣きたいと思う時があるかも知れません。敬一が泣きたい時に、私が泣いていると、敬一が泣けません。敬一の僅かな泣く機会が減ります。私は敬一のために泣けません。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。
「美鈴さん。更に強くなったな。」
美鈴は焙じ茶を飲みながら、藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴を普通の表情で見た。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
食卓には、酒、肴、焙じ茶、が載っている。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
美鈴は微笑んで居る。
敬一の元気の良い声が聞こえた。
「お母さん! ただいま!」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。
美鈴は微笑んで居なくなった。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んだ。
敬一が元気良く来た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! こんにちは!」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を笑顔で見た。
美鈴は微笑んで来た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴を普通の表情で見た。
敬一は美鈴を笑顔で見た。
美鈴は藤田五郎と敬一を微笑んで見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「“ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか”。男性が泣いて良い時は、親が亡くなった時、大切な人物が亡くなった時。二つの内容から、敬一に伝えたい出来事を思い出した。」
敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「上役に、眉目秀麗と評判で、剣術に優れる人物が居た。上役は、眉目秀麗と評判だが、鬼の副局長や冷淡と喩える時があった。俺と上役は、戦いなどのために、途中で分かれる状況になった。俺は会津に残り戦った。上役は戦いを続けながら、函館に到着した。当時の幕府側は、最新鋭の軍艦の開陽丸を所有していた。開陽丸が函館の海で座礁した。上役は、男泣きに泣いて、松の木を叩いて、座礁する開陽丸を見たそうだ。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「開陽丸は最新鋭の軍艦だった。開陽丸は座礁した後に沈没した。上役は、開陽丸を失う損失を十分に理解していたはずだ。上役は、隊士達が慕う上役を既に失い、開陽丸を失った。上役は、後の戦いの中で、失った損失の大きさを実感しながら戦ったはずだ。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で見ている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「俺の知る範囲の上役は、泣いているかと質問したら、泣いていないと答える。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で見ている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「上役には、部下が居て、信念が有り、意地が有る。上役にとって、開陽丸を失う出来事は、大切な人物の命を失う時と同等の状況だったと思う。上役にとって、泣く行為が許される時だったと思う。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で見ている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「俺は、函館に居る上役の近くに居なかった。俺は、上役が函館の戦いの中で亡くなったと聞いた。俺には、俺の聞いた話の真偽は分からない。敬一に話す必要があると考えたから、敬一に話した。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で考えながら見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「俺の今の話は、総司が生きていれば、総司が伝えたはずだ。敬一には美鈴さんが居る。敬一にも、意地が有り、信念が有る。俺は敬一の泣く姿を見る時が無いかも知れない。」
敬一は藤田五郎を真剣な表情で考えながら見ている。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通に話し出す。
「話しは終りだ。」
敬一は藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「大切な話を教えて頂いて、ありがとうございます。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、敬一に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎と敬一を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
敬一は微笑んで居る。
美鈴も微笑んで居る。
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。斉藤さんから大切な話を教えてもらったわね。」
敬一は美鈴に微笑んで頷いた。
美鈴は敬一を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、藤田五郎の家。
玄関。
藤田五郎は普通に帰ってきた。
時尾は微笑んで来た。
勉は笑顔で来た。
藤田五郎は時尾と勉に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一君。元気でしたか?」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
勉は時尾に笑顔で話し出す。
「おにいちゃん。げんき。」
時尾は勉に微笑んで頷いた。
藤田五郎は時尾と勉を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お酒と肴の用意が出来ています。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
藤田五郎は家の中に普通に入って行った。
勉は家の中に笑顔で入って行った。
時尾は家の中に微笑んで入って行った。
「ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか」
敬一は沖田総司の話を守るために努力を続けている。
敬一が「ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか」を実感する機会が訪れるのか。
敬一は成長を続けている。
今の敬一にとって、今の藤田五郎にとって、今の美鈴にとって、難しい質問になると思う。
冬の季節は、様々な想いの中でゆっくりと過ぎていく。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第七巻 一三七一番」
「ひさかたの 雨には着ぬを あやしくも 我が衣手は 干る時なきか」
ひらがなの読み方は「ひさかたの あめにはきぬを あやしくも わがころもでは ふるときなきか」
作者は「詠み人知らず」
歌の意味は「雨に濡れたわけでもないのに、私の衣の袖は乾くことがありません。」となるそうです。
原文は「久堅之 雨尓波著乎 恠毛 吾袖者 干時無香」
「ひさかたの」は、「雨」を導く枕詞です。
涙で袖が乾く事がない様子を歌っているそうです。
新撰組関連の補足です。
「開陽丸」は、幕末に幕府が所有していたオランダ製の軍艦です。
木造シップ型の帆船、排水量・2,590t、長さ・約72.8m、幅・約13m、高さ・約45m、マスト・3本、補助蒸気機関・410馬力、備砲・26門。(後に35門になる。この物語の基になる出来事の頃は、35門。)
最新鋭の軍艦でした。
幕府軍にとって、最新鋭の主力艦として、外国勢力に対する抑止力として大きな期待が寄せられました。
明治元年に、幾つかの理由が重なったため、榎本武揚さんが開陽丸を江差に向かわせます。
開陽丸を江差に向かわせた出来事が、幕府側にとって、開陽丸にとって、土方歳三さんにとって、大きな出来事になります。
土方歳三さんが泣いたと伝わる出来事と場所が在ります。
土方歳三さんが泣いたと伝わる場所は、北海道桧山郡江差町(※現在の呼び名)です。
江差町の小高い所に、北海道で唯一現存している洋館の旧桧山爾志郡役所(※この物語の基になる出来事の設定時は、松前藩の江差奉行所[えさしぶぎょうしょ])が在ります。
旧桧山爾志郡役所の前に「土方歳三嘆きの松」と呼ばれる松が在ります。
この場所からは、開陽丸が沈没したと伝わる場所を望めるそうです。
土方歳三さんは、座礁する開陽丸を見て、この松の木を叩きながら、男泣きに泣いたと伝わっています。
この松の木の幹曲がる部分に瘤(こぶ)のようになっている部分が在ります。
土方歳三さんが男泣きに泣きながら叩いた跡だと伝わっています。
開陽丸が暴風雨のために座礁した日は、明治元年十一月十五日(1868年12月28日)と伝わっています。
土方歳三さんが江差町に到着した日は、翌日の明治元年十一月十六日(18668年12日29日)と伝わっています。
土方歳三さんが男泣きに泣いたのは、一人ではなく、榎本武揚さんと共に泣いたとも伝わっています。
開陽丸が沈没したのは、数日後から十日後と伝わっています。
開陽丸が沈没した事より、幕府側の海上戦力の優位が崩れてしまいます。
後の戦局に大きな影響を及ぼす事になります。
「陽復(ようふく)」についてです。
「陰暦十一月の異称。冬至。」をさします。
「一陽来復(いちようらいふく)の略。」です。
「一陽来復」には幾つかの意味がありますが、この物語では「陽復」の意味の「陰暦十一月の異称。冬至。」に重点を置いて使用しました。
この物語は、冬至より前を想定して書きました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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