新撰組異聞　〜　緑の紅葉と青い紫陽花　〜


〜　第三版　〜


今は夏。


ここは、京の町。


数日前を境に、雨の多く降る日から、雨の降る気配のない日に変わっている。


今日は晴れている。


ここは、或る場所。


綺麗な緑色の紅葉の葉が辺りを覆っている。


沖田総司と子供達が、楽しそうに遊んでいる。


斉藤一は、木の下で、沖田総司と子供達を普通の表情で見ている。


土方歳三は、沖田総司、斉藤一、子供達が居る場所から離れた木の下で、沖田総司と斉藤一を普通の表情で見ている。


山南敬助が土方歳三の傍に微笑んで来た。


土方歳三は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君は、今日も子供達と居ますね。」

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ると、普通の表情で頷いた。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「心配ですか？」

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ながら、山南敬助に普通に話し出す。

「誰についての心配ですか？」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君についての心配です。」

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ながら、山南敬助に普通に話し出す。

「心配はしていません。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君から離れた場所で、総司と斉藤君を見る理由は何ですか？」

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ながら、山南敬助に普通に話し出す。

「総司と斉藤を見るのは面白いからです。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君を見ると、笑顔になる時があります。しかし、私と土方さんの話す内容は違うようですね。」

土方歳三は山南敬助を見ると、山南敬助に普通に話し出す。

「俺の話す面白いと、山南さんの話す笑顔になるは、同じ意味だと思います。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤は、似ていますよね。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「はい。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「元々が似る総司と斉藤が、更に似ていく姿を見るのは、面白いです。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君を、離れた場所などから良く見ているのですか？」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「俺は忙しいです。俺に暇な時間は多くありません。斉藤は勘の鋭い人物です。全ての理由から、気楽に見ていると後々がとても面倒です。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「斉藤君は勘の鋭い人物です。私や土方さんが離れた場所に居る状況に気付いている可能性がありますね。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで頷いた。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「話を戻します。確かに、人が変わっていく姿を見るのは、面白いですね。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで頷いた。

南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「人が変わっていく姿を見て、怖く感じる時はありませんか？」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんは、人が変わっていく姿を見て、怖く感じた時があるのですか？」

山南敬助は土方歳三を見ると、微笑んで話し出す。

「秘密です。」

土方歳三は山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さんは、人が変わっていく姿を見て、怖く感じた時がありますか？」

土方歳三は山南敬助に普通に話し出す。

「秘密です。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を普通の表情で見た。

山南敬助は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「楽しみな出来事があります。」

山南敬助は土方歳三を見ると、土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さんの楽しみな出来事ですか？　物凄く知りたいです。ぜひ教えてください。」

土方歳三は山南敬助を見ると、山南敬助に微笑んで話し出す。

「総司の好きな女性、斉藤の好きな女性、を見る時です。総司が好きな女性と共に、斉藤が好きな女性と共に、俺を訪ねる時です。総司と好きな女性が、斉藤と好きな女性が、俺を訪ねる時の、表情、姿、話す内容、仕草などを、近くで体験する時です。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「確かに楽しみな出来事です。私も一日も早く体験したいです。」

土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さん。総司と好きな女性が、斉藤君と好きな女性が、土方さんの元を訪ねる時に、困らせる内容の質問と困らせる態度を取っては、いけませんよ。」

土方歳三は山南敬助に怪訝な様子で話し出す。

「山南さん。俺を酷い人物だと思っているのですか？」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さんが恋愛関係の達人なので、心配になって話しました。」

土方歳三は山南敬助を複雑な表情で見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司と斉藤君は、剣術関係の天才です。総司と斉藤君は、隊士の中で上の地位です。総司と斉藤君は、好きな女性が現れたとしても、想いを伝え難いかも知れませんね。」

土方歳三は山南敬助に普通の表情で頷いた。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司が好きな女性を紹介する姿、斉藤君が好きな女性を紹介する姿、総司の好きな女性と正式に会う時、斉藤君の好きな女性と正式に会う時は、暫く先の出来事になりそうですね。」

土方歳三は山南敬助に普通の表情で頷いた。

山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「取りあえず、任務関係の状況は別にして話します。総司は剣術関連の天才です。総司は任務が危険だと理解しているので、剣術関連の鍛錬の時に何度も姿を消しても、必要な剣術関係の鍛錬の時には姿を消しません。総司は剣術関連には天才的能力を発揮しますが、特別な方面の関連には天才的鈍さを発揮しています。そのため、総司はあの子に、訳の分からない内容を話す、意味の分かり難い贈り物を用意する、何度も悲しい想いをさせる、などの困る状況を起こしています。特定の方面の関連に天才的鈍さを発揮する総司が、物凄く僅かずつ、特定の方面の関連の鍛錬に興味を持つようになりました。しかし、総司の特定の方面の関連は、物凄く遅い進み方のため、終着点に到着する時の見当が付きません。」

山南敬助は土方歳三を苦笑して見た。

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「更に、取りあえず、任務関係の状況は別にして話します。斉藤は、元来の性格の他に、過去の出来事などが影響しているらしく、誰彼と親しく接しません。斉藤には難しい任務などを多く頼む機会が増えてしまいます。斉藤は更に誰彼と親しく接し難い状況になってしまいました。だから、斉藤が総司やあの子と過ごす姿や、子供達が斉藤に笑顔で接する姿を見ると、安心します。しかし、斉藤の元来の性格、斉藤が今までに就いた任務、斉藤が経験した出来事が、総司の特定の方面の関連のお守りを務める状況になり、斉藤は公私共に更に忙しく過ごす状況になっています。以上の状況から、斉藤は、付き合う女性を探す時間がなくなり、好きな女性が現れない状況になってしまいました。」

山南敬助は土方歳三を苦笑して見ている。

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「話が長くなりましたが、短く表現すると、当分は先の出来事になると思います。山南さんと同じ答えです。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで見ている。

土方歳三は、山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「私は先に戻ります。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで頷いた。


山南敬助は微笑んで歩き出した。


土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。


山南敬助の姿は見えなくなった。


土方歳三は普通に歩き出した。


翌日の事。


ここは、屯所。


縁。


土方歳三は普通に歩いている。


斉藤一が普通に歩く姿が見えた。


土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。」


斉藤一は土方歳三の傍に普通に来た。


斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「土方さん。楽しそうですね。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤が楽しそうにしている姿を見たら、俺も楽しい気持ちになった。斉藤と話したくなって、声を掛けた。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「楽しい出来事はありません。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺が見た時に斉藤が楽しそうに見えたから、声を掛けた。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「昨日の出来事ですが、土方さんと山南さんは、俺と総司を見ていましたね。土方さんと山南さんは、俺と総司を見ながら、俺と総司に関する内容を楽しんで話したのですね。」

土方歳三は斉藤一に感心して話し出す。

「やはり気付いていたか。さすが。斉藤。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「普通は気が付きます。」

土方歳三は斉藤一に複雑な表情で話し出す。

「俺は、時々になるが、斉藤の話す普通の意味が分からなくなる時がある。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一を複雑な様子で見た。


沖田総司が土方歳三と斉藤一の傍に笑顔で来た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三と斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　土方さん！　楽しく話していますね！　私も斉藤さんと土方さんの話に加えてください！」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を苦笑して見た。

沖田総司は土方歳三を不思議そうに見た。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を見ながら、普通の表情で呟いた。

「やはり、斉藤が先かな？　否、総司が先のようにも感じる。だが、余りに先の出来になってしまい、俺はどちらも見られないような感じもする。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

沖田総司は土方歳三を不思議そうに見ている。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤。今夜は三人で飲みに行かないか？」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「はい！」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤。暫く経ったら、俺の元に来てくれ。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「はい！　今夜を楽しみに待っています！」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


土方歳三は微笑んで居なくなった。


沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「斉藤さん。土方さんと話した内容は何ですか？」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「斉藤さん。なぜ黙っているのですか？」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を諦めた表情で見た。

斉藤一は沖田総司と庭を普通の表情で見た。

沖田総司は庭を不思議そうに見た。


庭には、綺麗な緑色の葉の茂る紅葉と、少しや遅めに咲いた紫陽花が、見える。


斉藤一は視線を戻すと、普通に歩き出した。


沖田総司は視線を戻すと、慌てた様子で歩き出した。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は以前に別な場所で掲載した同題名の物語を、ＨＰ掲載用に加筆訂正して掲載し、再改訂した物語です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

山南敬助さんと土方歳三さんが、二人だけで話す場面が登場する物語が書きたくて考えました。

普通に考えると、山南敬助さんと土方歳三さんは、立場などの関係から、仕事関係の話が多くなるように思いました。

そこで、山南敬助さんと土方歳三さんが仕事関係以外を話す時、土方歳三さんが「策士」や「鬼の副局長」と喩えられる仮面を取る時、を考えながら物語を書きました。

沖田総司さんの恋愛は、年齢が若い、修行中、などの理由で、近藤勇さんや土方歳三さんが、立場上からいろいろとしていたらしい説があります。

沖田総司さんは京の町に着いた頃は、それなりの年齢でしたが、近藤勇さん達から見たら、気になる点があったのかも知れません。

しかし、暫く経って落ち着いたら、相手にもよりますが、良い結果になって欲しいと思ったのではないかと考えて、この物語を書きました。

物語の設定当時の結婚は、ある程度の身分の人、裕福な家、武士などは、“好き”の理由だけでは、結婚できない人が多かったそうです。

上記の身分や上記の生活に該当しない人達も、親、親戚、住居関係者、仕事関係者、などによっては、“好き”の理由だけでは結婚できない事があったそうです。

ただし、原田左之助さんは、町方の女性の「おまさ」さんと結婚しています。

「おまさ」さんは、町方の女性だったそうですが、裕福な家の女性という説があります。

沖田総司さんは、女性との間に子供（女児の説あり）が生まれた説がありますが、女性や子供と過ごす事は出来なかったようです。

この物語を書きながら、沖田総司さんが病気をせずに元気で過ごしていたら、政局が大きく変わらなければ、沖田総司さんは斉藤一さんより早く結婚していたのかな？　と考えました。

沖田総司さんと斉藤一さんは、似ているように思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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