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新撰組異聞 〜 風花 〜


〜 第三版 〜



今は冬。


ここは、京の町。


寒い日が続いている。


木の葉はほとんど散っている。


今日は青空が広がっている。


ここは、一軒の家。


客間。


近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一は、他の参加者達と共に、陽のある時間ではあるが、来客として酒宴に参加している。


和やかな酒宴となっている。


沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「斉藤さん。明るい時間から酒を飲んで気になりませんか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に小さい声で話し出す。

「みんなで楽しんで酒を飲んでいる。総司も楽しんで酒を飲め。」

沖田総司は斉藤一を苦笑しながら見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は軽く息をはくと、部屋の中を普通の表情で見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は部屋を静かに出て行った。


斉藤一は杯の酒を飲みながら、部屋の中を普通の表情で見た。


酒宴は和やかに続いている。


斉藤一は杯の酒を飲み干すと、部屋の中を普通の表情で見た。


酒宴は和やかに続いている。


斉藤一は部屋を静かに出て行った。


酒宴は和やかに続いている。


それから僅かに後の事。


ここは、縁。


斉藤一は普通に来た。


斉藤一は庭を普通の表情で見た。


沖田総司が一人で立つ姿が見えた。


斉藤一は普通に歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、庭。


沖田総司は微笑んで居る。


斉藤一の普通の声が、沖田総司の後ろから聞こえてきた。

「総司。何をしているんだ?」


沖田総司は後ろを微笑んで見た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも酒宴を抜けてきたのですね。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は庭を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に苦笑しながら話し出す。

「難しい話を聞きながら酒を飲むと、せっかくの美味しい酒の味が分からなくなりますよね。近藤さんは、なぜ他の人を誘わなかったのでしょうか? 明るい時間から酒を飲み始めていますよね。終わるのはいつになるのでしょうか? 早く帰りたいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に苦笑しながら話し出す。

「近藤さんは他の人達と難しい話ばかりしています。私が近藤さんに話す機会がありません。斉藤さんと話しながら酒を飲みたいですが、ずっと話す訳にはいきません。せっかくの美味い酒です。楽しみながら飲みたいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に苦笑しながら話し出す。

「和やかな酒宴ですが、居心地が悪いです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは私と違って、難しい話を聞くのは苦手ではないですよね。楽しんで酒が飲めますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「難しい話を聞きながら酒を飲むのは構わないが、今回は少し疲れる。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも同じだったのですね。私だけの思いではなくて安心しました。難しい話ばかり聞いているから余計に疲れますよね。近藤さんは別な人を誘った方が良かったですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。近藤さん達は特別に難しい話をしていない。俺と総司は、全く同じ思考ではない。」

沖田総司は斉藤一を苦笑しながら見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。精進しろよ。」

沖田総司は斉藤一を苦笑しながら見ている。

斉藤一は庭を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と庭を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と庭を普通の表情で見た。

沖田総司は空を微笑んで見た。


青空が広がっている。


沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。

「斉藤さん。空が晴れていますね。寒いけれど気持ちが良いですね。堅苦しい席で酒を飲むのを辞めて、ずっと外に居たいです。」

斉藤一は空を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を見ると、普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出そうとした。


沖田総司の目の前に僅かに光る物が見えた。

沖田総司の顔に冷たい物が当たった。


沖田総司は話し出すのを止めると、空を不思議そうに見た。

斉藤一は空を普通の表情で見た。


空は晴れているのに雪が降っている。


沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。

「斉藤さん。晴れているのに、雪が降っています。」

斉藤一は沖田総司を見ると、普通の表情で頷いた。

沖田総司は雪の降る様子を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「風花。」

沖田総司は斉藤一を見ると、不思議そうに話し出す。

「かざはな?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「“風”に“花”と書いて“かざはな”と読む。晴れた日に降る雪の呼び方だ。」

沖田総司は斉藤一と雪の降る様子を不思議そうに見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「風花を初めて見ました。風花という言葉も初めて知りました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に感心した様子で話し出す。

「斉藤さん。物知りですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「感心する話ではない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは凄い人です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「凄い人と表現する程の話しではない。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは物知りで凄い人です。謙遜しなくて良いですよ。」

斉藤一は沖田総司を表情で見た。


風花は花びらが舞うように青空から降ってくる。

青空から花びらが舞うように降る風花は、沖田総司と斉藤一に何度も静かに当たる。

青空から花びらが舞うように降る風花だが、顔に当たると冷たい。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。風花という言葉をどこで知ったのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「忘れた。」

沖田総司は斉藤一を苦笑しながら見た。

斉藤一は青空を普通の表情で見た。

沖田総司は青空を微笑んで見た。


風花は青空から花びらが舞うように降りながら、陽の光に当たって輝いている。


沖田総司は風花を見ながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「風花を再び見られるでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。

「京の町は雪が降る。機会があれば風花を見られると思う。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「再び風花を見る時も斉藤さんと一緒に見たいです。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。


風花は青空から花びらが舞うように降りながら、陽の光に当たって輝き続けている。


ちょうど同じ頃。


ここは、縁。


家主の身内の男性が居る。


家主の身内の男性は、沖田総司と斉藤一を不思議そうに見ている。


沖田総司と斉藤一は、庭に変わらずに居る。


家主の身内の男性は、庭に普通に行こうとした。


家主の身内の男性の後ろから、穏やかな男性の声が聞こえてきた。

「少し待ってください。」


家主の身内の男性は微笑んで後ろを見た。


土方歳三が家主の身内の男性を普通の表情で見ている。


家主の身内の男性は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方先生。お二人様が庭にいらっしゃるので声を掛けようと思っていました。」

土方歳三は家主の身内の男性に普通に話し出す。

「二人共に間もなく戻って来ると思います。申し訳ありませんが、声を掛けるのは暫く様子を見てからにして頂けませんか?」

家主の身内の男性は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。


土方歳三は部屋の中に微笑んで入って行った。


家主の身内の男性は微笑んで居なくなった。


ちょうど同じ頃。


ここは、庭。


風花が止んだ。


沖田総司は斉藤一に残念そうに話し出す。

「風花が止んでしまいましたね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「庭に少し長居をしてしまいましたね。宴席に早く戻らないと、近藤さんや土方さんに怒られてしまいますね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は普通の表情で、部屋の中に静かに入って行った。

斉藤一も普通の表情で、部屋の中に静かに入って行った。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は、以前に別な場所で掲載していたセリフ中心の物語を、HPに掲載するために加筆訂正して掲載し直しました。

今回は改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら再改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのを止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

「風花」は、「かざはな」、または、「かざばな」と読みます。

今回の物語では「かざはな」と読んでいます。

幾つかの状態を「風花」といいますが、その中の一つに「風上の降雪地から、まばらに吹き送られて降る雪。晴れているのに風があって、雪がちらちらと降る事。」があります。

今回の物語では「晴れているのに風があって、雪がちらちらと降る事」を想像しながら書きました。

今回の物語で使用する場合の「風花」の季語は、冬です。

私は晴れた空から降る雪の風花を見た事があります。

綺麗でした。

私が風花と聞くと「晴れているのに降る雪」を想像します。

青空からちらちらと降る雪が綺麗だと思って、今回の物語で風花を書く事にしました。

物語を書く時に、沖田総司さんと斉藤一さんのどちらが風花を説明するか考えました。

斉藤一さんの方がいろいろな経験をしている様子なので、簡単な説明になりますが、斉藤一さんが風花の説明をする事にしました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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