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新撰組異聞 〜 紫陽花談義 〜
〜 第三版 〜
今は夏。
ここは、京の町。
紫陽花の咲く頃。
雨や曇の時間が多い。
今日も朝からどんよりと曇っている。
ここは、屯所。
縁。
斉藤一は普通に歩いている。
斉藤一は立ち止まると、空を普通の表情で見た。
空が雨の降りそうな気配を見せ始めた。
斉藤一は普通に歩き出した。
それから僅かに後の事。
ここは、土方歳三の部屋。
土方歳三は普通に居る。
斉藤一の普通の声が、部屋の外から聞こえてきた。
「斉藤です。」
土方歳三は部屋の外に向かって、普通に話し出す。
「早く部屋の中に入れ。」
斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。待っていた。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。頼みがある。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「お断りします。」
土方歳三は斉藤一を僅かに驚いた表情で見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。なぜ俺が頼み事の内容を説明する前に断ると返事をしたんだ?」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「今回の土方さんの頼み事を受けると、何か起きる予感がしたからです。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤は助勤だ。俺の命令に従う立場だぞ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「都合が悪くなると、助勤の立場を持ち出すのは止めてください。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤は助勤。俺は上役。斉藤は俺の命令に従う立場だ。俺の斉藤への頼み事は命令と同じだ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「では、俺と同じ助勤の立場の永倉さんに命令してください。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「永倉には頼めない。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「永倉さんに頼むのが無理ならば、俺と同じ助勤の立場の総司に、命令してください。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「様々な方法を利用しても、総司には頼めない。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「潔く諦めてください。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤にしか頼めない内容なんだ。我がまま言わずに受けてくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「何度も言いますが、始める時はご自分で伝えるのですから、その後もご自分で伝えてください。」
土方歳三は斉藤一に面倒そうに話し出す。
「別れる時はとても面倒なんだぞ。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤に頼むと直ぐに片が付く。斉藤は公私共に本当に頼りになる。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「今の話は褒め言葉として解釈して良いのですか?」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「ぜひ褒め言葉として解釈してくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「お褒め頂きありがとうございます。」
土方歳三は斉藤一を半ば諦めた表情で見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「今回の土方さんの依頼はお断りします。」
土方歳三は斉藤一を諦めた表情で見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
「土方さん。失礼させて頂いても良いですか?」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。少しだけ質問させてくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤は俺の頼み事の内容を分かっていたな。斉藤は最初から俺に断るつもりだったのに、なぜ俺の部屋に来たんだ?」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「俺が土方さんに呼ばれたのに、土方さんの元を訪れなければ、後で様々な画策をするからです。」
土方歳三は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「今の斉藤の話した内容が断る理由ならば、部屋に来て直ぐに断るのと、部屋に行きたくないと断るのも、一緒だろ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「俺が土方さんの部屋に来た理由は、他にもあります。土方さんの部屋に行けば、土方さんに意見が言えます。土方さんの部屋で土方さんに話しをすれば、土方さんが俺に対して何か起こそうとした時に、総司などに話せる土方さんの表の姿と裏の姿が増えます。」
土方歳三は斉藤一を僅かに動揺した様子で見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんは様々な面で凄い方です。みんなは驚くはずです。」
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。みんなに何を話すつもりだ?」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「みんなに何を話して欲しいですか?」
土方歳三は斉藤一を僅かに困惑した様子で見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さん。ゆっくりと考えてください。俺も考えておきます。」
土方歳三は斉藤一に感心した様子で話し出す。
「斉藤は想像通り面白い。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんから褒めて頂けて嬉しいです。ありがとうございます。」
土方歳三は斉藤一を苦笑しながら見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「では、失礼いたします。」
土方歳三は斉藤一に苦笑しながら頷いた。
部屋の外から、微かな雨音が聞こえ始めた。
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に苦笑しながら頷いた。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
その直後の事。
ここは、土方歳三の部屋の前に在る縁。
斉藤一は普通に居る。
斉藤一は雨の降る様子を普通の表情で見た。
雨は静かに降っている。
斉藤一は普通に歩き出した。
その直後の事。
ここは、縁。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司の明るい足音が聞こえた。
斉藤一は普通に立ち止まった。
沖田総司は斉藤一の傍に笑顔で来た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんを探していたら、土方さんに呼ばれていると聞きました。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「土方さんの用件は終わりましたか?」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は空を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「雨が降り始めましたね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は庭を微笑んで見た。
紫陽花が雨に濡れてしっとりとした雰囲気で咲いている。
沖田総司は紫陽花を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「雨が降ると紫陽花が綺麗ですよね。紫陽花は晴れより雨の降る方が綺麗に見えますね。」
斉藤一は紫陽花を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は紫陽花を見ながら、普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「近藤さんが斉藤さんに部屋に来て欲しいそうです。急ぎではないけれど、遅くならないように来て欲しそうです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺の代わりに近藤さんの部屋に行ってみないか?」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見ている。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺の代わりに近藤さんと話してみないか?」
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「斉藤さんの話の意味が分かりません。」
斉藤一は紫陽花を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一と紫陽花を不思議そうに見た。
紫陽花は雨に濡れてたくさんの雫を載せながら咲いている。
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「斉藤さん。私には難しい内容の話に感じます。雨の降る中での縁での立ち話は止めて、別な場所で話しませんか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
紫陽花は雨に濡れながら更に美しさを増して咲いている。
雨は紫陽花を更に美しくするかのように、静かに降り続いている。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は、以前に別な場所で掲載していた物語を、HP掲載のために加筆訂正して再掲載し、更に再改訂しました。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願いします。
ここからは、改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
紫陽花は曇り空や雨の降る時が映えると思います。
雨に濡れる紫陽花や曇空の下の紫陽花は、しっとりとして良い雰囲気だと思います。
しかし、紫陽花の見頃の雨の降る日に、紫陽花の名所に行くと、たくさんの方達が傘を差しながら紫陽花を見ているので、ゆっくりと見られない時が多いです。
紫陽花は色が変わるところから、「七変化」の別名があります。
「七変化」の別名はありますが、紫陽花を「七変化」と呼ぶ方に会った事はありません。
私は「紫陽花」と呼んでいます。
土方歳三さんを「紫陽花」のイメージと表現した事があります。
土方歳三さんと「紫陽花」、土方歳三さんと「七変化」。
どちらもイメージが凄く合うと考えました。
いろいろな面を見せる土方歳三さん、土方歳三さんと平気で渡り合う斉藤一さん、土方歳三さんと斉藤一さんと明るく付き合う沖田総司さん。
様々な姿を見せる、土方歳三さん、沖田総司さん、斉藤一さん、が登場する物語です。
「談義(だんぎ)」は「話し合う。相談する。」という意味です。
「談義(だんぎ)」も同じ意味がありますが、この字を使用して熟語を作る時は、「法談。説法。」の意味を表す言葉になります。
「談義」の方が今回の物語の雰囲気は近いと考えて、「紫陽花談議」ではなく「紫陽花談義」の題名にしました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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