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新撰組異聞 〜 青空の下 遠く離れて 〜
〜 第三版 〜
今は初夏。
ここは、江戸。
青空が広がっている。
ここは、一軒の屋敷。
縁。
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
斉藤一は文を見ているが、読む気配は無い。
藤堂平助は斉藤一の傍を普通に通り過ぎようとした。
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
藤堂平助は斉藤一の傍に普通に立ち止まった。
斉藤一は文を持ちながら、藤堂平助を一瞥すると、文を普通の表情で見た。
藤堂平助は斉藤一の様子を確認しながら話し出す。
「今日も文が届いたのですね。」
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
藤堂平助は斉藤一を僅かに困惑した様子で見た。
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
藤堂平助は斉藤一に言い難そうに話し出す。
「斉藤さんの返事を待っていると思います。斉藤さんから文の返事が届いた時は、とても喜ばれると思います。返事を書かれてみてはいかがですか?」
斉藤一は文を持ちながら、藤堂平助を一瞥すると、文を普通の表情で見た。
藤堂平助は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「差し出がましい話しをして、申し訳ありませんでした。」
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
藤堂平助は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「失礼します。」
斉藤一は文を持ちながら、藤堂平助を普通の表情で見た。
藤堂平助は斉藤一に申し訳なさそうに軽く礼をした。
藤堂平助は僅かに困惑した様子で居なくなった。
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見た。
それから僅かに後の事。
ここは、一軒の屋敷。
縁。
斉藤一は文を持ちながら、文を普通の表情で見ている。
伊東甲子太郎が斉藤一の傍を普通に通り過ぎようとした。
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通の表情で軽く礼をした。
伊東甲子太郎は斉藤一の傍で普通に立ち止まった。
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通の表情で軽く礼をした。
伊東甲子太郎は斉藤一に穏やかに話し出す。
「今日も文が届いたのですね。」
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通の表情で軽く礼をした。
伊東甲子太郎は斉藤一に穏やかに話し出す。
「今日の文には何が書いてあるのですか?」
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通に話し出す。
「文を読んでいないので、内容は分かりません。」
伊東甲子太郎は斉藤一に穏やかに話し出す。
「斉藤君宛の文がたくさん届いて羨ましいです。」
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎を普通の表情で見た。
伊東甲子太郎は斉藤一に穏やかに話し出す。
「斉藤君は返事をしていないようですね。」
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通に話し出す。
「返事を書いても、直ぐに新たな文が届きます。返事を書いても限がありません。」
伊東甲子太郎は斉藤一に穏やかに話し出す。
「斉藤君の返事を今か今かと待っているはずです。早く返事をした方が良いと思います。」
斉藤一は文を持ちながら、伊東甲子太郎に普通の表情で軽く礼をした。
伊東甲子太郎は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は文を持ちながら、普通に居なくなった。
それから僅かに後の事。
ここは、一軒の屋敷。
一室。
机の傍に、文箱と風呂敷の包みが置いてある。
江戸滞在中に届いた任務関係の文は、直ぐに読んで、必要に応じて返事をしている。
江戸滞在中に届いた私用関係の文は、直ぐに読まなくても構わないが、たくさんの文が届くため、直ぐに読まないとたまってしまう。
江戸滞在中に届いた私用関係の文の中に、急ぎの返事が必要な文があると困るため、早めに読んでいる。
江戸滞在中に届いた文の管理のために、文箱を借りた。
私用関係の文が文箱に入りきらなくなったため、私用関係の文は風呂敷に包んで仕舞うようになった。
斉藤一は文を持ちながら、普通に入ってきた。
斉藤一は文を机の上に置くと、風呂敷の包みを普通に広げた。
風呂敷に包まれていた文が、崩れて広がりそうになっている。
私用関係の文の差出人は、ほとんど一人の名前になる。
斉藤一は風呂敷の上に広がる文を見ながら、普通の表情で呟いた。
「暇でこれほどの量の文を書いているのなら良いが、拗ねる気持ちや寂しさを紛らわせるために文を書いていないだろうな。」
斉藤一は机の上の文を普通に取った。
今日付けで届いた私用関係と思われる文は、少し厚い。
斉藤一は文を持ちながら、普通の表情で呟いた。
「ある意味、さすがと表現できるな。」
斉藤一は文を広げると、普通の表情で読み始めた。
ちょうど同じ頃。
ここは、京の町。
青空が広がっている。
ここは、屯所。
庭。
沖田総司は微笑んで青空を見ている。
原田左之助も微笑んで青空を見ている。
原田左之助は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「総司。斉藤に毎日のように文を書いているんだって?」
沖田総司は原田左之助を見ると、僅かに寂しそうに話し出す。
「はい。」
原田左之助は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤は忙しいと思う。期待しないで待っていろ。」
沖田総司は原田左之助に僅かに寂しそうに話し出す。
「でも、任務のために書いた斉藤さん宛の文の返事は、直ぐに届きます。でも、任務以外で書いた斉藤さん宛の文の返事は、届きません。」
原田左之助は沖田総司を意地の悪い笑顔で見た。
沖田総司は原田左之助を不思議そうに見た。
原田左之助は懐から文を意地の悪い笑顔で取り出した。
沖田総司は原田左之助と文を不思議そうに見た。
原田左之助は沖田総司の目の前で文を軽く振ると、意地の悪い笑顔で話し出す。
「俺が少し前に預かったんだ! 総司宛の文だぞ! 文の差出人は、誰だと思う?!」
沖田総司は原田左之助と文を驚いた表情で見た。
原田左之助は沖田総司の目の前で文を軽く振りながら、沖田総司を意地の悪い笑顔で見た。
沖田総司は文を笑顔で取ろうとした。
原田左之助は文を振るのを止めると、意地の悪い笑顔のまま、沖田総司から僅かに離れた。
沖田総司は文を笑顔で取ろうとした。
原田左之助は文を持ちながら、意地の悪い笑顔のまま、沖田総司から僅かに離れた。
沖田総司は原田左之助を不機嫌そうに見た。
原田左之助は文を持ちながら、沖田総司を意地の悪い笑顔で見た。
沖田総司は原田左之助に強い調子で話し出す。
「原田さん!! 斉藤さんからの文を早く私にください!!」
原田左之助は文を持ちながら、沖田総司を意地の悪い笑顔で見ている。
原田左之助の持つ文が突然に横から取られた。
原田左之助は横を驚いた表情で見た。
沖田総司も横を驚いた表情で見た。
文を取ったのは、永倉新八だった。
永倉新八は文を持ちながら、沖田総司と原田左之助を普通の表情で見ている。
原田左之助は永倉新八に残念そうに話し出す。
「永倉さん。もう少し見ていて欲しかったです。」
永倉新八は文を持ちながら、原田左之助に普通に話し出す。
「本当にもう少し見ていて良かったのか?」
原田左之助は永倉新八を不思議そうに見た。
永倉新八は文を持ちながら、原田左之助に普通に話し出す。
「左之助。総司に特定の人物の関連でからかう時は、物凄く危険なのを忘れたのか?」
原田左之助は永倉新八を見ながら、何かを思い出した表情になった。
永倉新八は文を持ちながら、原田左之助に普通に話し出す。
「左之助。何が起きても、俺に愚痴を言うなよ。」
原田左之助は永倉新八を苦笑しながら見た。
沖田総司は永倉新八に慌てた様子で話し出す。
「永倉さん! 早く文を私にください!」
永倉新八は沖田総司に文を差し出すと、普通に話し出す。
「総司。斉藤からの文だ。待ちに待った返事が届いて良かったな。」
沖田総司は永倉新八から文を大切そうに受け取ると、笑顔で話し出す。
「永倉さん! ありがとうございます!」
永倉新八は沖田総司に普通の表情で頷いた。
原田左之助は沖田総司を安心した様子で見た。
沖田総司は文を大切そうに持ちながら、嬉しそうに居なくなった。
永倉新八は原田左之助に普通に話し出す。
「左之助。総司宛の文は、何もせずに直ぐに渡した方が良いぞ。」
原田左之助は永倉新八を不思議そうに見た。
永倉新八は原田左之助に普通に話し出す。
「先日の出来事になるが、斉藤から任務関連だが総司宛の文が届いた。総司は斉藤からの文だと知ると、物凄く喜んだそうだ。総司に直ぐに文を渡さなかった人物が数人ほどいたそうだ。その日の稽古の師範は、総司だったそうだ。稽古場は物凄い状況になったらしい。一部の人物は、稽古場や他の場所で、物凄い状況に遭ったそうだ。別な一部の人物は、総司から物凄い威圧感を感じながら、長い時間を過ごしたらしい。隊士達は怖くて総司や一部の人物に近寄れなかったそうだ。」
原田左之助は永倉新八に苦笑しながら話し出す。
「永倉さん。教えてくれてありがとうございます。次からは気を付けます。」
永倉新八は原田左之助に普通の表情で頷いた。
原田左之助は永倉新八を苦笑しながら見た。
永倉新八は普通に居なくなった。
原田左之助も普通に居なくなった。
それから僅かに後の事。
ここは、屯所。
縁。
沖田総司は文を大切そうに持ちながら、嬉しそうに歩いている。
沖田総司の持つ文の差出人は、待ちに待った斉藤一になる。
沖田総司は文を見ながら、嬉しそうに話し出す。
「文には何が書いてあるのかな! 斉藤さんからの文を早く読みたいな! 斉藤さんに早く返事を書かないといけないな! 物凄く楽しみだな!」
沖田総司は文を持ちながら、何かを思い出した様子で立ち止まった。
沖田総司は文を持ちながら、何かを思い出した様子で話し出す。
「良く考えたら、斉藤さんに文の返事が届く頃には、京に戻る道中の可能性がある!」
沖田総司は文を持ちながら、真剣な表情で考え込んだ。
心地良い風が吹いた。
沖田総司は文を持ちながら、笑顔で話し出す。
「文の返事を書いてくれた斉藤さんのために、細かい状況は考えずに、直ぐに返事を書こう! 斉藤さんは返事の文を喜んで読んでくれるよね! 楽しみだな!」
心地良い風が吹いた。
沖田総司は文を持ちながら、青空を笑顔で見た。
綺麗な青空が広がっている。
沖田総司は文を持ちながら、青空を見て、笑顔で話し出す。
「綺麗な青空だな! 斉藤さんも綺麗な青空を見ていると良いな!」
心地良い風が吹いた。
沖田総司は文を持ちながら、嬉しそうに歩き出した。
* * * * * *
ここからは後書きとなります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
いろいろな場所に出掛けている様子の斉藤一さんが、江戸に滞在中の物語です。
伊東甲子太郎さんは、今回の物語では穏やかな雰囲気で書きましたが、史実では、知識があり、人を説得するのが上手な人として伝わっています。
伊東甲子太郎さん、斉藤一さん、藤堂平助さんは、史実の中の隊士募集のために江戸に出掛けた人員として知られているそうです。
斉藤一さんは、一説では、江戸で旗本を斬ったために追われてしまい、京に逃げたそうです。
京に居る間に、新撰組の隊士になったそうです。
江戸で旗本を斬ったのに、江戸に出掛けて大丈夫なのかと疑問に思いました。
新撰組の三番組組長の斉藤一だから許されると判断した、名前を変えているので同一人物だと分からないと判断した、新撰組は会津藩と繋がりがあるのでもしもの出来事が起きたとしても大丈夫と判断した、追っ手は既に諦めていると判断した、様々な理由が考えられます。
当時の人相書きは、時代劇などで見るのとは少し違っていたそうです。
そのため、斉藤一さんが江戸に居ても、当事者と会わない限り、気付く人はほとんどいないのではないか、という事が考えられるそうです。
史実の沖田総司さんが書いた文は、七通前後が残っています。
綺麗な字を書く人だと思いました。
史実の沖田総司さんが書いた文で残っているのは、同じ方に宛てた文です。
文が残る場合は、受け取った相手が残す事が多いと思います。
史実の沖田総司さんが、何通の文を書いたか分かりません。
今回の物語の沖田総司さんのように、楽しく文を交わしていると良いなと思いながら書きました。
物語の設定当時の文は、相手に届くまでに現在より時間が掛かっていました。
電話やメールなどの便利な通信手段が無い時代なので、どのような気持ちで文の返事を待つかと思いました。
物語の設定当時の文を届けるための料金も現在とは違います。
今回の物語の時間設定時の沖田総司さんは、お金に関して余裕があるので、差ほど気にならないと考えながら読んでください。
斉藤一さんは、文の返事を書いていないと言ったけれど、返事を書いていました。
斉藤一さんがどの程度の返事をしたかについては、皆様のご想像にお任せいたします。
今回の物語の設定では、沖田総司さんは京の町に居て、斉藤一さんは江戸に居ます。
沖田総司さんと斉藤一さんは、遠く離れているけれど、青空の下で繋がっていたら良いなと考えて、「青空の下 遠く離れて」の題名にしました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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