新撰組異聞　〜　桜舞散り葉桜へ　出逢いの時　〜


〜　改訂版　〜


京の町では桜の季節が終わり掛けている。

葉桜を見る機会が増えてきた。

壬生浪士組が世話になっている家の近くでは、理由はわからないが桜の花が咲き続けている。


ここは壬生浪士組が世話になっている家。

沖田総司は近藤勇の部屋の前に来ると、部屋の中に向かって笑顔で声を掛けた。

「沖田です！」

近藤勇の声が聞こえてきた。

「入って良いぞ。」

沖田総司は近藤勇の部屋の中へと笑顔で入っていった。


近藤勇の部屋の中には、土方歳三が既に居た。

沖田総司は土方歳三を見ると、微笑んで話し出す。

「土方さんも居たのですね。」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は近藤勇を見ると、微笑んで話し出す。

「近藤さん。用件は何ですか？」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司にぜひ会わせたい人がいる。みんなに紹介する前に、先に総司に会わせたいと思った。そのために総司を呼んだんだ。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「私に先に会わせたい方とは、どの様な方ですか？！　とても楽しみです！」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「もう少しで到着する。楽しみに待っていてくれ。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さんに呼ばれたので、慌てて来てしまいました！　片付けに戻っても良いですか？！」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「早く戻ってこいよ。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「はい！」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は元気良く部屋を出て行った。


土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「以前に似た様な状況があったな。その時は、総司が居ない時に訪ねてきて、まともに会えなかったよな。総司が物凄く怒っていた事を思い出すよ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「今回の総司は屋敷内に居る。予定より早く着たら、呼びにいけばいい。心配する必要はないと思う。」

土方歳三は近藤勇に苦笑しながら話し出す。

「相手は総司だぞ。しっかりと話しをしておかないと、後で何か遭った時に、物凄く怒られるぞ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「今回の場合は、直ぐに会えるから問題ないと思う。」

土方歳三は近藤勇に苦笑しながら話し出す。

「そういう問題ではないと思う。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「そうかな？」

土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。


沖田総司は部屋に残してきた用事を済ますと、近藤勇の部屋へと直ぐに向かった。


沖田総司は縁を急いで歩いている。

風が吹いた。

風に乗った桜の花びらが、沖田総司に向かって舞いながら落ちてくる。

沖田総司は立ち止まると、桜の舞う様子を笑顔で見た。

風に乗った桜の花びらが、沖田総司の元にゆっくりと舞い落ちてきた。

沖田総司は、舞い落ちてくる桜の花びらを掌で受け止めると、急いで握り締めた。

笑顔でゆっくりと手を開いた。

掌の上の桜の花びらは、綺麗な色をしている。

沖田総司は掌の桜の花びらを笑顔で見た。

掌に桜の花びらを載せたまま、桜の木へと笑顔で視線を動かした。


桜の木の下に、沖田総司と似た年齢の青年が一人で立っている姿が見えた。

青年は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は掌に桜の花びらを乗せたまま、青年を不思議そうに見た。

沖田総司と青年は、離れた場所からお互いを黙って見ている状況になった。


青年は沖田総司に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は掌に桜の花びらを乗せたまま、青年につられて軽く礼をした。

青年は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、青年を不思議そうに見ている。

静かな風が吹いた。

沖田総司は慌てた様子で近藤勇の部屋へと向かった。

桜の花びらが沖田総司の掌から離れて、ゆっくりと舞い始めた。

沖田総司は桜の花びらの舞う姿を気にする事なく、慌てた様子でその場から居なくなった。


青年は先程まで沖田総司が居た場所に来た。

桜の花びらを拾うと、沖田総司の去った方向を普通の表情で見た。

沖田総司の姿は既に無い。

青年は掌に桜の花びらを載せたまま、沖田総司の去った方向を見ながら、普通の表情で呟いた。

「久しぶりですね。」

微かな風が吹いた。

青年の掌の上の桜の花びらが、風に乗ってゆっくりと舞い始めた。

青年はその場から静かに去っていった。


沖田総司は近藤勇の部屋の前に来ると、笑顔で声を出した。

「沖田です！　入ります！」

近藤勇の声が部屋の中から聞こえてきた。

「入って良いぞ。」

沖田総司は障子を開けると、近藤勇と土方歳三に笑顔で話し出す。

「遅くなりました！」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は部屋の中へと元気良く入っていった。


ここは近藤勇の部屋の中。

近藤勇は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。

「早かったな。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さんの話しをする方に、私も早く会いたいです！　急いで戻ってきました！」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

土方歳三も沖田総司を微笑んで見た。


部屋の外から聞き慣れない青年の声が聞こえてきた。

「遅くなりました。」

沖田総司は声の聞こえた方向を不思議そうに見た。

近藤勇は部屋の外に向かって微笑んで声を掛ける。

「入って良いぞ。」

声の主が障子を開けて、部屋の中へと入ってきた。


沖田総司は青年を見ると、不思議そうに呟いた。

「あれっ？　さっき会った人だ。」

近藤勇は青年に微笑んで話し出す。

「待っていたぞ。」

土方歳三は青年に笑顔で話し出す。

「よっ！　久しぶり！」

青年は近藤勇と土方歳三に、普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は青年を不思議そうに見た。

青年は近藤勇と土方歳三に普通に話し出す。

「これから宜しくお願い致します。」

近藤勇は青年に微笑んで頷いた。

土方歳三は青年に笑顔で話し出す。

「これから宜しく頼むな！」

青年は近藤勇と土方歳三に、普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司が青年に笑顔で話し出す。

「先程、桜の木の近くで会った方ですよね！」

青年は沖田総司に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は青年に笑顔で話し出す。

「初めまして！　私は沖田総司と申します！　よろしくお願いします！」

青年は沖田総司に普通に話し出す。

「斉藤一と申します。宜しくお願い致します。」

沖田総司は斉藤一と名乗った青年に笑顔で話し出す。

「斉藤一さんと言う名前なのですね！　これから一緒に任務に就くのですね！　楽しみですね！」

斉藤一と名乗った青年は、沖田総司に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は近藤勇を苦笑しながら見た。

近藤勇は土方歳三を苦笑しながら見た。

沖田総司は土方歳三を見ると、不思議そうに話し出す。

「土方さんも斉藤さんと以前からの知り合いなのですか？」

土方歳三は沖田総司に苦笑した様子で話し出す。

「もちろん。」

沖田総司は土方歳三を不思議そうに見た。

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。斉藤は壬生浪士組に参加したばかりだ。いろいろと教えてあげて欲しい。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「はい！」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司が斉藤一と名乗った青年を見ると、笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　行きましょう！」

斉藤一と名乗った青年は、沖田総司に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司と斉藤一と名乗った青年は、近藤勇の部屋から出て行った。


沖田総司と斉藤一の二人が、部屋を出て行った後の事。

土方歳三は近藤勇を見ると、笑いを堪えながら話し出す。

「近藤さん。俺の推測どおり、総司は何も気が付いていないだろ。」

近藤勇は土方歳三に悔しそうに話し出す。

「あれだけ話をしていたから、覚えているかと思ったんだ。でも駄目だったか。」

土方歳三は近藤勇に笑いを堪えながら話し出す。

「以前に二人が出逢った時だって、斉藤は総司の姿がわかったのに、総司は斉藤の姿を覚えていなかっただろ。今も斉藤は総司を見て直ぐにわかったぞ。総司に斉藤ほどの記憶力があったら、二人は既に出会って話しをしているだろ。」

近藤勇は土方歳三に苦笑しながら話し出す。

「確かに。」

土方歳三は近藤勇に嬉しそうに話し出す。

「近藤さん！　俺の勝ちだな！」

近藤勇は土方歳三に少し悔しそうに頷いた。

土方歳三に近藤勇に嬉しそうに話し出す。

「近藤さん！　今晩よろしく頼むな！」

近藤勇は土方歳三に少し悔しそうに頷いた。

土方歳三は近藤勇に楽しそうに話し出す。

「総司が斉藤と以前に会った時の事を、いつ思い出すのか楽しみだな！」

近藤勇は土方歳三に苦笑しながら頷いた。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。総司が思い出す時期についての確認もしよう。」

近藤勇は土方歳三に苦笑しながら話し出す。

「今回は遠慮させてくれ。」

土方歳三は近藤勇に笑顔で話し出す。

「残念だな〜！」

近藤勇は土方歳三を苦笑しながら見た。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「近藤さんや土方さんと以前からの知り合いなのですね！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　これから楽しくやっていきましょうね！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんは近藤さんと土方さんの知り合いと言う事は、試衛館をご存知ですよね！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「沖田さん・・・」

沖田総司は斉藤一の話を遮ると、笑顔で話し出す。

「親しい人は私の事を“総司”と呼んでいます！　斉藤さんとは会ったばかりですが、近藤さんと土方さんの知り合いなので“総司”と呼んでください！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「お言葉に甘えて“総司”と呼ばせさて頂きます。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「せっかくですから、練習という事で“総司”と呼んでください！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　楽しくいきましょう！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は桜の木の近くで立ち止まった。

沖田総司は斉藤一に続いて立ち止まると、桜の木を笑顔で見た。

斉藤一は桜の木を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。

「もう少し経つと葉桜になりますね。」

斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司が斉藤一に笑顔で話し出す。

「桜って良いですよね！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　行きましょう！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「はい。」

沖田総司と斉藤一は、桜の木を背にしながら歩き出した。


京の町で再び出逢った、沖田総司と斉藤一。

現在の京の町では、いろいろな事が起こっています。

更にいろいろな事が起こる気配もあります。

厳しい時が続いていますが、穏やかな時が訪れる事もあります。

沖田総司と斉藤一の再びの出逢いは、厳しい時間と穏やかな時間の流れが重なった、不思議な時間の中での出来事になります。


沖田総司と斉藤一を繋ぐ強くて不思議な絆が導いた出逢いになります。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は、既に掲載されている物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来だけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

タイトルですが、「新撰組異聞　桜舞散り葉桜へ　出逢いのとき」から「新撰組異聞　桜舞散り葉桜へ　出逢いの時」へと変更しました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

近藤勇さん、土方歳三さん、沖田総司さん、斉藤一さんの四人が、再び出逢った時の物語です。

京の町で四人が最初に出会った時の物語という事になります。

斉藤一さんが壬生浪士組（後の新撰組）に入隊したきっかけや日付は、いろいろと説がありはっきりとしていません。

その関係から「新撰組異聞外伝」で四人が出会う物語を書きました。

斉藤一さんが壬生浪士組に入隊した時期ですが、現在の暦でいうと四月下旬頃ではないかという説があります。

そのため、この時期に四人が会ったとすると、一重の桜は散って、八重の桜の咲が咲いている頃だと思います。

気候や場所の状況によっては、既に桜が咲いていない可能性もあると思います。

ただ、以前の物語の中では、四人は桜の咲く中で出逢っているので、今回の物語も桜の咲いている頃としました。

斉藤一さんが壬生浪士組に入隊するに時に、ごく普通の対応をしています。

今までのイメージとは違うと感じる方がいると思います。

沖田総司さんのイメージも違うと感じる方がいると思います。

沖田総司さんは斉藤一さんと既に出会っているのに気が付いていません。

どのようなきっかけで思い出すのか。

沖田総司さんと斉藤一さんには、後いろいろな出来事があって、あのような関係になっていくと思ってください。

ちなみに、時系列でいくと、「新撰組異聞外伝　短編　一瞬の出会い　桜の舞うなか」→「新撰組異聞外伝　短編　桜の舞う中でのすれ違い」→「新撰組異聞外伝　短編　桜散るなか　一瞬の出逢い」→今回の物語「新撰組異聞　短編　桜舞散り葉桜へ　出逢いの時」となります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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