新撰組異聞　〜　早咲きの桜と寒桜　〜


〜　第三版　〜


今は春の中頃。


ここは、京の町。


寒い日が続いている。


今日は、朝から僅かに暖かさを感じる。


ここは、早咲きの桜の咲く場所。


沖田総司は微笑んで来た。

斉藤一は普通に来た。


沖田総司は早咲きの桜を見ると、斉藤一に笑顔で話し出す。

「凄いですね！　寒さを感じる中で、桜が綺麗に咲いていますね！」

斉藤一は早咲きの桜を見ながら、普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。感動してください。」

斉藤一が沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「桜が綺麗だと思うから、総司に同意の返事をした。不十分なのか。」

沖田総司が斉藤一に苦笑して話し出す。

「春の早い頃に咲く桜を見ています。もっと楽しんで桜の花を見ましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺が居ると楽しめないのだろ。俺より感動する人物と一緒に来い。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。普段と違います。何かありましたか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は普段と同じだ。」

沖田総司は斉藤一を考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は早咲きの桜を不思議な表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は早咲きの桜を見ながら、不思議な表情で呟いた。

「もっと生きたい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「近い内に死ぬと分かった人物が話す内容に聞こえる。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は桜を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。話の続きはないのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を寂しい様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。寂しいのか。仕方が無い。質問をする。総司が京に居る理由は何だ？」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「京には総司が望んで来たのだろ。京には無理矢理に説得されて来ていないのだろ。」

沖田総司は早咲きの桜を見ると、斉藤一に困惑して話し出す。

「はい。」

斉藤一は桜を普通の表情で見た。


早咲きの桜の花は、綺麗な桜の花をたくさん咲かせている。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は早咲きの桜を考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が京に来た理由から考えると、京より多摩に居る方が、もっと生きられる可能性が高い。総司が京に居る理由は、考え込むほど難しい理由なのか？」

沖田総司は早咲きの桜を困惑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話す“生きたい”は、多摩では叶えられないと考えたから、京に来たのだろ。」

沖田総司は斉藤一を少し辛い様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は京に来て後悔しているのか？」

沖田総司が斉藤一を困惑して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話す“生きたい”は、多摩に在るのか？　総司の話す“生きたい”は、京に在るのか？」

沖田総司は斉藤一を困惑して見ている。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を困惑して見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。時間が無くなった。屯所に戻る。」

沖田総司が斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。怒りましたか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「怒っていない。」

沖田総司は斉藤一を僅かに安心した様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は人斬りだ。俺を怒らせた相手は、直ぐに斬る可能性がある。俺が総司を斬らない。俺は総司に怒っていない状況になる。」

沖田総司は斉藤一に辛い様子で話し出す。

「斉藤さん。今の内容の話を聞くと、斉藤さんが心配になります。」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「俺を心配してくれるのはありがたいが、今は総司本人を心配しろ。」

沖田総司は斉藤一を辛い様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は屯所に戻る。総司も屯所に戻るか？」

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「私は桜を少し見たいです。」

斉藤一は早咲きの桜を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「桜が見頃になるまで、数日ほど掛かるな。桜が見頃になった時が楽しみだな。」

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見ている。


斉藤一は普通に歩き出した。


沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。


斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司は斉藤一を不安な様子で見ている。


斉藤一の姿は見えなくなった。


沖田総司は早咲きの桜を寂しく見た。


翌日の事。


ここは、屯所。


土方歳三の部屋。


土方歳三は普通に居る。

斉藤一も普通に居る。


土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「総司の様子が昨日の途中から違う。斉藤と出掛ける時は明るかったのに、屯所に戻った時は微妙に暗かった。今日も微妙に暗い。もしかして、喧嘩をしたのか？」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「喧嘩はしていないのか。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に考え込んで話し出す。

「総司に頼み事をしたいと考えていたが、今回は止める。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「今回は斉藤に頼みたい。頼み事の内容を話しても良いか？」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を普通の表情で見た。


直後の事。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋の前に在る縁。


沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、部屋から寂しい様子で来た。


沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、早咲きの桜の花を寂しい様子で見た。


原田左之助が微笑んで来た。


原田左之助は早咲きの桜の花を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「綺麗だな。」

沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、原田左之助を微笑んで見た。

原田左之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「数日ほど経つと、早咲きの桜が満開に近くなるな。」

沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、原田左之助を微笑んで見ている。

原田左之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。邪魔をして悪かったな。」

沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、原田左之助に微笑んで首を横に振った。


原田左之助は微笑んで居なくなった。


沖田総司は掌に早咲きの桜の花を載せて、早咲きの桜の花を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、京の町。


朝から青空が広がる。

暖かい日となっている。


ここは、早咲きの桜の咲く場所。


早咲きの桜は満開になっている。


斉藤一は早咲きの桜の木にもたれ掛かり、早咲きの桜を普通の表情で見ている。


斉藤一の後ろから、沖田総司の明るい声が聞こえた。

「斉藤さん！」


斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かり、早咲きの桜を普通の表情で見ている。


沖田総司は斉藤一の前に笑顔で現れた。


斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かり、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「桜が満開ですね！　綺麗ですね！」

斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。満開の桜を見ています。もっと楽しみましょう。」

斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かり、沖田総司に普通に話し出す。

「俺は楽しくても騒がない。大騒ぎして楽しむ人物と話せ。」

沖田総司が斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんと一緒に満開の桜が見たいので来ました！」

斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かり、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は早咲きの桜を微笑んで見た。

斉藤一は早咲き桜の木にもたれ掛かるのを止めると、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。少し離れた場所に、寒桜が咲いている。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は寒桜を普通の表情で指した。

沖田総司は斉藤一の指す方向を不思議な様子で見た。


少し遅く咲いた寒桜は、散り始めているが、綺麗な姿で咲いている。


沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に笑顔で話し出す。

「寒桜が咲いていますね！　寒い頃に咲く桜と、暖かくなり始める頃に咲く桜が、一緒に咲いていますね！」

斉藤一は寒桜を指すのを止めると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は寒桜を笑顔で見た。

斉藤一は早く咲く桜を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。もしかして、私が今日の今頃に来ると分かっていたのですか？」

斉藤一は早咲き桜を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「偶然ですか？」

斉藤一は早咲き桜を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「偶然ではないのですね！　嬉しいです！」

斉藤一が沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「分かりやすい。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「何が分かりやすいのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は簡単に分かる。総司への言動は考える必要が無い。総司と一緒に居ると楽だ。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私は簡単に分かるのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


風が吹いた。


早咲きの桜の花びらが舞い始めた。


沖田総司は早咲きの桜の舞う様子を微笑んで見た。

斉藤一は早咲きの桜の舞う様子を普通の表情で見た。


早咲きの桜の花の間から青空が見える。


沖田総司は早咲きの桜と青空を見ると、斉藤一に静かに話し出す。

「桜も空も、とても綺麗ですね。」

斉藤一は早咲きの桜と青空を見ると、普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「時間が無くなってきた。屯所に戻りたい。」

沖田総司は斉藤一に心配な様子で話し出す。

「私は斉藤さんを怒らせる内容を話しましたか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「出掛ける所がある。屯所に戻って準備がしたい。」

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「私も一緒に屯所に戻って良いですか？」

斉藤一が沖田総司に普通の表情で頷いた。


斉藤一は普通に歩き出した。

沖田総司は微笑んで歩き出した。


斉藤一は早咲きの桜を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配な様子で話し出す。

「私は斉藤さんを怒らせてしまう内容を話しましたか？」

斉藤一は沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。怒っていない。安心しろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんを怒らせると斬られると話していましたね〜　斉藤さんは斬る様子が無いですね〜　斉藤さんは怒っていないのですね〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「実は、総司を斬らない理由は違う。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「私は特別なのですね！」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と一緒に居ると面白い。総司と一緒に居ると珍しい経験が出来る。総司と一緒に居ると不思議な経験が出来る。総司と一緒に居ると面倒な時は多いが、面倒を超越する楽しい時も多く過ごせる。総司を斬ると詰まらなくなる。」

沖田総司は斉藤一に少し考え込んで話し出す。

「斉藤さんの話す意味が分かり難いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「話すとおりだ。簡単な内容だ。悩むな。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さんにたくさん楽しんでもらえるように努力します。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、普通が一番に面白い。総司は、楽しませるために意識して行動すると、詰まらなくなる。総司は、意識せずに行動しろ。」

沖田総司は斉藤一を考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に考え込んで話し出す。

「斉藤さん。話す意味が分かり難いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「話すとおりだ。簡単な内容だ。悩むな。」

沖田総司は斉藤一に考え込んで話し出す。

「分かりました。普通にします。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は考え込んで止まった。

斉藤一は普通に止まった。


沖田総司は後ろを考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


早咲き桜の姿は見えない。

寒桜の咲く姿も見えない。


沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は微笑んで歩き出した。

斉藤一は普通に歩き出した。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の展開と雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのを止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の時間設定を現在の暦に直すと、三月の中旬から下旬頃です。

この時期は、見頃が終わり頃の寒桜と、咲き始めから見頃の早咲きの桜を、一緒に見る事が出来ます。

早咲きの桜を見たくて、ある場所に出掛けた事があります。

その場所で見た早咲きの桜は、染井吉野から造られた新種の桜で、その場所で造られたオリジナルの桜でした。

沖田総司さんや斉藤一さんが生きた時代より、かなり後に造られた桜です。

桜の名前が登録されたのは、平成になってからです。

沖田総司さんは、斉藤一さんに「もっと生きたい」という内容を話します。

斉藤一さんにその事に関する意味を聞かれて、沖田総司さんは悩んでしまいます。

この物語は「新撰組異聞　短編　六花舞散り桜の花へ」の後の出来事として考えました。

沖田総司さんは、その時の出来事を思い出しながら寒桜を見る設定です。

この物語の斉藤一さんも普段どおりに話していると思ってください。

斉藤一さんを本当に怒らせると、斬られそうな雰囲気があると思います。

沖田総司さんは斉藤一さんに冗談を話していますが、普通の人なら冗談を言えない雰囲気があると思いました。

寒さの残る春が終わり、暖かい春へと移っていく。

寒さの中で咲く桜が終わり、暖かい春の中で咲く桜が見頃を迎えようとしている。

移り変わる春の中での沖田総司さんと斉藤一さんの会話です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前 　　　　　　　　　　 目次 　　　　　　　　　　 次→