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新撰組異聞 〜 餘月の花嵐 〜


〜 改訂版 〜


今は春。


ここは、京の町。


青空が広がっている。

桜も綺麗に咲いている。


ここは、たくさんの桜が咲いている場所。


ある一本の桜の木の下。


沖田総司は一人で居る。


沖田総司の近くには池がある。

池の傍の枝垂桜が池の水面に今にも付きそうに垂れている。


沖田総司は枝垂桜と水面に映る枝垂桜を、寂しそうに見た。


辺りに風が吹いた。


池の傍の枝垂桜の枝が揺れた。

桜の花びらが、花嵐のように舞いながら水面に落ちていく。


沖田総司は寂しそうに桜の舞う様子を見た。


辺りに少し強めの風が吹いた。


辺りの桜の花びらが、花嵐のように一斉に舞い始めた。


沖田総司は寂しそうに掌を前に出した。


沖田総司の掌に桜の花びらが何枚も舞い落ちてくる。


沖田総司は掌の上に載った桜の花びらを寂しそうに見た。


沖田総司の元に影が出来た。


沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、寂しそうな表情で、上を見た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、斉藤一を寂しそうな微笑みで見た。


斉藤一は沖田総司の横に普通の表情で来た。


沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、斉藤一を寂しそうな微笑みで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、池の傍の枝垂桜を寂しそうな微笑みで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。暗いぞ。」

沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、斉藤一を寂しそうな微笑みで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は辛い時も明るく乗り切る人物だったと思うが。」

沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、斉藤一に寂しそうな微笑みで話し出す。

「大切な人の介錯を務めてから、明るくしていても直ぐに気持ちが暗くなるようです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「まだ悩んでいたのか? 早く忘れて総司らしく明るく生きろ。」

沖田総司は掌に桜の花びらを載せたまま、斉藤一を不機嫌な表情で見た。


沖田総司の掌から桜の花びらが舞い落ちた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


桜の花びらが地面へと舞い落ちた。


沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「山南さんの介錯を務めた事が、いまだに忘れられません! 忘れたくても忘れる事が出来ません! 絶対に忘れてはいけないようにも思います! いくら考えても答えが出ません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「その程度の内容で怒りながら話しをするな。」

沖田総司は斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「その程度とは、どのような意味ですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「その程度とは、その程度だ。」

沖田総司は斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「山南さんの介錯を務めた事は、その程度の事なのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「誰かを介錯する度に悩んでいたら身がもたないぞ。」

沖田総司は斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「誰かではありません! 山南さんです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「誰でも一緒だ。」

沖田総司は斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「山南さんと他の人は違います!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「斉藤さんは人斬りだから何も思わないのですね!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は池の傍の枝垂れ桜を見ると、斉藤一に僅かに強い調子で話し出す。

「山南さんでも私でも誰でも、命令があれば悩まずに人を斬る、斉藤さんらしい言葉ですね! だから、簡単に人を斬って、人を斬った事を直ぐに忘れて、普通に過ごす事が出来るのですね! さすが新撰組一番の人斬りの斉藤一ですね! 私にはとても出来ま・・・!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は池の傍の枝垂桜を見ながら、突然に話しを止めると、驚いた表情になった。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「斉藤さん。すいません。機嫌が悪かったので、つい・・・」

斉藤一は沖田総司の話しを遮ると、普通に話し出す。

「俺は確かに人斬りだ。簡単に人を斬る。人を斬った直後から普通に過ごす事が出来る。総司は本当の事を言っている。なぜ俺に謝るんだ?」

沖田総司は下を向くと、斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「斉藤さん。すいません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の悩みを増やして悪かったな。総司の悩みを更に増やさないように、俺は戻る事にするよ。」

沖田総司は顔を上げると、斉藤一を困惑した様子で見た。


斉藤一は普通に歩き出した。


沖田総司は斉藤一より僅かに遅れて、慌てた様子で歩き出した。


斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司は斉藤一の横に来ると、慌てた様子で話し出す。

「斉藤さん! 怒りましたか?! すいませんでした!」

斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。

「剣の天才と讃えられる総司が、新撰組一番と褒めてくれた。逆に礼を言わせてくれ。総司。ありがとう。」

沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見ながら立ち止まった。


斉藤一は沖田総司を一瞥だけすると、直ぐに前を向いて、普通に歩いた。


沖田総司は斉藤一を悲しそうな表情で見た。


斉藤一は普通に歩き続けている。


辺りに風が吹いた。


沖田総司と斉藤一を遮るように、花嵐のような桜の花びらが青空へと舞い上がった。


それから数日後の事。


ここは、京の町。


夜空には、月も星も綺麗に輝いている。


ここは、屯所。


庭には、満開ではないが、枝垂桜が綺麗に咲いている。


ここは、屯所の縁。


斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見ている。


沖田総司は、斉藤一から少し離れた場所に隠れるようにして、斉藤一を不安そうに見ている。


斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見ている。


沖田総司は、斉藤一から少し離れた場所で、自分の両頬を両手で軽く叩くと、直ぐに笑顔になった。


斉藤一は縁から枝垂桜を普通の表情で見ている。


沖田総司は斉藤一の元へと向かって、ゆっくりと微笑んで歩き出した。


斉藤一の元に、沖田総司の普段より静かな足音が聞こえてきた。


沖田総司は斉藤一の横に来ると、微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんばんは。綺麗な枝垂桜ですね。一緒に枝垂桜を見ても良いですか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出そうとした。

斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見た。

沖田総司は話しをするのを止めると、斉藤一を僅かに困惑した様子で見た。

斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見ている。

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は酒の用意をしていません。気が付かなくてすいません。」

斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「さいと・・・」

斉藤一は枝垂桜を見たまま、沖田総司の話しを遮ると、普通に話し出す。

「なぜ俺の所に来るんだ?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私と斉藤さんは友達だからです。私は斉藤さんに失礼な事を言いました。斉藤さんと末永く仲良く付き合いたいです。そのために、私は斉藤さんに謝りにきました。」

斉藤一は枝垂桜を見たまま、沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司が謝る事をされた覚えは無い。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんには無くても、私には有ります。」

斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。

「そんなに俺に謝りたいのなら、早く謝れ。謝ったら、自分の部屋に早く戻れ。」

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は斉藤さんに謝っても、この場所から去りません。私は斉藤さんと一緒に桜が見たいです。斉藤さんがこの場所から去るのなら、一緒に付いていきます。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「私は斉藤さんに酷い事を言いました。本当に申し訳ありませんでした。斉藤さんの言う通り、人を斬る事は、山南さんも他の人も同じですよね。私は山南さんも芹沢さんも斬りました。この事実は消えません。芹沢さんを斬った直ぐの頃は、芹沢さんの事を考えたりしました。でも、日が経つにつれて考える時間が少なくなってきました。逆に、山南さんの事を考える時間は、日が経っても少なくなる事はありません。それで・・・」

斉藤一が沖田総司の話しを遮ると、普通に話し出す。

「総司の考えがまとまったな。良かったな。」

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「今の私には、亡くなった山南さんより、生きている斉藤さんが大事です。山南さんの事を考え過ぎてしまったために、斉藤さんにとても酷い事を言いました。二人は友達だと言いながら、斉藤さんへの気遣いを忘れていました。あの時の斉藤さんは、私の事を気遣って様子を見に来てくれました。あれだけ酷い事を言っても、斉藤さんは私の事を気遣ってくれました。あの時の私は、斉藤さんに礼も言わず気遣もせず、大切な事にも気が付きませんでした。斉藤さんの立場も考えていませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺に関する事で間違えた事は言っていない。自分を責める必要は無い。」

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「人の事を心配する事が出来て、人の事を考えて行動できる斉藤さんです。酷い人の訳がありません。私は、斉藤さんの事を悪く言う人が現れたら、守らないといけません。それなのに、あの時の私は、斉藤さんに騒いで酷い事を言いました。斉藤さんには謝らないといけません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺と話す事を止めた方が良くないか?」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私が斉藤さんに何度も酷い事を言う事が考えられるからですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で首を横に振った。

沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司が落ち込む度に励まさないぞ。俺が励まさなければ、総司は俺にいろいろと言うと思う。冷静になってから、俺に言った事を思い出して落ち込むぞ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「それでも構いません。私の事を励まして守ってくれた山南さんは、既にいません。でも、山南さん以外にも私の事を考えてくれる人は傍に居ます。私と斉藤さんは友達です。仲良く付き合いたいです。私が斉藤さんに迷惑を掛けて酷い事を言うから付き合いたくないと言うのなら、私は斉藤さんの考えに従います。」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司がしたいようにすればいい。」

沖田総司は斉藤一に嬉しそうに話し出す。

「わ〜い! 良かった〜! 斉藤さんに会いたくないと言われたらどうしようかと思いました〜!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に嬉しそうに話し出す。

「斉藤さん! これからもよろしくお願いします!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を嬉しそうに見た。

斉藤一は枝垂桜を普通の表情で見た。

沖田総司は枝垂桜を嬉しそうに見た。


斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。

「総司。話しを戻して申し訳ないが、念のために言っておきたい事がある。」

沖田総司は斉藤一を驚いた様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が俺の横に居るのは、俺に謝る事と、俺と一緒に桜を見る事が、理由だったと思う。俺の覚えている限り、桜は一緒に見ているが、総司が謝る言葉を聞いた記憶がない。俺にはいつ謝るんだ?」

沖田総司は考え込む仕草を見せた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「そういえば、斉藤さんに、はっきりと謝っていない、かも。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺はどちらでも構わないが、総司はどうしたい?」

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「謝るのが遅くなってしまいました。今から謝ります。斉藤さん。申し訳ありませんでした。でも、これでは謝っているとは言えませんよね。それに、何について謝っているのか分かりませんよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の気持ちは分かった。これ以上は何も言わなくていい。」

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「申し訳ありません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「せっかくだから、総司に一つ願い事を叶えてもらおうかな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの願い事とは何ですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「太夫と一緒に最高の酒と肴を味わいながら大騒ぎしたい。場所は一力茶屋が良いな。」

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で話し出す。

「一力茶屋と太夫ですか? 今の私には無理かも知れません。近藤さんや土方さんに相談すれば、何とかなるのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は困惑した様子で考え込んだ。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は今のままでいい。」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「斉藤さんが今のままで良いというのなら、そうします。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「ぜひそうしてくれ。」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


辺りに強い風が吹いた。


枝垂桜の枝が風に揺れた。


桜の花びらが、月と星の輝く夜空へと花嵐のように舞い上がった。


沖田総司が桜の舞う様子を見ながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「綺麗ですね。」

斉藤一は桜の舞う様子を見ながら、普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


枝垂桜の枝の揺れが止まった。


桜のびらが地面に全て舞い落ちた。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。戻ろう。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


斉藤一は縁を普通に歩き出した。

沖田総司は斉藤一の横を、微笑んで歩き出した。




*      *      *      *      *      *




こからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

この物語の時間設定は、山南敬助さんが切腹をして亡くなってから直ぐの桜の咲く季節を想像して書きました。

山南敬助さんを介錯を務めてから、いろいろと考えてしまう沖田総司さんです。

そんな沖田総司さんを、さり気なく気遣いながら接している斉藤一さんです。

実際の沖田総司さんも山南敬助さんの介錯を務めた事について、いろいろと考えていたように思いました。

沖田総司さん以外の人も、山南敬助さんの切腹について、それぞれ考えていたと思います。

斉藤一さんも考える事があったと思います。

沖田総司さんと斉藤一さんの仲が良ければ、斉藤一さんは何かしらの行動を起こしているようにも思いました。

「人を斬る事は誰でも同じ事。」という内容の言葉を沖田総司さんに言った斉藤一さんです。

言葉の意味をその場では理解できなかった沖田総司さんです。

でも、その後に、いろいろと考えて気が付いた沖田総司さんです。

「餘月(よげつ)」は、「四月の別名」です。

現在の暦の四月ではなく、陰暦の四月の別名のようです。

陰暦四月の時期にすると、物語の時期と題名が合っていない事になります。

「餘」は「余」の旧字体だそうです。

「余」には、「余って残ったもの。残り。」という意味があります。

沖田総司さんの心境と状況を表すのに良いかと思って使用しました。

「花嵐(はなあらし)」は、「花、特に桜の季節に吹く強い風の事。桜の花が嵐のように散る事。」という意味です。

「一力茶屋」は、実際に京都に在ります。

「赤穂浪士」や「忠臣蔵」の大石蔵之助が、「一力茶屋」に出掛けた事があるらしいです。

近藤勇さんも出掛けた事があるそうです。

この物語の時間設定の沖田総司さんだったら、何とかなる可能性はあるとは思いますが、焦りと言うか動揺している事もあり、無理という内容の事を言う設定になっています。

ちなみに、私は外から見ただけです。

一度で良いから行ってみたいと思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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