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新撰組異聞 〜 藤の花咲く頃のこと 〜


〜 第三版 〜


今は春。


ここは、京の町。


新撰組で或る出来事が起きた。

結果、山南敬助が切腹をして亡くなった。

沖田総司は時折だが、悩む仕草を見せる時がある。

沖田総司の仕草に気付く者は、一部の者のみになる。


日々が過ぎた。


ここは、京の町。


藤の花が綺麗に咲く頃になった。


沖田総司の複雑な気持ちは続いている。


今日は青空が広がっている。


ここは、藤棚の下。


藤の花は綺麗に咲いている。


沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。何故、返事をしないのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「名前のみ呼ばれても話しが出来ない。本題を話せ。」

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤棚を見ると、斉藤一に悩んで話し出す。

「あの日の出来事から、いろいろと考えています。最近は、考える間に、明里さんと話したいと思う時が増えました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「本人に会って話せ。俺に愚痴るな。」

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に辛い様子で話し出す。

「明里さんと話したい思い。明里さんと話す行為に躊躇する思い。両方の思いを抱きます。」

斉藤一は前を普通の表情で指した。

沖田総司は前を不思議な様子で見た。


明里が沖田総司と斉藤一に向かって微笑んで歩く姿が見える。


沖田総司は明里を驚いて見た。

斉藤一は前を指すのを止めると、沖田総司と明里を普通の表情で見た。


明里は微笑んで来た。


沖田総司は明里を驚いた表情で見ている。

斉藤一は沖田総司と明里を普通の表情で見た。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田様。斉藤様。お久しぶりです。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

沖田総司は明里に困惑した表情で軽く礼をした。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

沖田総司は明里を困惑した表情で見た。

明里は藤棚を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「藤の花が綺麗に咲いていますね。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

沖田総司は明里に困惑して話し出す。

「明里さん。話しても良いですか?」

明里は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで軽く礼をした。

沖田総司は明里に真剣な表情で話し出す。

「山南さんについて話しても良いですか?」

明里は沖田総司を僅かに動揺した様子で見た。

沖田総司は明里に言い難く話し出す。

「介錯を知っていますか?」

明里は沖田総司に僅かに動揺した様子で話し出す。

「難しい内容は分かりませんが、聞いた時があります。」

沖田総司は明里に言い難く話し出す。

「私は山南さんの介錯を務めました。」

明里は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は明里に言い難く話し出す。

「山南さんは私に優しく接してくれました。山南さんを捕まえる任務に就きました。命令と山南さんの最期の望みでしたが、山南さんの介錯を務めました。」

明里は沖田総司を驚いた表情で見ている。

沖田総司は明里に言い難く話し出す。

「京の町を守る任務を預かる立場として、規律を守らない人物は捕らえます。武士ならば、切腹の介錯を頼まれれば、余程の事情が無い限り受けます。当然の行為ですが、山南さんと明里さんに申し訳ないと思って過ごしています。」

明里は沖田総司を驚いた表情で見ている。

沖田総司は明里に辛い様子で話し出す。

「山南さんの幸せ。明里さんの幸せ。私が壊してしまいました。」

明里は沖田総司を驚いた表情で見ている。

沖田総司は明里に辛い様子で頭を下げた。

明里は沖田総司に切ない表情で話し出す。

「以前にも話した内容ですが、再び話します。沖田様は武士です。武士ならば、私のような立場の者に、簡単に頭を下げないでください。」

沖田総司は頭を上げると、明里を辛い表情で見た。

明里は沖田総司に切ない表情で話し出す。

「沖田様。今の話の言動を、悪い言動だと思っていますか?」

沖田総司は明里を動揺した様子で見た。

明里は沖田総司に切ない表情で話し出す。

「完全に悪い言動だと思えない様子を感じます。完全に悪い言動に思えないために迷う様子を感じます。沖田様は迷う最中に、私に謝るのですか?」

沖田総司は明里を動揺した様子で見ている。

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田様。私に話して欲しい言葉がありますか?」

沖田総司は明里を動揺した様子で見ている。

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「完全に悪い言動だと思えない。私に話して欲しい内容も無い。以上の内容で合っていますか?」

沖田総司は明里を動揺した様子で見ている。

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田様は武士です。悪い言動をしていないと思うならば、私のような立場の者に謝らないでください。」

沖田総司は明里を切ない表情で見た。

明里は藤棚を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「藤の花は、“藤”から“不死”の言葉を連想します。山南先生に藤の花にちなんだ物を贈れば良かったと後悔しています。」

沖田総司は明里を切ない表情で見ている。

明里は沖田総司と斉藤一を見ると、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は、少し経つと今の居る場所の外に出られます。沖田様にも斉藤様にも、会う機会は無いと思います。」

斉藤一は明里を普通の表情で見ている。

沖田総司は明里を切ない表情で見ている。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田様。斉藤様。失礼いたします。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

沖田総司は明里に切ない表情で軽く礼をした。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで礼をした。

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は明里に切ない表情で軽く礼をした。


明里は微笑んで歩き出した。


沖田総司は明里を切ない表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を切ない表情で見た。


斉藤一は普通に歩き出した。


沖田総司は斉藤一と明里を切ない表情で見た。


僅かに後の事。


ここは、沖田総司と斉藤一の居る藤棚から離れた藤棚。


明里は寂しく止まった。


明里は藤棚を寂しく見た。


藤棚には藤の花が綺麗に咲いている。


明里は藤棚を寂しく見ている。


明里の後ろから、明里を見る気配を感じた。


明里は後ろを不思議な様子で見た。


斉藤一が明里を普通に見ている。


明里は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「先程の話の内容から判断すると、総司も新撰組も恨んでいない様子に感じる。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田様が気になりますか?」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は藤棚を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「藤の花の綺麗な時期なので、藤棚に直ぐに目が留まります。」

斉藤一は藤棚を普通の表情で見た。

明里は藤棚を微笑んで見た。

斉藤一は明里と藤棚を普通の表情で見た。

明里は藤棚を見ながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「先程の沖田様の話す内容を、私は驚いて聞きました。沖田様は、私が沖田様の話を聞いて、私が沖田様を怒ると考えていた様子に感じました。」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「一瞬だけですが、沖田様に怒ってみたいと考えてしまいました。」

斉藤一が明里に普通に話し出す。

「俺にも総司にも、長い時間を掛けて会っていない。総司の考えが分かるのか。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「山南先生から、沖田様と斉藤様について、たくさんの話を聞きました。沖田様と斉藤様に実際に会った時に、山南先生の話すとおりだったので驚きました。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「総司を完全に許していない内容の話に感じる。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様。本当に勘が良いのですね。嘘を付くのは無駄ですね。はっきりと話します。沖田様を完全に許せない気持ちは残っています。私は武士の身分の人物をお慕いしています。万が一の時の覚悟はしていました。私は山南敬助先生という立派な武士をお慕いしています。山南先生は、私を今の居る世界から出る機会を与えてくださいました。私は、山南先生に恥じない生き方をしたいです。沖田様を含める新撰組の関係者に怒る言動をすると、山南先生に胸を張って逢えません。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「総司の側から見ると困る。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田様を気遣っているのですね。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「俺は恨まれても構わないから、はっきりと話す。山南さんが惚れた相手だが、偉い立場ではない。偉い立場ではないから、山南さんに恥じない生き方の内容は知れている。総司は、武士で、剣術に関する技術は天才的だ。総司は今後も危険な任務に幾度も就く。山南さんや山南さんの惚れた相手に関して悩み続けると、共に行動する時に迷惑だ。山南さんの惚れた人物の今後の生き方は、新撰組には無関係だ。俺と共に総司の元に戻れ。総司と話せ。了承しない場合は、直ぐに斬る。俺は斬る行動を悩まない。山南さんは既に亡くなっている。山南さんの惚れた人物を斬る行為に悩む理由は無い。躊躇せずに斬る。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様に斬られる返事は出来ません。斉藤様に斬られる可能性があるので、私が話したい内容を先に話します。武士は偉いと思わないでください。私を斬ると威嚇すれば、私が直ぐに謝ると思わないでください。私にも意地があります。私にとって、山南先生を殺した新撰組の関係者の気持ちは関係が無いです。私は沖田様に会う理由が無いです。」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「怒らないのですか?」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「俺の話に対して怒らなかった。同じ理由だと思う。」

明里は斉藤一に感心して話し出す。

「私のような立場の者が話す内容です。普通は怒ります。斉藤様は山南先生の話すとおりの人物です。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「今の話の内容は、互いに当てはまる。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は斬られないのですね。もっとたくさん話せば良かったです。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

明里は藤棚を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「山南先生に、藤の花にちなんだ物を贈れば、何か変わっていたと思いますか?」

斉藤は藤棚を見ると、明里に普通に話し出す。

「過去は変わらない。変わらない内容を悩むのは、時間の無駄だ。」

明里は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様も沖田様も、無理をせずに過ごしてください。斉藤様も沖田様も、お体に気を付けて過ごしてください。沖田様には、私について考える時間を大切な人物について考える時間に使ってください。以上の内容を伝えてください。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

明里が斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様は沖田様を一番に理解しています。私の話す内容を伝える方法と私の話す内容の変更。斉藤様にお任せします。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「遠くからになりますが、沖田様の無事と斉藤様の無事を願っています。」

斉藤一は明里に普通の表情で頷いた。

明里は斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。


明里は微笑んで歩き出した。


斉藤一は明里を普通の表情で見た。


明里の姿は見えなくなった。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は藤棚の下で、斉藤一を不安な様子で見ている。


斉藤一は普通に歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、沖田総司の居る藤棚。


沖田総司は不安な様子で居る。


斉藤一は普通に来た。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「明里さんと長く話していましたね。斉藤さんは私の元に戻らずに、明里さんと出掛けると思ってしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「落ち込む総司を一人で放って置くと、何をするか分からない。総司の元に戻らない訳にはいかない。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さんが私を心配してくれました! 嬉しいです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。落ち込んでいない様子に見えるから、質問する。彼女に謝りたかったのか? 彼女を怒らせて楽にさせたかったのか? 気持ちを決めてから話せ。彼女は気の短い性格でないから、訳の分からない状況になった。」

沖田総司は斉藤一に困惑して話し出す。

「突然に明里さんが現れたので、話す内容が分からなくなってしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「彼女に話したいと以前から思っていたのに、考えが決まらず、気持ちが決まらず、話す内容が決まらない。全てが決まっていない。彼女に会っても、無理に話す必要は無いだろ。」

沖田総司は斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。

「はい。」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。


「総司が楽にしたかった人物。総司なのか、彼女なのか、答えろ。」

沖田総司は斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。

「両方だと思います。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「真実を話せ。」

沖田総司は斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。

「楽になりたかった人物。私かも知れません。明里さんも私も、楽にしたかったかも知れません。分かりません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に困惑して小さい声で話し出す。

「私が楽になりたかったのかも知れません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。先程の斉藤さんと明里さんの話し中で、明里さんは私について話していましたか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「彼女は、山南さんに失礼の無い生き方がしたいと話していた。総司には、三つの内容を話していた。一つ、山南さんの想いを継いで生きて欲しい。二つ、彼女について考える時間は、大切な人物を考える時間に使うように。三つ、無理をしないように。以上だ。」

沖田総司は斉藤一を安心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤棚を安心して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。戻りましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は微笑んで歩き出した。

斉藤一は普通に歩き出した。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願いします。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は、山南敬助さんが切腹した後の出来事を想定して書きました。

藤棚が幕末に有ったのか疑問に思いました。

斉藤一さんは任務の関係で藤の花の咲く時期に京の町に居ない可能性があります。

「新撰組異聞」関連の明里さんの言動から考えると、藤の花の咲く頃まで、沖田総司さんの近くに居るのか考えました。

疑問はありますが、藤棚が登場する物語が書きたいと考えていたので、細かい設定は省いて考えて書きました。

山南敬助さんの切腹から時が経過しても、沖田総司さんはいろいろと考えています。

沖田総司さんと明里さんが、山南敬助さんの切腹以降に再び会った設定です。

「新撰組異聞」関連の明里さんが、怒る性格に思えないので、この物語でも感情が表面にほとんど出ません。

斉藤一さんが、明里さんと話した後に、沖田総司さんに話す内容は、沖田総司さんの後々の事を考えて、言葉を選んで話したと考えてください。

沖田総司さんが山南敬助さんについて悩む物語は、何話も登場します。

この物語の沖田総司さんは、余り悩んでいない様子に感じるかも知れません。

沖田総司さんが少しずつ乗り越えていく過程で起きた出来事と考えてください。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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